Devils front line   作:白黒モンブラン

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──にしたって変わり過ぎだ──





今回は一人称視点でルージュの視点で送らせていただきます。
なんかこういった視点が書きたくなったもので…


Act151 Makeover

「…」

 

基地を出て、S10地区を出て、走らせているバンの運転席で私はどうしたらいいのかと悩んでいた。

以前の依頼に続き、またしても急な依頼で出る事になってしまったがそれに対してではない。

基地に世話になる以前にも彼女は今の様に急な頼み事をしにきていたので慣れている。

助手席に座っている彼女に対して頭を悩まされていた。

かつて刃を交えた追跡者の本来の人格とされる鉄血のハイエンドモデルであり、名前を与えられる前は「墓守」となっていた人形。

その名はソルシエール。

暇していた所をダレンに捕まって、共に行動にする事になった。

本来の人格であり社交的で初めて話す事になる私に笑顔で挨拶してくれた。

それでもだ。

 

―やはり重ねてしまう―

 

その感情が私を悩ませていた。

追跡者を知っている為、ついソルシエールをあの者と重ねてしまっているのだろう。

それを分かっていながら割り切れない自身は馬鹿だなとは思っている。

あれはギルヴァさんの手によって始末され、この世にはいない。

そして彼女はソルシエールであって、追跡者ではない。

だというのに割り切ろうとしない自分はなんとも愚かだ。

 

「~♪」

 

どうしているか気になってチラリとソルシエールを見やれば窓に頬杖を立てながら吞気に鼻歌を歌っていた。

恐らくであるが、私がアレと戦っていた事は知らないのだろう。

もし見ていたのであれば、あの時撤退する際に何らかの形で出てきてもおかしくない。

しかしそんな事はなかった為、私達が逃げ出した後に目覚めたのではと考えている。

 

「良い天気だね」

 

ふとソルシエールが空を眺めながらそう言ってきた。

運転している為、あまり余所見はできないが少しだけ空を見れば雲一つない晴天が広がっていた。

彼女の言う通り、確かに良い天気だ。

 

「そうですね。こうも晴れ晴れとしていると外へ出て行きたくなります」

 

「分かる。こういう天気の時は外で過ごすのがいい」

 

「まぁ…現に出てきていますけど」

 

「面倒な事に関する事で、でしょ?」

 

面倒な事。

それはガンスミスを生業とする者達が謎の集団によって連れ去られた誘拐事件の事を指す。

シーナ指揮官から聞いた時はどういった意図があってそのような事をするのか何とも不可解な事件だとは思った。

現状でS10地区でその様な事件は起きていないが被害者が増える前に何とかしなくてはならないのはグリフィンの仕事とも言えるだろう。

今回の頼み事もその事件に関連する内容だと私もソルシエールも知っている。

 

「ほんと不可解な事件ですよね。全く意図が掴めない…」

 

「だよねぇ。敵の正体も不明、意図も不明、分かっているのはゴールドスタインと呼ばれるガンスミスが狙われている。そして僕たちはその息子さんが営んでいる銃砲店へと向かっている。それだけ」

 

私達が動く前に調査へと出向いてくれたブレイクさんとグローザの二人のおかげで情報を得られたのだが、それでもほんの一握りでしかない。

全容が明らかになっていないというのは何とも歯痒いものだ。

取り敢えず息子さんが営んでいる銃砲店に向かう。

まずそこへと向かわない限りは始まらない。目的地まではまだまだ距離があるので、ソルシエールに対して前々から気になっていた事があったので話しかけた。

 

「そう言えばその体…あの追跡者のスペアボディを改造したものなんですよね?」

 

「そうだよ?それがどうかしたのかい?」

 

「その…見た目が随分変わったなと思いまして。本当にスペアボディを改造したものなんですか?」

 

あっちの髪の色は黒に対し、ソルシエールは銀髪に黒のメッシュが入っており、普段から閉じられていた目もはっきりと開かれている上に目の色の赤色から緑へと変わっている。

それどころか追跡者の外見は美青年にも見える姿をしていたが、こちらはれっきとした女性。

声に関してもそうだ。中性的とも言えた声は、今や女性よりの声をしている。

私の知る追跡者という面影が殆どない。残っているとしても喋り方ぐらい。

それでスペアボディを改造したものだと言われても首を傾げたくなる。一から新しいボディを作ったと言われた方がまだ納得が行くだろう。

 

「追跡者の面影を残していたらそれでこそ怪しまれると思っていたし基地にも迷惑が掛かるのは嫌だったからね。それにあいつ、自ら姿を出すような通信をやったから顔が割れているからね」

 

「確かにそうですが…」

 

「それにあいつと一緒のままが嫌だったから。徹底的にあいつの面影を潰す目的で改造したらこの姿になったという訳さ。識別情報もあいつのままだったから変更したし」

 

「ホントに徹底してますね…」

 

既にあの世に逝ったというのに、追い討ちをかける様にその存在すら抹消しにかかっている。

ソルシエールが相当なまでにあの追跡者とやらを嫌悪していたのがよく分かる。

それに顔が知られてしまっている今、改造していないスペアボディのままでいると怪しまれるという理由がある。ひいてはS10前線基地の評価にも繋がってくるであろう。

それならば納得が行く。

 

「ただこの姿になってびっくりした事が一つだけあるんだよね」

 

「それは?」

 

「調査の為にシーナ達が墓場に訪れた事は知ってる?」

 

「ええ」

 

私が向かった訳ではないがダレンから聞いた話では墓場の調査と墓守の保護を名目としてシーナ指揮官も向かったと聞いている。

その時の事を言っているのだろう。

 

「初めてこの姿でシーナと会った時さ。彼女こう言ってきたんだよね「姿変えたの?墓守」って。通信ごしで話した事はあったけど事前に姿を変えるといった話をした覚えなんて無いんだよね…」

 

「えぇ…」

 

そんな声が出てしまったが仕方ないと思いたい。

新しい姿となって現れたソルシエールをシーナ指揮官は墓守だと見抜いていたと聞けば、そんな声が出てきても不思議じゃない。

そもそもシーナ指揮官はグリフィンに就く前は普通の少女の筈。基地に所属している人形達から聞いた限りではそう言っていた。

グリフィンに就いてからは多少なりとも変わったかも知れないが、ソルシエールの話を聞く限りでは洞察力の高さが普通という枠を軽く超えている。

正直な所、シーナ指揮官には色々謎があり過ぎる。

鉄血のハイエンドモデルに対し怯える事もなく、それどころかそのハイエンドモデルを圧倒する程の圧を放ったり、悪魔に信頼を得たり、必要とあれば自ら戦場へと赴く。

どう考えても「普通」の指揮官という枠に収まる筈がない。普通とはなんぞやと問いたくなるレベルだ。

 

「彼女の過去が気にならないという訳ではありませんが、無理に踏み込むのも良くないでしょう。…彼女の口から語られるのを待つのが良いかと」

 

「だね。置いてくれた恩もあるからね。気長に待つ事にするさ」

 

何となくであるが、彼女の過去を無理に踏み込んでは行けないといった感じがしてならない。

どのような理由があってそう思わせるのかと聞かれたら上手く言えない。

例を挙げるとするのであれば言葉にならない何かを感じているというべきか。

思ったより会話は盛り上がっているが目的地までの距離は半分もある。

他愛のない会話を広げている最中、ソルシエールはふと話題を切りかえてきた。

 

「そういえば僕って彼女の妹に当たるんだよね」

 

彼女が誰かは分からないが、当てはまるとしたシャリテの名を与えられた祈祷師の事だろう。

現に二人は墓場で目覚め、墓場で会ったと聞いている。

シャリテがそれを知っているかは分からないし、それが合っているかさえ分からない。

取り敢えず聞いてみるとしよう。

 

「その彼女とはシャリテの事ですか?」

 

「いや、ネージュさ」

 

「成る程。ネージュさんの……はい!?」

 

つい思わずブレーキを踏んでしまう。

スピードが出ていた事と急ブレーキを踏んでしまった為、一時的に体が前のめりになってしまう。

慣性で車両が地面を滑り、漸く停車した所で助手席に座っているソルシエールが叫んだ。

 

「いきなりどうしたのさ!?もしかして免許取りたてなのかい!?」

 

「違いますよ!ただ…彼女の妹だという事に驚いて」

 

ネージュ。旧名ノーネイム。

シリエジオの次にS10地区前線基地に来た人形であり今はデビルメイクライに属している人形である一方でギルヴァさんの娘だ。

会話こそはあまりした事はないが、その姿がとても綺麗だったことはよく覚えている。

そんな彼女に妹が居た。しかしそう言った話は聞いた事がない。

もしかしてと思った時、それを見抜いていたのかソルシエールが答えた。

 

「正解と言っておくよ。…ネージュは知らないさ。墓場で目覚めた際に僕が自分に関する事を集めた際に得た情報だからね。本来の名前こそは抹消されてたけど、顔は覚えていた。そしてその彼女の妹に当たるのが自分だという事もその時知った」

 

「その事は誰にも話していないのですか?」

 

「そうだよ。知っているのは僕と今知った君だけ。シーナも知らないし、他の皆も知らない。まぁいつかは明かそうかなとは思ってる。明かしたらネージュと同様に【彼】の娘になるのもありかもね」

 

「何故その考えにいたるのか全く分からないのですが」

 

彼ってギルヴァさんの事ですよね…?

何でしょう。娘がもう一人出来たとなっても、あまり驚かなそうな予感がするのは気のせいでしょうか。

そんな事を思いながら、アクセルを踏み車を走らせる。

気付かぬ内にゴールドスタインの息子さんがいるであろう町の姿が見えていた。

このまま何事も無く行けば日が沈む前に到達するだろう。

 

「今回の依頼はゴールドスタインの息子、ロック・ゴールドスタイン氏の安否を確認する事です。生存が確認出来れば事が収まるまで見守る事となっています。一応一か月分の旅費交通費はダレンからもらってきました」

 

「手際が良いね。…もし彼の姿が確認できなかったら?」

 

「その場合は近隣の住民へ聞き込み等を駆使し状況を見ます。最悪の場合に直面した時はダレンへ連絡、指示を仰ぎます。そして彼が今回の首謀者たちに襲われている場合は…武力を持って救出します」

 

そう言って私は後ろに置いてあるものをチラリと見た。

居住空間となった後部座席の端に置かれたウエポンラックに立て掛けられた刀。

あの墓場からシーナ指揮官が見つけたものを持ち帰り、マギーさんが改良したもので太刀の【鴉刃】、打刀の【漆】、脇差の【朱】と名付けられている。

武器を増やす事で継戦能力の向上、同時に戦術を読まれにくくする事を目指したものであり、鉄血工廠にて生み出された後に破棄された兵器の一つと聞かされている。

基本は鴉刃で攻撃を行う。漆と朱は専用のホルダーに収められ、スリングで自身の背中に提げて帯刀し状況に応じて使用。

また鴉刃の刀身を納める鞘は漆や朱の刀身と納めている鞘とは形状が大きく異なっている。

マギーさんが言うには大型の鞘の内部には小型ジェネレーターの様な物が積まれているらしく、解放すれば光刃を飛ばす事が出来るとの事。

しかし運用された試しが無い為、今回はダレンの依頼と同時に試験運用の為持ってきていた。

今回は愛用している大鎌の代わりのこの三振りの刀が私の相棒となる。

 

「出来れば刀を使う事がなければ良いのですが」

 

「だね。専用装備ではないけど、これらを使いたくはないかな」

 

急な事態に備えるのは当然の事。

ソルシエールも武器を持ってきていた。ただ専用装備ではなく、ポンプアクション式のショットガンと以前使っていた光学兵器【V.S.E.R】の発展型であり後継機を持ってきている。

正式名称はないが夢想家のエネルギーライフルを改造したもので狙撃により拠点破壊を目的としたカートリッジ式光学兵器。但し扱いは非常に難しい上、大型で取り回しが悪く、弾数も予備のカートリッジを含めて九発。

弾数が少ない分、見合う威力を誇る…と聞いているが果たしていかがなものか。

私としてはこの試作兵器が使う様な状況にならない事を祈るばかり。

 

「さて…」

 

そろそろ町に入る所まで来た。

出来れば何事も無く終われば良いのだが…。

 

余談であるがあの【V.S.E.R】であるが、ある人物へのお礼として送られたと聞いている。

その人物は特殊作戦に参加してくれたS13地区の指揮官との事。

そういえばあの方、魔女の様な格好をしていたが趣味…なのだろうか?




という訳で今回は息子さんがいる町へ向かう道中の二人の会話という感じです。

色々ぶち込んでいるの、この後書きに記載しておきます。

・ソルシエールの大変身
どんな風になったのか。分かりやすいイメージで言うとFGOの八華のランサーみたいな姿かな。
とは言っても性格も一人称も違うんですけどね…。

・三振りの刀【鴉刃】【漆】【朱】
形や名前、設定こそはオリジナル。しかし帯刀している姿は重兵装女子高校生 壱をイメージしていただけたら幸いです。

・V.S.E.R
姿は分かりやすい所で言うのであれば産廃レールガンに近い姿をしています。

次回も今回の話の様に一人称視点で描いていくかも知れません。何卒宜しくお願い致します。
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