Devils front line   作:白黒モンブラン

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─パーティーの準備─


Act218 Party preparation

シーナの過去の話、ギルヴァとネロが異世界の問題を解決しに『映されし異界の鏡』に飛び込んでいったりなどS10地区前線基地は慌ただしくとも何時ものように過ごし早数か月。

過去の話をしたとしても誰一人とてこの基地を離れる事のなかった事に密かに涙を流していたS10地区前線基地の指揮官、シーナ・ナギサは何時もの様に執務室で書類の処理に当たっていた。

普段と変わらぬ日常。淹れたてのコーヒーの香りが気分を落ち着かせる。

この書類が片付いたら一休みしようと思うシーナ。

しかしてそういう時に限って何かしらの問題が降ってくるのはこのS10地区前線基地ならではの事。

最後の書類にサインをしていざ一休みしようとしたシーナ。

そんなときに執務室にある人物が訪れる。

 

「おや、一休みしようとしていた所かえ?シーナ」

 

部屋に入ってきて早々問いかけるのはグリフィン本部直轄諜報部所長でありながら、その実は十の顔を持つ悪魔『ダンタリオン』としてこの基地の面々には知られているダレン・タリオンである。

何時もの様に桜模様の着物を着込み、煙管を咥えている彼女。しかして片手にはタブレット端末が握られていた。それを見た瞬間、シーナの表情が一変する。

 

「何か…飛んできたかな?」

 

雰囲気が変わる。

シーナが問いかけたその言葉の意味。

大抵にしてそれは何らかの作戦の招集がかかったことに対する問いである事をダレンは理解している。

瞬時にそれを見抜く様になった彼女の成長に内心驚くダレンであるが、それを表に出さずに端末を操作しつつ問いに答えた。

 

「答えはイエスじゃ。これを見てくれるかの?」

 

差し出されたタブレットを受け取り、内容に目を通すシーナ。

書斎の上に腰掛けながらも、内容を見つめる目は真剣そのもの。

その姿を見つめるダレンは一言も発さず、只々待つだけに徹する。

そしてシーナがタブレットに視線を向けてから十分ほど経過したとき、シーナはタブレットから顔を上げダレンの方へ向けた。

 

「ダレンさん、少しお使いを任せていいかな?」

 

「構わんよ。何なりと申し付けるがよい」

 

「うん。それじゃあ──」

 

彼女の口から告げられるお使いの内容。

それを聞いたダレンは苦笑いを浮かべながら思った。

 

(あのイレギュラー祭り以上に派手な祭りになりそうじゃのう…)

 

煙管をふかしながら頼まれたお使いへと動き出すダレン。

頼まれたお使いの内容は指定した人物と人形らを招集する事。

しかしてそのメンバーはある意味豪勢と言えるかもしれないだろう。

 

(悪魔狩人に青い薔薇、そして以前から設立しつつあった特殊部隊…さてはてどうなる事やらか)

 

くくくっ…とダレンは小さく笑みを浮かべ廊下の奥へと消えていくのであった。

 

 

ダレンがシーナからお使いを頼まれてから数十分後。

何かしらの作戦が発令された時、大体の確立で作戦会議の為に使用される第一会議室のは多くのメンバーが集結していた。

基地の部隊全員ではない。そこに居るの面々は悪魔を泣かせるほどの高い実力を持つ猛者たちである。

悪魔狩人であるギルヴァ、ブレイク、ルージュ。独立遊撃部隊『ブラウ・ローゼ』のメンバー七名。

そして以前から設立しつつあったS10地区前線基地所属特殊部隊に選ばれた戦術人形『MG4』『vector』『コンテンダー』『Ots-14』『95式』『WA2000』『AUG』『UMP45』『UMP9』『G11』『HK416』に加え魔界出身であるフードゥルとグリフォンの姿。

そして指揮官たるシーナと後方幕僚のマギーに加えダレンの姿がこの場にあった。

 

「急に呼び出してごめんね、みんな。でもこんな風に人を集めるとなると何があるのか想像はつくよね?」

 

一部の者達が笑みを浮かべる。

最も予期していた事でもあったので、それが当たった事は驚きを越して笑みを浮かべたくなる程だ。

ドンパチを決め込むパーティーはこのS10地区前線基地では最早何時もの事なのだから。

 

「招待状でも出すのか?ねぇちゃん。それとも貰った感じ?」

 

「貰った方だよ、グリフォン。最も相手は悪魔でもなければ鉄血でもないけど」

 

「あん?それはどういう事よ?」

 

グリフォンの問いに答えるかのようにシーナは端末を操作し、スクリーンに情報を映し出す。

それを見た時、全員の表情が変わった。

先ほどシーナが言ったように敵は鉄血でもなければ悪魔でもなかったからだ。

 

「見ない顔だな。新入りってやつか?」

 

「ブレイクさん正解。私たちの方では交戦したことはないけど、敵の組織名はパラデウス。一時前では白い勢力って言われてみたい。作戦の参加の招集をかけてきた依頼主からだとどうやらかなりの戦力を保有しているの」

 

「そいつはまた随分と張り切っている新入りだな」

 

「張り切り過ぎな気もするけどね」

 

そのままシーナは依頼主から提供された情報をスクリーンに映し出していく。

 

「敵は片っ端から掃除。そして救出対象を保護する。言葉にするだけなら簡単そうに聞こえるけど、どう考えたって今回の作戦は一筋縄ではいかないでしょうね」

 

「おそらく情報には載っていない敵もいるわね。それに今回の作戦に参加している基地は私たちだけじゃないんでしょう?指揮官」

 

ブレイクの隣で座っていたグローザがシーナにそう尋ねる。

 

「うん。いつもの顔馴染みに加えて、今回初の共同となる基地も参加を表明している。それでも足りるとかどうか怪しく感じているけどね」

 

「それは何故?」

 

「途轍もなく嫌な予感がするの。所謂イレギュラー要素ってやつだよ」

 

イレギュラー要素。

それを聞いた時、何かを思い出したのかギルヴァ、ブレイク、ルージュは何処か呆れた様にため息をついた。

三人の反応を見て、その場にいた全員が察した様な表情を浮かべる。

本来の敵に加え、戦場を乱すようなイレギュラー。

どうしようもなく厄介な事になるのは分かり切った事だろう。

 

「だから今回は私も出るよ。ゲリュオンやシャドウ、そしてナイトメアの力が必要になるだろうし」

 

彼女のセリフに一部の者は口を開き、一部の者は目を見開く。

無茶する所は以前からあったし戦場に飛び出ることもあった。

だが今回の様な作戦に出たことは一度もない。

言わずとも分かることであるがシーナはこのS10地区前線基地の指揮官だ。

彼女の何かあってからでは遅いなのだ。

 

「大丈夫、無理はしないから。それに皆がいるからね」

 

だがシーナが引くことをしないのは既に分かり切った事。

彼女が出るのであれば全力で守る。それしか方法はないであろう。

 

「作戦事態は状況に合わせる。そして今回はヨルムンガンドとリヴァイアサンを運用します。なのでネージュはリヴァイアサンに搭乗する事」

 

「了解」

 

「また以前からマギーさんがブラウ・ローゼ用の装備を開発及び改修をしていて既にそれらは終えているみたいだから、この会議が終わり次第対象になっている者達はマギーさんの所に向かい、慣らておくように。それから───」

 

次々と作戦に向けての準備に対する指示がシーナから伝達されていく。

そして全員の指示を言い渡し、参加するメンバーが会議を出ていき、室内にはシーナとダレンだけが残っていた。

端末を操作し情報を見つめるシーナ。そこにダレンが神妙な表情で話しかけた。

 

「シーナよ、少し頼みごとを聞いてはくれんかの?」

 

「?」

 

首を傾げるナギサ。

だがその後にダレンから告げられた頼み事を聞いた時、彼女は即座に頷き了承を示すのであった。

 

 

 

 

 

そこはかつて誰かが立ち寄っていたであろう小さな教会。

朽ちながらも神聖な雰囲気を保ち続けるそこで外から入り込む日差しに照らされるように一人の女性が片膝をつき何かを祈るよう状態を維持したままジッとしていた。

艶のある長く伸ばした黒髪に水色のメッシュ。

黒を基調とし水色の差し色が入った袖ありのドレスを纏っており、傍には一風変わったバイオリンを置いていた。

 

「…!」

 

ふと女性は何かを感じ取ったのか伏せていた目を開き下げていた顔を上げるとゆっくりと立ち上がった。

そして、とある方向へと顔を向けその場で立ち尽くしたまま見つめていた。

 

「…そう。この声はあちらから…」

 

地面に置いたバイオリンを手に取り、彼女は教会の出口へと歩き出す。

 

「…私が奏でて差し上げましょう。この曲でお役に立てるのであれば…」

 

ドアを開き、彼女は教会を去っていく。

そしてほんのわずかにバイオリンの音が教会に響くのであった。




という訳で…
『人形達を守るモノ』の作者様であるNTK様主催の大規模コラボ作戦『タリン制圧作戦及びアイソマー救出作戦』にうちの悪魔どもと青い薔薇とその他もろもろが参戦いたします。同時に新たな魔具、装備も登場させる予定です。

今回は作戦準備するS10地区前線基地を描かせていただきました。
また最後の方で出てきた女性はオリジナルキャラです。

次回からはコラボ作戦編と突入です。
仕事の兼ね合い上執筆時間は少ないけど頑張るぞえ…!
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