Devils front line   作:白黒モンブラン

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─暇つぶし─


Act216-Extra Coffee time after work Ⅴ

戦車の残骸やら装甲車の残骸が残る道路橋。

戦闘の音が消えた後にも関わらずこの場所は慌ただしいままであった。

悪魔狩りを得意とする二人によってこの道路橋を経由して町内に攻め入ろうとしたテロリストらが壊滅し、騒ぎを聞き、やって来たグリフィンらによって現在事後処理が行われているのだから。

 

「…」

 

「…」

 

そしてこの戦闘を終わらせたギルヴァとネロはこのまま去って喫茶店に向かおうかとしていたのだが何故か残る様に言われてしまい、やるべき事もなく只々暇を持て余していた。

 

「…暇だ」

 

ギルヴァが両断した戦車の片割れの上に腰掛けていたネロは背に背負っていたクイーンを傍に置き、車体の上に寝転がり空を見上げる。

風によって雲が空を漂う。変化はアリはしない。最早見飽きた光景。

 

「だぁー!!マジで暇!!人形だと言うのに、このままだとノイローゼになっちまう!」

 

流石に耐えかねたのか、ネロは不満を晴らす様に大きく叫んだ。

突然叫んだ事により周りの人形や降参したテロリストらは驚く中、ギルヴァが咎めた。

 

「黙れ。耳障りだ」

 

その一言にカチンと来たのか、ネロは勢い良く上半身を起こしギルヴァを睨む。

先程まで読書に没頭していた筈なのだが、読み飽きたのか腕を組み目を伏せながら立ち尽くしていた。

 

「んだよ。お前も暇そうにしてんじゃねぇか」

 

「貴様程騒いではいない」

 

「うぐっ…」

 

確かにその通りだと話を聞いていたグリフィンの人形も降参したテロリストらもうんうんと頷く。

味方は居ないと感じたネロは大きくため息を付き、どこか気まずそうな表情を浮かべるとそのまま寝転がった。

再び訪れる静寂。残れと言われた以上動けないのでギルヴァは時が過ぎるの待つに徹した。

そんな時、近くで座り込んでいた降参したテロリストの一人がギルヴァに問いかける。

 

「アンタ、女侍の知り合いか?」

 

「女侍だと?」

 

女侍。

その言葉を聞いた時、ギルヴァの頭に『彼女』の顔が浮かぶ。

確かに彼女は銃より近接武器を多用している節がある。幻影を渡した後は最早戦術人形とは何ぞやと問いたくなる程、接近戦を仕掛ける事が多い。

オウム返しの様に聞き返してきたギルヴァにテロリストは頷くと口を開いた。

 

「別の所で戦ってた仲間が通信で言ってたんだ。女侍が出たとか何とかってさ。アンタが傍に立て掛けるその武器って『カタナ』ってやつだろ?だから知り合いじゃないかと思ってよ」

 

「ふむ…」

 

もしその女侍が自身の知っている彼女『アナ』であるなら知り合いだろう。

何故なら彼女もまたギルヴァ達と同じ世界からこちらから渡ってきたのだから。

ただこればかりは知らない事ではあるのだが、アナ、そしてキャロルもこちらの世界に来ている。

どうやらアナが持つ幻影によってアナと共に飛ばされたらしいのだが、今のギルヴァがそれを知る筈もない。

 

「…恐らく俺が思う人物なのであれば、そいつは知り合いだろう」

 

「マジかよ…。向こうから聞いた話だと正直訳が分からなかったぜ。砲弾を斬ったって言ってたんだ。…アンタは戦車をぶった切ったけどよ」

 

遠い目でネロが寝転がる戦車の最後の姿を見つめるテロリスト。

砲弾を斬る女侍が居ると聞いた後に今度は戦車をぶった切った男が現れたのだから無理もない。

 

「まぁそれは良いんだ。アンタ、そいつとは仲良いのか?」

 

「…何故それを聞く?」

 

「あ、いや、何か企んでいる訳じゃない。そんな事をやった所でアンタにぶちのめされるのがオチだしな。ただ、ほら…お互いに暇してるだろ?」

 

「…」

 

そう言ってテロリストは周りを見渡す。

テロリストがグリフィンに連れていかれるまで時間がかかりそうな状況。

そしてギルヴァも暇している状況だ。

話し相手がテロリストという変な気分になりながらも彼は少しばかり会話に付き合ってやる事にし、先程の問いに答える。

 

「…奴が俺をどう思っているかは知らん。心が読める様な技術は持ち合わせていないのでな。ただ…」

 

「ただ?」

 

「…背中を預ける一人としては申し分ない。俺の中ではそう思っている」

 

それは嘘偽りの無い台詞。

それ程までギルヴァはアナという彼女を評価している。

いつしか本気ぶつかってみるのも良いかも知れんと思っていたりするのだが、そんな事が起きたら基地が只では済まないのは分かっているので実現する事はないだろう。

 

「信頼してんだな」

 

「…ああ」

 

何の因果か技術を教え、気付けば自身が愛用する無銘を模った刀を渡した。

何故そうしたのかはギルヴァ自身も分からない。

ただ一つだけ分かる事があった。

彼女は『力』を求めている。それはかつて自身も求めたものだったからこそ理解できたのだ。

だからこそ渡した。その『力』というものを。

 

「…少しは丸くなったと思っていたが思った以上に丸くなったな」

 

「そうかい?俺からすりゃ研ぎ澄ましたナイフ並みに鋭いぜ?」

 

「周りからすればそうかも知れんな」

 

テロリストの指摘も間違ってはいない。

だがギルヴァは昔と比べると丸くなったのは実感している。

周りからすればそうでもないと言われるという事も分かっている。

こういう事は自分か或いは自身の内の中にいる蒼にしか分からないだろう。

 

「…お喋りはここまでだ。後は自身の身の振り方でも考えると良い」

 

「…ああ。じっくりそうさせてもらうよ」

 

歩み寄ってきたグリフィンの人形達に視線を向けながらテロリスはそう答える。

そのまま去っていく後ろ姿を見届けた後、ギルヴァはちらりと空を見上げた。

流れゆく雲。それは全て別々の形を模っており、大きさも異なっている。

 

「…暫くはこのまま、か」

 

既に自分らの戦いは終えている。

いつになったら休めるのだろうかとギルヴァは内心思ったまま待機。

そして道路橋を離れる事が出来たのはテロリストと軽い会話をした十分後であった。




少し書きたくなったので、もう一話追加。
と言っても戦闘がある訳ではないのですけどね。

一旦ここいらで自分達は締めます。では次回ノシ
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