悪魔の気配を感じ取り、秘密裏にその調査へと赴いたギルヴァ、シリエジオ、ネージュ。
各々が愛用する武器を携え島の裏側に来た三人を出迎えたのは砂浜に打ち上げられた一隻の大きな船。
長い間、潮風に晒され続けた影響もあって所々船体は錆びついていており、そしてその巨体も相まって不気味な様相を醸し出していた。
普通であれば、これが何らかの理由でこの島に流れ着いてしまった船だと思ってしまうだろう。
だがここに来た三人は分かっていた。
この船から発せられるそれ。負の感情の様なものが自身に纏わりついてくる感覚。
忘れる筈がなく、そして知っている。この船には悪魔が潜んでいると言う事を。
「今回は我々だけで?」
すると沈黙を破るかのようにシリエジオがギルヴァへと尋ねる。
彼女の隣に立っていたネージュも言葉にせずとも、ギルヴァへと視線をぶつける事で同じ事を尋ねていた。
二人からの問いに対し、ギルヴァは違うと答えると理由を告げる。
「シーナからは援軍を送ると聞いている。合流するまで飛び込むのは控えろともな」
「成る程。ではこのまま援軍が来るまで待機という事で?」
「ああ。暇なら装備に不備がないか確認してると良い」
このまま突っ立ったままで居るのは何とも落ち着かないものというもの。
ギルヴァの提案に、シリエジオはそうさせてもらいますと答え持ち出してきた装備の点検を開始し始める。
シルヴァ・バレトやニーゼル・レーゲン、Devi改めDⅡと改名された水平二連装の短銃身ショットガンに異常は見られない。
それらを背負い、また専用のホルスターへと差し込んだ後にシリエジオは腰の後ろに配置したホルスターに収められた二丁の銃を抜き取る。
その両手に握られるは本当に拳銃なのだろうかと思ってしまうほどの巨大な漆黒の双銃であり、銃身の側面にはそれぞれに「ペサンテ」「グランディオーソ」と刻まれている。
(マギーに了承を得て持ってきたのは良いですが……これはまた随分と)
随分とお色直ししたものだと思いながらシリエジオは呆れた表情を浮かべた。
この二丁の双銃…【ペサンテ&グランディオーソ】が一度完成に至ったにも関わらず再改修された事をシリエジオは知っている。
だが下手すればソウドオフショットガンかと間違えられても可笑しくない程までに大型化する必要はあったのかと思わずにはいられなかった。
(拡張弾倉を用いたとしても弾数は9発。それに加えて重量、取り回し、連射性は度外視。しかし威力だけは普通ではない。…よくもまぁここまでやってのけたというものですね)
ペサンテとグランディオーソが取り回しや連射性など度外視して威力だけに特化している事は改修される前から分かっていた事。
今更だと思いながら、シリエジオはペサンテとグランディオーソをホルスターへと納める。
調査対象となる船はそこにあると言うのに、動く事が出来ない。そんなじれったさを覚えた時、後ろから誰かが歩み寄ってくる気配に気づく。
その気配にはギルヴァも気付いていたらしく、後ろから歩み寄ってくる二人組…アナとアーキテクトへと話しかけた。
「お前たちも来たのか」
「ええ。たまたま三人が歩いているのをアーキテクトが見つけまして」
それで、と言葉を止めるアナ。
だがギルヴァにはその先に紡がれる台詞が何なのかは分かっていた為、追及はせず腕を組みながら目の前にある船へ見つめる。
「うーん、パッと見た感じだと相当古い感じがするってだけしか分かんないなこれ」
その隣で興味深そうに船を見つめていたアーキテクトがそう口にした。
確かに一目見ただけでは、座礁した相当古い船がそこにあるだけとしか思えないだろう。
「見た目だけに限ればな」
「という事は…中にはやっぱり?」
「ああ」
そこから先から出てくる言葉などない。
否、言わずとも二人には分かっていた。
奴等は居る。この中に、暗闇に紛れ鋭い牙を静かに研ぎながら得物が訪れるのを待っている。
「…それが分かってしまうと感じ方も変わってくるねぇ。船から殺意みたいなのを感じてきたかも?」
「ならば気を引き締める事だな。油断すれば一瞬で狩られると思え」
「アイサー」
悪魔がどんなのか興味があると言う理由でここに来たアーキテクト。
だが悪魔狩人たるギルヴァからそうアドバイスされれば素直に受け止めるほかないので敬礼しつつ頷く。
そんな二人の会話を少し離れた位置で聞いていたアナは持ち出してきた装備に手入れしていた。
持ってきているのは日本刀状の魔剣【幻影】、左腕の義手に内蔵したガトリング。固有能力になるが【イグナイトトリガー】。そして彼らから託され、受け継いだ力【デビルトリガー】がある。
戦えるには戦える。アナからすれば余り満足のいく状態とは言えなかった。
「アジダートとフォルツァンドがあれば良かったのですが…」
アジダートとフォルツァンド。
それはアナが愛用する白銀に染められた二丁の大型拳銃の事を指す。
念のために武装は持ってきたとは言え、流石に銃まで持ってきてはいない様であった。
だが無いものはない。仕方ないと踏ん切りと付ける。
そこにアナが装備の手入れをしている所を終始見ていた人物が声をかけた。
「必要であれば使ってくれ」
「え?」
幻影を腰に差し込みながら立ち上がり、顔を声の主へと向けるとそこに立っていたのは白銀に染められた長方形のガンケースを背負ったネージュだった。
「貴女になら使いこなせる筈だ」
そしてネージュがアナへと差し出されたのはとある二丁の銃が収められたレッグホルスターと予備の弾倉一式だった。
「しかしそれではそちらの装備が…」
「言いたい事は分かっている。だが気にしないでくれ。このケースには私の装備…パトローネを収めてあるからな」
パトローネというのが一体どういったものは分からずとも、折角銃を貸してくれるのであればそれを断る必要はアナにはなかった。
一言礼を伝えてネージュから差し出されたソレを受け取り装着した後、ホルスターに収められた銃を抜き取った時、アナはん?と言った声を上げた。
その手に握る黒と銀に染められた銃には既視感があったからだ。それも自身が愛用する銃にとても似ている気がしてならなかった。
「今手にしている銃がモデラート。そして左のホルスターに収められているのがラルゴ。両方ともベースになっているのはベレッタM96FSだ」
「成る程…。どおりでアジダートとフォルツァンドに似ている気がしたのですね」
「そうだな。とは言えあの二丁と比べると連射力は劣る。だがその分、威力や命中率はモデラートとラルゴの方が上だ」
「この銃を手がけたのは
「ああ。彼女の作品を初めて扱う訳ではない筈だが……扱い方の説明は必要か?」
「いいえ、大丈夫です。それに彼女の作品…いえ、この楽器なら何ら心配はありません。作戦が終わったらお返ししますので」
「分かった」
その約束に頷いて了承したネージュは、さて…と前置きを口にして船の方を見た。
それに釣られて、アナも船の方へと視線を向けた。
「これ程大きな船であれば大型の悪魔も居るのでしょうね」
「恐らくな。…何かの縁か、或いは父が作ってくれた縁かは分からないが、共に戦う状況になってしまった時は貴女の腕を当てにさせてもらおう。その分、射撃援護は任せてもらう」
「はい。その時はよろしくお願いします」
その後、先に島の裏側へと来たギルヴァらはシーナからの援軍を待つ為にその場で待機。
しかし一向に来る気配がなく、流石に待つ気が失せたのかギルヴァが船へと向かって歩き出そうとした矢先だった。
「ちょっと待って下さいいいぃぃぃッ!!!」
遠くから大きな声でギルヴァを呼び止める誰かの声。
足を止めて、目だけを声の方向へと向ければあの蛮族戦士の所にいたアイソマーが島の警備に当たっていた試験者 支援型に乗ってギルヴァ達の所へと向かってきていた。
よく見れば蛮族戦士の姿もあり、何故来たのかなど言わずとも分かっていた。
船へと進めていた足を止めるギルヴァを見て、試験者はスピードを下ろしギルヴァの近くでストップ。
そしてアイソマーは試験者から降り立つと、ギルヴァの元へと駆け寄り一言。
「自分たちもお手伝いします!!」
「好きにしろ」
「ですから私たちも………えっ?今、なんて?」
「好きにしろと言った」
人手が増えるのであれば、それに越した事はない。
手伝いに来たのであればそれを止める理由もない。
あっさりと許可が下りた事に呆然とするアイソマーを無視し、ギルヴァは後ろへと振り向く。
蛮族戦士らがここに来たと同時に船が座礁している場所に来たのだろう。
S13基地所属のM4A1、M16A1、M1887、マテバグリフォーネの姿に、S07基地所属のM14とAUGパラ、アヤトルズ。そしてリヴァイルとリバイバーの姿があった。
「シーナから聞いて来たみたいです」
傍に寄って来たシリエジオからその事が告げられると、ギルヴァはそうかと告げ、声をかける事もなく船へと向かって歩き出した。
彼が動き出したのを合図に全員が船へと歩き出す。
座礁した古びた船には至る所に大きな穴が開いており、内部に侵入するのは容易。
内部へと侵入出来る穴の前に立つギルヴァら。
灯りが一つもない、只々暗闇が奥へ広がるだけの船内が彼ら、彼女らを迎える。
微かに奥から聞こえる船体が軋む音だけがまるで足を踏み入れようとするギルヴァらをまるで威嚇しているようだ。
しかし彼ら、彼女らからすればそんなのは知った事ではない。
言葉無き警告を無視して集団は足を踏み入れ、暗闇の奥へと消えていく。
その時だった。
暗闇の中へと消えていったギルヴァらの後ろを見つめる少女がいつの間にか、そこに立っていた。
「…来てくれた」
真っ白なドレスに華奢な体つき。
そして赤い瞳を宿した少女の右腕に巻き付いた鎖の先には少女の身の丈以上はありそうな棺桶が横たわっている。
「会いにいかなきゃ…」
そう言って少女は棺桶を軽々と背負い歩き出した。
それと同時にギルヴァ達が先ほど船内に侵入する為に使った大きな穴がまるで意思を宿したかのように自らその穴を閉じてしまった。
辺りは暗闇に包まれるが少女は至って平然としていた。
「邪魔しないで…」
信じられない光景に目の当たりにしたにも関わらず少女が驚く様子はなく、冷たい眼差しを船の廊下へと向けてながらそこに誰かが居るかのように呟いていた。
だが返事が返ってくる筈もないがその代わりに船体の軋む音が歩き去る少女の後ろで鳴った。
まるで少女を小馬鹿にするように。
遅くなって大変申し訳ございません!!!
前の投稿から、参加者の投稿の様子を伺っておりつつ自分も早めに投稿すべきか悩んでおりまして…。
どうしたものかと悩んでいたら、すげぇ日数が経っているという…。
コラボを主催しておきながら何たる体たらく…本当に申し訳ない。
ん?最後に出てきた少女は元凶だと?
さぁ?どうかねぇ…
あ、そうだ。
アナさんに貸した【モデラート&ラルゴ】とシリエジオが持ってきた【ペサンテ&グランディオーソ】の紹介をここに載せておきます。
【モデラート&ラルゴ】
:黒と銀色の二色で染められた二丁の銃。ベースとなった銃はベレッタM96FS。使用弾薬は.40S&W弾。
今回の調査を行う際に念の為に判断したネージュが予備の装備として持ち出してきた二丁の大型拳銃。
早期警戒基地所属ランページゴースト隊の副隊長であるアナが愛用する大型二丁拳銃【アジダート&フォルツァンド】が製作されるにあたって、作成された拡張パーツの試験運用を行う為に製作された銃でもある。
それ故か、本銃は【アジダート&フォルツァンド】と一部似た外見を有している。
最も【モデラート&ラルゴ】【アジダート&フォルツァンド】【ペサンテ&グランディオーソ】もそうであるが、基本的にはブレイクが愛用する大型二丁拳銃【アレグロ&フォルテ】に使用されているパーツをマギーが独自解釈、またそれを元に製造したパーツを使用している為、【アジダート&フォルツァンド】に似ていると言うより【アレグロ&フォルテ】に似た部分が多い方が正しかったりもする。
元々この二丁の銃は【アジダート&フォルツァンド】と名付けられる予定であったりもする。だが制作者であるマギーは一点の性能に特化した銃を製作するつもりであった為、本銃には別の名が与えられる事となりその際名付けた名が【モデラート&ラルゴ】である。
連射性に特化した白銀の双銃【アジダート&フォルツァンド】、取り回しなどを度外視し威力だけにその性能を置いた漆黒の双銃【ペサンテ&グランディオーソ】に対して、本銃は連射と威力、そして耐久性を両立したものとなっている。
また本銃の名も音楽用語が用いられている。モデラートは「中くらいの速さ」を意味し、ラルゴは「幅広く、ゆるやかに」を意味する。
因みに二丁ともに同じ色合いをしているが、モデラートが右手用で銃身の右側には【Moderate】と名前が刻まれており、ラルゴは左手用であり銃身の左側に【Largo】と刻まれている。
これの特徴は同じく二丁ともに同じく色をした【アジダート&フォルツァンド】【ペサンテ&グランディオーソ】にも引き継がれている。
【ペサンテ&グランディオーソ】
:漆黒で染められた二丁の大口径大型拳銃。使用弾薬は.50AE弾。
デザートイーグルをベースにマキャ・ハヴェリことマギー・ハリスンが手掛けた銃であり、今回の調査の為、念の為にとシリエジオが持ち出した銃。
一度完成に至ったのだが、マギーとしては満足が行かなかったのか再び改修される。
以前は専用のヘビーバレルを装着し、堅牢度を引き上げる為に専用のパーツを取り付けたものとなっていたのだが、改修後は姿は大きく変わり、元の姿すら分からないほど。
取り回しなどを度外視し威力のみに特化した銃であり、「アジダート&フォルツァンド」「モデラート&ラルゴ」には無い機能を有する。
それは弾丸に魔力を帯びさせて撃ち出す機能であり、その機能を内蔵した事が原因で元の姿すら分からなくなるほどになってしまってしまい、大きさも最早拳銃とは呼べないものとなってしまった。
しかし魔力を帯びて撃ちだされる弾丸は下級悪魔なら一発で葬り、大型悪魔でも当たり所さえ良ければ怯ませるほどの威力を有する。
次回更新は未定ですが…出そうと思っている悪魔やオリジナル悪魔など色々考えております。
色んなキャラ、色んな魔具も…多分出ますのでお楽しみに!
ではではノシ