Devils front line   作:白黒モンブラン

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─一本の電話から送られてきたもの─

─それはパーティーの招待状─


Act169 Party invitation

普段通りの、特に変わりのない時間を事務所で過ごすギルヴァ。

相変わらず膝の上に45を乗せたまま読書をするのが当たり前となっており、和むべきなのか笑うべきなのかどうにも反応に困る姿を見られる様になっていた。

この事務所で暮らしている住人達が各々の時間を過ごし、たまに来客が訪れて少し騒がしくなったりする今日。愛読書である詩集のページを捲った時、書斎の上に置かれた電話が鳴り響いた。

読んでいた本を閉じギルヴァが受話器を取ろうとした時、膝の上に乗っていた45がギルヴァの代わりに受話器を取り、前々から言ってみたかった店の名前を口にする。

 

「デビルメイクライ」

 

電話応対を45が務めた事によって再び読書へと戻るギルヴァ。

だがそれを見越していたのか、45が空いた手を伸ばし本を読ませない様に妨害。電話越しの相手と会話しながらギルヴァの方へと振り向く45。

笑っているが、その目は彼にこう訴えていた。

 

―私と一緒に読むまでだーめ♪―

 

それが何となく理解出来たのか、ギルヴァは呆れた様にため息をつき背もたれへと凭れる。

腕を組み、目を伏せ電話が終わるまで待つ事にした。

こちらの意図を分かってくれた事に内心喜びながらも表情には出さない45。

 

「彼?ええ、傍に居るけど。…そう、分かった。代わるわ」

 

「相手は?」

 

「グリフィンの社長さんと言えば分かる?」

 

グリフィンの社長…つまりクルーガーからである事。

わざわざ店に電話を寄越してくるなどどういった要件かと思いながらギルヴァは45から受話器を受け取り、耳に当てた。

 

『久しぶりだな、便利屋。経営は上手くいっているか?』

 

「言わずとも分かっているだろう。それで要件は何だ」

 

『残念ながら悪魔が関わる案件ではない。ただ鉄血に関する依頼をしたい』

 

「…聞こう」

 

ギルヴァの雰囲気が変わる。

クルーガーから明かされていないにも関わらず、彼は気付いていた。

その依頼内容はただでは終わらない戦いであり、大きなパーティーになりそうだと。

 

『鉄血に対し大規模攻撃作戦が行われる事になった。こちらも戦力を揃えているが、向こうが何をしでかすは分からん。…報酬は出そう、デビルハンター。貴様の力を借りたい』

 

「…成程。良いだろう、その依頼受けよう。ただしもう一人、連れていくが構わないな?」

 

『ブレイクの事なら安心しろ。へリアンが依頼し了承を得たと聞いている』

 

随分と準備が良いと思いながらもギルヴァはそうかと答える。

 

『作戦に関してはシーナ指揮官に伝えている。彼女に聞くと良い。また作戦領域への送迎に関してはこちらからヘリを送ろう。報酬から引く気などないので安心しろ。…では頼むぞ』

 

電話が切れる。

受話器を元に戻すと膝の上から下りた45がギルヴァへと尋ねる。

 

「依頼ね?」

 

「ああ。俺とブレイクが指名されている」

 

「貴方とブレイクを?これは敵さんに明日はないかもね…」

 

二人の強さを知っているからこそ今の45には不安といったものはなく、寧ろ苦笑いを浮かべていた。

 

「店番は任せて。思う存分暴れてきて」

 

「ああ。頼むぞ」

 

作戦当日までまだ余裕はある。それまでに準備を終わらせばいい。

クルーガーが言った様にギルヴァはシーナが執務室へと向かう為、店の裏口から基地へと向かって行った。

 

ギルヴァが執務室へと到達した時には既にブレイクが来ていた。

まるで兄弟の様な他愛のないやり取りをした後に、作戦内容を聞いているシーナから二人は説明を受ける。

鉄血本拠地及び防衛ラインの破壊が主な目標である一方で敵も相当規模の戦力を整えている事が知らされる。

現状でも分かっている戦力を知るとブレイクを笑みを浮かべる。

 

「ハハッ、こいつは派手なパーティーになりそうだな。おまけに招待状まで手配してると来たからな」

 

「でも油断は禁物ですよ、ブレイクさん。敵だって一筋縄行かないんですから」

 

「分かってるさ。それで他の基地のメンバーに作戦に参加するんだろ?」

 

「はい。ですので現地で合流した後共闘という事になります。最もお二人の出番があるかは分かりませんが…」

 

人形ではない。見た目はまんま人なのだ。

幾らその身が普通でなかろうと前線に起用されるかすら怪しいとシーナは思っていた。

正直な所、二人の存在は意外な程に知られていない。

その理由としては今まで行われてきた作戦はほぼ特殊性にあふれるものばかりで公にされていない事が多い。

一部が二人の実力を知っている程度に収まっているのが現状である。

 

「意外とあるかも知れないぜ?ま、その時はその時って事で楽しむ事にするさ」

 

「ブレイクさんらしいです。…本来であれば私達の方でも部隊を送りたい所でしたが、もしかすれば別働隊が基地を攻撃してくる可能性も無い訳でないと判断しています。その為私達が基地の防衛及び警戒に当たる為、戦力を送り込む事は出来ません。ですがお二方ならやってくれるはずです。最高戦力と言ってもいい二人を送り込むのですから」

 

「オーライ。ご期待に応えられる様に頑張らせてもらうさ」

 

何時もの様に笑みを浮かべるブレイク。

壁に身を預けながら静かに二人のやり取りを聞いていたギルヴァはこれ以上の長居は無用と判断したのか執務室の出入口へと歩き出す。

 

「ギルヴァさんも無茶したらダメだからね」

 

背後から投げかけられた言葉に彼はふと足を止める。

振り返る事はせずとも、頭だけ少しだけ後ろへと向けギルヴァは答える。

 

「善処しよう」

 

そう告げるとギルヴァは執務室を出ていった。

彼の様子にブレイクはやれやれと肩を竦めながら、シーナの方へと向く。

彼女も苦笑いを浮かべており、二人して軽く笑い合った。

ひとしきり笑うとブレイクはギルヴァの後を追う様に執務室を出ていく。事務所へと戻っていくギルヴァへと追いつくと後ろから声を掛けた。

 

「盛大なパーティーって事は、お隣のお嬢ちゃん達も来るのかね?」

 

「知らん。だがこの手の事には参加しないとは思えん」

 

「かもな。…それで?内一人に随分なプレゼントしたみてぇだが、どういうつもりだ?」

 

「話す事などない」

 

まともに相手する気はないのかそのまま歩き続けるギルヴァ。

それを見てブレイクは軽くため息をつきながらもまるでいたずらを仕掛ける様な笑みを浮かべて尋ねる。

 

「まさか惚れたか?」

 

「そんな訳あるか。ただの気まぐれに過ぎん」

 

黒いコートをなびかせながら歩くギルヴァに赤いコートをなびかせながら歩くブレイク。

戦場で並んである事があれど基地内で二人がこうして共に歩く事は久しい。

話題が途切れ、沈黙が二人を包む。

ふとその時ギルヴァがブレイクへと話しかける。

 

「足を引っ張るなよ」

 

そのセリフに対しブレイクはフッと口角を軽く吊り上げながら微笑む。

 

「その台詞、そっくりそのまま返すぜ」

 

作戦が始まるまで時間はある。

だが二人はほとんど準備を終えている。後は招待状を片手に会場に向かうだけ。

そして会場に二人が姿を現した時、代表としてブレイクがこう尋ねるだろう。

 

「パーティー会場はここか?招待状はちゃんとあるぜ?」

 

その時彼らを知る者は気付くだろう。

魔剣士が君臨した、と。




はい、という訳で次回から試作強化型アサルト様作『危険指定存在徘徊中』のコラボ作戦『鉄血重要拠点及び鉄血防衛ライン破壊作戦』にギルヴァとブレイクが参加致します。

今回はパーティーの招待状が送られてきた…所謂前日譚みたいな感じです。


では次回ノシ
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