Devils front line   作:白黒モンブラン

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─森林伐採ならぬジュピター伐採─


Act171-Extra Ironblood May Cry Ⅱ

鉄血陣営防衛ライン第三砲台陣地。

他の陣地と比べるとその陣地は幾らかジュピターは残っているものの最早時間の問題と言えた。

厚い弾幕を抜けきり、ジュピターへと一直線に向かってくるのが一つ。

それは人ではない。しかしE.L.I.Dではない。別の何か。

防衛に当たっていた鉄血人形達が接近してくる何かに気付くと撃ち落そうと銃器を発砲。だが突如として頭の上から降ってきた群青色の刀の雨によって串刺しにされ地面へと縫い付けられるとそのまま機能停止に追い込まれる。邪魔者は居ない。後は切り捨てるのみ。

 

「断ち──」

 

ノイズが掛かった声を共に蒼き悪魔が手にした日本刀を振りかぶる。

 

「──斬る…!」

 

鮮やかでありながら力強い逆袈裟がジュピターを一閃。

空間が揺れる様な振動。先程まで動いていた巨体がまるで時間を止められたかの様に動きを止めてしまう。

地面へと着地した蒼き悪魔が刀身を鞘へと納める音を響かせた時、ジュピターは轟音を立てながら崩れ落ちた。

舞い上がる土埃。そこから飛び出てくるは先程の悪魔。四枚の羽を広げて飛翔し次の標的へと狙いを定める。

一刀両断されたジュピター砲の数はそろそろ十は越そうとしている。また彼以外にもブレイクもまたジュピターの破壊に動いている為、もの凄い勢いでジュピターの群れは壊滅の一途をたどるばかりである。

 

―懐かしいねぇ…。放浪していた時に見つけた雪山のこいつらの群れを斬り落としまくったのを

 

「ああ」

 

蒼の言っていた事はギルヴァも覚えている。

こればかりは語られなかった話であるが、このギルヴァという男はかつて放浪していた際に雪原の山岳地帯で見つけたジュピターの群を一つも残す事無く破壊した事がある。

進行方向にそれらがあったという事だけであり普通なら迂回するなり別のルートを探るべきだろう。

だがそんな事を一切せず、それどころか彼は無銘の練習相手代わりに丁度良いと判断しジュピターをサンドバッグ代わりにしてその一帯にあったそれらを両断していったのだ。

その時の事は鉄血の方でも大騒ぎとなり、当時その大騒ぎを耳にしていた元鉄血所属のシリエジオはこう語る。

 

「最初破壊されたジュピターの画像を見せられた時、啞然としましたね。あの巨体がまるでチーズも同然と言わんばかりに両断されていたのですから。人形である身の私が夢を見ているのではと思ったほどです」

 

ともあれ、森林伐採ならぬジュピター伐採はギルヴァにとっては二回目の事だった。

地上は地上で戦火を交え、ジュピター破壊組はそれぞれの持つ力を用いて、ハッキングによる同士討ちを狙ったりなどしてた。

 

―それにしても嫌な予感がするな。別の何が動いている気がしてならねぇ

 

(ああ。必要であれば…蒼、お前にも出てもらうぞ)

 

―お?俺にも出番があるのか。いいねぇ、やる気が出てきた!

 

弾幕を掻い潜り、飛翔するギルヴァ。

今回は無銘だけに限らず、フードゥルともう一つ新たな武器を持ち出している。

とは言え今の状況だけなら無銘だけで事足りる。

そして複数の自走式と固定式のジュピターを発見すると彼は自身の魔力でその新たな武器を作り上げた。

背に現れるは以前に幻影を渡した人形が持つ刀に酷似したもの。それを自身に合うように若干大型化し調整を施した魔の太刀。

名前などない。どうせなら誰かにつけてもらうも一興と思いながら、彼が急制動から背に背負った太刀に手を掛ける。無銘を左手に、太刀を右手に携え、まるで今から突進するのではないかと言わんばかりの態勢を取る。

 

「逃げ場などないぞ」

 

その声を共にギルヴァは太刀を突き出したと同時に体を高速回転させながら突進。

まるで刃の嵐がそこにあるかのようで。防衛に当たっていた人形達が一瞬でバラバラに切り裂かれ、そのまま刃の嵐がジュピターへと突進。

幾ら堅牢な装甲でもそれを止める事は無理に等しい。装甲を貫き、内部を滅茶苦茶にし外へと飛び出る。

内部を滅茶苦茶にされた事でジュピターは爆散。もう誰にも止める事は出来ず、複数あったジュピターが次々と餌食になっていく。

最後の自走式を見つけると止めに二振りの刀による斬撃を浴びせ沈黙させるとギルヴァは魔人化を解除し地面へと着地する。最初から最後までこの状態で居られる事はない。

一休みとは言わずとも他の敵を始末する為に、彼は歩きながらその場を去る。

未だに戦闘の音が収まる事はなく、いつ襲われても可笑しくない状況で蒼がある話題を取り上げた。

 

―そういやランページゴーストも来てるんだろ?アナ、幻影上手く扱えているかね?

 

「何もしないという事はなかろう」

 

―だろうな。他にも接触した事はねぇがS09 B地区の所の面々も来てるらしいぞ?後方で色々やってるとか。ガンスミスもいるみたいだし、レーゾンデートルを見てもらったどうよ?

 

「見せた途端卒倒するしか思えん」

 

―ハハッ。かもな

 

蒼の笑い声を耳にしながら、彼は久しぶりにレーゾンデートルを引き抜くとある方向へと銃口を向ける。

二つの銃身から13mmというトチ狂った弾丸をほぼ同時に発射するリボルバー。

銀色の染められた特殊拳銃の引き金が引かれると二発の銃弾が放たれ、身を潜ませていたリッパーの頭を木端微塵に吹き飛ばす。

最早この銃の化け物じみた威力はギルヴァからすれば慣れたものである。

 

「…たまには戦い方を変えるのも良いかも知れんな」

 

―13mm弾のバーゲンセールか。こりゃ酷い事になりそうだ!

 

現れる敵にレーゾンデートルが咆える。

私はここに居て、敵がそこに居る。私の役目は敵を撃つ事だと。

存在意義(レーゾンデートル)と銘打たれ、その意味を高らかに知らしめる様に。

 

 

一方ブレイクもまたジュピターの破壊を勤しんでいた。

ギルヴァの持つ無銘の様な武器はなくとも彼はルシフェルを用いて次々とジュピターを破壊していた。

 

「よっと!」

 

一気に複数の剣を投擲。赤く淡い光を放つ剣が砲台へと次々と突き刺さってさり、ブレイクは空中に華麗に舞う様な動きで投擲と接近して突き刺すなどといって行動を繰り返していく。

体を捻らせて、二本投擲から、宙で姿勢を変えて上下反転しつつ回転しながら複数投擲。そこから連続して剣を投擲し、とある形を作り上げていく。

よく見ればそれはハートの形をしている。その中心に目掛けて最後の一本を投擲。それが突き刺さったと同時にブレイクは着地。何処から出したのか薔薇を咥えており、ポーズを取りながら手を二回叩いた。

するとそれに合わせる様に剣が次々と爆発。決して大規模な爆発でないしろその威力は装甲を無視し、残ったのはハートの形をしたジュピターの残骸だけであった。

 

「これで自由ってな」

 

口に咥えていた薔薇を投げ、最後に突き刺さった剣へ7と当てる。

薔薇が散り、赤い花弁が舞う。そして剣が爆発するとハートに亀裂が入っていき、最後は二つに分かれて崩れるのであった。それを見届けたデビルトリガーを解除し、ブレイクは周囲を見渡した。

すると自立式ジュピターが何故か同士討ちをしているのを彼は目撃する。

 

「ふぅん…どうやらあれはぶっ壊さなくても良いみてぇだな」

 

別空間からヴァーン・ズィニヒを呼び出し、それに跨るブレイク。

アクセルを捻り、エンジン音を唸らせると車両を走らせる。

 

「どっかの誰かがハッキングした訳か。こりゃ俺には出来ねぇ技だな」

 

ギルヴァもブレイクもそうなのだが、気になったら取り敢えずぶっ叩くという事が多い。

例えばジュークボックスが上手く動かなかったら軽く蹴りを叩きこむとか。

そんな事をすれば当然ぶっ壊れる。ましてや電子機器のハッキングなど出来る筈もない。

故にそう言った芸当が出来る者に関しては彼は純粋に感心していた。

 

「誰がやったのか一度顔を見てみてぇ所だが、後回しだ。取り敢えず手当たり次第ぶっ壊すしかないな」

 

笑みを湛えながらもブレイクは別のジュピターへと突撃。

防衛に当たっていた鉄血の兵士達をアレグロとフォルテの連射で次々と撃ち倒していき、最後は自身を後ろへと回転させながら車体から降り立ちヴァーン・ズィニヒだけを投げ飛ばしぶつける。

大きな車体が鉄血の人形達をボウリングのピンの如く吹き飛ばしていくとそのまま空間の中へと消えていった。

防衛を排除し、そのままジュピターへと攻撃を仕掛けようかと思った時、ブレイクはマギーから、とある物を渡されていた事を思い出す。

右手に意識を集中させてそれを呼び出す。すると彼の右手にまるでスーツケース状の魔具が姿を現した。

 

「そういやこいつをプレゼントされてたんだったな」

 

吞気にスーツケースをコンコンと叩くブレイク。

するとこれ以上はやらせないという意思でも有しているのか鉄血人形兵と機械兵が彼を包囲する。

 

「成程。食べ放題って訳だ」

 

周りを見渡しながらも余裕のある笑みを絶やさないブレイク。敵の持つ武器の引き金を引かれそうになった時、彼は一気に跳躍。すると右手に持ったスーツケースがその姿を変え始めた。

それはニーゼル・レーゲンの元祖とも言える魔具。変形可能な形態数は666。

マキャ・ハヴェリによって作り上げられた魔具であり、災厄と破壊を巻き散らす兵器。

その名はパンドラである。

 

「行くぜ!」

 

掛け声と共にスーツケースからガトリングガンへと姿を変えたパンドラを片手に回転しながら地上にいる敵の群れを連射していくブレイク。

降り注ぐ弾丸の雨が敵を蜂の巣へと変え、瞬く間にその数を減らす。辛うじて生き残った敵がブレイクへと攻撃を仕掛けようとするが、反撃を受ける前に彼はパンドラへ別の携帯へと変形させるとガトリングガンから今度は砲口が三つ存在するロケットランチャーへと変形。それを構えてブレイクは地上へと発射。

大規模な爆発により人形兵も機械兵も空へと舞い上げられるとグラウンドトリックで用いて彼は地上へと降り立つ。無防備な状態を晒しつつける所を狙って、パンドラをロケットランチャーから大型のブレードが備えられた投擲武器へと変形させ、勢い投げ飛ばす。

次々と敵達を両断していくブーメラン。そのままブレイクの元へと戻ってくると、パンドラは彼の意思に応じて形態を変更。

今度は武器ではなく、乗り物に似た姿へ変形し無数の砲口がせり出す。コックピットらしき所で座るブレイクは二つの操縦桿を握ると同時に下ろした。

すると無数の砲口から次々とミサイルが発射され、宙へと舞い上げられた敵達に限らずジュピターにも向かって行き着弾。

派手な爆発が巻き起こると、パンドラをスーツケースへと戻す。

 

「さーて、次はどうしたもんかね」

 

戦場のど真ん中で吞気な事を口にするブレイク。

しかし彼は分かっていた。この戦場に得体の知れない何かが混じっている事に。

悪魔ではない。それなら自分やギルヴァがとっくに気付いている。

 

「それにハイエンドモデルも姿見せてねぇがサプライズイベントでも考えてくれるのかね?」

 

パンドラを別空間へと収め、ブレイクは歩き出す。

奇しくも彼もまた今回参加している協力者の事を口にした。

 

「近所のお嬢ちゃん達は何時も通りだが、確かM16A4も来てるんだったか?おまけにS09 B地区の所も来ている上に色んな所が此処に来てるって訳か」

 

どう考えても過剰戦力。

重要なのは分かるが、これだとどっちが悪なのか分からないものである。

最もデビルハンターであるブレイクとギルヴァが居る時点でオーバーキルが発生しているのだが。

 

「やれやれ…盛大なパーティーになっちまってるな、こりゃ。ま、どっかで顔を合わせる事もあるだろう。今は好き勝手させてもらうぜ」

 

そう言いながら攻撃を仕掛けてくる敵に対してブレイクはアレグロとフォルテを引き抜き迎撃。

白と黒。与えられたのは音楽用語。

この戦場は音楽は要らない。だが敵に手向ける音楽としては申し分ない。

二つの銃は今日も曲を奏でる。最期に聴く曲はどれが良いと敵に尋ねる様に。




はい。まぁいつもの通り大暴れしております。

そして内容にあった通り、ギルヴァには魔力で錬成した太刀、ブレイクに新たな魔具『パンドラ』持たせています。
それにより新たな技も出していきます。

あ、うちの二人を使いたかったどうぞ。
そこら辺で暴れておりますので。

では次回ノシ
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