Devils front line   作:白黒モンブラン

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―何事もその通りにはならない─


Act214-Extra Coffee time after work Ⅲ

「んじゃ…踊ろうか!!」

 

周囲を囲んでいたテロリストらをギルヴァが神速の抜刀で全て峰打ちで気絶させ無銘の刀身を鞘へと納めた同時にネロがクイーンを構え、勢い良く地面を蹴り突撃。

その機動力は本当に人形かと思わせる程で、テロリスト集団の目の前まで瞬間移動とは言わずともネロは一瞬で接近。

普通であればここでクイーンによる斬撃を与えるだろうが、今回の相手は悪魔ではなく、人間。

推進剤噴射機構を一段階解放している状態のクイーンを人間相手にぶつけてしまえば見たくないものが出来てしまう。故に手加減か、それ以外の何かが必要であった。

 

(当てるつもりはねぇ…だが!)

 

刀身の切っ先を地面に向けつつ、踏み込む。

片足を軸にしつつ、体を翻しながらネロはクイーンを思い切り薙ぎ払う。

攻撃こそは空を切りテロリストらに直撃してはいない。

だが薙ぎ払いにより巻き起こった剣風が、テロリストらへと襲い掛かった。

 

「うわあああっ!!??」

 

「何だよあいつはぁぁぁッ!!??」

 

巻き起こった暴風がテロリストらをいとも簡単に吹き飛ばしていく。

仲間が次々と漫画の様に吹き飛ばされていく中、テロリストの一人が叫ぶ。

 

「撃ちまくれ!接近させんな!!」

 

相手が接近戦を仕掛けてくるのであれば、間合いに気を付けて遠距離攻撃を仕掛ければいい。

そういう戦術を取るのは至極当然の事であろう。

ネロもアニマというリボルバーは持ってきてはいるが、連射よりも威力を重視している事と対悪魔用を想定している為、うかつに撃つ事が出来ないでいた。

しかしそれが問題になるかと言われれば、そうでもなかったりする。

 

「新しいオモチャに慣れておかねぇとな」

 

まるで悪巧みを考えている子供の様な笑みを浮かべながらネロは今装着しているブリッツを外した。

それを腰の専用ホルダーに収め、今回が初使用となるデビルブレイカー『パンチライン』を装着。

 

「そんじゃ…」

 

黒と赤で彩られた新たなデビルブレイカー。

その使い方をマギーから聞いた時ネロは思わず笑ってしまったらしい。

様々な義手がある中でこのパンチラインは至って分かりやすい機能を保有している。誰しもが一度は思い付くであろうそれを搭載しているのだ。

一体どんな機能を搭載しているのか。簡単に言えば腕を飛ばしぶん殴る。

 

「いっけぇ!!」

 

つまりはロケットパンチである。

射出された鋼鉄の拳はテロリストの顔面に直撃し、そのまま何処かへと飛んで行くと思えば次の獲物を定めた様に次々とテロリストらに襲い掛かっていく。

先程まであれだけテロリストらがたった一人の人形…以前まで処刑人と呼ばれていたネロという人形によって気付けばそれなりの数が減らされていた。

 

「…もう帰っていいかしら、私達」

 

そんな中でAK-12がそう呟いた。

無理もない。戦闘どころか、最早これは蹂躙に等しい。自分らの出る必要があるのかと問いたくなる程だ。

しかし現実はそれを許してはくれない。

テロリストらはネロを止めようと何処からともなく現れ、当然ながら遠い目をしながらも銃撃戦を繰り広げるAK-12も囲まれてしまう。

 

「まずっ…!」

 

「AK-12!!」

 

流石に油断し過ぎたかと思いながら険しい表情を浮かべながら退避行動を取り始めるAK-12にAN-94が叫ぶ

ネロも周りのテロリストを相手にしている為援護に回れず、その間にも何処から持ち出してきたのかロケットランチャーを構えたテロリストがAK-12へと狙いを定め、発射。

その時黒い影が颯爽と駆け抜け、AK-12の前に立つと勢い良く迫りくるロケット弾をあろう事か、刀身を収めた無銘を振るい弾き飛ばした。

 

「は…?」

 

「え…?」

 

爆発音が過ぎ去った後で訪れた静寂。

ロケットランチャーを構えたテロリストは間抜けな声を漏らし、AK-12に至っては普段閉じている瞳を開き、信じられないと言わんばかりに驚きの表情を浮かべていた。

斬ったのではない。弾き飛ばした。

その事実が覆る筈もなく、誰しもがそんな芸当をやってのけた彼…ギルヴァへと視線を向ける。

当の本人はそんな視線を気にする事もなく、テロリストらを一瞥すると無銘に手を添え、腰を落とすと地面を勢い良く蹴ったと同時に姿を消した。

ロケット弾を弾き飛ばしたに続いて起きたそれにテロリストらが驚いている間に黒い残影が駆け抜ける。

その動きこそは疾走居合であるが、一つだけ違いがあった。

本来であれば突進したと同時に発生する無数の真空刃。しかし今回はそれは発生しておらず、地面へと倒れるテロリストらの体には斬られた痕がない。

それもその筈で、ギルヴァはネロと同様にテロリストらを殺めるつもりはなく、倒してきた相手を全て峰打ちで気絶させていた。

殺すだけであれば戦い自体はもっと早く済んでいたであろうが、相手は悪魔ではないのだ。

無銘の刀身を鞘へと納めながら、ギルヴァは後方から迫ってくる気配を感じ取った。

 

(…新手か?)

 

―いや、人数が少ない。恐らくだが()()()()()()()()()()…―

 

(…ふむ)

 

蒼が言う『渡ってきた奴ら』。

それを何を意味しているかなどギルヴァは口にせずとも分かっていた。

それは自分達と同じ様に世界を渡り、今回の一件を解決するために行動している何者であると。

 

「…」

 

そして何かを思ったのか、彼は踵を返すと列車の後部車両へと向かって歩き出した。

突然の行動にネロも驚くも置いていかれまいと相手をしていたテロリストの一人で潜在能力を解放したパンチラインでぶん殴り空へと殴り飛ばすと急いで彼の後を追いかける。

そしてすれ違いざまにAK-12へギルヴァは伝える。

 

「後は任せる」

 

「後は任せるって…どういう意味?」

 

「そのままの意味だ。こちらが居なくても対応できる筈だ」

 

「あー…」

 

その指摘にAK-12が苦笑交じりに指で頬を掻いた。

AR小隊、404小隊、特殊部隊。

そこにグレイヴキーパーと名乗る者と率いる部隊の面々を加え、ギルヴァにしかそれは分かっていないが後方からやって来る者達が加われば、最早二人が居なくても何とかなる程の戦力を有する形となる。

正直言えば、過剰戦力とも言ってもいいぐらいだ。

ならば先にこの場を後にし、何処か戦力が必要とする場所に向かった方が事件解決も早くなるとギルヴァは考えていた。

 

「…そっちについて行っていいかしら?」

 

「自身の立場が危うくなっても良いなら好きにしろ」

 

ギルヴァの返答にAK-12は肩を竦める。

 

「冗談に決まってるでしょう」

 

「ならば言わん事だな」

 

「はいはい。それじゃあ…こっちは何とかするから。そっちはそっちで派手に暴れてなさいな」

 

「ああ。そうさせてもらう」

 

そのまま歩き出そうとした時、待ってと呼び止められギルヴァは振り向く。

 

「道路橋での一件で顔を覚えてたけど、名前を知らないの。…今、聞いても?」

 

この状況で聞く事かと思いたくなるだろうがあえてそれは言わなくてもいいだろう。

少し悩む素振りを見せるギルヴァだが、数秒後彼は口を開いた。

 

「ギルヴァ」

 

「ギルヴァね。…一応お礼は言っておくわ。さっきは助かったわ」

 

「…」

 

ただそうすべきだったまでに過ぎない。

だから礼など要らない。

歩き去る彼の背にはそれを静かに物語っていた。

去ろうとするギルヴァの後を追う様にネロもAK-12の横を通り過ぎていく。

 

「色々と分かんねぇが、俺らはここらで一旦退場みてぇだな。じゃあな、後で会おうぜ、AK-12」

 

「完全退場じゃないだけまだマシよ。でもそうね…また後で。処刑人」

 

「あー…今はネロって名前を貰っててな。次で会う時はそう呼んでくれ」

 

それだけを伝えるとネロは先を行くギルヴァの後を追いかけるのであった。

 

 

戦闘が起きている車両から離れながらギルヴァは自身の考えをネロへと明かした。

自分らが居なくてもあれだけの戦力があれば何とかなるだろうという事はネロも思っていたらしく、ギルヴァの考えに反対する事はなく、二人はテロリストらが居ない車両へと来ていた。

 

「どうする?こっから」

 

「ひとまずここから離れる。その後は状況次第だ」

 

「状況次第かよ……なら、このまま地区へと戻ったらどうだ?俺がバイクを仕入れた時もテロリストどもは居たぞ」

 

「…ふむ」

 

ネロの提案にギルヴァは思案する。

彼があの時見た情報では先程まで居たアルゴノーツ・カライナの他、あと二つ列車砲が存在する。

だが先程の事を踏まえるとこの二つにも渡りし者達が居る可能性が大きかった。

途中で向かった所で自分達の出番がある筈もないが、このまま終わるのを待つ気などギルヴァにも、当然にもネロにもなかった。

 

(…他はないか)

 

自分らに出来る事は戦う事だけ。

だがそれで役に立てるのであればそれでいいのだ。

とは言え、ここから地区まで徒歩で戻るには時間が掛かり過ぎる。

しかしこの近くに足がある訳ではないので仕方なくギルヴァはデビルトリガーを引き、人から魔へと姿を変えた。

突然彼がデビルトリガーを引いた事にネロは驚くも束の間、ギルヴァは一言だけ伝える。

 

「飛ぶぞ」

 

「飛ぶって…おい、マジかよ、流石にどう…のわっ!???」

 

ネロに拒否権もある筈もなく。

ギルヴァはそのままネロを脇に抱え、空へと舞い上がり地区へ飛翔した。

 

「持ち方ってのがあんだろ!?」

 

「黙っていろ」

 

そんなやり取りをしながらもギルヴァはネロと共に急いでS09地区へと戻り始めるのであった。

 

 

 

 

―おまけ―

 

『今日のテロリストさんたち』

 

 

「俺にはあの娘が待っているんだ!!」

 

「その娘は画面の向こう側だろうが!現実を見ろ!!お前、彼女なんて居ねぇだろうが!!」

 

「うるせぇ!俺の事をお兄様と呼んでくれるんだあの娘の為…生きて帰って全力でお兄様しなくちゃならないんだ!!」

 

「このっ…!歯ぁ食いしばれ!!そんなお前、修正してやる!!!!」

 

(…ぶっ飛ばして良いのか、良くねぇのか分かんねぇな)

 

謎のやり取りをするテロリストたちを見て、ネロは珍しくも迷うのであったが結局の所ぶっ飛ばす事にしたのであった。




はい…まぁそういう事で、ギルヴァとネロはアルゴノーツ・カライナから撤退し、地区の方へ戻る為行動します。
…カライナも味方の戦力は結構ありますし……うん、怒られたら書き直します。

地区の方では、多分他の参加者様とこっちのがぶつかると色々合わせるの大変になりかねないのでこちらは敢えて端の方で細々とやる感じです。
とは言え、現段階では地区へと戻っている最中なのでうちの二人を使いたかったらどうぞ。

では次回ノシ
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