Devils front line   作:白黒モンブラン

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─違和感を残しながら─

─彼ら、彼女らは次へと歩み出す─


Act173-Extra Ironblood May Cry Ⅳ

祈祷者の軍隊が一時撤退する約三十分前の事。

ブレイクがその一部と戦っていた時、ギルヴァは別の所にいた。

珍しい事に敵に襲われるという事もなく、ただ真っすぐと道を歩いていた。

だが彼はこの戦場に隠れている異様な何かを感じ取っていた。

元より彼は鉄血陣営の動きが余りにも不自然だと感じており、その不自然さと違和感に懸念を覚えていた。

 

「…まだ何かを隠しているか」

 

―大方な。それにずっと監視されてる事は気付いてるな?

 

「ああ」

 

ジュピターへと攻撃仕掛けた辺りから、彼はずっと何者かに監視されている事に気付いていた。

人ではない。かと言って人形でもない。ただ無機質に見られているという感覚。

 

「偵察機か」

 

―確かスカウトだったか?小回りが利く上に機動性も高い。監視をするなら持ってこいだな

 

元より警戒されていても可笑しくない事はギルヴァとて分かっていた。

今の今まで散々鉄血を相手にして、蹴散らしてきた。大部隊を単身で撃破し、ハイエンドモデルさえも倒した。

最もハイエンドモデルの場合は事情が事情という事もあり、機能停止へと追い込まず気絶させる程度にとどめていたが。

どちらにせよ監視対象として監視されていても可笑しくないのは事実。

 

「破壊すれば厄介な事になりかねんか」

 

―何かを待っているという感じか。一つぶっ壊してしまったら、何かやらかすかも知れんな

 

「ふむ」

 

歩みを止めて彼はゆっくりと振り向く。

そこに何か居る事を分かっているかのように見つめるも、直ぐ様彼は振り戻り先へと進む事にした。

後になって出てこようが知った事ではない。

敵であれば切り捨てるのみ。それ以外に理由などありはしないのだから。

戦場に存在する違和感、思惑などが入り混じる中、彼は進んでいく。

鉄血陣営最終防衛ラインまでは距離があるものの彼はそこへと目指して歩いていた。すると何処から飛んできたのか黒い装甲で覆われた何かが彼の前に飛来した。よく見ればそれは人形であり既に機能停止していた。まるで何かによって両断されたのか下半身が無くなっている。

それが飛んできた方向へとギルヴァが向くと蒼が伝えた。

 

―気配は3。それにこの気配……幻影の魔力か。となると…

 

「ランページゴーストか」

 

幻影を持っている人形など一人しかいない。

そして彼女達がこの近くで戦っているというのだろう。

高い実力を持つ彼女達。わざわざ自身が手助けしなくても起きている戦闘を切り抜けられるだろうと思いながらも、どうしたものかと悩んだ。

敵を減らしておく事は必要だろう。残していた所で邪魔にしかならないのだ。

だが余計な消耗を避けるという考えもない訳ではなかった。

 

「…はぁ」

 

悩んだ末、彼が小さくため息をついた。

そして駆け出す。戦闘が聞こえる方向へと。

幸いというべきか、彼女達が戦闘している地点までそう遠くなかった。数分もあれば到達する。

そして走りながらギルヴァは思った。

 

「我ながら丸くなったものだ」

 

―荒削りだけどな

 

「否定はせん」

 

分かっていた事であった。

自分が荒削りでありながら丸くなっている事。

らしくないと言えばらしくないかも知れない。だがそれを良しとする自分が居る事をギルヴァは自覚していた。

近づくにつれて戦闘が発生している音が大きくなっていく。それはまだ戦闘が続いている事を示していた。

そして戦闘を繰り広げている彼女達を発見した時、追加兵装【ブラッディ・フィーバー】を取り付けたシュトイアークリンゲを薙ぎ払ったノアの一撃により黒き装甲に覆われた人形が上半身と下半身が真っ二つにされ、一撃を受けた反動か上半身だけが奇しくも援護に入ろうとしていたギルヴァの方へと飛んで行った。

 

「って、はぁっ!?ギルヴァ!?」

 

上半身が飛んで行った方向が視界の内に映っていたのか、ノアが叫ぶ。

だがそれに答える事もなく、無言のままギルヴァは無銘の鍔に親指を押し当てながら鯉口を切った。

右手で柄を握り、鞘から刀身を抜刀。

神速の抜刀で飛んできたそれを弾き飛ばすと、ギルヴァは足を止めて素早く周囲を見る。

囲まれている。同時に固くはない。ならば手早く片付ける方が良い。

瞬時にその考えに至るとギルヴァはその場で跳躍。宙で敵の位置を把握しながら流れる様に上下反転。

 

(あいつの真似事になるが…!)

 

そして体を捻り回転を入れると同時に無銘を投げ飛ばした。

高速回転しながら降下していくギルヴァの元から離れ、すさまじい切れ味を誇る無銘がまるで意思を有したかの様に周囲の敵達へと襲い掛かる。高い防御力を誇る装甲を無視し無銘は次々と切り裂いていき、敵の数を瞬く間に減らしていく。

そしてギルヴァが着地した時、無銘が主の元へ戻っていき彼はそれを片手で容易くキャッチ。すると遠くからバイクの音が聞こえ、それが段々とこちらへと迫ってきている事に気付く。

 

「やかましい音を…」

 

呆れた表情でギルヴァが無銘の刀身を鞘へと収め、鍔と鯉口がぶつかる音を響かせた時。

それを合図にしてもう一人が飛び出す。

 

「Yahooo!!Yeah!!」

 

バイクのエンジン音が高らかに響き、かつ運転手も上機嫌。

狂ったバイクに乗って姿を現すはブレイクである。

同時にギルヴァが倒した敵をバイクによる突撃を敢行し轢き飛ばすとそのままヴァーン・ズィニヒを変形。

二つのチェーンソーへと変形したそれを両手に握り残った敵へと攻撃を開始。

右手にもったチェーンソーで周囲を薙ぎ払い、左手のそれで後方を頭から叩きつけ両断。

自身の片足を軸にして素早く回転をいれ襲い来る敵を蹴散らしてから、その場にいた敵を殲滅。

残るは残骸のみ。ヴァーン・ズィニヒを別空間へと放り込むとブレイクがにこやかに笑みを浮かべてから喋る。

 

「大渋滞も良い所だぜ」

 

「その大渋滞も今解消されたけどね」

 

パワードスーツを着ている為、表情こそは分からないが何処か引き攣った笑いを上げながらRFBが答える。

それに対しブレイクは肩を竦めるが、反論する気などなかった。

 

合流したランページゴーストとギルヴァとブレイク。何故か祈祷者の軍隊が撤退し、またこ第一、第二防衛ラインを突破した事によってこのまま最終防衛ラインへと向かう事になるのだが、ランページゴーストの三人は一旦補給を受けなくてならない事が判明する。

 

「ごめん、また別行動になるみたい」

 

「気にすんなよ、RFB。手早く補給を受けて戻ってくればいいさ」

 

元より自分達から乱入した為、彼女達が補給に戻る事をブレイクは咎める事はしなかった。

それは隣に立つギルヴァも同じで言葉にせずとも咎める事はしなかった。

 

「俺達の事は気にすんなよ。まぁそれでもって言うんなら借りを返してくれたらいいさ」

 

そんじゃあな、とランページゴーストの三人に伝えるとブレイクは最終防衛ラインへと歩き出した。

そのままギルヴァも彼の後に続こうとするが、何かを思い出したのかその足を止めた。

 

「"それ"を使う事になった時、共闘できる事を楽しみにしている」

 

ランページゴーストの三人の中の誰へと伝えたのか。

当然それは幻影を渡したアナである。

だがギルヴァは返答を待つ事もなく、その場から歩き去りブレイクの後へ追った。

これまでは準備体操に過ぎない。

ここから本番。

自分達が泣き出す側か、或いは鉄血が泣き出す側か。

どちらかにとっての悪夢が始まりを告げようとしていた。




やろうぜ!マジな遊びってやつをさ!

という訳で補給を受ける事もなく、ギルヴァ&ブレイクは最終防衛ラインへと向かいます。

向こうに絡んでいきましたが…良かったのかね…。
言われたら修正しますわ。

では次回ノシ
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