Devils front line   作:白黒モンブラン

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─幕引き─


Act187-Extra Ironblood May Cry ⅩⅧ

蒼の一撃、そして訪れた魔の十分。

あっという間と言える程に起きたそれらはギルヴァ達にとっては長い様で短く感じられた。

万能者が使った攻撃によりフード付きマントの敵達は撤退し、その後にS10地区前線基地から出動した輸送ヘリに負傷者達を乗せた後ギルヴァら三人を乗せ、ネージュが搭乗するリヴァイアサン護衛の元、輸送ヘリは戦場から飛び立っていた。

揺れる機内、ヘリのローター音が響く中、眠る者を居れば、車窓から外を眺める者…各々が漸く得られた静かな時間を味わっており、ギルヴァら三人もその静かな時間を味わっていた。

余程疲れていたのかルージュがギルヴァの体に頭を預けながら静かな寝息を立てており、ブレイクに至っては空いていた席を占領しその上で寝転がっては彼もまた疲れていたのか静かに眠っていた。

そんな寝息とローター音が交わる機内でギルヴァは起きていた。

とは言え散々戦った後である為、ギルヴァも疲れており、この状況でコートの懐に潜ませてある本を読み気には全くならず、早く基地に着いてくれないものかと内心そう思っていた。

そんな中で蒼がギルヴァに話しかけた。

 

―あー…100年分の仕事をした気分だ…。体は今はないというのに疲れが凄いぞ…

 

しかしその声は疲れを感じている様な口振りであった。

確かにあれほどの一撃を放つのは容易ではない。偶然得た奥の手とは言え、それを制御するにも負担はかかるというもの。

だが蒼だけに限らずギルヴァも無銘で自身を突き刺した事により、相当負担が掛かっているのだが、彼はその事を言うつもりはなかった。

 

(ただ振るった訳ではなさそうだな?)

 

―そりゃそうさ。あれだけのモンをぶつけるにしても制御しなきゃならない。寧ろ振るうだけの方がもっと楽だぞ?代償として魔界の入り口を開いてしまうか、下手したら見えざる世界と繋がってしまうどちらかだが。言っておくがあのレベルの斬撃となれば別世界に攻撃が飛んで行っても可笑しくないからな。あの程度まで抑えるのだって苦労はする。…何て言ったって無銘の力を軽く借りた上、戦場に漂っていたお前、ブレイク、ルージュ、アナの魔力、そして戦場に漂う魂の殆どをつぎ込んで出来上がった一振り…魔剣とも言えるし妖刀とも言っていいレベルの代物だぞ?

 

(…そんなものを良く奥の手と言ったな)

 

―奥の手ってのは大体そういうもんさ。良い所もあれば悪い所もある。デメリット無しの奥の手だったら誰も最初から使ってる筈だ

 

(…そうか。だが…良くやった)

 

―それはどうも。最後の最後に良い所見させて貰った上にあいつらを守れたし、戦場で散った奴らの魂を送る事が出来た。お釣りにしては多すぎるな、こりゃ

 

(かもな)

 

事実、彼が提案した策が無ければ今も戦い続けているかも知れないとギルヴァは思った。

基地に到達するまで暫く時間が掛かる。それまでの間、少し眠るべきかと思った時、ドアガンナーとして基地から派遣されたMGの戦術人形 PKPが彼の前に立ち手に持っていた通信機を差し出した。

 

「誰からだ?」

 

「外で飛んでいる奴から通信だ。出てやれ、心配していた」

 

外で飛んでいる奴と言われ該当するのは一人しかない。

PKPから通信機を受け取り耳に付けた時、通信相手がギルヴァへと話しかけた。

 

『父よ、お疲れ様』

 

「お前もな」

 

『私は大して疲れていない。ただ上空で援護していた位だったからな。…それで父よ、一つ聞いていいか?』

 

「何だ?」

 

『…何故あの様な事をした?』

 

何に対してかなどはネージュは言わなかったが、ギルヴァは察していた。

無銘の刃を突き刺した事であろうと。

彼と蒼以外は事情を知らない為、初めて見た時はどう考えても自殺にしか見えない。

そしてネージュはその光景を目撃していた。ギルヴァが自ら無銘を刺す所を。

 

「…」

 

そうする必要があったと言えば良いのだが、何故かギルヴァにはその言葉が出てこなかった。

返答がない事にネージュは答えられないのだと感じ取ると、少し寂し気な声で話しだした。

 

『答えられないのであればそれでいい。結果的に自ら命を断った訳ではないのだから。…だが、私にとって父親は貴方しかいない。だから、その…出来るだけあんな事をしないで…』

 

ギルヴァとて切腹紛いな事をしたいとは全くもって思わなかった。

下手すれば消失及び別の何かへと変わってしまう可能性もあり、今回は奥の手を使う為であり、奇跡的に成功したに過ぎない。

 

「…ああ、分かった」

 

とは言え娘に心配をかけてしまった事は事実。

店に戻り、休息を取る際には何かネージュに詫びの一つや二つは入れるべきかとギルヴァは思いながら、通信機をPKPへと返し、眠りにつく事にした。

 

 

「急いで軽傷者は専用のエリアに誘導を。治療に当たる際は名前、所属基地を聞く事を忘れないように。所属基地への連絡も忘れちゃ駄目からね。重傷者は急いで修理エリアへ。名前、所属基地を聞くのは後回しで良いから。問い合わせも後回しで良いから。医療班、食料提供班は急いで!どんどん来るよ!」

 

輸送ヘリ部隊がS10地区前線基地に到達した時は作戦領域を離脱して数時間後であった。

軽傷者、重傷者など輸送ヘリから降りてくる人形達を基地所属の人形達が誘導し、シーナが指示を飛ばしていく中、ギルヴァ達もヘリから降り立つ。

ルージュがシーナへと帰還した事を報告し向かい、ギルヴァとブレイクはその場から離れると近場にあった輸送ヘリを背に凭れ、この状況が収まるまでを待つ事にした。

この状況で店に戻る気にはなれず、ほとぼり冷めるまで待とうと考えたのだろう。ギルヴァは腕を組み目を伏せ、ブレイクは腕を頭の後ろで組む。

するとブレイクが何かを思ったのか口を開いた。

 

「全く散々な目にあったぜ。こりゃ暫くは休業だな。…お前はどうすんだ?」

 

「普段と変わらん」

 

「やれやれ…変わらず真面目だな。少しくらい休んでも罰は当たらないぜ?」

 

彼にそう言われようが普段通りでいるつもりなのでギルヴァは考えを改めるつもりは一切無かった。

このまま時間を過ぎるのを待つ二人に歩み寄る者が一人。

それに気付いたのはブレイクで、歩み寄ってきたその者に気付くと笑みを浮かべ、輸送ヘリか離れると歩み寄ってきた者…あの時助けた戦術人形 super shortyにへと声をかけた。

 

「休まなくていいのかい?お姫様」

 

「確かに休まないといけないね。支え無しじゃ動けない有り様。見ての通りボロボロだけど…」

 

super shortyの言う通り、応急処置を受けていたとしても満足に立てる訳なく、支え無しで動けない状態であり、ブレイクに話しかける声は元気そうだが、その姿は痛々しかった。

それでも彼女はブレイクに話しかける必要があった。

 

「多分お礼を伝える事もなくここを離れるから…だから貴方にお礼を言いたくて」

 

「…別に礼を言われる様な事はしてねぇさ。たまたま居合わせただけだからな」

 

肩を竦めるブレイクにsuper shortyは彼をジッと見つめる。

そして呆れた様にため息を付いた。

小柄な姿をしていたとしても何か分かった事があったのだろう。

彼女は小さく笑みを浮かべて、口を開いた。

 

「そうね…ただ居合わせただけかも知れない。…どう受け止めるかそっち次第だから一方的に伝える。助けてくれてありがとう。…ブレイク」

 

相手の返答を待つ事もなく、言いたい事だけを伝えるとsuper shortyはその場から離れていった。

付き添いに支えられながら去っていく彼女の後ろ姿を見つめながらもブレイクは何かを言う事はしない。

その様子を見ていたギルヴァも何かを言おうとはせず、静かにそこで立ち尽くす。

周りが慌ただしい中、二人はただただ落ち着くのを待つ。

 

「そう言えばリバイバーにストロベリーサンデーを奢ると言っていたがどうするつもりだ」

 

「向こうが覚えていたら奢るさ。覚えていなかったらその話は無しだな」

 

自分達に休みが訪れるのは暫くかかるだろう。

その間だけは二人は他愛のない話をして時間を過ごす。

そして二人は内心思った。暫くは休暇を取ろうと。




他の作者様が幕引きしていますのでこちらも幕引きです。

長く険しい戦いではありましたが、無事帰還できたことを嬉しく思います

次回はコラボ作戦から数日後を描いた話を展開しようかと。
お隣の基地から、あるお方を診なくてはならないので。


とても長い険しい戦いが続く大規模コラボ作戦。
今回は参加している作品のキャラクターたち(半ばこちらから関わりにいっている)と関われたことが私自身とても嬉しく思いますし、他の作者様がうちのキャラクターを使って頂いた事もとても嬉しく思います。
次回もと言いたい所ではありますが…私は色々やらかしておりますからね。
自分からコラボ作戦を発案する事あれど、参加する事にはためらってしまうかもです。

今回大規模コラボ作戦に参加していた多くの作者様及び主催者である試作強化型アサルト様。
皆さま、本当にお疲れ様でした!
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