Devils front line   作:白黒モンブラン

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─触らぬ悪魔に祟りなし─


Act176-Extra Ironblood May Cry Ⅶ

ギルヴァとブレイクが鉄血陣営最終防衛ライン突破作戦に参加している時の事。

鉄血は決してそこだけに戦力を集中させている訳ではなく、各グリフィンの基地に対して戦力を送っていた。

当然その中にはS10地区前線基地も含まれており、戦闘員は基地の外で鉄血迎撃作戦を展開している。

その一方でグリフィン諜報部所長であり、今ではこの基地を拠点として行動しているダレン・タリオン…またの名をダンタリオンは、シーナの許可を経て基地の地下に自身の魔術で作り上げた、とある部屋でいつものように活動していた。

そこはまるで大きな図書館の様で、本棚から別の本棚へと自我を有したかの様に本たちが飛び交っていた。

まるで魔法の世界に来てしまったのではないかと思う光景。しかしそこで起きている事は全て現実であり、それをやっているのが受付カウンターの様な場所でその光景を見つめながら煙管を吹かすダレンである。

 

「魔術と電子の融合…悪魔でしか…いや、ワシにしか出来ん事か」

 

情報収集、統制、隠蔽及び電子戦を得意とする一方でダンタリオンという悪魔は魔術においても精通している。

それでこそかつてフェーンベルツで起きた騒動の首謀者であった悪魔アルフェネスと同格か、或いはそれ以上とも言っていい程に。

 

「この基地だけとは言わんが…色んな連中に目を付けられとる」

 

ダレンとてここまでする気などなかった。

だがこの悪魔にとってこの基地での生活は心地よすぎた。愛着を沸いてしまったのだ。

故に楽園とも言える此処を訳の分からない連中に滅茶苦茶にされるのは溜まったものではない。

だからこの場所を作った。魔術と電子を融合させ、作り上げたこの図書館を。

収集された情報はここに納めらている本たちに記され、第三者から情報を盗まれたとしても、魔術によって盗まれた情報はまるで何もなかった様に消え去る。反撃すら行えるS10地区前線基地の新たなる中枢。

これこそダレンが作り上げた居城、情報統制ルーム【library】である。

 

「さて、茶でも……うぬ?」

 

一休みしようとした時、一冊の本がダレンの目の前に現れ、開いたページを見せた。

そこにはとあるやり取りが記されており、その内容には他の基地に加えS10地区前線基地の事など何やら物騒な事が記されている。

そして最後の一文には全て世界の輝きに更新をと記されていた。

これは何処からの連中がやり取りした内容を聞きとり、この本が記したもの。どうやら早速自身の役目がやってきたのだなとダレンは感じ取った。

 

「確かにこの基地は対象になるのう。当然と言えば当然じゃ」

 

ダレンとて、いずれそうなる事は理解していた。

元よりこの基地が持つ開発品の大半が違反しまくっているのだから。

だがそれで狼狽える事などしない。この程度よくある話なのだ。

だからこそ敵は徹底的に潰さなくてはならない。

 

「昔を思い出すのう…」

 

煙管から紫煙を吐き、懐かしむ様な表情を浮かべるダレン。

意外と知られてない事ではあるが、ダンタリオンが人間界に訪れ、ダレン・タリオンとして名を変え、小さな町で密かに情報屋として行動していた時期があった。

当然集めた情報はどれも的確で、多くの裏の人間が彼女の元へと足を運んだ。

だがそういった仕事には危険がついて回ってくるというもの。命を狙われるという事に彼女は腐る程遭遇してきた。

殺し屋、時には公の機関までもが彼女の命を狙った。だがその度に摩訶不思議な事が起きていた。

ある日突如としてその者達が行方不明となったり、不幸な事故に見舞われ命を落とすなど何故か彼女を狙った者達に不幸が降り注いだ。

原因不明の行方不明事件、"偶然"として起きた事故…今になってもそれは明らかになっておらず、当時のその町ではあの情報屋の命は狙うなと言われ、それが暗黙の了解となっていた程。

それがダレン・タリオンの仕業かどうかは分からない。真実は闇へと葬られる一方であった。

 

「さて…ワシ以外にも動く者はおるだろうて。取りあえずその手伝いをさせてもらうか。ジンバックよ、居るかの?」

 

「ここに居ますわ。館長さん」

 

奥から姿を現すはダレンから貰った着物を少しだけ着崩し、胸元をはだけさせ、まるで花魁みたいな着方をしたジンバック(イントゥルーダー)

その姿は意外と様になっており、世の男達が見れば見惚れる事間違いないだろう。

ブラウ・ローゼの一人である彼女だが、今回は作戦には参加しないでいた。一応シーナから許可を得ており、裏で動き出す者の監視を務めるダレンの補佐としてこの図書館に来ていた。

 

「どうされましたか?」

 

「何やら良からぬ事が起きようとしておる。この手の事についてありったけの情報を集める、お主の手を借りたい」

 

「分かりました。集めた情報は何処へ送ります?」

 

「クルーガー、へリアン辺りに送ると良い。名はD.Tで送れ。この名なら向こうも気付く。必要ならお主用に用した術式を使うと良い」

 

用意された術式と聞き、ジンバックの様子が変わる。

浮かんだ表情はどことなく引いている様な感じであった。

 

「あのとんでも術式を、ですか?これバレたら世界が一転しますわよ?」

 

「一転どころか、この世界は二転三転しとるじゃろうが。何か企む連中で腐る程おる。味方の顔しながら、途中で平然裏切る奴とかも居る。特に軍とか怪しさの塊じゃぞ?あと保安局もな」

 

「何でそんな事知ってるんですか…?」

 

「ほっほっ、昔ちょいとやんちゃしてのう。あの手の連中が嫌いだったのでな、ちょっくら挨拶にしていったのじゃ」

 

「具体的には何を…?」

 

それを聞かれた時、ダレンは今まで誰にも見せた事のない表情を浮かべた。

その表情にジンバックは背筋に冷たい何かが通っていくのを感じた。

 

(…これがこの悪魔の本性ですか)

 

ジンバックはダレンが悪魔だという事は知っている。

平時は柔和な笑みを浮かべるというのに、今浮かべている表情はその欠片すらない。

まさしく悪魔。それ以外を示すものなどありはしなかった。

 

「何、そう恐れるでない。この基地の者達、知り合いの基地に手は出さんよ。…ただワシがやってきた事は聞かん方が良いぞ?」

 

「ええ、そうします。…ここに就いて正解だったと今思いましたわ」

 

「そうかそうか。…では始めるとしよう」

 

行動を起こす為、ダレンとジンバックは動き出す。

向かうはこの図書館の奥に配置された空間。そこでは術式の様が展開されており、淡く光を放っている。

そこにたどり着いた二人は術式の上に立ち、ダレンが手を突き出し横へとスライドする様にゆっくりと払った。

その瞬間、ディスプレイの様なものが彼女を包み込むように展開。ジンバックも同じ動作を行い、ディスプレイが展開される。

それは魔と電子の融合。決して人間では再現できないもの。ダンタリオンだけに出来た一品。

 

「術式展開。投影完了。管理権限解除…構築開始。ジンバック行けるかの?」

 

「全リンク接続。構築完了。対電子術式機構【library】起動。…巣穴の侵入を確認。…ええ、行けます」

 

戦闘能力は決して高いとは言えない。

だがこの悪魔を敵に回した者達に明日はない。そして十の顔を持つ悪魔は現れたキーボードに手を添えると笑みを浮かべる。

 

「さぁて…プレゼント(悪夢)の準備を始めようぞ。必要であれば敵を全員■■送りするかのう」

 

「それは昔やんちゃした時にはしたんですか…?」

 

「さて…どうだったかのう」

 

とぼける彼女にジンバックはそれ以上聞く事はせず、作業に没頭する。

そしてダレンは再びあの笑みを浮かべる。まるでそれはこれから起きる事を楽しみにしているかの様であった。




今回は戦場の二人ではなく、基地で裏方仕事をしているダレン&ジンバックを描かせて頂きました。

ちょいとね…巻き込まれたんで(巻き込まれておかしくない)、この二人が登場という感じです。
んでもってダレン…昔は結構ヤバい事やってたみたいです。流石は悪魔…。

またこれで今年最後の投稿となります。
来年も『Devils front line』をよろしくお願いいたします。

では良いお年を!
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