Devils front line   作:白黒モンブラン

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―作曲者を探せ―


第四・五章 騒乱と平穏の間に挟まれて
Act148 composer


その日ダレンは基地内のラウンジに訪れていた。

本部直属諜報部所長の役職に身を置く彼女は時間があれば諜報活動に勤しんでいる。

ラウンジに訪れたのも流れるゆっくりとしたBGMに座り心地の良いソファーがあるからだ。

愛用している電子端末から多くの所から情報を集めていく中で、とある記事が彼女の目に留まる。

記事の見出しを見た時、ダレンの表情が変わる。

 

「…ほう」

 

興味深いといった声を漏らしながらそこに記されている内容に目を走らせていく。

一通り記事の内容を読み切ると、ダレンは椅子から立ち上がると出入口へ歩き出す。

 

「…これはへリアンに流してやらんとのう。ちいとばかし面倒な事になりそうじゃしな」

 

懐から煙管を取り出し咥えると火を付ける。

ゆらゆらと上がる紫煙がその横顔を通り過ぎ消えていく。

 

「どうせじゃ暇そうにしているあいつに依頼するか」

 

スライドして開いたドアから差し込む陽光。

その光の中へ彼女は消え、ラウンジのドアは静かに閉じていくのであった。

 

 

 

便利屋「デビルメイクライ 第一支店」のオーナーであるブレイクは事務所でどうしたものかと悩んでいた。

以前まで鉄血との戦いやら悪魔案件でドンパチやっていたというのに、最近はそれも音沙汰無しの日々が続いていた。

このままでは資金が底を尽き、生活に必要なライフラインを止められる可能性もある。

それでは事務所の機能が完全に停止する上に依頼を受ける事すら出来ない。

最悪の場合、基地の指揮官であるシーナに頼み込んで空いている部屋でも借りて一か月ほど泊めさせてもらおうかと考えた矢先、事務所に公私共にパートナーであるグローザが現れる。

机に足を投げ出して、雑誌を読んでいるブレイクの姿を見て彼女は呆れた様なため息をついた。

 

「全くだらしないわよ」

 

「仕方ねぇだろ?ここの所、ろくな仕事が来なくてこっちだって暇を持て余しているんだ」

 

「まぁ…ろくな仕事が来ない事に関しては同感だけど」

 

来客用のソファーに腰掛けながら、グローザは先日の特殊作戦以降に舞い込んで来た依頼を思い出す。

便利屋なのは分かっているが、どれもがどうしようもなく、わざわざ金を出してまで依頼する程のレベルとは思えない程の依頼ばかりが舞い込んできていた。

居なくなった飼い猫の捜索、浮気調査など…。

便利屋として名乗っている以上はそう言った仕事も受けるのが普通なのだろうが、ブレイクがそんな依頼を受ける様な性格ではない事は分かり切った話であった。

 

「ほっほっ、暇そうにしておるのう」

 

ブレイクと同じ様にグローザもどうしたものかと悩んだ時、事務所にダレンが訪れた。

ダレンが本部直属諜報部に所属している事はブレイクもグローザも知っている。

ある意味情報屋として動いている事もあり、何ともいいタイミングで来てくれたものだと二人は思った。

 

「良い知らせと悪い知らせがある。どっちから聞きたい?」

 

ノックもせず入ってきてまるで自分の家の様に近場の椅子に座り寛ぎ始めるダレンはブレイクにそう尋ねた。

 

「どっちでも。好きな方からでいいぜ」

 

どのみち聞かされるのだ。

雑誌を読みながら答えるブレイク。

 

「じゃあ良い知らせからじゃ。お前さんに依頼したい。報酬はたんまり払おう」

 

それはブレイクは当然としてグローザにとっても良い知らせであった。

このまま金欠になる。それは避けなくてはならないと感じていた為、何度も読んだ雑誌を閉じて机の放り投げるとブレイクはヤル気を見せた。

 

「確かに良い知らせだ。それで悪い知らせとは?」

 

「悪魔絡みではないという事じゃな」

 

悪魔絡みではないと聞かされた時、少しばかり残念に思ったブレイク。

ダレンがここに来たという事は悪魔でも出てきたのではと期待していたからだ。

 

「それで依頼内容は?」

 

来客用ソファーに腰掛けていたグローザが煙管を吹かすダレンへと尋ねる。

 

「昨今銃砲店を営んでいる者やガンスミスを生業としている者が不審な集団に誘拐される事件が相次いでいての」

 

「変な事件ね…。何の目的があってそんな事を?」

 

「さぁの。それとは別にそやつらは【金色の原石】とやら探しておるようじゃ」

 

「金色の原石?」

 

聞き返す様にその名を口にするグローザ。

それに対し金色の原石の名を耳にした瞬間、ブレイクの表情が変わった。

どこか心当たりがある様な表情をしているにグローザは気付きつつもダレンは気付かなかった。

 

「それが何なのかは分からん。そして依頼したい内容とはその【金色の原石】とやらを調べてきて欲しいのじゃ」

 

「手がかり一切無しで?」

 

「今の所はな。この件には関してはシーナ、そしてへリアンにも流しておる。もしかすれば向こうが何か掴んでくれると思うが、何か起きてからは遅い。ならばどうするかなど分かっておるであろう?」

 

「そうでしょうけど…。ブレイク、あなたはどうするの?」

 

最終的な決定権はブレイクにある。

受けるか受けないのかを尋ねるグローザ。

 

「オーケー。その依頼受けるぜ」

 

【金色の原石】に心当たりがあるからこそ、ブレイクにその依頼を断るという選択肢はなかった。

 

「いい返事が聞けて良かったわい。…どんな些細な事でも良い。何か分かれば連絡を入れてくれ」

 

「あいよ。直接あんたの所に伝えに行くさ。それとローザも連れていきてぇんだが、そこら辺はシーナの嬢ちゃんに伝えてくれ」

 

「了解じゃ。では頼んだぞ」

 

望んだ返事が聞けたのか安堵した様な表情を浮かべ、ダレンが事務所を出ていく。

出ていく姿を見届けるブレイクとグローザ。

訪れる静寂。

再び読んでいた雑誌を手に取ると思いきや投げ出していた足を下ろし椅子から立ち上がるブレイク。

それを見てグローザはブレイクへと問いかけた。

 

「金色の原石…。何か知ってるわね?」

 

「まぁな。…詳しい事は移動の際に話すぜ」

 

「そう…。準備の為に一旦基地に戻るわ。すぐに戻ってくるから」

 

「ああ。分かった」

 

依頼の為、準備の為に事務所を出るグローザ。

その後ろ姿を見届けるとブレイクは机に置いた愛用している二丁の銃を見つめる。

金色の原石と呼ばれるそれが狙われるとなれば彼が動かない理由などなかった。

 

「金色の原石…。成程な、暗号化するなら分りやすいな」

 

アレグロとフォルテをホルスターに収め、リベリオンをギターケースに納めるとブレイクはグローザが戻ってくるのを待つ。

愛用する二丁の銃が作られた経緯を思い出しながら。




ぼのぼのをメインしているというのに、ドンパチの予感を出す作者。
さてさてどんな風になるのやらか…。

因みにダレンのイメージですが、分かりやすく言えば仙狐さん。
それを大人っぽくさせた感じですね。
祈祷師はアズレンの樫野。牛耳、尻尾を無くして胸はそのままに。
そして髪の色が白と水色のグラデーションがかかったした感じですね。

では次回ノシ
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