Devils front line   作:白黒モンブラン

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―時間稼ぎ―


Act143-Extra Lurking in the rain Ⅲ

「何でしょうか、あれは…?」

 

魔人化したギルヴァに抱えられながら地上を眺めていたルージュは映った光景に対し訝しげな声を上げた。

どういう訳か正規軍の人形とも思われる人形の群れににBB小隊、ランページゴースト、パラケルススの魔剣が襲われている様子であった。

相当強力なのか、ダミーも残り少なく残っている武器で何とか対処している様からして押されている状況であった。

何故この様な状況になってしまったのか分からずとも、決して宜しくない状況である事は明白であった。

 

「表へと出て正解だったか」

 

「そうですね。でもどうしてこのような事に…?」

 

「知るか」

 

切り捨てる様な物言いだがルージュは気にしない。

性格からしてそういう人物である事は分かっているのだから。

 

(冷たい…)

 

飛行している所を抱えられている為、降り注ぐ雨がルージュの顔に強く当たる。

その中から感じる冷たさに彼女は自身の過去を思い出していた。

硝子越しから見つめてくる瞳。生まれた命に喜ぶ様なものではなく、まるで失望したような瞳。

培養液の冷たさを相まって、それは絶対零度のような冷たさを感じさせる。

望まれる事の無い鉄の子宮からの目覚め。それがルージュという少女の始まり。

紆余曲折を経て今に至る訳だが、その始まりを彼女は決して忘れてはいなかった。

 

(やめましょう…)

 

思い耽っていた頭を切り替え、目の前の事に集中するルージュ。

その時、地上で大きな爆発が起きた。相当の爆発だったのか飛行中であったギルヴァ達にも見える程。

それは赤ゴリアテをパラケルススの魔剣のレールキャノンで撃ち抜き爆発させたもの。周囲にあった燃料タンクまで巻き込んだ爆発は彼ら、彼女らを襲ってきていた第三勢力の勢いを削ぐ瞬間となっていた。

ただ相手が悪すぎる事、同時に武器等が破壊された事による戦力の低下をあった為かBB小隊、ランページゴーストの二人、パラケルススの魔剣は一瞬をついて安全圏まで撤退を開始していた。

 

「撤退を始めた様だが…」

 

「そのまま見逃すという気はなさそうですね」

 

しかし第三勢力は安全圏まで撤退を許す気はないのだろう。

群れを成して部隊の面々を追いかけ始めていた。その外観からは予想はつかぬ程の機動力で追う。

下手をすれば追い付かれてしまうだろう。

 

「行くぞ」

 

「はい…!」

 

羽を大きく羽ばたかせ、凄まじい速さで移動を開始するギルヴァ。

撤退している部隊を追い抜き、距離を取った所で地上へと降り立つ。

後ろを振り返れば撤退中のBB小隊、ランページゴーストの二人、パラケルススの魔剣。更に後ろからは第三勢力が追ってきている。

突然この二人が降り立った事により、どよめく部隊の面々。しかし足を止める訳には行かない。

その時、ギルヴァとルージュはそれぞれの武器を構えると地面を蹴って突進。

部隊の横をすれ違う際にギルヴァはM16A4に、ルージュはランページゴーストのアナとRFBへと伝える。

 

「時間を稼いでやる。早いうちに撤退しろ」

 

「ここは私達が何とかします。大丈夫、頃合いを見て私達も撤退するので」

 

相手の返答を待つ事無く、ギルヴァとルージュは突撃。

空いていた距離を一気に詰め、第三勢力へ攻撃を開始。

正面にいたイージス達にすれ違いざまに刀と大鎌による斬撃を浴びせ、その体を両断。

一度の攻撃で複数体機能停止に追いやると、ルージュが狙撃を仕掛けてくるケンタウロス達へ突撃。

そしてギルヴァはその場で居合の構えを取り、そっと鍔に親指を当てる。

 

「性能で言うのあれば貴様らが上か。何が目的かは知らん。だが一つだけ言っておく」

 

次元斬 絶とはまた違うものであるが、遜色ない程に強力な技。

その姿を捉える事はほぼ不可と思える速さで動き回り、次元斬を乱発するというもの。

それはかつてS11地区後方支援基地での作戦で放った大技。

その名も…絶刀。

 

「跪け」

 

鯉口を切る音と共に彼が地面を蹴った瞬間その姿が消える。

その瞬間あらゆる方向から空間が歪むと斬撃が奔った。

繰り出される斬撃の嵐。抵抗を許さない次元斬の嵐にイージスもサイクロプスもバラバラに斬り刻まれ、四肢やら頭部やらが宙へ舞い上がり、機能停止へと追い込まれていく。

戦力を減らしまくるギルヴァを阻止せんとケンタウロスが弓を構えた瞬間。

 

「何処を見ているんです?」

 

一閃。

体が二つに分かれ崩れ落ちるケンタウロス。その後ろに立っていたのは大鎌を振り下ろしたルージュ。

敵陣の真ん中で大暴れするギルヴァを一目見た後にルージュが次の敵へと狙い定めた時であった。

その時二人の上空をヘリを過ぎ去っていった。

それが部隊の面々が乘ったものだと判断するとルージュはヘリへと向かって微笑する。

その表情は無事撤退出来た事に対する安堵の笑みであった。

 

「意外と早かったですね。ならば私達も撤退しましょう」

 

そういうとルージュは内包している魔力を解放し全身に炎を展開した。

降り注ぐ雨も魔力で形成された炎の前では蒸気ヘと化す。それが狙いだったのか、彼女を中心に蒸気が辺り一面に広がっていき、最後には全てを包むまでに至った。

疑似的な煙幕が展開され、部隊が無事撤退した事に気付いていたギルヴァはデビルトリガーを解除しルージュと共にその場から撤退。

本来の目的、そして対象を見失った事により生き残った人形達は何かを待っているかの様のその場で立ちつくのであった。

 

 

戦場から無事離脱する事が出来たギルヴァとルージュは移動手段として乗ってきていたバンで一休みしていた。

作戦の後、例の資源地帯から遠く離れた場所にあった廃屋に車両は停車しており二人は淹れたてのコーヒーを飲んでいた。

冷めた体を温めるのは丁度良い飲み物。車両に当たる雨が何処か心地よい。

そんな中、ルージュがギルヴァへと話しかける。

 

「あの第三勢力…一体なんだったのでしょう?」

 

「知らん。だが何かの命令を受けて行動している様にも見えた」

 

「鉄血とは思えませんね…。一体誰が…」

 

「それが分かれば悩む必要もない。それに俺達が先程の奴らと今後関わるとも思えん」

 

「ですね…。私もそう思います」

 

飲んだら行きましょうか、と尋ねるルージュに対しギルヴァは小さく頷く。

コーヒーの香りが漂う一方で雨降る作戦は謎を残したまま終わりを迎えるのであった。




色々飛ばしまくってますが許せ…。

とりあえずコラボ回はここで終わりです。
時間稼ぎの為に勝手に色々やらせてもらいましたが…何かあったら修正します。


次回は何をするか未定です。
ではノシ
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