Devils front line   作:白黒モンブラン

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―裏方の彼、彼女―


Act141-Extra Lurking in the rain Ⅰ

空は灰色。降る雨は辺りを濡らす。

建物も、地面も、窓も…濡らせるもの全て。

外から聴こえる雨音だけが空間を支配し、その時が来るまでの間ギルヴァは今回ここに来る事になった発端を思い出していた。

 

 

今から数時間前に遡る。

シーナ達が「墓場」の調査へと赴き、名前の一件で騒がしくなる事を察したギルヴァとルージュがカフェへ避難し静かな時間を過ごしていた時の事であった。

カウンターに腰掛け、カフェの店主であるスプリングフィールドが淹れてくれた紅茶を味わいながら店内に流れるBGMに耳を傾けるギルヴァとルージュ。

偶然にも人形達がここを訪れていない事と二人共物静かな性格という事もあり、店内に落ち着いた雰囲気に包まれていた。

以前の作戦の疲れた体を癒すには丁度良く今日一日は休息を取ろうと決めるギルヴァ。

それは彼の隣に座っているルージュも同じ考えであった。

しかし予定が強制的に変更される事になったのは、二人が今日一日の予定を決めた直後だった。

カフェの出入口が開き、開く音が来客を知らせる。

入ってきたのは一人の女性。

鮮やかな桜模様の着物を纏うその者はカウンターで座っていた二人を見つけると歩み寄りながら声を掛けた。

 

「おー、ここにおったのか。探してたぞ」

 

その声を聞いた辺りから誰が話しかけてきたのかを察しながらも目を伏せ見向きもしないギルヴァに対し温かい紅茶が入ったカップをソーサーの上に置きつつルージュが応対する。

 

「ダレン。どうしたのですか?」

 

「ちょいとな。…ギルヴァよ、依頼を受けてくれんかの?」

 

自身を呼ばれた事により、伏せていた目を開くギルヴァ。

味わっていた紅茶のカップをソーサーへ置くと返答する。

 

「…聞こうか」

 

「ほっほっ、そう来ないとの」

 

望んでいた返答を聞きダレンはカラカラと笑うとギルヴァとルージュの後ろに立ち二人の前に手に持っていた端末を置く。

画面には資源地帯の全体図が映っており、地形情報や地下道が存在するなどといった情報が細かく記されている他、そこが鉄血の支配下にある事を示していた。

これが何を意味さすのかギルヴァとルージュに分からない訳がなかった。

 

「気付いておると思うが、グリフィンによる資源地帯攻略作戦が行われる事となっておる。その援護に向かってもらいたい」

 

「そう頼むという事はこの作戦は小規模戦力による攻略作戦なのですか?」

 

「いや?戦力自体に問題ないの。寧ろお主らを送らんでも良いくらいじゃ」

 

「では何故?念を押すというのであれば分かりますが、戦力が足りているでしたら向かう必要はないと思うのですが」

 

ルージュが言っている事は決して間違ってなかった。

戦力が足りているのであれば自分達は向かう必要ない。

念には念をとも言うが、大規模作戦となれば援護に向かう者達もいるだろう。

ましてや自分を含めギルヴァは以前の戦いに身を投じ帰ってきたばかり。疲弊している訳ではないが、少しばかり休ませてもらいたいと言った思いもそこにはあった。

 

「それでもじゃよ。それにの…今回の作戦、途轍もなく嫌な予感がするんじゃ」

 

勘でしかないがの、と締めくくるダレン。

彼女と付き合いの長いルージュはダレンの勘がよく当たる事を知っている。

嫌な予感がするというのであれば、それは現実のものへとなるのだろう。

その事を知っているルージュはギルヴァに依頼を受けるようにと勧めようとしたその時であった。

紅茶の最後の一口を飲み干すとカップをソーサーの上へと置き立ち上がるギルヴァ。

スプリングフィールドにまた来ると一言伝えると、カフェの出入口へと歩き出した。

受ける気がないのだと思ったダレンは呼び止めようとするが、その前に彼は口を開く。

 

「細かい事情に興味はない。だが報酬は弾んでもらうぞ」

 

そのセリフは依頼を受けるという証拠となった。

 

 

 

回想に浸っていた頭を切り替え、伏せていた目を開くギルヴァ。

止む事を知らない雨は今も尚降り続け、雨音が響くが銃声や爆発音はまだ聞こえてこないが輸送機が降り立つ姿を目撃する。

グリフィンの部隊であると分かっていながらも、彼はそれ以上の興味を示す事はなかった。

ただその輸送機に乗っている者の内、S11地区後方支援基地での作戦で義勇兵として参陣した「M16A4」と「M14」が乗っているのだが、ギルヴァがそれを知る筈もない。

因みにであるがS11地区後方支援基地での戦いの時、二人と共に共闘したフードゥルはあの者達といつか会ってみたいと呟いていたりする。

 

「…」

 

そっと彼が後ろを向けば、ルージュがマギーから試験運用の為に渡された「スパイラル」と「V,S.E.R」を眺めていた。

スパイラルと名付けられた対物ライフルはルージュの身長とほぼ同じと言っても良い位に大型であった。

その外観から想像出来る様に威力、貫通性に長けた銃であり代理人の愛用するシルヴァ・バレトを参考にしてマギーが製作したものである。

一方で銀色に染められた特徴的な三又上の銃身とコンデンサーがレールガンを彷彿させるが、これはレールガンではない。

かなり前にギルヴァとノーネイムが回収した夢想家のライフルを参考してマギーが製作した光学兵器であり「V.S.E.R」と名付けられている。

名前であるV.S.E.RはVariable Speed Energy Rifleの略称で、訳すと可変速エネルギーライフル。

二つとも大型であるに関わらずルージュは軽々と持ち上げ、狙いを定めると言った仕草をしていた。

その姿を見つめるギルヴァに蒼が話しかける。

 

―依頼を受けたってのに、それに付け込んで試験運用を頼んでくるとはな。あいつらしいぜ

 

(報酬は出すと聞いている。今更文句は言うつもりはない)

 

―ま、受けたしまった以上は何も言わねぇさ。それにダレンからは()()()()を出してくれそうだしな。

 

ギルヴァも、そしてルージュもこの資源地帯にいる鉄血とは別にとある気配を感じ取っていた。

それはギルヴァらがよく相手をする者の気配…悪魔の気配だ。

ただその気配は二人の出方を伺っているのか、近づいてくる様子ではない。

向こうが動かないのであれば、こちらが動くまでの事。

それに今居る地点から少し離れているとはいえ、ここは鉄血の支配下。

いずれ自分達の存在に気付くのは時間の問題であった。

その証拠として、じりじりと詰め寄ってくる鉄血下級モデルたちの気配にも二人はとうに気付いている。

その他にも地下道から感じる妙な気配にもギルヴァは気付いた。

 

「動くぞ」

 

その一言にルージュの雰囲気は変わる。

静かなる殺気が周囲に放たれ、そこにギルヴァの放つ殺気も交わる事によって空間が振動する様な現象が起きる。

その瞬間ルージュとギルヴァは駆けだし窓ガラスを突き破って外へ飛び出していった。

彼女の持つ大鎌、スパイラルとV.S.E.Rの持つ火力、ギルヴァが持つ圧倒的な力。

地下道ではなく地上の方へ赴いたグリフィンの部隊の消耗を抑える為、戦いを少しでも楽にする為、裏方の仕事が雨音に混じって始まりを告げた。




という訳で今回からoldsnake様作「破壊の嵐を巻き起こせ!」のコラボ回 資源地帯攻略作戦にギルヴァ&ルージュが参戦致します。
ただこちらは裏でチマチマと援護、及びここに潜む悪魔の討伐という感じですね。
その最初として、地上ルート組の消耗を抑える為、戦いを少しでも楽にする為に雨に潜んで二人は動き出しました。


んで地上ルート組の方々よ、バラバラに切り裂かれた鉄血下級モデルの亡骸を見つけたり、どっかから大鎌が、大口径の弾丸が、光線が、斬撃が、群青色に輝く刀が飛んできたらこの二人による仕業なんでよろしくです。


また今回のコラボでは多くの作品が参加しております!

NTK様作 『人形達を守るモノ』

焔薙様作 『それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!』

ガンアーク弐式様作 『MALE DOLLS外伝集』

試作強化型アサルト様作 『危険指定存在徘徊中』

裏方仕事の方を見るよりもこっちの方が見ると良いぞ!
てか豪華過ぎないかい?こっちが小っちゃく見せるぜ…
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