Devils front line   作:白黒モンブラン

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─それが己を失いかねない事だとしても─


Act185-Extra Ironblood May Cry ⅩⅥ

「ネージュ…。奴まで来たのか」

 

通信に流れ込んできた大事な娘の声にギルヴァは静かに呟きながら上を見上げた。

巨体であるリヴァイアサンが高高度で滞空している為、地上から見上げてもその姿は小さく見えるが、そこから天の光と思わせる様にネージュが地上に居る敵に向かってレールキャノンによる狙撃を行っていた。

 

「リヴァイアサンに加え、輸送ヘリ部隊まで出すとは…これもシーナ指揮官が?」

 

「恐らくな。何もせず、ただ見ている様な事はしない性格だ。自身に出来る事をやっているのだろう」

 

ルージュの問いに答えるとギルヴァは無銘でフード付きマントの敵を切り捨てる。何か一声かけるべきかと考えるもこの状況下で楽しく談笑している場合ではない。

本隊との合流は近いが、彼は何かが起きているのを感じ取っていた。

そしてそれさえ何とかすれば撤退が可能となる。だが同時にそれは一筋縄では行かないという事も感じていた。

自身も含め、ブレイク、ルージュの魔力の消耗は激しく、万能者の支援で何とか立て直す事が出来たランページゴーストの三人だが疲弊はしている。

 

―よぉ、戻った

 

その時、いつの間にか戻ってきたのか蒼が帰還した。

 

(挨拶は終わったのか?)

 

―ああ。会える事が出来たら会おうって約束を取り付けてきた。まぁそれよりかは面倒くさいになってきたぞ

 

(何があった?)

 

ギルヴァの元へ戻る前に蒼は戦場を見て回ったのだろう。

その声は真剣みが帯びていた。

現れる敵達をランページゴーストと共に蹴散らしながら、ギルヴァは蒼の話に耳を傾ける。

 

―敵の親玉が出てきた。どういう訳か雑魚に紛れて行動していたらしい。万能者って奴とリバイバーの所で一体。デカブツ三体に加え、威力がとち狂ったショットガンが撃ちまくっている奴が一体。ショットガンを持った奴に限ってはネージュのレールキャノンを当たり前の様に撃ち落してやがった

 

嫌な予感が当たった。

蒼の嬉しくない知らせはまだまだ続いた。

 

―おまけに怪奇現象に対抗する様にリミッターっぽいのを外している。随分と強引な手に出たみたいだが、多少動きが鈍くなっているみたいだ。

 

内心でギルヴァは舌打ちした。

まるで先手を打つ様な行動。最初から姿を見せなかったのもこの時の為なのだろうかと彼は思った。

だがどうにかしなくてはならない。本隊と合流できたとしても、それらを撃退しなくては話にはならないのだ。

 

―最悪の一言に尽きる。だがこの状況を動かす事が出来る策が一つだけある。しかもそれは俺とお前にしか出来ねぇ事だ。

 

(…聞こうか)

 

自分と蒼にしか出来ない事。

そしてそれはこの状況を動かす事が出来る。

魔力の消耗が激しいギルヴァにとっては、今は蒼の策に耳を傾ける他なかった。

 

 

―…これが策だ

 

(強引だな)

 

―敵さんが強引な手を使ったんだ、ならこっちだって強引な手を使う。向こうに文句は言わせねぇよ

 

蒼が提示した策はギルヴァからすれば強引とも言えた。

だがやらなくてはならない。最早作戦とは言えない状況が続いており、フード付きマントの敵らによって犠牲者が今も尚増えている。

もはや彼には迷いはない。それが()()()()()()()()()()()()()()()()だとしても。

既に覚悟は決まっている。手に持った無銘を握り直すと彼は本隊と合流を目指した。

 

 

一方S10地区前線基地ではシーナが所属する全人形及び全職員に負傷者受け入れの準備を命令した為、基地内部は慌ただしかった。

その中にはAR小隊、404小隊、ブラウ・ローゼのメンバーの姿もあり、医療器具やら道具やらを抱えて廊下を行ったり来たりしていた。

その中でUMP45は先程から胸の内がざわつくのを感じ取っていた。何かの予兆を示しているかの様で、彼女はそれがギルヴァに関する事ではないかと思っていた。

 

(ギルヴァ…)

 

胸の内で彼の名を呟きながら彼女は普段から首に提げているアミュレットハーツに手を添えた。

自身の胸のざわめきに反して、アミュレットハーツが何か反応を示す様子はない。

どっちが当たっているのか分からない。

だが45からすれば特に反応を示さないアミュレットハーツの方を信じた。

否、信じたかった。

彼女は祈る様にアミュレットハーツをぎゅっと握り締めた。

愛する彼が、戦場に向かった者達が誰一人とて欠ける事無く帰ってくる事をしう強く祈ると彼女は今自身が出来る事を成す為に歩き出した。

 

 

本隊と合流したランページゴーストとギルヴァらだったが、状況は最悪と言えた。

蒼がギルヴァに伝えた様に、三体の巨人がその図体からは想像出来ない速さで動きながら攻撃を繰り出し、ショットガンを持った敵が味方へと攻撃を仕掛けてくる。

万能者とリバイバーもまた親玉と思われる敵と戦闘を繰り広げるが、状況は全く良くならない。

どうにかしなくてはならない。だがどうすればいい?

この戦場に居る誰しもにその思いが脳裏を過る。

飛んでくる銃弾やら攻撃を躱すギルヴァだが、その時は彼は突如としてその場から後ろへと大きく跳躍しR.ガードの魔力障壁を展開しながら攻撃を何とか防ぐRFBの後ろに降り立つと彼女へと話しかける。

 

「RFB、しっかりそのまま盾を構えていろ。そしてこれから起きる事に驚くな」

 

「え?え?どういう事?ギルヴァさん、何をするつもりなの!?」

 

彼から只ならぬ何かを感じ取ったのだろう。

何をするつもりなのか問うRFBだがギルヴァは答えようとはしない。

手にした無銘を見つめ、彼は軽く息を吐く。すると蒼が話しかける。

 

―良いな?一切躊躇うな。一瞬でも躊躇えば成功しない。

 

(ああ。分かっている)

 

既に覚悟は決めている。迷いはない。

RFBが何をするつもりなのかという声が響き、周りもその異常事態に気付き始める。

だが彼は耳を貸さなかった。

無銘の柄を握ると、意を決したかの様に勢い良く抜刀。

RFBに背を向ける様に振り向くとギルヴァは無銘の刀身を─

 

「うおおおおっ!!!」

 

自身の体へと突き刺した。




はい…言いたい事が分かりますとも。
ですが状況を何とかする為にこうしました。
ホント…うちのギルヴァがごめんよ、RFBちゃん…。

無銘を己に突き刺したギルヴァ…
果たして蒼の策とは一体…。

では次回ノシ
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