Devils front line   作:白黒モンブラン

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―墓場へ向かおう


Act130-Extra operation grave guard Ⅰ

墓守からの依頼。蛮族戦士の協力。

他の基地へと応援要請を入れたS10地区前線基地は追跡者達の集合体の残骸処理と戦後処理に追われていた。

集合体はナイトメアの一撃により跡形も残す事無く大破し、マギーとダレンの主導の元解体されていた。

巨人を構成していた肉部分はどういう仕掛けか粒子となって消失してしまっているのだが、追跡者達の亡骸の中には奇跡的に原型をとどめている者も存在し、どういう仕組みで巨人へと化したのかを調べる為に行われていた。

一人は魔工職人。片やもう一人は様々な知識を有する悪魔。そして二人共魔界出身。

この二人が加われば調査結果が出るまでそう時間は掛からないだろう。

因みに蛮族戦士はというと…

 

「…」

 

基地の屋上で沈黙を保ち風景を眺めながら待機していた。

本来であれば協力してくれる者として応援に来てくれた者達に紹介をしなくてはならないのだが余計な混乱を避けるため、そこで待機してもらう事となり作戦領域に向かう事となった時に紹介という形となった。

その一方で緊急作戦「grave guard」に参加するギルヴァ達は便利屋「デビルメイクライ」で待機していた。

シーナから伝えられた事には援軍要請を聞きつけた者達には空路なら基地のヘリポートを利用し、内部を経由して基地隣接店「デビルメイクライ」の裏口から、陸路なら基地隣接店のデビルメイクライのの入り口から入ってきて欲しいと頼んだ事。

そしてその出迎えの為に参加組はそこで待機して欲しいと頼まれ、ここにいるのだ。

 

「…どこの連中が来てくれるんだろうな?」

 

体を店の出入口近くの壁に預け尋ねる様に喋り出したのは処刑人。

愛銃であるアニマの弾倉を取り出し、12の薬室に銃弾を込めるとホルスターへと納める。

傍に立てかけてあるクイーンの調子は良好、義手のガーベラも同様に調子が良い。ホルダーに提げたブリッツ、トムボーイ、そして新たな義手 バスターアームにも問題なく、デビルブリンガー、狩人も上機嫌の様子。

何時でも出撃できる状態を整え腕を組むと書斎に腰掛け本を読んでいたギルヴァが処刑人の問いに答える。

 

「まず来てくれるかどうかすら怪しい。今回の一件は複雑の基地に対し同時攻撃を仕掛けたものだ。自身の基地の修繕、戦後処理があると言うのに要請を受けて人員を割く余裕があるかどうかすら分からん」

 

「その場合は俺達とあいつ(蛮族戦士)で作戦決行という訳か。そもそもあいつ何もんだよ?シーナは味方だって言ってたが正直信用は出来ねぇんだが?」

 

「俺が知ると思うか?ただシーナがそう言うのであればそうなのだろう」

 

色々思う所はある。しかしそれを気にしている状況ではない事は二人共理解している。

 

「まぁ敵対する気がないと言う事は大丈夫という事だろうさ。そう思わないか?ルージュ」

 

ソファーに腰掛け読んでいた雑誌を閉じ、少し離れていた位置に立っていたルージュへと尋ねるブレイク。

その問いに対しルージュは小さく頷くと閉じていた口を開いた。

 

「そうですね…。何もしないという事は敵対する様子がないと見ていいでしょう。ただ…」

 

「ただ?」

 

「無償で協力してくれる様な性格をしているとは思えないんです…」

 

協力してくれるのであまり疑いたくはないのですが、と言葉を締めくくるルージュ。

それに関しては三人も同様の考えを持っていた。

話す事が出来ないのか、或いは話す程ではないのか。ルージュも含めギルヴァ達はシーナから蛮族戦士が何故協力してくれるのか聞かされていない。

不審に思っても不思議ではないのだが、そこから先は四人とも言わなかった。

状況が状況だ。作戦前にも関わらずこんな事をしていても意味がないと理解している。

今は応援を聞きつけた者達がここに来るのを待つのみ。ジュークボックスから流れるBGMに耳を傾けながら四人は静かに待った。

その時、店の扉が開く音が響いた。しかしそれは後方から裏口から響いた音であった。

いち早く気が付いたブレイクが裏口の方へと視線を向ける。

そしてそこに居た三人を見た瞬間、ブレイクはニヤリと笑みを浮かべその者ら…早期警戒基地所属ランページゴースト隊の三人に話しかけた。

 

「予想はしていたがこれは大当たりだな。お前たちなら来るって思ってたぜ」

 

「派手なパーティーがあるって聞いたからな。招待状は必要だったか?」

 

「どうかな?あいにく俺も招待状を持ってなくてね。お互い飛び入り参加ってのはどうだい、ノア」

 

「そりゃいいね。招待状を無くて困ってた所だったからよ」

 

パーティーとなれば招待状という決まりがあるのだろうか。

そもそも招待状など無いのだが吞気な事を言いながらもニヤリと笑みを浮かべる二人。

何時からこの二人はこんな会話する様になったのだと思いながらもギルヴァは読んでいた本を閉じ静かに笑みを浮かべた。

彼もまた予想はしていた。もしかすれば彼女達が来るであろうと。

すると蒼が話しかける。

 

―また一つ借りが出来ちまったな?

 

(そのようだな)

 

―恩返しの内容は決まったか?

 

(今決める状況だと思うか?)

 

―いいや、全く?

 

(ならば問うな)

 

―はいはい。

 

相変わらず吞気な事を言ってくる奴だとギルヴァは思う。

初めて会った時から蒼と呼ばれる大事な恩人はいつもこんな感じであった。

刀の技術も幻影刀の生み出し方も…何もかも彼から教わっている。

だからこそであろう。自身の中で存在する彼はどういった悪魔なのだろうかとギルヴァは思っていた。

それを聞いた所で素直に返してくれる性格をしている訳でもない。寧ろはぐらかそうとするであろう。

命の恩人である為、ギルヴァとて強引に出る気などない。

だがいつか…いつかで良い。恩人の事を知れる時が来る事を彼は心の中でひっそりと願いながらも椅子から立ち上がる。

何時の間にかブレイクと処刑人がランページゴーストの三人を相手しており、遠巻きで見ていたルージュが彼が立ち上がったのに気づき話しかけた。

 

「考え事は終わりましたか?」

 

「ああ。準備は終えたか」

 

「ええ。武器も鎌だけですし、私自身にも問題ありません」

 

「そうか」

 

既に準備は終えている。

ブリーフィングの時間までまだある。どうしたものかと思っていた矢先、店の扉が開き来客を知らせた。

誰もがそちらの方へ向き訪れた人物を見て、ギルヴァは内心驚いた。

予想していなかった人物であり、やってきた者の名を口にした。

 

「リホ・ワイルダーか?」

 

「せやで。…久しぶりやな。こうして会うんはS11地区の時以来か」

 

「その様だな。…しかし何があった?以前と比べるとかなり()()の方が様変わりしたみたいだが」

 

「あー…そこは色々とな。因みにうち、グリフィンで指揮官やっとるで。S13地区でな」

 

―ルージュの嬢ちゃんと言い、あの時の女社長と言い…ホント何があったんだか…。

 

蒼もリホ・ワイルダーから放たれる気配を感じ取っており、その代わり様に驚いている様子であった。

当然ギルヴァもそうであり、返す言葉が思いつかないまま特殊作戦「grave guard」のブリーフィングの時間を迎えるのであった。

 

 

S10地区前線基地第一会議室にて、今回の参加するメンバーは居た。

各々が壁に凭れたり、椅子に座わりシーナが操作する端末を介してスクリーンに映し出される情報の数々へと視線を向けていた。

作戦目標が居る拠点までの距離、位置、内部構造、拠点への移動手段、現時点で確認出来ている敵の数。

それらの情報は依頼主である墓守が提供したものだ。

しかしシーナは余計な混乱を防ぐために情報提供者である墓守の事は明かさない様にしていた。本来の性格とは言え、姿こそはあの追跡者と同じ。

何よりも明かさない様にしているのは墓守本人からの願いだったりもする。

 

「今回はうちから二機。移動手段用のヘリで拠点まで送ります。当然拠点からここまでの帰りも同じです。またS地区応急支援基地から武器が送られてきました。基地の修繕で応援に行けない代わりにこちらを送るとの事です。…以上が今回の作戦の内容です」

 

「ちょっと待ってくれ。わざわざそっちから出す必要ないんじゃねぇのか?こっちだってヘリで来てんだぜ?」

 

「確かに。…ならノア、ヘリのパイロットさんに伝えておいて。少し騒がしい所だけどここでのんびりして行ってと。それと帰り分の燃料は取っておきなさいってね」

 

事が起きるたびに、応援要請をする度に向こうの基地は協力してくれた。

何度も世話になっていながらこちらは大した事は出来ていない。

シーナは何を言われようが弾薬や燃料等などは請け負う腹積もりであった。

 

「ちょいとええか?シーナ指揮官」

 

「何でしょうか、リホ…いえ、ワイルダー指揮官とお呼びいたしましょうか」

 

「やめてくれや、初めて会った訳やないんから。普通にリホで構わんよ」

 

「でしたらリホ指揮官で。…それで何でしょうか?」

 

何故か魔女のコスプレをしたリホが親指を立て、ある方向を指す。

その先にいるのは協力を申し出た蛮族戦士。

 

「あそこに居るの…敵じゃないんやな?」

 

(…やはりね)

 

当然と言えば当然だろうとシーナは思う。

そしてこうなるであろうとは想定済みであった。

でなくては彼をここに呼んで意味がないからだ。

 

「カタコトですが意志の疎通は出来るみたいで、敵対する様子も見受けられませんでした」

 

「故に、か…。シーナ指揮官、ホント信用してもええんやな?」

 

「はい。…もし何かあれば私が責任を負います」

 

「…そうか。なら問題ないわ」

 

帽子をかぶり直すとシーナはすっと表情を変える。

いつものの、そして突然と見せる彼女の特徴を。

 

「今回の敵は少数ですが、戦闘力は未知数。しかし私は…」

 

以前と比べると戦える力を持ったシーナであるが、それ以前にこの基地の指揮官だ。

危険を冒してまで戦場に赴く事など以ての外。しかし応援要請を出しておきながら大した支援が出来ない事に歯痒い気持ちであった。

せめて言葉だけでも。

そんな思いを胸に彼女は作戦へ赴く彼ら、彼女らに告げる。

 

「あなたたちなら、誰一人かける事無くやり遂げると信じています。…どうかご無事で」

 

 

ブリーフィングは終了すると既に準備を終えている九人は基地のヘリポートで止まっている二機のヘリへ向かって行く。

一機には代理人がコックピットに、そしてもう一機にはノーネイムがコックピットに搭乗。

処刑人、ルージュ、ランページゴーストの三人、リホ・ワイルダーは代理人が操縦するヘリへ乗り込んでいき、残りの三人はノーネイムが操縦するヘリへと乗り込んでいく。

必要な武器、そしてS地区応急支援基地から送られた武器を積み込むと彼ら、彼女らを乗せた二機のヘリは追跡者が居る拠点、またの名「墓場」を目指してS10地区前線基地から飛び立つ。

そしてこの時をもって緊急作戦「grave guard」が始まりを告げた。




ほんっとうにッ!!!遅くなって申し訳ございませんッ!!
こうしよう、ああしようと悩んでいたら滅茶苦茶遅くなってしまいました…。

という訳で追加依頼「operation grave guard」開始です。
一回目は参加する面々をS10地区前線基地に集結させ、全員で拠点に向かう感じ致しました。
さぁて…次回は拠点編かな。
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