Devils front line   作:白黒モンブラン

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─表の最終局面なら─

─裏も終わらさなくてはならない─


Act182-Extra Ironblood May Cry ⅩⅢ

S10地区前線基地のlibraryでダレンはジンバックと共に裏で動いている者達の情報収集をしながら、戦場で起きている事の通信ログを回収し、その内容を見つめていた。

混成軍、鉄血関係なく襲い掛かる第三勢力の出現。鉄血が展開したジャミングを解除した事。

その第三勢力を何とか退ける為に混成軍と鉄血が一時休戦を取った事。その休戦にリバイバーと呼ばれる者が独自の判断で交渉に当たった事。

第三勢力の出現に目が行きがちだが、ダレンからすればいち個人の独断により敵と交渉した事が目を引いていた。

 

「ふむ…」

 

片っ端から裏で動いていた者達の情報を拾い集めた後に既に行動を起こしておいた。

あまつさえはどうやって抹消しているのか向こうが得た情報を自身だけが出来る魔と電子の融合、また魔術で全て闇にへと葬り、コンソールパネルを操作しながらダレンはこの独断をどうしたものかと思考巡らせた。

 

(そうしなければ敵はおろか自軍さえも全滅する可能性があったからこそか…。名前しか知らんが、リバイバーよ、よくやったと言っておこう。…後は現場の事など全く見ようとせん馬鹿どもがこれに気付いた時の事じゃろうがそれに関してはワシに任せてもらおうかの)

 

さてと呟くとダレンは隣で操作していたジンバックへと指示を飛ばした。

 

「ジンバックよ、この通信ログを消しておけ。復元されんようにする事と足跡がつかんようにの」

 

「仰せのままに。それで裏で動いていたネズミはどうされます?」

 

「もう手は打ってあるから安心せい」

 

「早いですね。して…そいつらはどうなってますか?」

 

片手でキーボードを打ちながら、ダレンは咥えていた煙管から紫煙を吐く。

ゆらりと昇る紫煙を見つめながら、彼女は嗤った。

まるでそいつらがどうなったのかを知っているかの様に。

 

「数人は不慮の交通事故に遭い病院に運ばれ意識不明の重体。もう数人は今頃行方不明となった。…残りの数人は今頃自分達の切り札…苦労して集めた証拠がどういう訳か消えておる事に混乱しておるんじゃないのかえ?」

 

「…全員殺したのかと思いましたが?」

 

「それも考えたがの…。まぁ証拠は全て消滅し、同志とやらもその殆どが偶然にはあまりにも不自然と言える程に不慮の事故、また突如として消息を絶った。しかも一日でじゃ。馬鹿でも勘付くわい。…自分達の事がバレているとな。」

 

「…見逃すという訳ですか」

 

「見逃す?いや、違うの。見逃してやったのじゃ」

 

それにの、と前置きを置き、紫煙を吐く。

ゆらゆらと昇っていく紫煙を見届けるとダレンは言葉を続けた。

 

「消そうと思えば何時でも消せる。悪いがわしは一度喧嘩を売られるとしつこい性分での」

 

「触らぬ悪魔に祟り無し、ですね」

 

「ほっほっ、言うではないか。さて、通信ログは消せたかえ?」

 

「ええ、綺麗さっぱりと。復元できない様にもしておきました。それとその通信ログはこちら側で保存。ついでに裏の事も社長さん側に送っておきましたわ」

 

「おー、気が利くのう。では少し一休みしようではないか。どれ、ワシ自ら茶でも淹れよう」

 

いいですねとジンバックから了承を得られるとダレンは対電子術式機構『library』を自動モードへと切り替え、一休みする為、その場から離れるのだった。

 

ダレンが作り上げたこの地下図書館は決して図書館とは思えない程の多くの機能を有している。

対電子術式機構を使用する為の部屋、ダレンの自室や客人が来た時の応接室など兼ね備えており、この茶の香りが漂う和室もまたダレンが作り上げた部屋である。

二人共和服を着ている為、茶を飲むその姿は様になっており、ダレンが淹れた茶を一口飲むとジンバックは対面に座る彼女にある事を尋ねた。

 

「そういえばコキュートスと呼ばれるアレ…何故あの魔具が破棄される様に至ったのですか?」

 

悪魔の事や魔具に関してはジンバックは詳しくない。

魔具に関しては既存の兵器が鉄屑に感じられるぐらいに強力な力を有していると認識しているだけで生まれた経緯や破棄された経緯など知る筈もない。

 

「その事か。…簡単に言えば、あれは上位悪魔でも扱える代物ではなかったのじゃ。しまいにはコキュートスが単体で魔界を第二の氷獄に変えようとしていた事があっての」

 

「つまり…危険だったからこそ、破棄しようと?」

 

「うむ。そうされては当時魔帝の座を狙おうとしていた悪魔どもにとって都合が悪かったのじゃ。だから破棄が決定し、破棄された。じゃが…」

 

そこで言葉を止めたダレンだったが、ジンバックは分かっていた。

ルージュが戦場に赴く前にマギーが破棄された筈のそれ…コキュートスを持っていた。

破棄された筈のコキュートスをどうやって得たのかは分からない。

だが託されたと言っていた事をジンバックは聞いている。

 

「そもそもあのコキュートスはマギー…マキャが作ったものではない」

 

「そうなのですか?てっきり私は彼女が手掛けたものかと思っていましたが…」

 

「まぁ誰でもそう思うじゃろうな」

 

ほんのりと温かさが残る茶を一口飲むとダレンは湯飲みを机の上に置き、ジンバックに向かって愛用している煙管を見せた。

吸っても良いかと言う無言の確認だと察っしたジンバックは首を縦に振る。許可を得られた事でダレンは煙管に火を付け、咥えながら言葉を続けた。

 

「あれはの…初代マキャ・ハヴェリの作品。マギーは…二代目マキャ・ハヴェリに当たる」

 

「成程…。貴女はその初代に会った事があって?」

 

「数回程度の。マギーによく似た性格での。作る物はとんでもないが、悪魔にしては大人しい奴じゃった。今のマギーを見ていると、初代のあ奴がまるで目の前に居るのではと思った時が何度あった事か」

 

「…その言い方だと既に死んでいる様にも聞こえますが?」

 

その事を問われると口から紫煙が吐きながらダレンは笑みを浮かべた。

ただその笑みは何処か寂しそうな笑みだという事をジンバックは見逃さなかった。

 

「死んだと聞けば、行方不明になったとも聞いておる。何故消えたのかは今になっても分からぬままじゃ」

 

「…」

 

「よもや弟子に会うとは思わんかった。あ奴は弟子を取る様な輩ではないと思っていたんじゃがなぁ…」

 

魔界で起きた事に関しては魔界に居た者、或いはその現場にしか分からぬ事。

色々あったのだろうと感じジンバックはそこから先を問おうとはしなかった。それに関しては本人が話していいと思った時に聞くべき。

本人がこの様子では踏み入るべきではないと彼女はそう判断し、別の話題へと切り替えた。

 

「この人間界もそうですが、魔界もまた色々あるのですね…」

 

「意外な事にの。…ただ人間界で起きている事が魔界で起きている事以上に酷いぞ?たった数名の若者によって引き起こされた事件がここまで至ったのじゃからな。最早どっちが魔界が分からんわ」

 

少し冷たくなった茶を飲み干すとダレンが煙管を吹かす。

そして見せる表情はいかにも彼女らしいと言うべきか。

 

「じゃがワシはこっち側じゃ。細かく言えばこの基地の味方というべきかの。ワシの目的はあるが、だからといってこの基地の支援は惜しまん。必要とあればワシを頼ると良い。…悪魔の力、存分に発揮してみせよう」

 

微笑んでいる様にも見えるが、良く分からない。それがダレン…ダンタリオンというべきだろう。




裏で動いている者達に関してはダレンが色々やった模様。
またリバイバーの独断による交渉に関しては余計な連中にあーだこーだと言われる前にダレン&ジンバックによって通信ログは復元されない様にした上に削除。
また裏で動いていた連中の情報はクルーガー&へリアン側に流しておきました。

そしてコキュートスはマギーによる物ではなく、彼女の師匠が手掛けたもの。
…行方不明か死んだとなっているけど…どうなる事やらか。

では次回ノシ
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