Devils front line   作:白黒モンブラン

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─さぁ、反撃の時間だ─


Act181-Extra Ironblood May Cry Ⅻ

リバイバーの交渉にって解除されたジャミング、ルーラー三名による支援。

盤面を揃えるには十分とも言える程にその者達の行動は賞賛に値するものであった。

とは言え敵は決して雑魚ではなく、苦戦を強いられるのは間違いない。

だがこの状況を切り抜けなければ全員が死ぬ。その想いがこの戦場に居る者達を奮い立たせ、戦う力を与える。

 

「…!」

 

大型飛行ユニットで駆けるノアの援護をしながら、コキュートス・プレリュードの装備である二挺の大型ライフルを並行連結させた状態で地上に居るフード付きマントの集団に向かってルージュは照射しながら勢い良く薙ぎ払う。地面を抉る様な光線が奔り敵を両断すると、威力の故か光線が奔った後には地面から湧き出る様に爆発が次々と発生。複数体に向かって同時に攻撃出来たものの、倒せたのはたった一体のみ。

ルージュが険しい表情を浮かべた時、同時に大型飛行ユニットで戦闘を繰り広げていたノアからの通信が入った。

 

『クソ!!ユニットをやられた!!脱出する!!』

 

「ノア!」

 

何かによって両断された大型飛行ユニットが墜落していく。

辛うじてノアは脱出できた模様で、ルージュは安堵する。

 

『ユニットがやられただけだ!!問題ねぇ!!お前はギルヴァ達の所へ行け!ルージュ!お前一人じゃそいつらとやり合うのは分が悪い!』

 

「…分かりました。後で必ず援護に向かいますので!!」

 

『ああ!』

 

コキュートス・プレリュードのメインスラスターを担う翼を大きく広げるとその場から離れるルージュ。

鉄血の本拠地からはギルヴァとブレイクの魔力が感じられる為、彼女は迷う事無くそこへと向かって飛翔。翼から剥離する氷霧がまるで天使の羽の様に舞い散る。地上から飛んでくる敵の攻撃を優雅に避けながら翼を羽ばたかせるその姿はまるで白雪姫の様であった。

 

鉄血本拠地ではデビルトリガーを引いたギルヴァとブレイクが超大型刀を手にしたフード付きマントの敵を激闘を繰り広げていた。ギルヴァの得意技とする次元斬を武器で弾く事の出来る他、運動性も非常に高い為、そう簡単に倒せる相手ではない事は事実であった。

エアトリックを用いて背後を回ったとしても、まるで分かっていたかの様に反応してくる為、今まで戦ってきた敵よりも一線を画す相手であった。

だが、侮るなかれ。幾ら格上であろうとこの二人がそう簡単に遅れを取る事はない。

 

「そらよッ!」

 

明確な殺意と共に振り下ろされた大剣の攻撃に合わせる様にブレイクはリベリオンを振り上げ、攻撃を弾き飛ばす。

甲高い音が響き、敵の態勢が崩れた所を彼はリベリオンを突き立て突進を敢行。

魔人化した状態で放たれるスティンガー。それに反応して敵も超大型刀の剣幅で受け止めるも完全に止める事は叶わず、大きく地面を滑りながら後退。そこに背後から接近する青が一つ。

手には無銘…ではなく、雷撃鋼 フードゥル。青い悪魔が放つ魔力も相まって、籠手と具足から放たれる雷は黄金ではなく、青紫色へとなって激しく放たれていた。

後ろへから迫ってきている事に気付いた敵は超大型刀を振るいブレイクを払いのけると、後ろから迫るギルヴァに反応し、振り返りざまに刀を薙ぎ払う。

 

「…ッ!」

 

全身を回転させ、その遠心力を加わった踵落としと刀がぶつかり合いスパークが発生。

辺りを照らす様な眩しい位のスパークが至る所へと飛び散る。

 

(悪くない…!)

 

その姿からでは分からないがギルヴァは気分が高揚していた。

何せ相手は自身が得意する技「次元斬」を平然と手にした刀で弾いたのだ。

驚きも束の間、彼の血が騒ぐのは無理もない事であった。

持つ獲物は違えど、まるで自分とブレイクを足した様な敵なのだ。

死合うには十分すぎる相手。だからこそ─

 

(本気でぶつからなくては面白みに欠けるというものだ!)

 

獲物のぶつかり合いが解かれると両者は目まぐるしく動き合い、攻撃をぶつけ合う。

火花が散ったと思えば、雷撃が散り、一度ぶつかる度に地面やら壁が吹き飛んでいく。敵の振り払い攻撃を宙で受け止めたギルヴァが吹き飛ばされ、そのまま追撃と言わんばかり斬撃が襲う。

だが彼は素早く態勢を立て直し着地すると地面を抉りかねない脚力で地面を蹴り突進。

飛来する斬撃を幻影刀を用いて弾き飛ばし、宙に身を投じると足を勢い振り上げ踵を地面に敷かれたタイルとタイルの間に叩きつける。轟音と破砕音が響き、浮かび上がるタイル。それを一時的な目くらましにするかと思えば、ギルヴァは思い切り敵へと向かってそれを蹴飛ばした。

有り得ない速度で飛んで行くタイルであるが、敵はそれを刀で斬り落としながら突進。

再び両者はぶつかり合い、己の持つ全てを用いて激闘を繰り広げる。

その様を少し離れた位置で見ていたブレイクは、余りにも常識外過ぎる戦いを繰り広げる二人を見て啞然とするリバイバーに声をかける。

 

「あーあ…ありゃ俺以上にはしゃいでやがるな。ここら一帯ぶっ壊す気か?」

 

「ぶっ壊す気じゃなくて現在進行形でぶっ壊してるだろ!?何だよ、あれは!?怪獣大戦争でもやってんのかよッ!?」

 

リバイバーの言う事は決して間違ってなどいない。

人が悪魔へと姿を変え、フード付きマントの敵が現れたと思えば、怪獣大戦争並みの戦闘が今自身の傍で巻き起こっているのだから。

下手をすれば自分までも巻き添いを喰らいかねない状況である。

 

「てかあんたやギルヴァは本当に悪魔なんだな…」

 

ツッコミを入れた所で埒が明かないの事実。

デビルトリガーを引いたブレイクを見て、リバイバーは話題を変えるためにもそう尋ねた。

するとブレイクがフッと笑みを漏らすと問いに答える。

 

「いや、少し違うな。俺達は半分人間、半分悪魔…所謂半人半魔という奴さ。もし俺達が純粋な悪魔だったら今頃そっちと敵対してるだろうぜ」

 

「…やめてくれ、ゾッとする話だ」

 

「例えばの話だ。そんな事しようとは微塵にも思ってねぇから安心しな。…それに悪魔には無い物を俺達は持っていて、それを忘れない様にしてるのさ」

 

「それは…?」

 

「心さ。それが俺らにはあって、あいつらには無い物」

 

「心、か…」

 

「さて休憩も出来た所だし混ざってくる。お前はそこで休んでな」

 

「そんな訳行かねぇだろ」

 

ルーラーによる支援もあって、センサー類など強化されたリバイバーの表情は険しい。

ギルヴァと絶賛戦っている敵以外にも内部に侵入してきた敵がいるのだから。

 

「3体内部にいるのか…協力した手前、排除するとしますか…!すまん、そのデカイ剣持った奴の相手を頼む!」

 

「了解!」

 

リバイバーが内部にいる三体へと攻撃を開始し、背負っていたリベリオンの柄を手を掛けるブレイクも絶賛激闘を繰り広げている二人の中へと飛び込んでいく。

ブレイクが迫ってきている事に気付くとギルヴァは素早く身をかがめ後退。彼と交代する様にブレイクがリベリオンを振り下ろすが、敵も刀を振るう。

そこから剣戟を展開。片手でリベリオンを振るうブレイク、片手で刀を振るう敵。

二人の間で広げられる刃と刃の攻防戦。ギルヴァと戦っていたにも関わらず敵は弱っている気配がないと思われた。だがフードゥルの雷撃を幾らか浴びているのか、一瞬だけ動きがぎこちなくなるのをブレイクは見逃さなかった。

振り下ろされる刀。それを体を横にして避け、ブレイクは地面を踏み込むと敵の懐へと体当たり。

怯んだ隙へと目掛けて背に背負ったリベリオンを振り下ろしてから斬り上げ。そこから後ろに居る敵への攻撃を想定した技でリベリオンを回し右手から左手へと持ち替えつつも最後は両手で柄を握り刀身を薙ぎ払う。

流れる様に、そして様々な技が踊る様に入り乱れる。

そんな連続技を繰り出したとして敵は刀で防ぐ。たが弾き返す事は出来ない。何故なら一発、一発が重たいのだ。故にというべきか、防御態勢が少しずつ崩れていくのをブレイクは気付いていた。

突きを素早く繰り出すミリオンスタップ。そこからリベリオンを逆手にして持ち、振るい上げる。

 

「ワン!ツー!」

 

連続しての振り上げ。そして最後はリベリオンをバットを振る様に構え、刀身に魔力を纏わせるとブレイクは踏み込んだ。

 

「フィニッシュ!」

 

強烈なフルスイングが敵の刀へと放たれ、その一撃は相手の防御態勢を一気に崩すには十分と言えた。

防御態勢は崩れ、よろける敵。普通に接近してしまえば相手はすぐに距離を取るであろう。

だがそれは既に想定済み。この状況を作り上げる為だけにわざわざ彼らは()()したのだから。

 

「終わりだと思っていたか?」

 

響くノイズが掛かった声。

敵がよろけた先に居たのは、フードゥルの雷を最大にまで溜め込み、フード付きマントの敵の顎へと目掛けてアッパーカットを放つ青い悪魔。

技などない。だが名付けるとするのであれば龍殺し。連続して繰り出される拳は龍さえも殺す。

 

「はぁっ!」

 

掛け声と共にギルヴァは体を捻り小さく飛びながら一撃目を直撃させる。そしてそのまま同じ動作を繰り返し二撃目を確実に当てつつ雷撃を浴びせ、敵に逃げるという選択肢を与えない。

同時に敵は人間ではない。恐らく人形。精密機械ならば雷という存在は厄介でしかない。

同時に最大に溜め、放たれたフードゥルの雷撃の威力は最早常識を逸脱する。機械ならばショートさせるどころか、爆発させる程の域に達する。

だからこそ、溜め込む必要があった。ブレイクに見せ場を譲ってまで。

身を屈め、溜める。狙うは一点。それ以外はない。

その一撃は全てを穿つ。雷の様な鋭さで敵を射抜く。そして彼は勢い良く拳を振り上げた。

 

「っぜぁああああッ!!!!」

 

放たれる一撃。直撃によって走る衝撃波。その拳が纏うは青白い雷。

体を捻り大きく飛び上がりながら拳をねじ込み、ギルヴァは敵を宙へ打ち上げた。

その姿はまるで地から天へと迸る青白い雷。これだけの攻撃を受けたらひとたまりもない。

だがギルヴァは決して手を緩める気などなかった。

次元斬を簡単に弾いておきながら、この程度で倒れる相手ではないと思っていたからだ。

そしてそれは当たっており、敵は立ち上がると二人へと剣先を突き付けた。

その時内部に居た敵の掃除を終えたのか、リバイバーが戻ってきた。彼の存在に気付いたのか、敵はギルヴァとブレイクを無視して、リバイバーへと襲い掛かった。

 

「…!」

 

振り下ろされる一撃に対しリバイバーは懐から瓶を取り出して投げると同時にテレポートにて攻撃を躱す。

投げられた瓶が刀に当たると、刀が煙を上げながら溶解し始めた。

流石にこればかりには敵も動揺し、その隙にリバイバーは先程同じ瓶を取り出し、敵の頭に向かって投擲。

瓶は吸い込まれる様に敵の頭部へと向かっていき直撃。容器が割れ、中身の液体が頭部へと浴びせられると、刀と同様にその体も溶解し、動きが鈍くなっていた。

その様を見ていたギルヴァはリバイバーへと尋ねる。

 

「…リバイバー、何をした?」

 

「アルケミストの拷問部屋からちょろまかしたのを浴びせたんだ。ま、流石に効くよな~、王・水・は。こんなもん拷問に使うもんじゃないと思ってたが、今は感謝だな」

 

そういった物に関しては詳しい訳でもないギルヴァだが、フード付きマントの敵に効くというだけは分かっていた。

リバイバーの投げた王水によって敵が動かないまま。するとこの状態を維持できないと判断したのか、敵は自ら自壊し、砂となって散っていき、ブレイクが疑問の声を上げる。

 

「…っ⁉︎どんな仕組みだこりゃ…?」

 

「さぁな。でも、致命傷与えれば勝手に死んでくれるならありがたいだろ…本当は鹵獲したいが、こんな状況でそれは贅沢か。周辺のは例の援軍が片してくれたみたいだし、他のところの助けに向かった方が良さそうだ」

 

彼の言う通り、他のフードマントは援軍により撃破されており、3人は他の味方部隊の援護をすべく、移動を開始し始めた。

ふとその時ギルヴァは何かを感じ取ったのか足を止め、ふむと唸るとリバイバーにある事を提案した。

 

「リバイバー、ここから分かれるぞ」

 

「それは良いけどよ。どうしたんだ?」

 

「少し顔を合わさなくてはならん奴が居る。どうやら面白い事をやってくれたみたいなのでな」

 

ギルヴァは感じ取っていた。これが【幻影】の気配。

そしてその持ち主から感じられる、自分達が持つ【悪魔の引き金】と同じ気配。

ギルヴァが感じているという事は、当然ブレイクも気付いている。

 

「こっから別行動だな。無茶すんじゃねぇぞ、リバイバー。生きて会えたらストロベリーサンデーでも奢ってやるよ」

 

「そっちもな。護衛助かった。あと奢る件は覚えたからな」

 

「ふっ。あいよ」

 

翼を広げ、ギルヴァとブレイクは空へと飛翔する。

向かう先はたった一つ。引き金を引いた彼女の元。

 

ギルヴァとブレイクが上空で彼女を見つけた時は、大型飛行ユニットから離脱し、後に合流したノアとRFBと共に二振りの光学剣を持った敵と激闘を繰り広げいた。イグナイトトリガーを引いた彼女は敵と剣戟を繰り広げ、ノアとRFBが援護に入る。

だが敵の動きがいい。恐らくあの刀を持っていた敵と同じなのだろうと判断したギルヴァとブレイクはそこへと急降下。

ブレイクはリベリオンを突き立てる様に構え、ギルヴァは無銘の鯉口を切ると敵へと襲い掛かった。

 

「そらよッ!!」

 

「フン…ッ!!」

 

突然の襲撃。光学剣を持った敵が反応に遅れ、吹き飛ばされると土埃が辺りを包む。

せき込みながらもアナは落ちてきた何かの方へと見た。

見えるは二つの影。一人が大剣を勢い良く振るい、土埃を振り払った。

晴れる土埃。そこに居たのは二体の悪魔。それを見て、RFBとノアは笑みを浮かべる。

 

「これは悪夢だね。主に敵にとってはだけど」

 

「まぁな」

 

悪魔が敵に悪夢を見せる為にやってきた。

しかし援護はもう一人いた。上空から彼女達の元に降り立つ姿は天使そのもの。

片手には連結した状態の大型ライフル、携えた刀。そして天使の翼を模ったスラスターユニット。

コキュートス・プレリュードを纏うルージュもまた援護の為に参陣した。

 

「遅れました。でも必要無かったですかね?」

 

「いいや、寧ろ来てくれて大助かりだ」

 

ニヤリと笑みを浮かべ犬歯を向き出しにするノア。彼女が歩み出すと、RFBもルージュも、そしてアナも二人の傍へと歩み寄った。

そしてギルヴァの隣に立ったアナを見て、ブレイクが口を開く。

 

「こりゃすげぇな。ホントに引いているのか。…んで?幻影を渡した本人様は彼女に何か言う事ないのか?頑張ってここまで来たんだぜ?」

 

ブレイクが茶化す様に言うとギルヴァはちらりと隣に立ったアナを見た。

そして何を思ったのか、彼はそっと腕を伸ばしアナの頭に手を置いた。あのギルヴァが人の頭を撫でた。そればかりは撫でられた本人も、ノアもRFBも、ルージュも驚愕の表情を見せる。

だがギルヴァは知らんと言わんばかりに周りの反応を無視し、アナがここまで至った事に対して素直な思いを述べた。

 

「…よくやった」

 

たった一言だけ伝えるとギルヴァはアナの頭から手を離す。

彼らしくないその姿にブレイクは小さく笑う。まさかそんな事をするとは思ってなかったのだ。

少しばかり微笑ましい光景が見えたものの、今は和んでいる場合ではないのは事実。

その姿では分からずとも、ブレイクはニヤリと笑みを浮かべていた。

 

「亡霊に悪魔。こりゃ豪華だな」

 

敵は既に戦闘態勢に入っている。そして自分達もまた戦闘態勢に入っている。

会話は訪れない。いつぶつかるかも分からない。そんな中でギルヴァは無銘を、アナは絶刀 天羽々斬を構える。

 

「行くぞ─」

 

「我が太刀─」

 

「「受け止められると思うな」」

 

刹那二人が地面を蹴り突進。それに続く様にブレイクもルージュもノアもRFBも敵に向かって突進。

六対一。そこから何が起きるのか。誰にも想像は出来ない。

さぁ敵よ、踊ろうではないか。

暴れる亡霊(ランページゴースト)悪魔も泣き出す者達(デビルメイクライ)と一緒に。




リバイバーとは二手に分かれ、ギルヴァ、ブレイク、ルージュ(全員デビルトリガー発動済み)はランページゴーストの援護に入ります。

悪魔の三人、亡霊の三人。さぁ悪夢の中で一曲踊ろう。

では次回ノシ
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