Devils front line   作:白黒モンブラン

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―普通に終わる事はない


Act128-Extra operation chase game Ⅲ

醜悪な巨人は高らかに空へ向かって咆哮する。

その行為は何を示すのか誰にも分からない。最早悪魔と成り果てたそれが何をしようが理解する必要などないのだから。

ただ彼ら、彼女達は目の前に巨人…トリスマギアを討つだけ。

嵐の様な弾幕と剣戟が襲い掛かり、対する相手は盾を用いて攻撃を防ぎながら反撃する。

右腕のチェーンソーは振るえば熱風と炎が舞い上がり、左腕の何重にも束ねたガトリングガンが猛威を振るうと同時に接近戦を仕掛けるギルヴァ達を落雷が狙い、盾を飛ばすと同時に氷の矢が飛んでくる。

相手に反撃を与えないトリスマギアの猛烈な攻撃は自然とS10地区前線基地側を苦しめる要因となっていた。

 

「くそっ!!盾で弾かれる!」

 

『MG部隊!全員トーチカから引いて基地へ後退して!!そこに籠ってたら狙われる!MG5、指示を飛ばして皆を下がらせて!』

 

「了解した!!…全員聞いたな!トーチカから出る!!攻撃しつつ下がるぞ!!」

 

「「「「了解!!」」」」

 

指示が飛び、MG部隊はすぐさまトーチカから飛び出ると基地へ後退を開始。

幸いにもトリスマギアの狙いはギルヴァ達へと向いており、彼女達は素早く基地へと後退。陣形を立て直し、そこからトリスマギアに対して銃撃を再開する。

しかしこのままでは相手が倒れる前に弾薬が尽きるだろう。それまでにトリスマギアを倒さなくてはならない。

肩に掛けたコートに手を伸ばすシーナ。それを見つめる眼差しは真剣だ。

装飾が施され、何処か上品な雰囲気を感じさせるコートは元からある特殊仕様の上にマギーが施した魔の技術が施されていいる。そしてこれがどういったものなのかは製作者本人から聞いているし、試運転も済ませてある。

人が使うには過ぎた代物。しかし必要ならば使わなくてはならない。

幸いにも"彼"は協力的で、もう一人も言う事を聞いてくれる。

 

(いざという時は()()()()()()()…)

 

指令室で指示を飛ばしながら彼女は密かに覚悟する。

そして彼女はマギーとダレンを呼び寄せ、ある事を伝える。

普通なら反対すべき事なのだが、巨人を相手するならシーナの力が必要となる。

どのような力なのか知っている為、マギーもダレンも判断に困った。

しかし消耗は避けなくてはならない。

シーナも、そして二人もこの戦いはまだ終わらないと感じていた。

故に巨人との戦いは早々に終わらせる必要があった。

二人が出した答えは―

 

 

 

 

「ッ!」

 

トリスマギアへと駆け出しクイーンを振りかぶる処刑人。

しかし近づけさせんと火炎放射が行く手を阻むがワイヤークローを射出しトリスマギアの体に突き刺し、炎が当たる前に高速移動。

氷の矢が飛ばされ撃ち落とすそうとするが、そこにブレイクがフォルテとアレグロを連射し氷の矢を次々と撃ち落していく。

反動を活かしてトリスマギアの頭上へと飛び上がる処刑人。重力に従う様に降下し始めると右腕のトムボーイを起動させた。

噴射機構が高らかに咆える。トムボーイによって出力を最大まで上げられた女王(クイーン)は言う事の聞かない大暴れ女王(ランページ・クイーン)へと化す。

 

「ぶちまけろ!!」

 

宙で一回転し反動をつけてからクイーンを勢いよく振り下ろしロケットの様な速さで急降下。

トムボーイにより最大出力に上げられ、噴き出す炎が斬撃の威力を増幅。向かってくる処刑人に対し大盾を展開し動きを止めようとするトリスマギアであったが、この男がそれを許さない。

 

「よそ見している暇があるのか?」

 

ふと聞こえた声。黒いコートの男が刀身を鞘へと納める音が響くと突如としてトリスマギアのバランスが崩れる。

足元を見れば左脚部が中ほどが綺麗に切断させており、先程まで繋がっていた自身の一部が地面を転がっていた。

痛みの叫びを上げる間もなく、強烈な一撃が襲う。

魔剣と渡り合える程の強度を持つ分厚い刀身がトリスマギアの頭に叩きつけられた。体を真っ二つにとは行かずとも真っすぐと歪みのない刀痕が刻まれる。

地面に着地し、すぐさまその場から後退する処刑人。

 

「aaaaaaaaa!!!」

 

噴き出す鮮血と共に悲鳴を上げるトリスマギア。醜悪な姿をしているというのに、その声だけは女性そのものだ。

しかしその悲鳴によってトリスマギアはさらに暴れ出す。浮いていた無数の大盾を自身の周囲に高速移動させ、防御形態を展開。隙間からガトリングガンによる掃射を開始したと同時に右腕はチェーンソーをドリルの様に高速回転させた。

何かやるつもりだ。それもかなり大きいものを放つ気なのだと誰もが察し、それを阻止せんと銃撃を続ける。しかしトリスマギアの周囲に高速移動する大盾達によって弾丸は弾かれる。

 

「くっ…!」

 

遠距離攻撃が駄目なら接近戦を仕掛けるまで。

トリスマギアに突撃するルージュであったが大盾と氷の矢が飛来。大鎌を振るいながら飛んでくるそれらを打ち払うが、そのせいで足を止められる。

このままでは相手の一撃が飛んでくる。それまでにあれを止めなくはならない。

 

『避けてごらんなさい…!』

 

その時、基地の後方から流星が駆け抜けた。

流星に対し無数の大盾が行く手を塞ぐが意味などない。ニーゼル・レーゲンのレールガン形態による最大出力で放たれた一撃は盾を容易く貫き、トリスマギアの左腕を穿ち吹き飛ばす。

直撃の反動は凄まじさを物語る様に左腕は空高く舞い上がり、同時に防御形態も解除される。

しかし右腕のチェーンソーは未だに回転し続けている。だがダメージが貰い過ぎたのか回転は段々と弱まりつつあるのだがトリスマギアに戦意は失われてなどいない。

そこに二人の男が醜悪な巨人の前に立つ。

 

「そろそろ決着か」

 

「その様だな」

 

リベリオンを構えるブレイク、無銘を構えるギルヴァ。

止めを刺そうとした時、この場に来てはいけない人物が姿を見せた。

グリフィンの赤い制服の上からかけられたコートを揺らめかせ、彼女はトリスマギアを睨んでいた。

その者を見て、処刑人が驚き、ルージュが叫ぶ。

 

「シーナ指揮官、何でこんな所に居るのですか!?下がってください!!」

 

トリスマギアとは距離は比較的離れているが、危険な事には変わりない。

相手が動き出す前にルージュが傍へ駆け寄り、その場から下がらせようとするがシーナは手を上げて制した。

 

「大丈夫。直ぐに終わらせるから。―来なさい、()()()()

 

その声と共に肩に掛けたコートから何かが飛び出した。同時にコートの色が脱色したかの様に黒から灰色へと色を変える。

コートから飛び出したそれは影の様で、とある動物へ擬態するとトリスマギアへ向かって一直線に走り出し右腕へと跳躍。

動物から回転する刃へと姿を変えると高速回転。斬り刻むと勢いのままに内部骨格もろとも腕を斬り落とし、後ろへと飛びあがりシーナの前へと降り立った。

彼女の前に降り立ったのは、一匹の黒豹であった。それが悪魔だと言う事はルージュも気付いており少しばかり身構えていた。

 

「おうおう、初登場だから張り切ってんなぁ?ネコちゃん。それともネェちゃんにカッコイイ所見せてぇから張り切ってる?」

 

何時の間に居たのだろうか。グリフォンが二人のそばで羽ばたいており黒豹を「ネコちゃん」と呼びながら現れた。

この状況下にも関わらず軽口を叩けるのはブレイクとグリフォンだけであろう。

 

「…」

 

「あん?今はそんな話をしている暇はない?そりゃそうだな!ネェちゃん、やっちまいな!」

 

言われなくても、と返答するシーナ。

状況について行けず、一体なにをする気なのか分かる訳がなく、ルージュは尋ねる。

 

「シーナ指揮官、一体なにをなさるつもりで…?」

 

「あれを叩きのめす。…ギルヴァさん、ブレイクさん、そこから離れて巻き添えになる」

 

どうやってとルージュが問う前に、シーナは空へと向かって指を鳴らした。

影が空へと飛び出したと同時に灰色だったコートは白色へと変わり、何かの影響かシーナの髪の色も黒から白色へ変色。

何をやったのか分からない。ただ彼女が肩に掛けているコートから飛び出していったそれから大きな魔の気配を感じ取ったギルヴァ、ブレイク、処刑人、ルージュ。

何かデカい事をやる気だと察したギルヴァとブレイクはトリスマギアから素早く離れる。

そして次の瞬間、トリスマギアの目の前で何かが飛来した。

 

「な、何だぁ!?」

 

「何かが落ちてきた…!?」

 

大きな爆発と轟音が周囲に響き渡り、衝撃波が奔る。

そんな中でギルヴァとブレイクは平然としていた。

落ちてきた何かについては既に検討が付いている。先程感じた大きな魔の気配、恐らくそれによるものであると。

そしてその予想は当たっていた。

トリスマギアの目の前で飛来してきたそれは球体であった。そこから広がっていく泥の様な、スライムの様なものが次々と溢れ出していき、形を作り上げていく。

そして最早この世の物とは言えない一体の巨人が姿を現した。

 

「おい、あれは…!」

 

指令室でシーナが召喚したと思われる巨人を見てダレンは驚きの声を上げ、マギーは頷き肯定する。

姿こそは違うがその気配は忘れる筈もなかった。

それはただ破壊だけを生み出す化け物。しかし制御の問題から魔界すらを滅ぼしてしまうの力を持った存在。それが何故エンブレムの状態となって人間界に流れ着いたのかは誰にも分からない。

しかしだ。こいつを"悪夢"と称しなければ、一体何が悪夢の名に相応しいのか。

魔帝によって生み出されしそれは新たの姿となって悪夢を見せる為、一人の少女に仕える無敵の従者として、悪夢(ナイトメア)はこの人間界に現れる。奇しくもナイトメアの魔の反応は一部に知られてしまうのだが、シーナがそれを知る由もない。

巨人(トリスマギア)巨人(ナイトメア)。この二体が真正面からぶつかれば何が起きるのか分からないが、残念ながらトリスマギアは既に満身創痍。真正面からぶつかる事はないだろう。

どちらかと言えば一方的な展開になるのだが、ナイトメアは攻撃しなかった。

訪れたほんの少しだけの沈黙。満身創痍のトリスマギアへ向かって、シーナは話しかける。

 

「聞こえているのか分からないけど、勝手に喋らせてもらうわ」

 

それはトリスマギアに対してではない。彼女は聞いているか分からない追跡者本体へと話しかける。

同時にナイトメアが両腕で振り上げていた。

 

「こんなのゲームではない。それと…」

 

冷静に、そして淡々と告げるシーナ。

実は彼女は相当キレていた。ただ口調が変わっていない点ではまだ完全にブチ切れていないのだろう。

そしてそれは偶然か。シーナの台詞は追跡者本体にも届いており、また追跡者本体も操作ミスでシーナの声が別の基地の面々に聞こえる状態となっていた。

それを知らずにシーナは口調を変えて追跡者に宣戦布告する。

 

「次はお前だ、鉄屑(チェイサー)

 

言い終えた瞬間、ナイトメアの剛腕がトリスマギアへと振り下ろされた。

その一撃はトリスマギアの体を押しつぶし、破砕音が響き渡る。

舞い上がる土埃の中、潰され残骸となったトリスマギアに見向きもせずナイトメアはただ沈黙を貫くのだった。

 

 

 

 

「次はお前、か…」

 

S10地区前線基地に放ったトリスマギアが撃破され、シーナからの宣戦布告を耳にした追跡者は小さく呟いていた。

まさか向こうから自分に宣戦布告してくるとは思わず、つい笑いだしそうになるが何とか抑える。

その気ならやってやろうじゃないかと思った時、追跡者の居る部屋に夢想家が姿を見せる。

 

「一体やられたみたいね?」

 

「ああ。やれられる前に向こうから宣戦布告貰ったよ。如何やら次は僕の出番みたいだ」

 

「そのようね。でも…」

 

その笑みは一見優雅に見えても注意深く見れば怖く感じさせる。

注意深く見ていなかった追跡者に対し夢想家はずっと手にしていたスイッチを押した。

それに反応する様に追跡者の体に異変が起き始め、突然の事に本人も何が起きているのわかっていない様子だった。

 

「な、ナニ ヲ シタ…!?」

 

「折角の宣戦布告なのよ?このまま普通にやるのも面白くないじゃない」

 

それは第三ラウンドを予告させるもの。

叫び声を上げる事すら許されず追跡者は()()へと姿を変えていく。その様を見届けながら夢想家はクスクスと笑いながら部屋から去っていく。

どうせここは破棄する予定だ。残していたあの二体も動かして相手の戦力を少しでも減らしてもらおう。

 

「性格は嫌いじゃなかったけどね。…でも所詮貴女は都合良いの道具なのよ、追跡者」

 

 

 

「まさか…最初から切り捨てるつもりだったのか」

 

電子の海で彼女は険しい表情を浮かべる。

本来であれば体を取り戻して、偽物を破壊しようと思っていた筈が夢想家によって不可能となった。

こうなれば自分一人でどうする事も出来ない。

 

「だーもう!スペアを用意しないといけないじゃないか!それにあっちにも連絡しないといけないし!」

 

予定通りに行かなかった事に不満の声を上げながら、彼女は即座に動き出す。

現実で()()へと成り果てた偽物が咆哮を響かせるのを耳にしながら。




てな訳でシーナちゃん…まぁそういう事や。
それと最後の二人?…それも分かるかな。

さてこっからは…最終局面の一歩手前かな?
参加している方々の進行具合をみて展開します。

(最終局面に関しては追加依頼という形を取ります。ただそちらに関しては強制ではありません。トリスマギアを倒して終わりでも構いません。皆様の進行具合を見てから、活動報告にて追記なり、新たな投稿するなり致します)
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