Devils front line   作:白黒モンブラン

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─どのみちこの二人は好き勝手する─


Act177-Extra Ironblood May Cry Ⅷ

防衛施設の陥落。

これにより混成軍は漸く基地制圧作戦を展開する事が出来た。突入時刻となり、基地に対し突入を開始している者達が居る中、何故かそこにはギルヴァとブレイクはなかった。

普段であれば先陣を切るかの様に突撃し、好き勝手に派手に暴れ回る彼らがだ。

何処へ消えたのか知る者はおらず、寧ろ不在に二人を知る者達は密かに何処へ行ったのか気に掛ける様な表情を浮かべており、中には名を知らずとも何処へ行ったのかと尋ねる者もいた。

 

「そう言えば民間協力で来てた便利屋は何処へ行ったの?」

 

「さぁ…?塔が破壊された以降通信が一度も無くて。撤退した…とは思えないけど」

 

「…もしかしてだけど私達より先に突入しているなんてことはないよね?」

 

「まさか。それはないでしょ」

 

幾ら強かろうと敵の陣地にたった二人だけ飛び込む筈がない。

どこかで合流する事があるだろうと思いながら、突入部隊は基地へ向かって行く。

だがこの時点で気付くべきだったかも知れない。

例の二人は既に突入部隊よりも先に敵の司令部へと潜り込んでいった事に。

 

時は防衛施設である『Hell guard tower』が全て破壊された直後まで遡る。

残る一つだけとなった塔へと向かっていたギルヴァとブレイクであったが、自分達がそこへ到達する前に最後の塔が破壊されるのを目撃していた。

これで防衛施設は全て破壊された事になり残すは司令部となった時、ブレイクはギルヴァへと尋ねた。

 

「さ、どうする?一旦引くか、先にパーティー会場に行くか」

 

一旦引き、味方と合流してから鉄血の司令部に突入すべきか。或いは自分達だけでも先に乗り込み、出来るだけ敵を減らしておくべきか。

そう言いたいのだろうと思いながらもギルヴァの答えは既に決まっていた。

 

「面倒ごとは先に片付けておくに限る」

 

「なら決まりだな」

 

鉄血はまるで自分達を誘導するかのように司令部へと引き付けている様子がある。確かに激しい抵抗を繰り返してきた鉄血だが、それでも何かを隠している。

まるで自分達の思う通りに全てが進み、そしてその時が来るのを待っているかのようで。

目に見える事のない思惑が見え隠れする様な違和感を彼は感じ取っていた。

それに関してはブレイクもギルヴァと同様にその違和感を感じ取っていたが、どうでもよかった。

どの道、進む他なく。そしてそこに待ち受けるものがこの世の全てを終わらせるものというのであれば、それを何とか出来るものが一つだけ自分にはあって、そしてギルヴァにもあるのだから。

決して楽観している訳ではない。だが恐れている訳でもない。

 

「んじゃ行こうか。主催者を待たせるのは良くねぇからな」

 

基地まではそう遠くない。

ブレイクが先に歩き出すとギルヴァがその後に続く。

一時だけ訪れる静寂。焦げ臭さと硝煙が立ち込め、至る各所では炎と黒煙が昇り空を濁していく。

その中を通り抜けながら、二人は一足早く鉄血司令部(パーティー会場)へと向かう為、奥へと消える。

偶然にもその姿を目撃したものは誰一人とていなかった。

 

突入部隊と合流する事もなく、二人は鉄血の司令部のすぐそこまで来ていた。

不気味な位なまでの辺りは静寂に包まれており、ここまで近づいても攻撃してこない。その事から本格的な戦闘は内部で行われるのだろうと思いながらもギルヴァは真正面からではなく、基地の側面に当たる部分へと歩き出した。

 

「おい、どこへ行くんだよ。入り口はそこだぞ?」

 

「お前は真正面から入る事しか出来んのか。奴らとて戦力を真正面に集める訳がない」

 

「だからって裏口からかよ。はぁ…メインはあいつらで、俺達はサプライズゲスト枠か」

 

「下らん事を抜かしている暇があるなら置いていくぞ」

 

面倒ごとは早々に片付けるに限ると言えば限るが、だからといって先に戦闘を開始する気などギルヴァにはなかった。

鉄血の基地である以上、内部に侵入すれば警報なり仕掛けなり用意されている。また先に戦闘を開始して、後で味方に色々言われる状況になるのは面倒でしかない。

ならば味方が基地内に突入したと同時に動くのが良いだろうと判断し、ギルヴァは真正面からではなく、別の入り口から潜入し、時を待つという考えでいた。

先行くギルヴァを見つめながら、軽く首を振りブレイクは彼を追いかける。

基地の側面にたどり着き、迎えたのは固く閉ざされた内部へと続く扉であった。当然ながら中へと入るのはこれを何とかしなくてはならない。

破壊しようとギルヴァが無銘の柄に手を掛けた時、突如として一人でに扉が開いた。

誰かが二人を迎え入れる為に開いたのか、或いは誤作動によって開いたのか。

考えられるとしたら前者。後者はあり得ないだろう。

 

「嬉しいね。俺達の為におもてなしをしてくるみたいだ」

 

サプライズゲストではない。

それを知るとブレイクは恐れる様子もなく、疑う様子もなく内部へと足を進めた。

ギルヴァも足を進め、内部へと潜入。

二人を迎えたのは、鉄血の格納庫らしき場所。ディスプレイを備えた通信機器が部屋の隅におかれており、幾らかの備品、幾らかの武器がそこら辺に転がっている。そして部屋の中央には鉄血製と思われる一台の大型バイクが鎮座していた。

それを見て、ブレイクはニヤリと笑みを浮かべた。

その様子を見てギルヴァは額に指を当て、呆れた様に首を振りながら思った。

また喧しくなる、と。

一台あるというのに増やしてどうするつもりだと内心呟きながら彼は周囲を見渡しながら、とある違和感に気付く。

自分達を招き入れておきながら、敵が姿を見せない事に。

 

ーこのまま閉じ込めておくつもりか?

 

(もしそうなら、後ろの扉は既に閉まっている)

 

蒼の問いに答える様に後ろへと向くギルヴァ。

内部に入ってから時間は少し経っているが、一向に閉じる気配を見せない。

その時だった。通信機器のコール音が鳴り響いた。その音に反応しブレイクが通信機器の方へと歩み寄る。

ギルヴァは周囲の警戒に当たっており、彼は通信機器の応答ボタンを押し、通信越しの相手に対して店の名を口にする。

 

「デビルメイクライ」

 

『事務所でもないのに、それを口にするとはのう。移転でもしたのかえ?』

 

「ん?その声、婆さんか」

 

声の主は基地にいる筈のダレンであった。

敵の親玉からの挨拶ではないと分かると小さくため息をつき落胆するブレイクであったが、ある事に気付いたのか彼はダレンへと問う。

 

「扉開けたのも婆さんか。よく俺達の位置が分かったな?」

 

『ま、そこはちょっくらの。ただこれも一時的のものに過ぎん。後は自分達で切り抜けるが良い』

 

「分かってるって。取り敢えず礼は言っておくぜ」

 

『うむ。思う存分暴れてくるが良い』

 

それを最後に通信は切れ、入る際に開いた扉も閉じられる。

だが部屋から廊下へと通ずる扉は開かれた。

これもダレンの仕業かと思われる中、遠くから銃声が響く音が二人の耳に届いた。

突入部隊がこの基地に突撃し、戦闘を開始した。

それを察するとブレイクは置かれていた鉄血製の大型バイクに跨りると魔力を流し込み半ば強引にバイクのエンジンを起動させると唸らせた。

 

「ハハッ!こいつは良いねぇ!持ち帰ってマギーに弄って貰わねぇとな!」

 

仮設本部から勝手に持ってきた水平二連装ショットガンをコートの懐から取り出すと、ブレイクはバイクをフルスロットルにして、勢い良く部屋から飛び出していった。

バイクに乗ったまま暴れる気だと理解し、置いてきぼりにされたギルヴァは通信機を広域にし、突入部隊の全員へと伝える。

 

「バイクの喧しい音が聞こえたら避ける事に専念しろ。轢かれても知らんぞ」

 

『俺がそんな下手すると思うか?さぁて!派手なライブにしようか!』

 

通信越しからは銃声とバイクのエンジン音、そしてブレイクのはしゃぐ声が響く。

その時この通信を聞いていたのか、ある二人からの声が響く。

 

『その声…ギルヴァさんにブレイクさんか!?』

 

『お前ら何処に居んだよ!?てかどうやって内部に─』

 

一人はM16A4。そしてもう一人はノア。

質問攻めされるのも面倒なので、ギルヴァは通信機の電源を切り通信を強引に終わらせる。

ブレイクが飛び出していった出入口へと歩き出し、彼もまた戦闘へと参加するのであった。

 

 

一方S10地区前線基地地下『library』では電子術式機構を展開し、電子戦と得意とする悪魔、ダンタリオンと元より指揮支援及び電子戦を得意とするジンバックの二人組が一時休息を挟んでいた。

既に鉄血陣営最終防衛ライン突破作戦に参加しているジョージと呼ばれる上級指揮官が行ってきた裏に関しては既に調べ済みであり、その事をへリアンの所へと送っている。

これで何とかなるであろうと思いながら茶を飲んでいたジンバックにダレンが伝える。

 

「表の方は割れた。じゃが裏がまだ終わっておらん」

 

「裏と言いますと…?」

 

「ワシの予想じゃと、捕えた所で表の顔で死を全うするじゃろうな。裏の部分をさらけ出す事はすまいよ。まぁ…大方予想は付いておるから。後は潰すのみじゃが」

 

「…それって誰も生き残る事出来ないですよね?」

 

「当たり前じゃろう?」

 

さも当然の如く答えるダレンにジンバックは引き攣った笑みを浮かべた。

この悪魔が本気になれば、鉄血は一か月も経たぬ内に崩壊するであろう。そして真っ先にこの悪魔の攻撃を浴びるのは自分であろうと。

この時に限ってジンバックは自身を切り捨てた夢想家に感謝した。

 

「拾い集めた情報には、隣の基地も動いておる。同時に本物も無事救出されておるようじゃの」

 

「早いですねぇ…」

 

「この程度は容易いわ。さて…そろそろ動くかの」

 

茶を飲み干し、ダレンは動き出す。

よりにもよって自分がグリフィン諜報部所長以外でここまで動く事になるとは。

だがそれを悪いとは思っていなかった。

 

「さぁ、始めようかのう」

 

ニヤリと悪魔は笑みを浮かべる。

これから先は起きる事は誰に想定する事は出来ない。

 

「貴様らの悪夢…。ここから始まるのだと知るが良い」

 

何故なら悪魔が動き出しているのだ。

だからもう止められない。

悪夢は裏の更に裏をかく様に始まってしまったのだから。




新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
という訳で去年に続き、コラボ作戦でございます。


ダレンの援護もあって内部に侵入したギルヴァ&ブレイク。
置かれていた鉄血製の大型バイクを強引に頂戴してブレイクが暴れます。

そして裏でも裏でダレンが悪夢を引き起こしにかかります。
もう止められんねぇな、この悪魔は…。

では次回ノシ
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