─取り敢えず悪魔のせいにしとけ!─
夜空に月が登った時。
まるで魔法がかけられたかの様に町は大人たちだけの町へ姿を変える。
ネオンサインが煌々と輝く町の中で一際輝く建物が一つ。
煌々と金色に輝く照明。バニーガールのシルエットとトランプの看板。
一攫千金を夢見て、駆け引きのスリルを味わう為の大人たちの夜の遊び場。
そこがどういう所なのか、言葉にせずとも分かるだろう。
そしてここは悪魔と悪夢の溜まり場。化けの皮が剥がすどころか、その遊び場を木端微塵にする為、悪魔狩り部隊がこの地に集結していた。
流石にカジノ手前で武装したまま突っ立っている訳に行かず、カジノ制圧組は時が来るまで基地から持ちだしてきていた装甲車内で待機。
的確な指示を飛ばす為に今回はシーナもこの地に来ている。S11地区での作戦で使用した装甲指揮車両に護衛のMG4と共に待機していた。ただし作戦領域から少し離れた位置にある路地にて車両は停車している。
「さて…皆聞こえる?」
ヘッドセットのマイクに向かって話しかけるシーナ。
『第一部隊 FAL。全部隊から異常無しのサインを確認。…ちゃんと聞こえてるわ、指揮官』
「了解。ブラウ・ローゼの方はどうかな?」
カジノ制圧組とちゃんと通信が繋がっている事を確認するとシーナはカジノ地下に繋がる入り口にいるであろうブラウ・ローゼ隊へ声をかける。
その声にシリエジオが応対する。
『全員聞こえてますわ。ヨルムンガンドにも異常なし。教官も異常なしと言っています』
シリエジオの口から出た【教官】という言葉にシーナは申し訳なさそうな表情を浮かべる。
作戦開始日の前日に本当にS10地区前線基地に訪れた彼女。
シーナとしてはカジノ制圧組に加わってもらおうと考えていたそうなのだが、地下の方がハンティングのし甲斐があるといってその者は地下制圧組の方に加わってしまったのだ。
元より地下制圧組の方が人数が少ない事もあって、シーナも許可する他なかった。
「パイソン教官、そちらは頼みますね」
『ああ。しかし貴様の指示の下で戦う日が来るとはな。面白い事もあるものだ』
「私も貴女に指示を飛ばす様な事があるとは思いませんでしたね」
『そうか。…貴様は指示を飛ばす事に徹しろ。良いな?
「!分かった。頼むよ、
『!…ふふっ、任された』
それを最後に通信が終わる。
後は作戦開始時刻になるのを待つだけ。
シーナは座席に凭れ小さく息を吐く。袖を捲くり腕時計を見れば、作戦開始時刻まで残り三分を切っていた。
残り僅かな時間だというのに、彼女からすれば長く感じられた。
静寂に包まれた装甲車内。そんな時、運転席に座っていたMG4が口を開く。
「今回の作戦は他の基地も動いているみたいですね」
「うん。私達が落とすあのカジノ以外にも違法カジノは多数存在している。情報は抜かりなく伝えてあるけど…」
「決して悪魔が居ないとも限らない」
MG4の台詞にシーナは小さく頷く。
今回の作戦はグレイス・モンゴリーが運営している多くの違法カジノを制圧する為に他の基地も動いている。
ただ存在する多くの違法カジノ全てに悪魔が居ないとも限らない。
もしかすれば他の基地が悪魔と対峙してしまう可能性がある事をシーナは心配していた。
「私達がこっちに戦力を投入している今、援護には迎えない。無事を願う事しか出来ないの辛いね…」
「…大丈夫ですよ。悪魔達が出たとしても切り抜けてくれる筈です」
「…そう願いたいな」
再び訪れる静寂。
シーナがもう一度腕時計を見れば、作戦開始時刻まで残り一分となっていた。
かつてのS11地区の作戦の様に派手なパーティークラッカーはない。
それでも皆に鼓舞する為に彼女は全員へと伝える。
「長々とした前置きなんて要らないと思う。だから私らしくない事を言うね」
ニヤリと彼女は口角を吊り上げる。
この口から放たれる台詞は確かにシーナらしくないかも知れない。
だがもはや悪魔が関わっている以上、少しでもテンションは上げていかなくてはならないのだ。
「イカれたパーティーの開催よ。さぁ皆…」
笑みを浮かべる。
そこから先に放たれる台詞はパーティー開幕を告げるものとなるのは誰にも分かる。
「派手に行きましょう!」
今回は短いですが、パーティーの開始です。
また今回では、こちらが一番大きい違法カジノ及び本社を制圧する一方で…
他にある違法カジノを制圧する為に多くの方々参加しています!
oldsnake様作「破壊の嵐を巻き起こせ!」
試作強化型アサルト様作「危険指定存在徘徊中」
焔薙様作「それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!」
ガンアーク弐式様作「MALE DOLLS外伝集」
さぁ…イカれたパーティーの始まりだ!派手に行きましょう!!