Devils front line   作:白黒モンブラン

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サプライズゲスト(新たな敵)のもてなす方法は一つ─

─取り敢えずぶっ叩け─


Act172-Extra Ironblood May Cry Ⅲ

「ん?」

 

城塞が崩されていく。ジュピターが次々と崩壊していく中、そこら辺を散歩するかの様に歩いていたブレイク。

リベリオンを背に、アレグロとフォルテを両手に携え、見晴らしの良い高台に出ると彼はある物を発見した。

何処から湧き出てきたのか。鉄血とは思えない全身装甲で身に纏った敵の群れが味方を攻撃しており、圧倒的な火力と高い防御力の前に混成軍側の人形達は次々と倒されていく。

敵である事は間違いない。鉄血かどうか分からずともサプライズゲストには違いない。

 

「しっかし…あれだな。何かに恨みでもあるのか?殺気が駄々洩れなんだが。まぁ悪魔の匂いよりかは多少マシか」

 

その数、一万。その三割程度がリバイバーと呼ばれる者の方へと向かっている事はブレイクは知らない。だがどちらにせよ面倒な存在である事は事実。

早い事、掃除しなくてはこちらの被害も大きくなっていく一方だろう。

 

「折角だし、挨拶にでも行くか。話したら意外と面白いかもな」

 

そんな吞気な事を言いながら、ブレイクは崖に背を向け後ろへと倒れる。

そのまま重力に引かれながら彼は降下。サプライズゲストへと軽く挨拶へと向かうのであった。

 

 

「ドーモ、正規軍=サン、グリフィン=サン コロスベシ慈悲ハ無イ」

 

「エリちゃんを泣かすやつは明日を生きる資格はねぇ!!!」

 

「泣け!叫べ!そして死ねぇ!!」

 

黒き装甲、オレンジ色のバイザー。一見すればカッコ良く見れるだろうパワードスーツの軍勢。だがそれは敵であり、群れをなして現れていた。グリフィン、正規軍の者と判断すると容赦のない攻撃を浴びせる。

装備された重火器による圧倒的な火力には人形達では太刀打ちできない。

それどころか成す術もなくやられる一方で、中には仲間の死を目撃し狂った様に笑う人形が居れば、戦意喪失する人形、負けじと手に持った銃を放ち諦めないと言った意思を見せる人形など様々。

 

「あぁ…あぁ…!」

 

塹壕で身を潜ませていたSGの戦術人形 super shortyは体を震わせながら怯えていた。

持っているショットガンの弾は既に尽きた。片腕は吹き飛び、片足からは内部骨格が見えていた。周りには先に逝ってしまった仲間たちの残骸が転がっている。

もう成す術はない。無惨に殺されるのみ。

死と恐怖が一歩、一歩ずつ迫ってきて、それが彼女に呪いの様にまとわりつき、動かさない様にしていた。

そして彼女は微かな声で乞う。

 

「誰か…助けて…」

 

この状況から助け出してくれる救世主を。

しかしその声が届く事もない。この戦場に神様などいないのだから。

 

「呼んだか?」

 

だが悪魔はこの戦場はいた。

突如として隣から聞こえた声の方向へsuper shortyは勢い良く顔を向ける。

居たのは赤いコートを羽織った銀髪の青年。背には大剣を背負っている。何時の間に現れたのか、気配も感じさせる事もなくその男は彼女の隣に座りこんでいた。

この時、super shortyは混乱しており隣にいた彼の名前が思い出せなかった。だが微かに思い出せるのは民間の協力者として便利屋が来ている事。そしてその名は…

 

「デビル…メイクライ…?」

 

「店の名前を覚えてくれているのは嬉しいね」

 

笑みを浮かべると青年は傍に落ちていた帽子に気付き、手に取る。

青色の帽子。それはsuper shortyが被っていたものであり、土埃が付着していた。

土埃を払い落すと彼は持ち主の頭へとそっと被せ、乱雑でありながらもその頭を撫でる。誰かに頭を撫でられた事もない彼女にとっては不思議な感覚。そして立ち上がった彼の顔を見つめると、青年はsuper shortyに告げた。

 

「そこで休んでな、お嬢ちゃん。こっちに向いている奴らは一部みたいだからそう多くねぇ。だが居るだけで面倒な連中なのは分かり切った事なんでな。少しばかり遊んでくるぜ」

 

止める様に言おうとしても声が出てこない。

行っては駄目だという意思を伝えようとsuper shortyが彼の纏う赤いコートの裾へと手を伸ばそうとしても寸での所で届かなかった。

塹壕から飛び出していく彼。

彼もまた殺される…。

その場に残されたsuper shortyはまるで諦めたかのように静かに目を閉じた。

 

 

「オラオラァッ!!その程度かよ!!グリフィンと正規軍の人形さんよぉッ!!こっちはまだまだ腐る程弾が残してんだがなぁッ!!」

 

祈祷者の軍隊の一人が重火器を乱射しながらあぶり出すように叫ぶ。

確かにこの者達の火力は侮れない。まるでS10地区前線基地に居るネージュを簡易量産した様な火力を保有しているのだから。

だが忘れてはならない。圧倒的な火力と圧倒的な数で攻め入ったとしても太刀打ちできない存在が居る事を。

そしてそれが気配も、保有するセンサーにも反応させる事もなく何時の間にか隣に立っていた事に。

 

「ふーん…色んなパーティークラッカーを持ってる訳か」

 

「ん?」

 

黒きパワードスーツを纏うそれが隣から聞こえた声に反応し、その方向へと顔を向ける。

居たのは赤いコートの男。肩装甲に凭れ掛かる様に立っており、周りに敵が居るというのに堂々としていた。

突如として現れた彼に周囲の全身装甲で覆われた者達はまるで困惑した様な様子を見せる。敵であるにも関わらずブレイクは隣に立っていた人形へと話しかけた。

 

「よぉ。随分とイカした着ぐるみだな」

 

「え、あ…ああ!イカしてるだろ?」

 

この姿をイカしていると言われたのが嬉しかったのか、相手は何処となく喜んでいる様な声を上げる。

ふと周りの人形達は仲間の一人を話しているブレイクを見て、確かめ合うようにひそひそと話し合い始める。

 

「なぁ…あいつって、確か要注意人物のリストに載ってなかったか…?」

 

「いや…確かそいつって黒いコートじゃなかったか?」

 

「そうだったか…?リストには二人いて、片方が赤いコートで背にでっかい剣を背負っていて…」

 

「…」

 

全員が彼を見る。

赤いコート、背に背負っているは大剣。

 

「「…」」

 

沈黙が訪れる。

そして息を合わせたかのように全員が叫んだ。

 

「「「こいつじゃねぇか!!!???」」」

 

「おっとバレちまったか。それじゃ…」

 

背負っているリベリオンに手が掛けられる。

相変わらず笑みを湛えたまま、彼が合図する。

 

「遊ぼうぜ?」

 

「野郎ッ!!」

 

隣に立っていた人形が手に持った銃器で殴りかかる。

固い装甲で覆われた一撃が迫りくる。しかしブレイクは上体を反らして容易く回避すると素早くリベリオンを振り下ろすがその一撃は固い装甲で弾かれる。

 

「馬鹿か!そんなもん効く訳ねぇだろ!」

 

「みてぇだな。んじゃ戦い方を変えるか」

 

周囲から飛んでくる弾幕。それに反応しブレイクはエアトリックを用いてその場から消える。

 

「な!?」

 

驚くのも束の間、人形の一人が味方からの攻撃に巻き込まれ蜂の巣へと変えられ絶命。

まさか相手が…ましてや人間が瞬間移動するなど思っていなかったのだろう。困惑する声が上がる中でリーダー格と思われる人形が指示を飛ばす。

 

「下手に撃つな!味方も巻き添えになる!」

 

「勝手に減らしてくれたらこっちとしちゃありがたいだが」

 

リーダー格の後ろから聞こえた声。

素早く振り向こうとした時、一発の銃声と共に背後から放たれた一発の弾丸がリーダー格の頭を貫く。

転げ落ちる薬莢。機能が停止し地面へと崩れるリーダー格。そして居たのはフォルテを構えていたブレイク。

 

「さ、続きをしようぜ。降参する気なんて無いんだろ?」

 

「ったりめぇだ!!エリちゃんを泣かす奴は死ねぇッ!!」

 

「エリちゃん?良く分かんねぇが、お前たちのご主人様ってやつか?」

 

武器を構え始める人形達。大量の重火器が今から放たれようとしている。

そして彼ブレイクはリベリオンを収め、アレグロをホルスターから引き抜く。

両手に持った銃を高速でスピンさせてから構えると二つの楽器に喋りかける。

 

「頼むぜ、相棒」

 

奏でるは二丁の楽器。ブレイクだからこそ出来る二丁の拳銃による高速連射。

無茶苦茶な連射をしているというのに、アレグロとフォルテにはガタはやってくる気配すらない。

飛んでくるミサイルなどが魔力が込められた銃弾によって次々と撃ち落され、また狙いも正確で人形達の頭となる部分だけに銃弾を叩き込み、機能停止へと追い込んでいく。

 

「何だよ、あの拳銃は!?どんだけ連射してんだ?!頭狂ってんだろ!?」

 

「おいおい、人の事言えたクチか?そっちだって色々持ってるじゃねぇか。似たモン同士だろ?」

 

「人間と同じにするな!」

 

ノリが良さそうな相手と思っていたブレイクはやれやれと呟く。

どちらにせよやる事は変わらないのでこのまま遊んでも良い。

だが長引けば長引く程、他の所で被害が広がるという事が分からない男ではない。

このまま幕を下ろすべき。そうと決まった時、ブレイクは行動を起こす。

アレグロとフォルテをホルスターへと納めるとグラウンドトリックで一気に敵陣に急接近し目の前に降り立つ。その手にはパンドラ。そしてやり方は簡単。それを地面へと下ろし、足でケースを開くだけ。

 

「ほらよ」

 

パンドラがスーツケースの状態のまま地面にへと置かれる。

そしてヒンジの部分に足が置かれた時、災厄の箱が開かれた。

放たれるは金色の光。小さなスーツケースから放たれるその光の射程範囲は未知数。ただ相当の範囲に老いぶのか、ブレイクが相手にしていた祈祷者の軍隊の一部と少し離れた場所で戦闘を行っていた大多数が突如として機能停止するという状況が生まれていた。全てが機能停止とは言えずともこれは大きかっただろう。

それを知ってか知らずか、ブレイクは踏みつけるようにパンドラを閉じた。そのまま器用に足でパンドラを放り上げてから片手でキャッチしてから口を開いた。

 

「アディオス。イカした格好をした人形共。また遊ぼうぜ」

 

次に会ってくれるかどうかすら怪しい筈なのだが、また遊べる事を望みながらもブレイクは置いていった戦術人形の所へと歩き出した。

微かな声で助けてと言っていた彼女の元へと。吞気に歩きながらも彼は塹壕へと到達し、super shortyの傍に近寄る。

super shortyの目は伏せられていたのだがブレイクに気付いたのか、彼女は下ろしていた目を開き顔を上げる。

 

「よぉ、お目覚めかい?お姫様」

 

普段と変わらぬ様子で笑みを湛えたままブレイクがそこにいた。

先程戦いに行った筈。

だが彼はそこにいた。息を切らしている様子もなく、平然とした様子で。

 

「…生きてい、る…なんで…?」

 

だからこそ、彼女は思わず疑問をぶつけてしまった。

あんな化け物たちと戦って生きて帰ってこれる筈がないと思っていたから。

その問いに対してブレイクは軽く肩を竦めてから問いに答えた。

 

「何でって言われてもな。奴らと戦って、倒してきた。それだけの事さ」

 

そう言ってブレイクはsuper shortyをお姫様だっこする様な形で抱き上げた。

目指すはG&K臨時本部。取り敢えずこのボロボロな状態のお姫様を休ませるのが先決だった。

 

super shortyを抱えてブレイクが目的地に到達した時は、またそこも戦場と化していた。最もそれは銃弾やら砲弾やらが飛び交う戦場ではなく、次から次へとやってくる負傷した人形達の修繕や銃のメンテなどに追われるばかりで休む間もない。最早別の意味での戦場が出来上がっていた。

 

「分かってはいたがこっちも戦場となってるな。まぁ無理もない話だが」

 

何処を見ても誰しが走り回っている。書類を抱えて走っていく職員が居れば、人形が何かのケースを持って向こうへと走り去っていく。

誰しもがブレイクに気付く様子もなく、その前を通り過ぎていくばかり。

 

「さぁてどうしたもんか…」

 

呼び止めた所で後回しにされるだけ。

頭を悩ませるブレイクだが、ある事を思い付いた。

 

「分かりそうな奴を見つけて、お姫様を何処に休ませたらいいか聞くか」

 

結局手当たり次第。この状況では仕方ない事とも言えた。

super shortyを落とさないように抱き直してブレイクは歩き出す。そこらじゅうに天幕が存在しており、彼は適当にその天幕へと入った。

 

「だーもう!ここぞという時に大量に持ってきやがってー!」

 

そこには怒号を上げながらも手慣れた手つきで修理を行っているつなぎを着た男性…ガンスミスである。

タイミングが悪い時に来てしまったなと思いながらもブレイクは話しかける。

 

「忙しいところわりぃがちょいと良いか?」

 

「また修理か?悪いがこっちは手一杯だ、他を当たってくれ」

 

「いや、そうじゃねぇ。負傷した人形が休める所探している。分かんねぇなら他を当たるが」

 

「それならここを出て少しした所にある。そこに行ってくれ」

 

ここを出て、少しした所にある。

一度外へと出て、探してみるブレイク。そして確かに彼が言った通り、負傷した人形達が応急手当を受けている場所が少しした所にあった。

場所は把握した。再びブレイクは天幕へと戻って、彼に礼を伝える。

 

「サンキュー。助かったぜ」

 

「ああ。…って、うん?あんた、DMCって言う民間協力者か?」

 

「まぁ、そんなところさ。便利屋「デビルメイクライ」を営んでる。それじゃあな。場所を教えてくれてありがとよ」

 

お礼を伝えてからブレイクはそこから出る。

そのままsuper shortyを負傷した人形達が応急手当を受けている所に預け、彼は再び戦場へと戻ろうと歩き出した。

ヴァーン・ズィニヒを呼び出そうとした時、ふと彼は積まれていたコンテナの上に置かれていた誰が持ってきたのか分からない水平二連装のショットガンを発見する。

 

「誰のか分かんねぇが貰って行くぜ。丁度欲しかった所なんでな」

 

ショットガンを手に取り、懐へと納めるとヴァーン・ズィニヒを呼び出し、それへと跨る。

高らかに響くエンジン音。フルスロットルにして彼はバイクを勢い良く走らせた。

パーティーはまだ始まったばかり。ならば心行くまで楽しめばいい。

どの道に派手になるのだから。




今回はブレイクの方を書かせて頂きました。

新しい敵も出てきたんでね、取り敢えずぶっ叩きました。
ただ全部倒した訳ではなく、一部倒した程度なので。まだまだ続きそうです…。
またショットガンは現地調達です。

また折角の大規模コラボなので、今回参加している所のキャラにも絡みにかかります…。
なので今回参加している皆様もうちの二人を自由に使っていいからね!

では次回ノシ
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