Devils front line   作:白黒モンブラン

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416と共に出かけるギルヴァ。
色々買い込んでおきたいという理由で武器屋を訪れる。
そんな時、ギルヴァは店主からある事を尋ねられる。


Act45 fast

G11、9に続き、今回は416。

だが少し急用が入ったらしく…

 

「先に広場に行っていてて。5分でそっちに行くから」

 

…と言われ自分は先に店を出て待ち合わせ場所である広場で待っていた。

ベンチに腰掛け、今日はどうしたものかと考えていた。

流石に連続してカフェは不味いだろう。雑貨屋も該当する。彼女が何を望むかにもよるが…果たしてどうするか。

経験が少ないというのも難儀な話だ。

 

「…ふむ」

 

「考え事?」

 

「ああ。そんな所…む?」

 

ふと隣から聞こえた声。

顔をそちらへと向けるとそこには416が隣に座っていた。5分で行くと言っていたが。本当に5分で来たようだ。

流石というべきか。完璧と自称するだけの事はある。

それにしても、こちらに気配すら感じさせずどうやって隣に…。

 

「待ったかしら」

 

「いや、問題ない。さて…どこへ行く?」

 

「あら、そこはエスコートするのが役目じゃないの?」

 

「ならば行き先は期待しない事だな」

 

「冗談よ。さ、行きましょ。ある程度目星は付けてるから」

 

そう言って立ち上がる416に続く様に立ち上がる。

目星を付けている、か。さてどこになるのだろうか。

 

 

まず彼女が行きたいといったのは場所はカフェでも雑貨屋でもなく、武器屋。

彼女曰く色々買い込んでおきたいらしい。

彼女にも彼女なりの考えがあるのだろうが、個人的に気になった事を自分の隣でカウンターに並べられた品とにらみ合っている416に尋ねようと思ったが…今は聞くべきではないだろう。

ここを出てから聞いてみるとしよう。

 

「よう、便利屋の兄ちゃん。今日は彼女とデートかい?」

 

近くにお客がいると言うのにそれを放ってこちらへと話しかけてくる店主。

416の雰囲気から何かを察したのかこちらへと寄ってくる。

 

「…そんなところだ」

 

「ほう~?怖ぇ面してんのに、あんたも隅に置けねぇな?」

 

確実に茶化していると分かっているので、少しだけ睨むを効かす。

だが、効果などなく店主はおぉ~、怖っ、ととぼけるだけ。

意味が無いと分かった所で軽くため息をつき、指を眉間に当てる。

 

「ま、このご時世だ。誰かと一緒に居られる時なんてあっという間さ。…大事にしなよ」

 

「…」

 

「さて。折角来たんだ。何かお求めかい?今なら安くしとくぜ」

 

「そうだな…」

 

416はまだ睨めっこを続けている。暫くは時間がかかるだろうが…まだ時間はある。急ぐ必要はあるまい。

カウンターのショーケースを見ていると、前までは置いてなかった筈の新商品がそこに置かれていた。

む?…この弾は。

 

「店主、この弾は…」

 

「ん?ああ、これか。あんたの相棒専用の弾さ。13mm弾…勿論自作品さ」

 

よりによって、この店主は…。

まさかレーゾンデートルの弾を自作していたとは。

まぁ…この店主は弾丸を自作する程だから出来なくは無いと思っていたが。

態々商品にしてまで売り出す必要があるか?

 

「まさか大量生成はしていないだろうな?」

 

「そんな事してたら、うちは潰れてる。まぁ…一箱12発入りを6つ程度ぐらいな」

 

作り過ぎである。

大体買うのが自分だけだと言うのに…全く。

だがこれを機に買っておいても問題ないだろう。どちらにせよ必要になるのは間違いないのでな。

 

「…全部くれ。置いておいても自分以外買う者は居ないだろう」

 

「毎度あり」

 

カウンター内にある戸棚とショーケースからそれらを取り出し、袋に詰めていく店主。

そんな時だった。何かを思い出したかの様にある事を聞いてきた。

 

「お前さん、リボルバーしか使ってねぇみたいだが、ライフルとか使わねぇのかい?便利屋とかやってんだったら、そういうのあったら楽だろうに」

 

「…!」

 

そう言えば店主は知らないか。いや、知らなくて当然だ。

この身が悪魔である事。そして戦闘時には刀を用いる事を。

さて、どう訳を話したものか…。

 

「拳銃の方が使い慣れている。それにアサルトライフルやライフルとかは隠し持つに合わなくてな」

 

「それはあれかい。相手に普通を装う為か?」

 

「そうだ」

 

色々欠けている部分はあるが、仕方ない。

余計な事を言って、変に怪しまれるのも避けたい。

 

「なるほどなぁ。使わないのはそう言った理由か。ま、便利屋にも色々あるって訳か」

 

「まぁ…そういう事だ」

 

品が入った袋を受け取り、代金を払う。

向こうも向こうで欲しい物が決まったのか、店主を呼び、支払いを済ませ始めていた。

そう言えば店主がライフルどうこうの話をし始めた時に416が反応していた様な気がするが…気のせいか?

 

 

武器屋を後にし、次の目的地へと向かう最中。

隣を歩いている416に気になっていた事を尋ねてみた。

 

「基地のでは不足なのか?」

 

「まさか。寧ろ十分すぎる程よ」

 

「では何故?」

 

「私達も任務で数日戦場にいる事が多いからよ。基地の備蓄品も無限ではない。要請して、支給されるのも待つというのもあるのでしょうけど、それを待っている内に任務が来たら要請した意味が無い。常日頃から備えておくのが私達にとっては当たり前みたいなものよ」

 

「成程。流石だな」

 

当然よ、と答える416。

だが小さく嬉しそうな表情をしているのが分かる。本人は気付いているか、どうかは分からんが。

表情が緩んでいる事を言った方が良いかと思ったが…敢えて言わないでおくとしよう。

 

「次はどこだ?」

 

「この先よ。この裏路地の先にあるわ」

 

言われるがままに416の後についていく。

彼女からは明確な目的地の事は聞いていないが…この先にあるのだろう。

しかし妙だな…この先に店などあっただろうか。自分の記憶が正しければ()()()()()()()()と思うのだが。本当に何処へ向かう気なのか…。

その事を尋ねようとした時だった。突然416の脚が止まった。

 

「41…ッ!!?」

 

一瞬の事だった。

416の肩に手を伸ばそうとした途端、それを見越していたかの様に瞬時に振り向いてきた彼女に手を掴まれた。

気を抜いていたせいか、即座に反応できず成されるがままに壁へと押し付けられる。

感じた痛みが柔らいぎ、目と鼻の先には416。自分の体つきを理解しているのか、胸を強く押し当ててくる。

脚を絡めてきて、確実にこちらを逃がさんと言わんばかりだ。

そして顔の隣にそっと416の手が壁へと当てられる。

 

―逆壁ドンってやつか?

 

何でお前、それを知っている!?

 

―さぁなんでかな?さぁさぁ俺は静かにしててやるから、楽しめよ~

 

おい!蒼ッ!くそっ…!

 

蒼の奴め、本気で静かにしているつもりか!

それにこの裏路地。大通りからは見えない位置にあるのか!最初からここを狙っていたのか…!

 

「…ごめんなさい、ギルヴァ。いきなりこんな事をして」

 

「ならば離れて欲しいのだが」

 

「それは無理な相談ね」

 

下げていた頭が上がり、彼女の表情が露わになる。

目は暗く濁り、心なしか息が荒い。

添えられていた手が壁から離れ、こちらの頬に添えられる。

 

「武器屋の店主の話を聞いて私達を使ってくれないのは残念だったわ。でもそれは仕方ない事。その事に何故って問うつもりはないわ。でも…それだと納得が行かないの。貴方にどうすれば私達…いいえ、今は私かしら。私という存在を感じてもらうか…。ああ、いきなりこんな事を話しだしてごめんなさい。まず貴方に伝えなければならない事があるの。私は貴方の事が好き。勿論loveの方よ?それで話は戻るけど、どうすれば私を感じてもらえるか。全てを与えたい、何もかも全て。この体のありとあらゆるものに全てを与えたい。この日が来るまでずっと考えていたわ。でもそんな事はできる筈がない。だから私は考えた」

 

彼女の顔が近づいてくる。

後数センチで唇同士が触れ合う。

 

「あの時一番は私だからって45に釘刺されたけど…その約束は守れそうにないわね」

 

まさか…遅れてきたのも45に呼ばれて?

その間にも顔が迫る。

 

「ファーストキスは激しいのがいいかしら…?」

 

「それをする前に、離れて欲し…っ!?」

 

言い切る前に口が塞がれた。416の口によって。

強引に舌がねじ込まれ、口内を蹂躙される。

 

「ぷはっ…。ふふっ、ごちそうさま…♪」

 

数秒か、数十秒か、数分か。

どれ位経ったのか分からないが、416の顔が離れた。

まさか強引に奪われるとは思わなかったが…。

 

「どうかしら?初めてのキスは?」

 

「…慣れんな」

 

「いつか慣れるわ。…何時でもしてあげるわよ?」

 

「行くぞ…」

 

気恥ずかしさもあって彼女の顔が直視できず、そそくさと裏路地を後にする。

結局このままデートをしたのは良かったのだが…店に戻った時45と代理人の笑顔が怖かったのは言うまでもない。

 

 

―で?初のキスの味はどうだったよ?

 

ノーコメントで。

 

 

また余談であるが、笑顔の45にある事を言われた。

 

「私にもしてね~ギルヴァ♪」

 

その時は分からなかった。

だがあの時は自分が416と店に戻ってきた直後に45に言われたのだ。

つまり彼女が言った事はどういう意味か。…それは態々口にしてなくても良かろう。

 

 

 

 

 

「416」

 

深夜。デビルメイクライの店内にある404の部屋の廊下にて。

部屋へと戻ろうとする416の姿を見つけた45は彼女へと声を掛けた。

 

「何?」

 

「味はどうだったかしら?」

 

それが何を指すのか。

分かるのこの二人であろう。

そしてその事を問われた416は肩を抱き締めながら、頬を赤くしながら答えた。

 

「ハッキリ言って麻薬ね…。今でも味が忘れられないわ…」

 

「そっか。…一番は取られたけど、良いわ…だって」

 

45は口角を吊り上げる。

歪んだ三日月の如く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今度は私の番だから」




ファーストキスを奪われるギルヴァ。

味に関してはノーコメントとの事。

さてお次は45姉。さぁて…ギルヴァもそろそろかなぁ…。

では次回ノシ

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