Devils front line   作:白黒モンブラン

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語られる全て。元凶の悪魔。そして…




以前投稿した時はお気に入り登録者数が365だったんだが…
おかしいな、400超えてるだと…?
お気に入り登録した理由は?
DMC?それともヤンデレで?もしくは両方…?
誰か答えてくれ…。
それは兎も角…
本当にありがとうございます(涙


Act36 災厄

全てを知っていると語るグリフォン。

発端と理由、そして今回の首謀者を知る為に彼らはバンに戻ってから話を聞く事にした。

ジュークボックスを足場にし、グリフォンは全てを話し始めた。

 

「まずは今回の首謀者の事についてだ。俺を魔界から無理矢理人間界に連れてきたのはアルフェネスだ。魔界じゃ魔術で右に出る奴はいないとされる程の実力者さ」

 

ギルヴァ、ブレイク、代理人にはアルフェネスがどういう奴なのかは知らない。

だが蒼とフードゥルは魔界出身である為、アルフェネスと呼ばれる悪魔を知っていた。

 

(アルフェネス…。あの閉鎖的魔術師か…。何故この様な事を…)

 

(あいつか…。一度会った事はあるが大胆な事をやらかす様なタマだったか…?)

 

「魔界のお家で引きこもってればいいのによ。あいつ、どこで知ったのかこの町で封印された悪魔を復活させようと考えたのさ。理由は一つ、その悪魔の力を自分の物にする為にな。で、あいつはこの町に降り立った。だが目的のその悪魔を封印されていた。だいぶ強力な封印だったらしいんだが、ある日になってその封印が弱くなっている事に気付いた」

 

「この町の人間どもは何をとち狂ったのか若い娘を人柱にしていた。恐らく封印をより強固なものにしようと考えたんだろうが、返ってそれが封印を弱らせる原因となった。人間丸ごと放り込んだ所でそれは力を付けさせる様なものさ。全く人間ってのはどうして余計の事をしたがるもんかねぇ」

 

事の発端は人間から始まっていた。それはどうあがいても変えられない事実。

しかし悪魔がこれ以上人に害を成すというのであれば、ギルヴァらは動かざるおえない。しかし悪魔が皆全てそうという訳ではない。かつて相手してきた悪魔 ヴァンギスとは違い現にここには罪のない人に害を成す事なく寧ろ「人」や「人形」を愛する悪魔(ギルヴァ)がいるのだから。

 

「そしてアルフェネスはある手段に出た。例えそいつが復活したとしても力が弱いままでは意味がない。ならばこの町で過ごす人間を養分として捧げる為、ご自慢の術を使って捕え、養分として与えた」

 

町の人間の謎の失踪の真実を告げられた時、ブレイクは少しであるが体を反応させた。

やっていた事も決して許された事ではない。それでも彼は今回の元凶を討つ気でいた。だが彼らもこんな事を望んでやった訳ではない。悪魔という存在に人生を、己を狂わされた被害者なのだ。そして町の住民は悪魔の復活の為に養分として捧げられた。捧げられてしまった者達の悪夢は今でも続いている。その悪夢から解放するためにもと彼は決意する。例え刺し違える形になったとしても。

 

「それからはというもののあいつはこの町の真ん中に存在する大聖堂を拠点に封印を解こうとしている。どれくらい進んでいるのか知らねぇが、猶予もあるとは言えねぇ」

 

だから移動はしてた方が良いぜ、と告げるグリフォン。それを聞いたギルヴァは傍に立っている代理人へと視線を送る。その意図を感じ取った代理人は小さく頷き、運転席へと向かいバンのエンジンを掛けた。

今居る地点から大聖堂に向かうのであればブレイクの案内が必要になるのだが、代理人に抜かりはなかった。図書館で調べものするついでにこの町の全体の地図を記録しており、後は大聖堂までの最短ルートを割り出すだけであった。流石はハイエンドモデルというべきだろう。最短ルートを割り出した代理人はペダルを踏む。

走り出したバンの車内で、グリフォンは言葉を続ける。ギルヴァ達には話さなければならない事があるのだ。

 

「そしてアルフェネスが復活させようとしている悪魔の事だ。何故そいつが、と思う所はあるが伝えておく。そいつは魔界では"覇王"と呼ばれていた」

 

「何…?」

 

"覇王"と聞き、そう呟いたのはフードゥルであった。

心なしか声は震えており、その目は見開かれていた。フードゥルからすれば何故その者が、と言いたくなる程であった。もしその悪魔が自分が知る悪魔だとするのであれば、ギルヴァですら勝てるかどうか怪しいと感じたからだ。故に彼はそうではないと祈りつつ、グリフォンに尋ねた。

 

「…アルゴサクス、否…ザ・ディスペア・エンボディードではあるまいな…」

 

「…」

 

(最悪中の最悪だ…。1000年前に現れた悪魔がそいつだったとはな…)

 

グリフォンは少しだけ顔を下に傾け押し黙った。その様子を見たフードゥルは言葉を失い、蒼は冷静を保ちつつも、その声は強張っていた。

二人にとって当たって欲しくなかったそれは、無慈悲にも当たってしまったのだから。彼らの心境は穏やかではなかった。最悪な事態に直面していると言わざるおえなかったのだ。ギルヴァ達がその悪魔に負ける様であれば…世界は終わりを迎えてしまうのだから。それ程までにザ・ディスペア・エンボディードは強力過ぎる悪魔と言えた。

そしてそれを復活させようとしているアルフェネスにフードゥルは揺れる車内で声を荒げた。

 

「力欲しさにあれを復活させるだとッ!?ふざけるでない!あれを恐ろしさを知らぬ奴ではない筈だ!!」

 

「俺も正気じゃねぇと思ったさ。魔界の体制を単身で変えちまうバケモンを復活させるとか狂ってやがる。だが誰も止めはしなかった。成功する筈がねぇと思ってるんだろう」

 

その言葉に余計にフードゥルの怒りは増幅させた。

そこでギルヴァが手を彼の前に出し、怒りで冷静さを失っているフードゥルを制止させた。フードゥルへと向けられるギルヴァの視線は落ち着けと語りかけていた。フードゥルも怒りで冷静さを見失っていた事に気付き、すまぬと謝罪の言葉を述べたのを耳にするとギルヴァはグリフォンへと尋ねた。

 

「その悪魔はどの様な奴だ?」

 

二人の会話、そして蒼が呟いた言葉から察するにザ・ディスペア・エンボディードが最悪な悪魔だという事は、ギルヴァも、そしてグリフォンとフードゥルのやり取りから代理人とブレイクも理解していた。しかしその悪魔がどの様な奴なのか分からないのでギルヴァは尋ねたのだ。蒼に聞くという事も出来たのだが、蒼の声は彼とフードゥルにしか聞こえない。効率を考えての判断だった。

 

「ザ・ディスペア・エンボディード…。さっきも言った様に魔界じゃ"覇王"と言う名で通っている。その由来は数千年前に自身が魔帝の座に着く為に、当時の魔帝とそれに付き従う悪魔を奴は一人で殺した事から来ている。どれ程の悪魔がそいつの刃に敗れたか分からねぇが、下手すれば馬鹿みたいに高い死体の山が五つ出来る程とか。事実、そいつのせいで魔界の体制は総崩れ。この世界の様に魔界も荒廃している」

 

「だが魔帝の座に着く事は叶わなかったらしいな」

 

「ああ。ディスペアが魔帝の座に着く前に奴はこの世界の人間によって呼び出された。さぞかしキレただろうな…。だが町の支配だけに落ち着いたのは変とは思うけどよ」

 

「確かに…」

 

妙な話だとは彼も薄々感づいていた。

自分が魔帝の座に着く為に、当時の魔帝と着き従う悪魔を殺害。目的を成し遂げる寸前で人間によって邪魔されたのだ。当然憤怒したであろう。だがこの町の支配だけに落ち着いたのは意外な話だった。当時の魔帝を倒せる力があるならこの町どころか世界を支配出来たであろうに。それをしなかった事には何らかの理由があるのだろう。しかしそれを知る手段はない。

 

「こっから知ってるかも知れねぇが、ディスペアはこの町に訪れた魔剣士によって敗れ、封印された。それは知っているよな?」

 

「ああ。魔剣士 フェーンベルツにだろう?」

 

この時、ギルヴァは蒼によってもたらされた情報を敢えて言わなかった。

フェーンベルツという悪魔が居ないのを知っているのは彼だけなのだ。うっかり話してしまえば誰に聞いたと尋ねられるだけ。話しても良いかも知れないと思いながらも、敢えて黙っておく事にした。

 

「だがフェーンベルツという悪魔は俺は知らねぇ。でもよ、その魔剣士の本当の名は知ってるぜ」

 

「して、そいつの名は?」

 

「ローグフェルツ。魔剣士、そしてディスペアのとってかけがえのない友人だ」

 

「…」

 

沈黙が訪れる。

何よりもディスペアとその魔剣士は何らか関係がなかった訳ではなかった。逆にあったのだ。かけがえのない友人という関係が。友が討ちにきたと、当時のディスペアはどう思ったのか。友に刃を向ける事になると、当時のローグフェルツはどう思ったのか。

殺し合う二人の間には何があったのだろうか?友情?愛憎?そこに存在した理由。だがそれは当事者達にしか知り得ない事だ。

 

「着きました」

 

沈黙を破る様に、代理人が大聖堂に到着した事を告げた。

この町の象徴如くそびえ立つ大聖堂。誰一人としていないこの町にそびえ立つそれはある種、恐怖を晒しだしていた。現に悪魔がこの大聖堂に封印された災厄を復活させようとしているのだから。それが出ていても不思議でもないのかも知れない。

雲一つない星空の下、大聖堂の前で悪魔狩人(デビルハンター)達が姿を現す。

 

「行くぞ」

 

そう告げて、先に歩き出したのはギルヴァだった。そして続く様に代理人、ブレイク、フードゥル、グリフォンが彼の後を追う。向かうは災厄を復活させようとする悪魔。そんな中、ブレイクはある思いで一杯だった。

 

(まさか…あんただったとな。通りであんたはその話が無駄に詳しかった訳だ)

 

誰かに語りかける様に自分の内で呟くブレイク。どこかその声は優しいものだった。

 

(悪魔の力を本気で使うなと言ったのは俺が悪魔がらみに巻き込ませない為…。でもいつかこうなる事を分かっていて…強引に俺を引っ張ってきては剣の技を叩きこんだのだろう?)

 

こう見えてもブレイクは剣が使えた。自分の身の丈はあるであろう大剣を扱う事が出来るのだ。

今まで使わなかったのは無駄に目立ちたくなかった為。だがこの時に限っては後悔していた。ギルヴァの様に刃物を持っておくべきだったと。ならば悪魔相手でも対等に戦えるだろう。

 

(…今でも覚えているよ。あの話を聞かせる度にあんたはどこか悲しそうな顔してた。本当は友人を討ちたくはなかったんだろう?)

 

彼の脳裏に浮かぶはある恩人の顔。

その恩人はブレイクにその話を何度か聞かせてきた。善と悪がはっきりと分かるその話がブレイクは好きだった。

しかし恩人は悲しい顔をしていたのを覚えていた。子供の時には分からなかったそれを今になって彼は理解していた。そして彼はローグフェルツがどんな奴なのかも分かっていた。寧ろ1000年以上生きていた事に驚きもしているが、何も言うまい。

 

 

 

(…フェーンベルツはあんただったんだな)

 

 

 

思い浮かぶはただ一人。否、彼しかいないのだ。

 

 

 

(だろう?)

 

 

 

家族がいない彼にとって父親とも言えた人物。

 

 

 

(院長)




アルフェネスはオリジナルですが、ザ・ディスペア・エンボディードはDMC2ダンテ編のラスボスです。幾らかオリジナル設定ぶっこんでいるけど許して…。
てか何故こいつなのかって?DMCシリーズで作者が最初にプレイしたのがDMC2だから…。


次回はどうするのか未定なので、更新遅れるかもです。気長にお待ちを…。ノシノシ

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