もっと頑張らなきゃ…
さて「Act11 悪魔と踊ろう」どうぞ~
迸った雷撃と雷鳴。
その一撃はグリフィン本部に襲撃を仕掛けてきたアンジェロの顔面に叩き込まれ、防衛に出ていた人形達はその状況に戸惑いを見せていた。先程まで攻撃が大剣をよって防がれ弾薬も尽きそうになった所で、それが起きたのだから無理もない。ただ何人かの人形は空から黒いコートの男が降ってきたのを目撃しており、周りと同じ様に戸惑いつつも銃を握る手だけは緩めずにいた。その銃口を向かい合う二人に向けて。
「…」
片方は騎士の鎧の様な甲殻に包まれ、岩の様な外観を持ちながらもその一撃は決して侮れない大剣を手にしている人間の様な何か。
「…」
そしてもう片方は黒いコートを纏い両手足に付けている籠手と具足からは電が激しく放電されており、現代の技術では作る事は無理であろう武器を装備している男。
注視されている中、両者は一歩も動こうとはしない。
お互いに睨みを効かせるだけ。しかしそれがかえって異様な雰囲気を作り出し、物陰から二人を見つめる人形達は一言も発せずにいた。それ程までに二人が生み出す圧が戦場を支配していた。
風が吹く。
それを合図に両者が歩み始めた。
ブーツの底が当たる音が、外殻の底が当たる音が狭い空間に居る訳でもないのにその場に大きく響き渡る。
両者の距離が一歩ずつ縮まっていく。片や大剣を構え、片や拳を作る。
何時ぶつかってもおかしくない。彼女達も静かに見守る。
次の瞬間。
「「ッ!!」
二人の姿が掻き消え、目にもとまらぬ速さでお互いの獲物をぶつけ始めた。
刃がぶつかり、雷を纏わせた拳が飛び交う。火花は何度も散り、剣風が吹き荒れ衝撃波にすり替わる。
その衝撃波は離れで見ていた人形達の所までに届くほど。
「あわわわわ!」
「ひゅー♪すげぇリズムじゃん!」
「言ってる場合!?あんたも下がって!!」
「引けー!引けーッ!!」
身の危険を感じ後退していく人形達。約一名、おかしなことを言っていたが近くにいた仲間に引きずられ下がっていく。周りが引いている事を知らない当事者達は全力をぶつけあっていく。激しさは段々と増していき、あろう事か二人を中心に軽い竜巻まで発生しかけていた。
「ヌウッ!」
振り下ろされる大剣。
ギルヴァは籠手で受け流して、回し蹴りを叩きこむがアンジェロはその場から飛び下がり攻撃を回避。
つかさず追撃に入るギルヴァ。瞬間移動技「エアトリック」で一瞬で距離を詰めてアンジェロの頭上へ移動すると同時に目掛けて流星の如く蹴り「流星脚」を放つ。
彼を叩き落そうとアンジェロは大剣で切り上げようとするが、既に遅し。
「ふっ…!」
降ってきた一撃は胴に叩き込まれ、外殻に罅が入り、あろう事かギルヴァは再度流星脚を連続して叩きつけた。
一回、二回、三回、四回…。
体を足場にされ跳躍から繰り出された蹴りはアンジェロを確実によろけさせるが、彼もこの程度でやられる様な悪魔ではない。
「調子に乗るな…!」
即座に体勢を立て直し、彼は大剣を大きく振るいギルヴァの攻撃を受け止める。そしてそのまま力の限りでフルスイング。吹き飛ばされるギルヴァだが、何もなかったかのように地へと着地。構えを取りつつステップを踏んでいく。そんな彼を見てアンジェロは思った。
相対している奴は只の人間ではない、と。
フードゥルと同じ様に作られた悪魔であるアンジェロ。その実力は本物で決して弱い訳ではない。
だが自分と対等に渡り合える人間がいるとは思ってもいなかった。
下手すればやられる。繰り出された蹴りも下位の悪魔なら一発で消滅してもおかしくない威力だった。
それが何度ももらえば自分も消滅は間逃れないだろう。だが彼にはどうしても成さなければならない事があった。
(この俺を始末しようとしたあいつを…)
浮かぶは精鋭部隊の隊長の姿。視力を失い、暗闇しか見えない体になった全ての原因。
湧き上がる怒り。
それに呼応するかの様に大剣から紫焔が発生。まるでアンジェロの怒りを表しているかの様に激しく燃え盛る紫焔が大剣を包み込み、岩の様な無骨な大剣は紫焔を纏うものへと姿を変えた。
「…」
その光景を眺めていたギルヴァも、アンジェロの様子が変わった事を受けてフードゥルの電をより激しくに発生させた。
腰を落とし、腕を真っ直ぐ引く。ジェット噴射の様に電が放電される。
対するアンジェロも大剣を大きく振るい、それを両手で構え突き立てる。
「…」
「…」
睨み合う二人。
恐らくこれ以上にない衝撃波が飛んでくるといち早く感じ取った一部の人形が大きな声で周りに叫んだ。
「全員避難してッ!!!デカいのが飛んでくる!!」
「避難ってどこに避難するの!?」
「デカいのが飛んでこない所までよ!!」
「そんな無茶な~!」
慌ただしく避難する人形達。
いつあれがぶつかるか気が気でない。下手すればこの後かも知れない。
それ以前にこちらの事を全く考えず、派手にドンパチやり始めた当事者たちに文句を言いたげな人形も居ない訳ではないが、身の安全を守るべく本部内へと退避していく。
その間でも二人は動こうとはしない。まるでそれは彼女達が完全に退避するのを待っているかの様に。
そしてその場から人形達が完全に退避したのを感じ取った二人は、勢い良く地面を蹴り突進した。
「「はあああああっ!!」」
最大放電で放たれる右ストレート。紫焔を纏い放たれる全力の突き。
それらが今ぶつかった。
全てを揺らす程の衝撃と轟音が響き渡り、ぶつかった衝撃で本部のガラスが砕け散る。
一歩も引かないギルヴァとアンジェロ。互いに押し込み合うが攻撃が弾かれ、隙が生まれる。
その隙を見逃さないと言わんばかりにギルヴァは片足を上げて百裂脚を、対するアンジェロは突きを繰り出す。
まるで無数の脚と無数の剣がそこにあるかの様に素早く放たれる脚と剣のラッシュ。
今でも十分速いのに、二人は繰り出す速度は一弾を速めた。まるでそれはマシンガンの連射と並ぶ程に。
どちらが持つか耐久戦へと発展し、二人は攻撃を繰り出す事を止めない。
「…!」
「何…!?」
蹴りを放っていたギルヴァが突如としてその行動を中断し、アンジェロの懐へと飛び込んだ。
今から大剣を構え直そうとしてもその巨体さが故に攻撃を防ぐ事はできない。
彼はゆっくりと腕を引きつつ、構えを取る。
(外殻ならば…!)
だがそれは大いに間違っていた。
以前にもギルヴァは堅牢度に優れる物を殴り上げている。
その時は素手で行われたものだが、今回は悪魔が姿を変えて武器に転じたもの。
つまりどういう事かと言うと…
「受けろ…!」
アンジェロの腹部に目掛けて放たれたボディーブロー。
その一撃は外殻をいとも簡単に砕かれ、めり込まれる。
重い一撃を受けたアンジェロが前のめりになった所に顎に目掛けてアッパーが炸裂。
そのまま宙へと打ち上げられた所に追撃する様に膝蹴りが再度顎に炸裂した。
「かはっ…!」
魔具フードゥル、そしてフードゥルの持つ力…帯電によって倍増した攻撃力。
そこに加わるリアルインパクトという大技。その一撃は悪魔の外殻だろうと何だろうと…
「容易い」
砕かれるのである。
宙へと打ち上げられたアンジェロ、そして宙へと舞い上がったギルヴァ。
リアルインパクトの一撃により弱ったアンジェロに彼は体を勢いつけて回転させる。
切り刻むかの様に月輪脚。勢いを殺さず、そのまま踵落としが叩き込まれ、アンジェロは手から大剣を離してしまうと同時に地上に叩きつけられる。手放された大剣を掴んだギルヴァはそれを振り下ろし、急降下。
「寝てろ!」
とどめと言わんばかりにアンジェロの体に斬撃が浴びせられた。。
「…」
動く気配がない。
大剣から手を離すもギルヴァは警戒を解かない。
アンジェロの足先から段々に粒子へと変わっていく。その時辛うじて息があった彼が呟く。
「この…様な…場所で…」
「…」
「復讐を…復讐を……奴に…」
復讐と言う言葉を聞いた時、ほんの少しだけギルヴァは同情した。
自身も理性を失いかけていたとはいえ、復讐を身を投じた事があるのだから。
そして思い出す。フードゥルがアンジェロと敵対しているという事を。
つまりアンジェロが復讐を果たしたい相手とはフードゥルの事でなかったのか。だが彼からはその事が語られていない以上それを知る事はない。しかしどの様な理由があれど敵対した事には変わりなく、容赦も情けも要らない。
誰が落としてしまったのか、ギルヴァは落ちていた銃を拾い上げ撃鉄を起こす。
そしてその銃口を虫の息であるアンジェロにへと向けた。
「どの様な理由があれど、貴様がここに来たのが敗因だ」
引き金に指をかけられる。そして…
「失せろ。この世界に貴様の居場所などない」
彼はアンジェロに最後の止めを刺した。
乾いた銃声が響き渡り、薬莢がアンジェロが寝ていた場所に転げ落ちる。
まるでそれが墓標だと言わんばかりに。
のちにこの一件は自然災害ならぬ悪魔災害と称される事になる。
その理由としてはグリフィン本部の窓ガラスが全て砕け散った事と、本部前の広場が跡形も残らぬ更地になった事。また当事者達のせいで何人かの人形が衝撃波は吹き飛ばされる等といった理由で「悪魔災害」を名付けられる。しかしギルヴァという男が居なければ今頃どうなっていたのかと言う声もあり、この「悪魔災害」という名に関しては未だに議論が繰り広げられているらしいが、この時の事について本人はこう語っている。
どうでもいい、と。
魔界の精鋭部隊の副隊長だから連続突き出来ても可笑しくないよな?(威圧
魔具のフードゥルですか、イメージとしてはDMC3に登場したベオウルフ。
またアンジェロに関してはDMC5に登場したプロトアンジェロをイメージしていただけたら幸いです。
そろそろお店の開店と、ヤンデレを出さないとね…。お店の名前どうするかな…。
??「作者さ~ん。まだ私の事お迎え……シテクレナイノ?」
作者「ヒエ…」
じ、次回お会いしましょう!