事情を話さなくてはならない為、二人はこの基地の指揮官と出会う事になる。
コラボ回後編!
だというのうちの彼らが出番多い…許してぇ…
覇王との闘いの後、S09地区P基地の医務室で目覚めた俺はここの医務長のPPSh-41にどれ程眠っていたのかを聞いた。彼女が言うには一週間は眠っていたとの事。まさかとはそこまで眠っていたとは。
流石に寝過ぎである。だがその分魔力は回復しており、体にも何ら異常を見受けられなかった。
とは言いつつも自分は医療に詳しい訳ではない為、そこは専門である彼女達に任せた。何故彼女達なのかというと、どうやら彼女だけではなく、後二人ここのスタッフとして動いている様だ。二人共戦術人形だった事に関しては内心驚いたが…。
検査の結果、特に問題なかったのだが…。俺達が空を落ちてきた事を知っている模様でこの回復の速さに疑問を抱いている様子だった。…原因は自分の中で流れる悪魔の血によるものだと確信しているのだが、敢えて言わないでおいた。正直信用してくれるかどうか分からなかったからだ。
またブレイクも目覚めた様で、同様に検査を受けた。特に問題は無かったのだが、やはりというべきだろう。回復の速さに疑問を抱いている様子であった。
だからといって何かを問われる事はなく、自分もブレイクもベットからお別れをする事に。
しかしまだ終わっていない。ここの指揮官に謝罪を含め、事情を説明しなくてはならない。どうやら向こうも向こうでこっちが目覚めるのを待っていたらしく、連れてくる様に指示を受けたここの基地に所属している人形に執務室へと案内してもらった。
そして現在―――
俺達はここS09地区P基地の執務室にて。
指揮官のユノ・ヴァルターと副官のナガンM1895と対面していた。ナガンに関してはS10基地でも見た事がある。
寧ろこちらが驚いたのはユノ指揮官だ。この基地を率いていたのが少女だったとは思わなかったからだ。だがそれを言えばナギサ指揮官も同じであるのだがな。
それに彼女から妙な違和感を感じている。一見普通の少女にしか見えないのだが…。
まぁ…だからといって聞こうとは思わないがな。
「さてそっちの事を聞かせて貰おうかの」
先程二人からの自己紹介を終え、今度はこちらの番となっていた。
「自分はギルヴァ。グリフィンには属してはいないが、協力関係という形を取っている。そしてS10地区でデビルメイクライという名前で便利屋を営んでいる」
「便利屋?」
「金され払ってもらえればどんな事でも引き受けるを売りにしている。が、だからと言ってグリフィンに敵対する様な依頼は受けない。受けるのは鉄血の対処、また行方不明となった戦術人形の捜索、過激派組織の対処、そして…この世界に潜んでいる悪魔の始末といった所だ」
場合によっては雑用も受けたりしているがな、と付け加え紹介を終える。
そして隣に座るブレイクへと視線を飛ばし、自己紹介する様に促す。それを理解したのか、やれやれと言った表情を見せるブレイク。何がやれやれだ…。
「名はブレイク。俺はそこの強面のギルヴァとは違って、グリフィンにも属してねぇし、便利屋にも属してない。寧ろ俺は依頼人でね。こっちと共に行動していた」
「後で刺されても文句言わん事だな、ブレイク…。俺達の自己紹介はこれで終わりだ。…ここからは本題に入るとしよう。そちらが気になっている事…諸々全て含めて、話そう」
さてここからが本番。…信用されるかは分からないが、話すしかないだろう。
時間をかけてユノ指揮官とナガンに全てを語った。
人知れず存在する悪魔という存在。そしてそれはこの世界にも潜んでいると。
一週間前に、ここに所属している戦術人形が見た得体の知れない何かも悪魔という存在である事。
様々な事情で自分達はそれと対峙し、討った事も。
そして自分とブレイクは悪魔の血を流している事も。
この話を聞いて二人がどう思っているは分からない。だが自分が知る限りの全ての情報を話した。
「…以上だ」
たった話しただけだと言うのに、何故か数時間経った様な感覚がした。
実際は数十分しか経っていないというのに。
「えっと…」
「むぅ…」
そして話を聞いた二人からは困惑と言った表情を見せていた。
正直その反応は予想していた。いきなりこんな事を言われて困惑するなというのが無理な話である。ブレイクもこの反応は予想出来ていたのか、訪れた沈黙をを破るかの様に二人へと口を開いた。
「無理に信じろとは言わねぇさ。いきなり悪魔だなんて言われて困惑するのが当たり前だ」
ソファーに凭れながらもブレイクは言葉を続ける。
「只、悪魔が存在するとだけ理解してくれればオーケーだ。ま…信じるか信じないかそっち次第だがな」
相手に対する言葉遣いではないが、声は真剣そのものだった。
ブレイクも悪魔と戦った一人。そして悪魔という存在が広く知れ渡っていない事も気付いていた。
「信じるよ」
そして返ってきた答えは自分もブレイクも予想だにしていないものだった。
つい素っ頓狂な声が出そうになったが、何とか抑え込む。
「正直あんまりしっくりきていないですけね。でも信じます。私には二人が嘘を言う様な方には見えないから」
「わしも信じよう。勘であるがお主ら嘘が下手そうだからの」
これは…とんでもない指揮官とその副官に出会ったな。
…信じるという言葉が聞けただけでも良かったかも知れん。
―だな…。
「あ、最後に一つ聞いていいですか?」
「何だろう」
「その…ギルヴァさんとブレイクさんには悪魔の血が流れている…。なのに何故どうして…」
「人や人形達の味方をするのか、と?」
「はい」
ユノ指揮官の疑問は最もだろう。
悪魔の血を流している俺達が何故人や人形達の味方をするのか。
確かに悪魔という存在は無慈悲で狡猾だ。だが奴らには無い物を俺達は持っていた。失くさない様にしっかりと。
だからその問いの答えは一つしかない。
「例え悪魔であろうと…」
あの時からずっとそれだけは忘れていない。
真っすぐとユノ指揮官の目を見つめながら答える。
「心だけは人のままだ」
「!」
この答えにユノ指揮官がどう思うかは分からない。
だが…
「…この答えでは不足だろうか?」
「ううん。寧ろ…十分すぎる答えです」
彼女にとっては納得のいく答えだったそうだ。
話は終わりその後は言うものの、ナギサ指揮官と店に居る代理人に連絡を取り生きている事を伝えて、代理人にこっちの地区まで迎えに来てもらう様に頼んだ。すぐに行きますので!と若干涙声でありつつも嬉しそうに承諾してくれた。シーナ指揮官は相当心配していた様で、こっちの声を聞いた途端泣き出してしまい、慰めるのが大変だった。生きていてくれて良かった、という彼女からの言葉は嬉しかったが。
それと回収されていた武器もちゃんと返してもらった。後から分かった事であるが、ブレイクが持っている銃にも名前があった事が発覚した。黒を基調としているが一部異なっているらしく、撃鉄部分と銃把の一部がそれに該当していた。その二つが銀色に染まっているのがフォルテ。音楽用語から来ているらしくフォルテは強くを意味する。どうやらフォルテは連射はそこそこであるが一発の威力が高めに設計されている。
そして金色に染まっているのがアレグロ。こちらも音楽用語から来ており、意味は速く。
フォルテとは反対に連射に秀でている様だ。その分は威力はそこそこ。
あの時、銃に文字が彫られていたのは気付いていたが、名前だったとはな。…何故ブレイクはそれに気付かなかったのが不思議であるが。
そして今は俺達はこの基地の出入口近くにいる。一週間も世話になったのだ、これ以上は長居する訳にはいかない。それに態々見送りに来てくれたのか近くにはユノ指揮官に副官が居る。
「気を付けて帰ってね、二人共」
「うむ。お主らは特殊とは言え、一週間も寝ておったのだ。無理はするでないぞ」
―だとさ。無理したらまたここに墜落するかもな?
何度も世話になる訳にはいかぬだろうが…。
だがまぁ…頭の片隅にで置いておくとしよう。
「お、見えた。あのメイドさんが乗ってるバンだ。しっかし早ぇな。連絡して二時間ぐらいしか経ってねぇんだが」
「それ程までに心配をかけてしまったという事だ。…先に行ってろ、ブレイク。後で追い付く」
「ん、りょーかい。…じゃあな、ユノ指揮官に副官さんよ。また会おうぜ」
そう言い残してブレイクは基地外へと歩き出していく。
「一週間も世話になった。礼を言う」
「うん、どうも致しまして」
「お礼とは行かんが…何かあればいつでも連絡してくれ。俺達で良ければ手を貸そう」
そしてと言葉を続ける。
「次が何時になるかは分からん。だが願わくばのんびりとした日に会える事を祈っている」
当分はのんびりとした日がやってくるかは分からないが。
「戦いもなく、只々のんびりとした日が来る時は…」
「時は?」
それがやってきた時は俺はこう思うだろう。
「"
「?」
「ふっ…分からなくてもいい。…それとこれを渡しておく」
手に魔力で構成された花を出し、それをユノ指揮官へと渡す。
特に害はなく、悪魔も呼び寄せる事もない。只の群青色に輝く花。
不思議そうな表情を浮かべながらも、その花を受け取るユノ指揮官。
「この身になってから出来る様になった芸当だ。…お礼にしては少々物足りんと思うが、今はそれで許してくれ」
また会おう、とそう告げ背を向けてブレイクの後を追う様に歩き出す。
今後会うかどうか分からない。自分達が出来る範囲であるが助力しよう。
こんな見ず知らずの俺達を信じてくれた彼女達の助けになれるのであれば…それはそれで良い事だと思うのだからな。
これにてコラボ回は終了でございます!
嘘を言う様な人も見えないという理由で悪魔の事を信じて貰いました。
またギルヴァは気配に敏感で、また悪魔である事から色んな気配を感じ取り区別する事が出来ます。
ユノちゃんから何かを感じ取っていたのはそれが理由です。
今回コラボのお願いを許可して下さった焔薙様、本当にありがとうございます!
では次回にノシノシ