Devils front line   作:白黒モンブラン

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―蜃気楼は己と対峙する―

―血塗られた呪いの人形は二人を襲い―

―猛火の巨人に彼、彼女らは挑む―

―そして彼女は無数の手で来客を歓迎する―


Act246-Extra M.O.S back story Ghost ship in the sea Ⅲ

あの髑髏の騎士による攻撃により崩壊する地面から逃れるため、リバイバーとリヴァイルを食堂だと思われる部屋へと放り込んだ後、部屋と逃げ込んだシリエジオはメインホールへと繋がる出入口の前でその先を見つめていた。

 

「戻る事は出来なさそうですね」

 

その言葉通り、メインホールに開いた穴はかなり大きさだ。

それに加え船体の大きさから鑑みて今いる地点と下の落差はかなりのものと見ていい。

一見すれば通れそうな部分もあるが、あの攻撃で脆くなっているという事は言わずとも分かる。

下手に渡ろうなら、間違いなく真下へと落ちてしまうだろう。

メインホールを通る事が出来なくなった今、どうにかしてここを出て他のメンバーと合流するのが当面の目的だと認識するシリエジオ。

 

「さて…お二人とも動けますか?」

 

「ぶん投げてくれた際に壁にぶち当たった痛みさえ除けばな」

 

「そうですか。では全然動けますね」

 

「心配の欠片すらねぇよ、こいつ…」

 

額に手を当て、呆れた様に呟くリバイバー。

彼の呟きを無視してシリエジオは周囲を見渡した。

 

「ふむ」

 

そこに映った光景を見つめながら、頷くシリエジオ。

つい先ほどまで大して気にしてはいなかったが、冷静になって考えればどう考えても異常とも言える。

 

「歓迎会でも開いてくれるのですかね?」

 

天井に吊り下げられた無数の人影。

よく見ればそれは木で出来たマリオネットであり、四肢の糸は天井と繋がったまま動く様子もなく静かに揺れている。

まるでこの食堂へとやって来たシリエジオらを獲物として見据えたかのように。

 

「歓迎会を開いてくれるような感情があればいいのだがね。ともあれ早めにここを抜け出す方が良いだろう。あれらが一斉に動かないとも言い切れないからな」

 

シリエジオの隣に立ったリヴァイルの言う通り、天井に吊り下げられたマリオネットが動かないという保証は何処にもない。

加えてこの閉所で一斉に動かれたら、こちらの動きが制限される事も含めて面倒なことになりかねないだろう。

 

「出口を探しましょう。私は食堂と繋がった左の部屋を調べてみます。リヴァイルはリバイバーと共には右の部屋…カフェテリアの方をお願いします。恐らくですがどちらかが外へと繋がる扉があると思いますので」

 

「おや?船内は記憶しているのではないのかね?」

 

「全てとは言えません。あの時見つけた船内図は断片的なものだったので」

 

「ふむ、それなら仕方ない。手分けして事に当たるとしよう」

 

「お願いします。何か分かれば何時でも言いに来てください」

 

「了解した」

 

出口を探す為、リヴァイルはリバイバーを連れてカフェテリアへと向かっていく。

二人がカフェテリアへと消えていくのを見届けるとシリエジオはホルスターに差し込んだDⅡを引き抜き、食堂と繋がった左の部屋へと足を踏み入れる。

そこは薄暗く荒れている為、一目見た所ではここがどういった場所なのかは分からない。

だが、どうやら外へと繋がる扉はあるらしく彼女はそこへと向かって歩き出した。

歩く度に履いているブーツの底が室内に反響する。この静けさも相まってその音は不気味に、かつ大きく感じれる程に響いていた。

 

「駄目ですか」

 

外へと繋がる扉の前に立ち、ドアノブに手をかけたシリエジオだったが扉に鍵がかかっていた為、先へと進む事は出来なかった。

と言え、他へと通ずる道はない。

離れ離れになってしまったメンバーと合流が急務になっている以上、のんびり探索などしている暇もある筈もないので、シリエジオは銃で撃ってドアの鍵を破壊しようとした時だった。

 

「!」

 

彼女のセンサーには反応がなくとも、首に下げたアミュレットハーツが何かに反応したのを彼女は決して逃さなかった。

そしてその反応が部屋の奥からだと気づくとシリエジオは素早く振り向きながら背に背負ったニーゼル・レーゲンを変形させる。

回転式弾倉の大砲と大槍が組み合わさった白銀の銃槍『カノーネ・ランツェ』を左手に携えると大砲の撃鉄を起こし、シリンダーを回転させる。

そして重量のあるカノーネ・ランツェを軽々と振るい槍の切っ先を正面へと突きつけながら見据える。

 

「影に潜むのがお好きの様ですが…顔ぐらいは見せたらどうです?」

 

姿を見せないソレに対して言葉を投げ掛けるシリエジオ。

対する相手は彼女の言葉に反応し、闇に包まれた部屋の奥から姿を現す。

 

「…」

 

言うなればそれはもう一つの姿と言うべきだろうか。

まるで蜃気楼の様に薄っすらと靄を放ちながら、その姿はれっきとした人の形をしていた。

彼女(シリエジオ)と対を成す様に相対するは白く染まったメイド服の女(エージェント)

怪しく輝いた瞳がシリエジオを見ると、白い彼女は嗤った。

待ちに待った食事の時間。その料理がよもや己になるとは誰が思うだろうか。

四肢をもぎ取り、命を乞う様を肴にしながら一つ残さず食してやろうではないか。

さぁさぁ、私ではない私よ。誠に申し訳ないが──死んでくれ。

 

「成る程…」

 

相手が浮かべた笑み。

その笑みから読み取った言葉を理解しシリエジオは頷く。

そしてその直後。

 

「――ではお前が死ね」

 

酷く冷めた声は構えたDⅡの銃声と共に放たれ、刹那シリエジオは地面を蹴りもう一人の自分…エージェント・ミラージュへと突撃を開始するのであった。

 

 

シリエジオが己との殺し合いを始める約十分前の事。

カフェテリアへの方へと来たリバイバーとリヴァイルもまた外へと繋がる扉を見つけていた。

だがここでもそうなのか鍵がかかっており外へと出る事は不可となっており、二人は扉を開ける為の鍵を探していた。

意外にも鍵はすんなり見つかったのだが、問題が一つ起きていた。

それは、鍵を持っていたのが赤い衣服をまとっていたマリオネットだったという事である。

おまけに手に乗った鍵を差し出すような状態を維持しているのだから怪しいほかない。

先へと行くためには鍵が必要。だがあからさまに罠が仕掛けられている。

さぁどうしたものかと悩んだリヴァイルにリバイバーが伝える。

 

「どの道行くしかねぇさ。ここは悪魔どもの巣窟で遅かれ早かれ奴等とはやり合うんだ。戦わず穏便に済ませるのは無理な話だろ」

 

それもそうだなと思いリヴァイルはマリオネットの差し出す手に乗せられた古びた鍵を手に取る。

鍵を取れば突如として動き出して襲ってくると多少なりとも身構えていた訳であるが、その予想とは裏腹にマリオネットが動き出す様子もなければカフェの椅子に腰かけているマリオネットらも動く気配はなかった。

 

「動かねぇな」

 

「だが油断は出来ん。シリエジオをここに呼んで早めに脱出するとしよう」

 

「了解。んじゃ、あいつを呼んで──」

 

そう言いかけた時リバイバーとリヴァイルの間を鋭い形を影が通り過ぎていき、壁に突き刺さった。

壁に突き刺さった影…それは短刀であり、リバイバーかリヴァイルのどちらかを狙って投げられたもの。

そんな物騒なモノを投げてきたのは、先ほどまで鍵を差し出して動かないままの赤い衣服をまとったマリオネット。

まるで意思を有したかのように動き出しており、何処からか短刀を取り出して構えていた。

 

「分かり切った襲撃だな」

 

「ああ。それにシリエジオが向かった部屋から銃声が聞こえる。どうやらあっちもやり合っているみたいだ」

 

リバイバーの耳に銃声が聞こえたのは約数秒前の事であった。

向こうにマリオネットが流れていったのかは分からずとも、向こうにも敵がいることは明白。

この状況下でお互いにフォローし合う事は難しいと認識せざる終えなかった。

 

「この程度で済めばいいんだが…」

 

カフェテリアにいたマリオネットの数は五体とそう多くない。

これならばすぐに駆け付ける事が出来ると思った矢先、リバイバーとリヴァイルは自身の運の悪さを呪った。

 

「毎度毎度ながらというか…運が悪いな、ホントに」

 

カフェテリアと食堂から繋がる出入口から響いてくる木の関節がこすれる音。

それは幾重になって重なれば不快な演奏へと変貌していく。

二人の視線がそちらへと向けば、食堂の天井に吊り下げられていた筈の無数のマリオネット達がゆったりと動きでまるでゾンビの如くカフェテリアへとなだれ込んできていた。

 

「やはり動き出したか。にしても本当にこいつらは悪魔なのか?」

 

悪魔という存在。

リヴァイルからすればこの世のものではない姿をしていると認識していた。

だが実際どうだ?目の前にいるこいつらはれっきとしたマリオネットではないか。

 

「聞いた話じゃ現世で身体を維持できない低級の悪魔が何かに憑依して、それを自身の身体の代わりにして動くって事もあるらしい」

 

「成る程。因みにそれは誰から教えてもらったんだ?」

 

「ルージュだ。悪魔にはどういったタイプがあるのか聞いたら詳しく教えてくれた」

 

リバイバーがルージュから得た情報の甲斐もあって、これも悪魔の一種だと認識するリヴァイル。

そうこうしている内に無数のマリオネット達が襲い掛かり始め、二人は持ってきた装備を手に無数のマリオネット達との戦闘を開始した。

 

 

船内で戦闘が行われているとは知らず、船の船首側のデッキへと退避していたネージュ、アナ、アーキテクト、M16、M1887もまた敵と遭遇していた。

数は計四体と少ないが、その見てくれからして決して油断できない敵だと判断するには数秒も要らない。

 

「マリオネット、か…?」

 

ネージュの言う通り、確かにそれはマリオネットだった。

だがそう判断したのは手足に使われている素材からして、元の姿はそうではないかと思ったに過ぎない。

それ程までに敵の姿は本来の形とはかけ離れていた。

体が大型化した影響か以前までは纏っていたであろう赤い衣服は所々破れ、両腕は肥大化しているも、その先は右手と左手で異なっていた。

まず右手は一本の大きな鉤爪と化しており、魔力が膨大に増えたためか先端からは魔力の刃が放出されていた。

対して左手は特に形は変わっていないものの、手には巨大な斧を装備。巨大な刃には乾いた血が付着しており、今までどれ程の命を奪ってきたのかが伺える。

また自身と同じ存在までも殺し、自己改造の為の部品として利用したのか大型化した木製の腕が背の左右に二本ずつ計四本取り付いており、右手と同じように先端には魔力の刃を放出する鉤爪の姿があった。

そこから見て分かる通り接近戦を得意とするのが容易に判断できよう。

 

【んで…あっちはどうなってる訳?見た感じ、ただの手じゃない】

 

【だとしても悪魔には変わらないですよ、ティア】

 

アナの中でティアが言ったようにもう一体の悪魔は何故か手を模った形をしていた。

二つ並んだ頭、歪な形状へと化した身体を上下反転させ、伸ばした首と巨大化した両手足を指に見立てて展開し宙を浮かんでいる。

接近戦を得意とする悪魔の様に同じくこちらも接近戦を得意とするのかと言われればそれは違っており、両手足の先端には巨大なライフルを二つ並べた火器を装備していた。

またそれだけでは留まらないのか、二つ並んだ頭の内、目はないが口を大きく開いた頭からは銃口ような物が飛び出している。

手を模っていながら遠距離攻撃を得意としている辺り、接近戦を得意するあの悪魔とコンビを組んでいる事が分かると言えるだろう。

コンビを組むことでお互いをフォローし合う二体の悪魔『マリオネット・インサニア&マリオネット・テネブラエ』。

それが二組存在し、一組はアナ、アーキテクト、ネージュを、もう一組はM16とM1887を狙っている様子だった。

 

「どうやら分断が目的みたいだな?」

 

「でしょうね。さて…初めての悪魔戦、どうしたものかしらね」

 

M16とM1887からすれば初めて戦う事となる存在。

装備している武装からして、どういった戦い方をしてくるのかはある程度の想像は出来る。

だが確信はしてはならない。悪魔という非常識な存在がその程度で終わる筈もないのだから。

 

「指揮官がくれたデバイスがあるだろ?」

 

「それ込みでどうしたものかと言ったのよ。けど、そうね…使う他ないわね」

 

寧ろその為に持ってきたのだ。

でなくては、これを持ってきた意味はない。

悪魔という非常識な敵を相手取る準備が出来たM16とM1887ら。

一方でアーキテクトは持ってきていた携帯火器を構え、アナは静かに幻影を抜刀する傍らでネージュはコートの懐から、片面しかないピエロのフェイスマスクを取り出す。

見てくれは普通のフェイスマスクであるが、その実態は高性能のセンサーマスクであり、それを顔の右半分に装着した時、ネージュは静かに呟く。

 

「始めよう」

 

その台詞に背負っていたガンケースが反応、弾けるかの様に中身が飛び出し、ネージュの体にへと装着されていく。

そしてそこに現れるは歩く弾薬庫とも言える装備【パトローネ】を纏ったネージュであった。

だが以前とは違い、どうやら改造が追加されている様であり、背部ユニットには一時的な飛行を可能とするバーニアノズルが取り付けられ、同じく背部ユニットに装備された円柱型の複合火器『ヘイトリッド』の下部側である八銃身のガトリング砲を内蔵した武装がもう一基追加。

また背部ユニットのアームを通して体の側面側へと配置されたミサイルコンテナには、発射口を塞ぐ部分である開閉カバーを武装として改造したのか、各カバーの内側にミサイル四発内蔵。

どう考えてもやり過ぎではないかと思えるも、それを口にする者は悲しい事に誰一人とていない。

 

「やり過ぎても文句言わない事だ」

 

その台詞が開戦を知らせる合図となったのだろう。

幻影を構えたアナは地を蹴って突進し、アーキテクトはアナの援護を開始。

そしてネージュは両手に携えた連装ガトリングガン『ジェラシー』を構えると引き金を引く。

M16とM1887も渡された戦闘用デバイスを起動させ、己の姿を変えると攻撃開始。

船の船首側のデッキが荒れ狂う踊場へと化したのはすぐそこの出来事であった。

 

 

「銃声…!」

 

船首側のデッキから銃声が聞こえたのだろうか。

試験者 支援型と蛮族戦士と共に船尾側へと撤退していたM14はその音を耳にして、その方向へと向いた。

AUGパラ、アヤトルズの三人にもその音は聞こえていたらしく、全員がその方向へと向いていた。

援護に向かわなくては。

そう決心するM14であったが、援護に向かう事が出来なくなるのはその直後であった。

 

「M14、そこから下がって!」

 

「え!?…ッ!!」

 

AUGパラが叫び、驚く様にして反応したM14は自身が気づかぬ内に足元に広がっていた禍々しい光を発した紋章の様なものに気づき、後ろへと跳躍し後退。

何かが出てこようとしている。そう思うのは決してM14だけではない。

だがこの感覚だけはM14は知っていた。

ここから出てくる敵が発する禍々しい感覚。

何よりもその存在がかつてS11地区後方支援基地にて悪魔へと成り果てたあの指揮官と比べるまでもなく強大な存在である事を。

そしてその通りと言わんばかりに紋章から飛び出すは巨大な腕。続く様にもう一本現れ、そしてそれは現世へと姿を現す。

湾曲した一対の角。体からは炎を発し手には巨大な大槌を有し、恐ろしい瞳がそこに居る者らを睨む。

元々それは悪魔などではなく、猛火で熱した炉であり罪人を焼き殺す刑具であったのだが悪魔へと成り果てた。その悪魔の名も『フュリアタウルス』である。

 

「な、なんだよこいつ…。こいつも悪魔ってやつなのか!?」

 

これで二回目となる悪魔の登場に狼狽えるトビー。

ジン、ハク、AUGパラも同じ反応を見せる中でM14はこの手の事はS11地区での戦いで経験済みなのか慌てる様子すらなく、トビーの台詞に答える。

 

「悪魔といっても全部同じ形をしているという訳じゃないの。小型もいれば大型のも居たって不思議じゃない」

 

だとしてもこの場での登場は余り望んではない。

胸の内でM14はそう呟く。

船尾側のデッキは人からすれば十分な広さだが、巨体を誇るフュリアタウルスからすれば狭い。

加えて炎の様に燃え盛る大槌の範囲を考えれば、この場での戦闘は余り好ましいとは言えない。寧ろ避けるべきなのだが、追い打ちをかけるかのように周囲が血のような壁に覆われ、退路を断たれてしまう。

 

『手早ク仕留メル。援護 ハ 任セテ貰オウ。…蛮族戦士、お前 モ 行ケルナ?』

 

「トウゼン ダ」

 

なってしまった以上は仕方ない。

それに悪魔とやり合うという事はこの調査に乗り出した辺りから覚悟していた事。

それが悪魔であろうと、何であろうと叩くまで。

己を鼓舞し、自身を同じ名を関した銃を構えるM14。

 

「全員構えて!アレを倒すよ!」

 

それが号令となり、彼女、彼らは装備する武器を強大な存在へと突きつける。

そして放たれた一発が熱を持って猛火の巨人へと立ち向かう。

空に舞うは空の薬莢。では地に崩れるはどちらだろうか?

知り得る方法はただ一つ。そこに残った者だけが誰かということであろう。

 

 

分断された先で敵との戦闘を開始した者達が居る中、魔人化したギルヴァはアイソマー、M4、グリフォーネを抱えたまま船の最下層部分に降り立った。

彼が着地した事により三人は彼の元から離れると助けてくれた蒼い悪魔へと視線を向ける。

 

「…」

 

つい先ほどまでれっきとした人だった筈だ。

だが今そこに立っている彼は誰だ?

そんな感情を抱きながらも理解が追いつかないグリフォーネ。対する魔人化を解いたギルヴァ…いや、彼の中に存在する蒼はグリフォーネを見た後に何かを思ったのか口を開いた。

 

―へぇ?こいつは面白れぇな。中身と外見がどういう訳か別々になってやがる、このグリフォーネっていうお嬢さんは

 

(そうなのか?)

 

―ああ。どうしてこうなったかは分からねぇが……アレか、輪廻転生を司る神様でもあってきたのか?

 

(…)

 

―おっと興味ねぇって感じだな。ならこの話題は終いにして、あのクソ野郎を探そうぜ

 

クソ野郎。

蒼がそう言う相手とは、先ほど姿を見せた髑髏の騎士の事を指していた。

それを分かった上でギルヴァは疑問に思った。

アレと蒼。どういった関係があるのかと。

そしてそれを察していたのか、蒼はギルヴァへと告げた。

 

―ちょっとした知り合いでな。あれの正体は伝説の魔剣士に剣技を教わった弟子の一人なのさ。

 

蒼の知り合い。

何も考えなしに聞けば、それだけで済むだろうがギルヴァは違った。

 

(では何故アレは俺とアナを見て伝説の魔剣士の名を口にした?)

 

―…

 

次々と浮かび上がってくる謎。

ギルヴァに問われたとしても蒼は語ろうとはしなかった。

何故ならばそれこそが自身に関わる話であるのだから。

故に語れない。いずれ語ると決めた上に、今語るべきことではないのだから。

しかしそのまま沈黙というのは蒼としても気まずかったのだろう。

己の事を話す代わりに、髑髏の騎士が背に展開していた内の一振りの剣について話す事にした。

 

―答えにならねぇが、その代わりにこの情報で手打ちにしてくれ。…ギルヴァ、あの騎士が背に展開していた剣の中で一本だけ違う形をしていたのは気づいていたか?

 

(気付いている。あれがどうかしたか)

 

―あの剣は伝説の魔剣士の力を宿したモンでね。魔界のどっかに置かれていたみたいなんだが…

 

(あれが見つけて持ち出したという訳か)

 

―ああ。今の所、力は解放されてねぇみたいだがな…

 

そこから先はギルヴァも蒼も言わずとも分かっていた。

その力とやらが解放されてしまえば、生きて帰る事は出来ないと言う事も

急いでアレを倒さなくてはならない。事態はよろしくない方面に進んでいると理解した矢先、ギルヴァは素早く後ろへと振り向いた。

彼が振り向いた事により、アイソマー、M4、グリフォーネも彼が振り向いた方向へと視線を向ける。

暗闇の奥で蠢くナニカ。今はその影しか認識できないでいた三人だが、つい先ほどまで落ちていた灯りが復帰し、蠢く影を照らす。

そこに居たのは女体部分に加えて無数の触手を有した悪魔であり、水を好む性質を有する。

極東にはこれと似た姿を持った女神が存在すると言われるもその関係性が謎に包まれた悪魔…それが『ジョカトグゥルム』という名の悪魔であった。

 

―面倒な時にやって来たもんだが……行けるな、ギルヴァ?

 

(問題ない)

 

無銘の鯉口に親指を押し当てた後、抜刀するギルヴァ。

それに続く様にアイソマー、M4、グリフォーネも武器を構える。

対するジョカトグゥルムは武器を構えた彼、彼女らを威嚇するように叫ぶ。

が、それに臆する訳がなくギルヴァが突撃したと同時に開幕の火蓋が切って落とされるのであった。




という訳で今回は敵との戦闘する直前を描かせて頂きました。
なので、敵の詳細をここで説明させて頂きます。

【マリオネット】
:DMC1に登場。
現世で身体の維持が出来ない低級の悪魔がマリオネットに憑依したもの。
赤、青、緑、水色、灰色と着ている衣服は分かれ、装備する武器も短刀、半月刀、或いはショットガンだったりもする。
また赤い衣服を纏ったマリオネットは別名『ブラッテイ・マリー】という名を持ち、殺した人間の返り血を浴びた事により、性能が強化。
耐久力は上昇し、相手の攻撃を防いだ後反撃したりするなど行った行動をする。

【マリオネット・インサニア&マリオネット・テネブラエ】
:二人一組のコンビを組む悪魔。
元々はマリオネットと言われる悪魔であったが、更なる力を求めた事により変異した個体。
ブラッティ・マリーよりも遥かに高い耐久力と防御力を有する。

【フュリアタウルス】
:
DMC2に登場。
大きな槌を振りまわしたリ、突進や火炎放射など繰り出す。
耐久力、防御力、攻撃力…いずれも油断できない相手。

【ジョカトグゥルム】
:DMC2に登場。
何度でも再生する触手を振り回したり、毒を吐いたりする悪魔。


エージェント・ミラージュ戦、またジョカトグゥルム戦はこちらの方で描きますが…他は申し訳ないですが、お願いいたします。
何か分からない事があればメッセージを下さい。
返信は遅れますが必ず返しますので。

またこちらからも分からない事があればメッセージを送信致しますので、何卒宜しくお願い致します。
ではではノシ
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