Devils front line   作:白黒モンブラン

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─悪魔泣かせの二人組─


Act213-Extra Coffee time after work Ⅱ

「テロリストどもが列車砲を強奪、か。昨日今日で思い付いた事じゃねぇな」

 

気前のいい奴から譲り受けたと言う一台のバイクが舗装されていない道を駆け抜けていく。

そんな中で運転を務めるネロがそう呟いた。

 

「入念に準備していたんだろうが…何が目的だ?盗んだ挙句、それを地区へと向けるとはよ」

 

「俺達がそれを考えていた所で意味はあるまい。真相究明はこの世界のグリフィンや軍の連中に任せばいい」

 

「まぁ…それもそうだけどよ」

 

ギルヴァに指摘されるもネロはどこか腑に落ちない様子であった。

しかし彼の言う通りであり、それを考えていた所で意味はない。

今からテロリストらでごった返している列車砲…アルゴノーツ・カライナに突撃するのだ。

変に考え事をしていては油断を招く事にもなりかねないし、それどころか集中も出来ない。

何とか自身の中、踏ん切りを付けネロは頭を切り替える。

颯爽と駆け抜けるバイクの速度を更に一段階上げ、そのままS09地区と向かっているアルゴノーツ・カライナの進行ルート上へと侵入。そしてゆっくりと進行しているアルゴノーツ・カライナを見つけた時、ある物を見てネロが叫んだ。

 

「ちっ!主砲かよ!面白くねぇのを積んでやがる!」

 

「分かっていた事だ。一々騒ぐな」

 

「お前はどこまでも冷静だよな、全く!」

 

一つや二つは取り乱してもいい筈なのにギルヴァはそれでたじろぐ様子などある筈もなく。

ただただ彼は前方を走る巨体を見つめるばかり。

 

「さてどうする…。上手く隙をついて内部に侵入してぇが」

 

「主砲は兎も角、副砲か」

 

「下手に近づけば蜂の巣の出来上がりだな」

 

そんな冗談を叩くネロ。

確かに列車砲には主砲以外にも針鼠の様に無数の副砲が装備されている。下手すれば接近すればネロの言う通り蜂の巣の出来上がりだろう。

 

(数を減らした方か…)

 

そう思い、ギルヴァが座席から立ち上がり無銘の鯉口を切った時だった。

突如、上空から無数のミサイルが飛来。様々な軌道を描きながらそれらは主砲へ突撃。着弾と同時に盛大に爆ぜた。

 

「どっからだ!?」

 

一体誰がと驚愕の表情を見せるネロ。

対してギルヴァはじっとミサイルが飛んできた方向を見つめた。

上空を浮かぶ複数の人影。あの集団の内、一人がアルゴノーツ・カライナへと乗り込む姿が彼の目に映る。

その者が主砲を破壊したかは分からずとも主砲が壊され、副砲が上空飛ぶ集団へ向けられていく。それをチャンスと見たギルヴァはネロと視線を交わし互いに頷き合うとネロはバイクを列車砲の側面側へ移動させた。

横付けする形で速度を維持。タイミングを見計らってのから先にギルヴァが列車へ飛び移った。

それに続く形でネロもバイクから飛び出し、列車へと乗り込む。

 

「デケェ列車だな。こんなもん、よくもまぁ作ったな」

 

その車体を見つめながらネロがそう呟いた。

列車砲と言うだけあって、確かにそのサイズは圧巻の一言に尽きる。遠くから見ても大きいのに、近くで見ればより一層大きく見えるであろう。

大量の装備、分厚い装甲など、生み出された当時の時代ではそれは最強の座に居たに違いない。

しかし時代の流れは残酷であり、この列車砲も今の時代においては最早不要の代物。

退役前の仕事が人々を怯えさせる脅威となるとは何たる皮肉だろうか。

 

「まぁ気にしても意味ねぇか。興味もねぇ」

 

とは言えネロにとってはどうでもいい話。

内部へと侵入する入り口を見つける為、歩きだそうとした時、ギルヴァがじっとある方向を見つめて立ち尽くすのを視界の端で捉え、気になった彼女はギルヴァへと話しかける。

 

「どうした?なんか気になる事でもあんのかって…ん?」

 

ふと今は姿を隠している右腕が脈動している事に気づいたネロ。

何処かで感じたことのある気配に一体誰のものだろうかと疑問に思った時、ギルヴァが明かした。

 

「…アナか」

 

「はあっ!?この気配、あいつのか!?」

 

「奴以外誰が居るという」

 

「いや、さも当たり前みてぇな事言わないでくれるか?そっちは向こうと何度か会ってるかもしれねぇがこっちは指の数程度しか会ってねぇんだよ」

 

義手を撫でさすりながらネロはため息を付く。

 

「しかしどうやってこっちに来たんだ?あっちも鏡か?」

 

「そればかりは奴に聞くほかあるまい。ただ問題は…」

 

「帰り道か?」

 

その問いにギルヴァは頷く。

自分らは鏡を通ってきている為、帰る手段は有しているものの向こうはどうする気なのかがギルヴァにとって少しばかり気がかりであった。

必要であれば鏡の場所を明かしておくべきだろうかと思いながら、ギルヴァはネロと共に内部に侵入する為に入り口へと向かうとネロがドアノブに手を掛けた。

しかしドアは固く施錠されており、何度もドアノブを回しても動く気配すらない。

こういう時どうすればいいのかネロは分かっている。

ニヤリと笑みを浮かべる彼女を見てギルヴァは手を額に当て呆れた表情を浮かべる。

 

「…おらぁっ!!」

 

動かないなら、気になるのであれば取り敢えずぶっ叩け。

ブレイク直伝のドアの開け方を教わっているネロは思い切りドアへと目掛けて勢い良く蹴りを叩きこんだ。

その一撃はドアを軽くへこませるどころかドア諸共吹き飛んでしまう程。

 

「なん…ぐぼぉっ!!??」

 

そして近くに居たテロリストに飛んでいったドアが顔面に直撃。

飛んできたドアと共に地面へと倒れるのだが、こればかりは運が悪かったとしか言えない。

そしてこれは偶然とも言うべきか。ネロが強引にこじ開けた入り口ドアの近くには、列車砲を止める為に作戦行動していた特務小隊、AR小隊、404小隊らとギルヴァが見た上空から内部へと侵入していったもう一人の人物がいた。

突然の事に何事か警戒心を強める彼女らに対し、先程蹴り飛ばした影響で埃が舞ってしまいネロがわざとせき込みながら皆の前に現した。

 

「ひっでぇ列車だな。ちゃんと掃除してんのかよ」

 

コートを揺らめかせ、背に背負うは推進剤噴射機構を搭載した機械剣『クイーン』。

右腕の義手、銃は悪魔をぶちのめす為だけにあり、今は目には見えないもう一つの腕は彼女に戦う力を与える。

その姿はかつて見た時と変わらない。見覚えがあったからこそ、彼女を見たM4が声を上げる。

 

「! 貴女は…!」

 

「よぉ久しぶりだな。こっちの世界のM4。超豪華特急列車の旅に応募したんだが、乗車券はどうすりゃいい?乗務員が物騒過ぎて渡す気にもなれねぇんだが」

 

「え、えっと…」

 

そんな事を言われて、つい言葉に困るM4。

対するネロは軽く肩を竦めると、その傍からもう一人現れる。

それを見てAR-15がどこか引き攣った笑みを浮かべながら呟いた。

 

「これはとんでもない援軍ね…。テロリストどころか悪魔も泣き出す連中の登場とはね」

 

青い刺繍が施された黒いコート。手に握るは日本刀状の魔剣『無銘』。

研ぎ澄ました身のこなし。神速とも言える抜刀術はありとあらゆるものを切り伏せる。

世界を渡りて現れるは悪魔狩人の一人ギルヴァであった。

 

「何だこいつら!?」

 

「一体何処から入ってきたんだ!?」

 

突然現れた二人に驚きを隠せないテロリストら。

それを見てネロはクイーンの柄に手を掛け引き抜いた。

 

「成る程…」

 

切っ先を地に突き立てると獰猛な笑みを浮かべながらクイーンのグリップを捻る。

 

「掃除のしがいがありそうだな」

 

クイーンが唸ると同時にネロの側に立っていたギルヴァが無銘の鍔に親指を押し当て、鯉口を切った。

鍔と鞘の間で僅かにその姿を晒す刀身。放たれる一瞬の煌めきはまるでこれから始まる戦いの始まりを告げているかのようであった。




はい。ギルヴァ&ネロも列車内に突入でございます。
後は流れを見つつ動いていきましょうかね。

では次回ノシ 
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