Devils front line   作:白黒モンブラン

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晴れ晴れとした空の下。
代理人の武器を求めるべく、店を休業しギルヴァ達は行動していた。
元より浪漫系武装が好きだったりするギルヴァは少しだけ胸を弾ませていた。


Act18 お宝探し

晴天。

雲一つなく、緩やかな風が吹く。

そんな心地の良い天気の下、舗装されていない道をバンが駆けていく。

運転先には代理人が、荷台にはフードゥル、そして自分は助手席に座り、外の景色を眺めていた。

自分達はS-10地区内にある破棄された兵器工場を目指し移動していた。それは運転している代理人の、今後必要となる武器を見つける事。本人の希望としては鈍器が良いというのだが…さて希望に沿う様な物があればいいのだが。

揺れる車内で、静かな一時を楽しむ。雲一つない空がとても美しく見え、そして少しだけ過去を振り返る。

それはまだ自分と妹が母と出会う前の話。

オンボロの小屋で二人してその空を眺めていた事があった。今の様にそよ風が吹いていて、只々静かに空を眺めていた。決して裕福ではなかった…だが妹と共に空を眺める時間は幸せだった。

妹と出会う前はずっと一人で眺めていたから。だからこそ誰かが居る幸せはより強く感じられた。

母と出会い、いつしか三人で空を眺めていたな。自分の隣には母と妹が居て…。

思えば今まで幸せと感じたのはその時だったかもしれない。

そして今の自分は…心のどこか寂しがっている。今でも心に穴が空いた感覚を覚え続けている。

何時しかそれが埋まる時が来るのだろうか…。先が見えぬ不安が少しだけ自分の背に圧し掛かる。

 

「見えました」

 

目的地が近い事を知らせてきた代理人の声により、考える事を止めにする。

考えれば考えるだけ不安が圧し掛かる。ある種現実逃避と言っても差し支えない。だが今はそれをしたって許してくれるだろう。…悪魔だってそうしたい時があるのだから。

 

一つ目の目的地に到達。

フードゥルが言っていた通り、人が住んでいる様子は感じられない。破棄された建物という事は理解出来るが…これが兵器工場とは限らない。建物内を見てみないと分からないものもある。

バンを降りて建物の出入口を向かうが、扉は固く閉ざされていた。しかしこの程度破れない訳がない。無銘で扉を切り開き、内部へと侵入する。

エントランスに到着するとそこでは明かりが灯っていた。

 

「驚いたな。電気が通っているのか」

 

「みたいですね。これならお宝さがしも楽になりそうですね」

 

「そのようだな」

 

さて…久しぶりの楽しい楽しいお宝探しの時間だ。

 

―程々にな~。

 

 

 

 

「これで5件目…まさかこんな事になるとは」

 

「予想はしていたが…ここまでとはな」

 

―むぅ…

 

どんよりとした空気が揺れる車内を包み込む。

何故こんな雰囲気になっているのか。結論から言おう…

 

「全て破壊されていたとはな…」

 

そう。自分達が現地へ行った時は破棄された兵器はすでに破壊されていた。

誰かに取られる可能性があるなら、前もってから破壊しておく方がいいと思ったのだろう。

原形すら残らない程、入念に破壊されていた。

予想はしていたが、こうも連続すると気分が滅入るのも無理ない。

このまま最後の目標へと向かっているのだが、正直期待できずにいた。

暫くは現地調達品で何とかして貰うか…あまり使っていないレーゾンデートルを一時的に彼女へ貸し出すか。

そのどちらかを選択しなければならないだろう。

 

「見えました。あれで最後ですね」

 

「ああ。何かあればいいのだがな…」

 

「ですね…」

 

目的地近くにバンが止まると車内から降りる。

固く閉ざされたドアを無銘で切り開き、内部へと侵入。

電気は通っていないが、非常時の電力が動いているらしく薄暗いが見えない程ではなかった。

近場にあった建物内の見取り図を見ると、兵器の保管庫は地下五階にあるみたいだ。

 

「さて…当たりか、それとも外れが出るか…」

 

そのまま代理人達と共に地下五階を目指して歩き出す。

望みは薄いが…何かあってくれると嬉しいが…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは…ライフルですかね?」

 

地下五階にあった兵器保管庫にて。

漸く当たりを引き、無数ある武器の山の中から面白そうなのを探っていると他を見ていた代理人が呟いた。探るのを中断し、代理人の元へと向かう。因みにだが、フードゥルはバンで待っているとの事らしい。

彼女がみていたのは机の上に置かれた一丁のライフル。しかしその大きさはとてもライフルとは思えない。

どちらかと言うと砲といった方が良いかも知れない。

 

「形はな。だがこいつの口径が違うと物語ってる」

 

「みたいですね」

 

そう言いながらそれを手に取る代理人。

彼女の身長を超える程の長い銃身。銀色に輝く銃身は折り畳み式らしく、下部にバイポットが備え付けられている。これは作った人物は何を想定していたのか。生きているのであれば、是非とも聞いてみたいものだ。

 

「見る限り…口径は29mmですね。専用弾倉には三発。装填方法はボルトアクション」

 

「実用性もあったものではないな」

 

「ええ。ですがこれだけ大口径の弾を撃ち出す為に、かなり頑丈、そして重たく作られていますね。例え弾を切らしたとしても鈍器としても使えそうです」

 

「本来撃つ為の物を鈍器として振り回される…。開発者もそこまでは想定していないだろうな」

 

「ですね」

 

「それで?持っていくのか」

 

「ええ。当然です」

 

「だろうと思った」

 

少し呆れつつも、自分は別の場所へと移動する。

近くの部屋へと入ってみると、そこには何かの装置がポツンと置かれている。

独自の電力を保持していたのか、装置の照明は灯ったままだ。

 

「ん…?」

 

銃の形を模った台が装置から飛び出ている。見る限りリボルバーの形をしているが…これは?

下手に触れる訳に行かないので、装置を後回し。すると装置横に置かれてあった一枚の手紙を発見する。

それを手に取り、読んでいく。意外な事に手紙に記されていたのは、自分が持っているレーゾンデートルの事であった。内容はこのような物であった。

 

〈しくじった。よりよってあの銃を…レーゾンデートルを忘れてくるとは。アレがなければ更なる段階へと進めない。この装置もその為に作ったと言うのに…。このまま諦めるしかないのか?いや…諦める訳にはいかない。私は一度戻ろうと思う。もし用があれば、メモなり何なり残しておいてくれ。後、装置とアレには触れないでくれ。私からの願いだ〉

 

「名前は記されていない…。だがここに居ないという事は…」

 

―まぁそういう事だろうな?

 

「らしいな…」

 

この装置がレーゾンデートルに関するものだとして…アレとは一体何だろうか?

今の所、それらしきものは確認できないが…。

取り敢えずこの装置の方を動かしてみるとしよう。

台にレーゾンデートルを置くと、置いた事が確認されたのか台は装置の中へと収納された。

そしてそのまま何かが動き出した。どうも何かを組み立てている様な音だが…。

装置内で何が起きているのかわからないまま、数分が経った。

壁に凭れて待っていると収納された台が再度飛び出てきた。近づいて見てみると、そこにレーゾンデートルではないリボルバーの姿があった。

いや…レーゾンデートルの面影はあるのだが、依然と比べかなり大型化している。

銃身が二つになっており、シリンダーが大型化されている。

何故ここまで大型化されているのか、気になってシリンダーを出してみると目を疑った。

 

「薬室が12…!?」

 

―トンデモ銃に大進化だな?銃身は二つ、装弾数は12と来た。こんなものを扱える奴なんてお前位だろうな?

 

「かもしれない。…一体どんな構造になっているんだ…」

 

寧ろこの構造を考えた開発者はとんでもなく天才なのでは?

普通であればこんな事は不可能であるというのに。

だが出来てしまう…。執念か、あるいはこれを完成させたいという意地か。

どちらにせよ有難く頂戴しよう。

進化したレーゾンデートルをホルスターに納め、部屋を出て行こうとすると室内の奥の壁が横へとスライドし、隠された部屋が姿を現した。

そこに物色を終えた代理人も合流。隠された部屋へと近づき、そこにあったものを手に取る。

六角形状の銀色のガンケース。武器ではなさそうだと思いながらも何か違うと勘がそう告げてくる。

 

「これは一体?」

 

「分からん。だが只のガンケースとは思えん」

 

代わり代理人がそのケースの持ち手を握った途端、突如ケースから起動音が響き、青い光を放ち始めた。

 

「ッ!!」

 

「代理人、手を離せ!」

 

しかし間に合わず、ケースは変形。彼女の右腕にへと纏う様にその姿を変えていく。

どうする…強引にでも腕を斬るしかないか!?

 

―ッ!待て!ギルヴァ!その必要はなさそうだ。

 

何…?

 

蒼の制止を受けて無銘を引き抜こうとした手を下ろす。

良く見ると彼女が苦しんでいる様子は見受けられない。至って平然としている。

そうこうしているうちに変形が完了したのか、あのケースは全く違うものへと変貌していた。

 

「成程。あのケースは、可変式腕部一体型武装という訳ですか。通常形態はガンケース。そして攻撃形態に移行する際は…」

 

冷静に呟く彼女を見て、目を見開いた。

右肩から右手全体にかけて、銀色の装甲に包まれて肘から先は砲身になっている。

 

「レールガンになるそうですね」

 

「分かるのか…?」

 

「ええ。最初は驚きましたが、データが転送されてきたので。どうやらこの武器は人形が使用する前提で作られたそうです。ただ余りのコストの高さにこれだけしか製作されなかったみたいですね」

 

「まぁ…その様だが…。大丈夫なのか?痛みとかないのか?」

 

「いえ、特には。心配してくれて感謝します」

 

するとレールガンは彼女の意思を受けて姿を通常形態であるガンケースへ戻っていった。

罠かと思って焦ったが何事もなく良かった…。

安堵していると、見ていた代理人が静かに笑った。

 

「貴方様でもその様な表情をなさるのですね?」

 

「…変ではないだろう」

 

「ええ。寧ろその様な一面を見れて嬉しく思います」

 

「そうか。…自分も心だけは人間なのでな」

 

背を向けてその場を後にする。

…少しだけ恥ずかしかったとその思いは胸の中でとどめておくとしよう。

 

 

 

 

これは結果報告になるのだが、あの兵器工場から持ち出した武器がこちらになる。

 

:29mm対化け物(恐らく)専用超大型狙撃銃 silver bullet(シルヴァ・バレト)

 

:ガンケース型可変式腕部一体武装 Niesel regen(ニーゼル・レーゲン)

 

:45口径リボルバー(恐らくニューモデルアーミーの外観をしていながら中身が別物のリボルバー)

 

:対装甲用超近距離射突ブレード(伸縮性の杭の先端には成型炸裂弾を装備したパイルバンカーだと思われる)

 

以上が、持ってきた武器となる。

リボルバーに関しては自分が扱う事になる。名前は付いていないので自分で付ける必要がありそうだ。

またシルヴァ・バレトとニーゼル・レーゲンは代理人自ら、使うと言ってきたので以後この二つは彼女用となる。

射突ブレードに関しては…流石に分からない。一応持ってきたのは良いが…さてどうしたものか。

それも今後考えなくてはならないと思いつつ、代理人の運転の元、店へと戻っていた。

時はすでに夕暮れ時。段々と陽が落ち始め、橙色の空が広がる。

そう言えば…妹は雨以外にもこの夕焼けの空が好きと言っていたな。

あの時、好きかどうかと聞かれた時答えを返せずになってしまったが、今なら言える。

 

「俺も…夕焼けの空が好きだったよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カエデ」




と言う訳で、レーゾンデートルの進化。新たなる武器を出しました。
詳細に関してまた紹介しますので何卒ご容赦を。




また活動報告でコラボ等について、投稿しました。
と言っても、フリー素材である事と使いたかったら一言下さいという内容ですけどね。

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