Devils front line   作:白黒モンブラン

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─平和な世界に起きた問題─

─それを解決するに集うは世界を渡りし者達─


Act212-extra Coffee time after work Ⅰ

それは何てことの無い晴れ晴れとした空が広がる日の事であった。

便利屋「デビルメイクライ」本店は通常通り営業中であるのだが、当然ながら依頼を持ちかけてくる客もいる訳もなく、オーナーであるギルヴァは現在たった一人で書斎に腰かけて読書に没頭していた。

本来であれば膝の上にUMP45を乗せてたり、シリエジオが傍に控えてたりなどこの事務所で暮らしている者達が各々自由な時間を過ごしているのだが、404小隊や95式は任務へと赴き、シリエジオとネージュは買い出しへと出かけ、グリフォンとフードゥルはシーナの所へ遊びに行っている。

そういう事もあって、今店内にはギルヴァしかいないという状況が出来上がっていた。

ジュークボックスから不快にならない程度の音量でジャズが流れ、捲る度に紙が擦れる音が僅かに響く。

何の代わりの無い日常だがギルヴァ本人は非常にリラックスしていた。

 

「む…」

 

次のページへと捲ろうとした時、ギルヴァは先程までティーカップに注がれていた紅茶が無くなっている事に気付いた。

何か飲みながらでないと読書に没頭できない訳ではないが、雰囲気を保つ為に彼は読んでいた本にしおりを挟み、読書を中断。

ティーカップに新たな紅茶を注いでから再び読書を再開した直後、店の裏口のドアが開く音が響いた。

店へと入ってきた者の気配を感じ取るとギルヴァはその者の名を口にする。

 

「…ネロか」

 

「ああ」

 

名前を呼ばれて答えるは独立遊撃部隊「ブラウローゼ」の一人でありつつ、悪魔狩人としても活動している元鉄血所属のハイエンドモデル、旧名処刑人と呼ばれていたネロである。

 

「今はギルヴァだけか?」

 

「ああ。…何の用だ?」

 

「大した用事はねぇよ。暇になったからシリエジオに紅茶を淹れてもらおうと思ってきただけさ。まぁ居ねぇなら仕方ないか…。勝手に紅茶を貰うぜ?」

 

「好きにしろ」

 

ギルヴァから了承を得られるとネロは台処へと消えていく。

物音が聞こえる中、ギルヴァは読書に集中しページを捲っていく。

ふとその時であった。

 

「!」

 

何かを感じ取ったのかギルヴァは下ろしていた顔を素早く上げ、その感じ取った何かの方へと顔を向けた。

その気配はネロもデビルブリンガーが脈動した事でそれを感じ取った模様で台処から飛び出し、そしてそこにあった物を見て目を見開いた。

 

「おい…こいつは」

 

「…」

 

ネロの問いに答える事はせず、ギルヴァは出てきたそれを見つめる。

宙を浮かぶ意匠の凝った造りの鏡。

それは異世界とのゲートを繋ぐとされる魔界の道具『映されし異界の鏡』であった。

気まぐれの性質を有し、滅多に人前に出てくる事の無い鏡。

それが何故か店の前に姿を現し、佇んでいた。向こうの世界へと繋がる景色を映し出しながら。

この鏡の先にある世界がどのような世界なのかはギルヴァらは知っている。

何故ならその世界に行った事があるからだ。

しかしギルヴァの表情は何処となく険しかった。その表情にネロは首を傾げ声をかけようとするが、その前にギルヴァが立ち上がり、何故か傍に立て掛けてあった無銘を手に取った。

 

「おい、武器なんているのかよ?」

 

当たり前の問いとも言えた。

ネロも鏡に映っている世界がどういう所なのか知っている。

グリフィンや鉄血は存在するもの第三次世界大戦などなく崩壊液も存在しない。当然ながら悪魔も存在しない至って平和な世界なのだ。

そんな世界に武器をわざわざ持っていく必要性などない。寧ろ不要とすら言える。

 

「向こうで何かが起きていると言えば納得するか?」

 

「は?どういう意味だよ」

 

「そのままの意味だ。悪魔でもない、別の何かが起きている」

 

「つまり面倒ごとってやつか?」

 

その問いに答えるつもりはないのか、いそいそとギルヴァは準備を始めていく。

場に居合わせただけに過ぎないのでネロが赴く必要はないのだが、ふと彼女は思い出す。

あの時、向こうの世界にいるアーキテクトに渡したブリッツの事を。

あれからどうなったかは知らないが、気になる所。もしまだ残してあるのであれば返してもらうべきと思ったネロは鏡へと飛び込もうとするギルヴァを呼び止めた。

 

「俺も行く。武器を取ってくるから少しだけ待ってくれ」

 

「…急げよ」

 

遠回し気味に自身もついて来てもいいという了承をギルヴァから得られるとネロは分かってると答え、店の裏口から基地へと駆け出していった。

彼女が戻ってくるまでの間、ギルヴァはジッと鏡の先に映る景色を見つめる。

以前まで何処かの路地裏が映し出されていたのだが、今回はどこかの部屋が映し出されていた。

そこに何かあるのだろうかと思うギルヴァであったが、何かが分かる訳もなく自分達が向こうへと飛び立つ後に店に戻ってくる彼女らの為に書き置きを作成するのであった。

数分後、ネロは店へと戻ってきた。

お気に入りコートを羽織り、背には機械剣『クイーン』、右腕には対悪魔用戦闘義手 デビルブレイカーの一つである『ブリッツ』を装備。専用ホルスターにはバスターアーム、ガーベラ、そしてマギーから試験運用為に渡された新たなデビルブレイカー『パンチライン』を下げていた。

愛用の銃『アニマ』も装備しており、目には見えないがデビルブリンガーも特に問題なし。

装備を万全な状態にしたネロは鏡の前で佇むギルヴァの隣へと並び立った。

 

「…んじゃ行くか?」

 

「ああ」

 

ネロの言葉にギルヴァは頷き、映されし異界の鏡へと飛び込む。

それに続く様にネロも鏡の中へと飛び込んでいった。

 

 

そこはギルヴァ達が居る世界とは全く異なる世界のS09地区。

地区内の一画に映されし異界の鏡が置かれている家屋に扮した監視所が存在する。

普段であればグリフィンの人形がいるのだが、偶然にも外しており監視所は誰一人いない状況であった。

故に監視対象である鏡がギルヴァの店『デビルメイクライ』の店内を映しているなど知る筈もなかった。

静寂に包まれた室内にて映されし鏡が突然光を放ち始め、その直後に鏡の中からギルヴァとネロが飛び出してきた。

 

「今回はバラバラになってねぇみたいだが…どこだ、ここ?」

 

辺りを見渡しながらネロが呟く。

以前まで何処かの路地が映し出されていたのだが、今回は違う。

S09地区ではないのかと疑問に思った時、勝手に机の上に置かれていた報告書と何故か地図を手に取り見ていたギルヴァがその問いに答えた。

 

「俺たち以外に誰かがアレを使って訪れたらしい。消えずに残っていたのをグリフィンが発見。そのまま監視対象としてこの監視所が作られたようだな」

 

「成程」

 

至極当然の反応だろうとネロは思う。

世界と世界を繋ぐゲートを担う魔界の代物。監視所が作られて当然なのだ。

だが気になったのは自分達以外の誰が鏡を使ってこの世界に訪れたのか。ネロにとってはそこが一番気掛かりと言えた。

その答えはホルスターに収めてあるアニマとレーゾンデートルに答えがあるのだが、ネロがそれを知る事もなく、ギルヴァもそれを知ることはないだろう。

 

「で?こっからどうする?あの喫茶店にでも向かって情報でも仕入れるのか?」

 

「必要ない。それに問題は向こうから向かってきている」

 

自身には分からないが、ギルヴァはその問題とやらを感じ取っている。

今はそれを信用する他ないのでネロがそれを問う事はしなかった。

そんな彼女を他所にギルヴァは誰宛に書いたのか書き置きを残すとネロへと伝える。

 

「行くぞ」

 

そのまま監視所のドアを開き、外へと出るギルヴァ。

ネロも彼の後を追い監視所を後にすると二人は大通りへと出た。

以前ここに訪れた時と比べると人気が少ない。明らかに問題が起きているとそう確信を持つには十分すぎる証拠であった。

ただその問題は何か、という疑問だけは残ったままであったが。

ギルヴァとて問題の正体までは分かっていない。ただ分かるのは何かが起きているという事だけ。

だがその答えも近くにあった家電量販店のショーウィンドウに展示されたテレビが映し出すニュースによって得られる事となる。

 

「テロリストどもが列車砲を占拠。その内一つがここに向かってるって訳か」

 

「これが問題の正体か」

 

「みてぇだな。人が少ないのも避難誘導のおかげか。…取り敢えず列車砲の進行ルート近くまで行く他ねぇが、まず場所がな」

 

どの道向かう場所はそこしかない。

だがどこのルートで来るのかは分かる筈もなく、流石のネロもどうしたものかと頭を悩ませる。

 

「問題ない。列車のルートは覚えている」

 

「は?どこでそれを知ったんだよ?」

 

「あの監視所にそれに関する報告書と地図があった。あの場に人形が居なかったのも、今回の一件で外していたと見ていい」

 

懐から地図を取り出すとギルヴァはネロへとそれを差し出す

地図を受け取り、広げるネロ。

確かにギルヴァが言っていた通り、例の列車砲のルートが記されている。距離はあるが向かうと思えば向かえる位置にある事はネロにも理解出来る。

そうと決まればそこへと移動するのが良いのだが、生憎二人とも乗り物を有していない。

流石に徒歩で向かうには時間が掛かり過ぎる為、何らかの移動手段が必要であった。

 

「ん?」

 

思い悩んだ時、ふとネロの視界にあるものが映った。

それを見て彼女は口角を吊り上げるとギルヴァへと伝えた。

 

「ちょいと良い物があったから見てくるぜ」

 

「ああ」

 

何をする気なのかと尋ねる事もなく、それどころか察していたギルヴァは腕を組み目を伏せながらその場で佇む。後ろで何やら騒ぎが起きている事を無視しながら。

 

 

数分も経たない内にネロは何処から持ち出してきたのかサイドカーが備えつけられたバイクに乗って戻ってきた。

本人曰く気前のいい奴が貸してくれたと言っているのだが、どう見ても道端に転がっているのは気絶したテロリストらであるのだがギルヴァは敢えて無視。

サイドカーに乗り込むとネロの運転の元、列車砲が通るであろうルートへと車両は駆け出していった。

エンジンを最大に風を切る中、ギルヴァは己の内で蒼と会話し始めた。

 

―しっかしこっちの方で問題ごととはなぁ?世界を渡って問題解決にやってきたのは俺らだけかね?

 

(…どうかな。意外にも面白い事になるかも知れんぞ)

 

―かもな。何となくそんな気はするが…

 

(む?)

 

―もしかしたら…あの隣のお嬢ちゃんまでやってくるかもな?

 

(…どうかな。ただ俺達以外の渡り人は来るかも知れんぞ)

 

―それはそれでとんでもないパーティーになりそうだな!

 

(ふっ…かも知れんな)

 

小さく笑みを浮かべるギルヴァ。

この世界で起きる誰も予想できないパーティーがどうなるのかと思いながら。




はい。
またまたコラボでございますが…。
いろいろ様作「喫茶鉄血」の大型コラボに参加いたします!
今回は始まりの方という感じでございます。

因みにギルヴァが監視所に置いた書き置きにはこう記されています。

『勝手に抜けさせてもらった by ギルヴァ』

流石に何もせず抜けるのはギルヴァも少しは抵抗があった模様。

参加する方々を見たのですが…オーバーキル過ぎて笑いました。
もうこりゃ…こっちの二人が小さく見える位に参加者の方々が豪華すぎてヤバいです!


こちらでも今回参加する作者様と作品名を記載しておきます。
※こちらのミスで参加者様に抜けがありましたので、修正致しました。
ご迷惑をおかけして申し訳ございません。


一升生水様作『本日も良き鉄血日和』

無名の狩人様作『サイボーグ傭兵の人形戦線渡り』

oldsnake様作『破壊の嵐を巻き起こせ!』

焔薙様作『それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!』

試作強化型アサルト様作『危険指定存在徘徊中』

ガイア・ティアマート様作『閃空の戦天使と鉄血の闊歩者と三位一体の守護者』

NTK様作『人形達を守るモノ』

村雨 晶様作『鉄血の潜伏者』&『鉄血工造はイレギュラーなハイエンドモデルのせいで暴走を免れたようです。』

通りすがる傭兵様作『ドールズフロントラジオ』


もう何が起きるんですかね?
(テロリストにとっては)大惨事大戦かな?
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