処刑人の大剣と代理人が愛用するニーゼル・レーゲンが進化を遂げる。
マギー・ハリスンが魔界では伝説とされる魔工職人 マキャ・ハヴェリと発覚して数時間後。
是非とも作品を見て欲しいというマギーの誘いがあり、自分と指揮官、そしてブレイクと代理人がマギーの工房に訪れていた。書類が置かれた机や旧型のタイプライターが置かれた机やら後方幕僚関連の仕事道具がある部屋とは罰の奥の部屋にマギーの工房はあるのだが…。
「これは…」
「何て言うか…」
「ひゅー♪」
「最早兵器貯蔵庫ですね」
工房として使われている部屋には、彼女が手掛けたであろう作品が所狭しと並べられていた。
「いやはや…こう思いついたら作ってしまいまして。私自身戦闘できる程の力はないものですから、気づけば作品が一杯になってしまって」
「にしても作り過ぎじゃないかな…。見た所、パーツだけなのもあるけど…」
「あはは…」
確かに作り過ぎである。
そして言われてみれば何らかの用途で使われる筈と見られるパーツの様な物が転がっている。
すると傍に立っていたブレイクが何かを見つけたのか、ある物の傍へと歩み寄った。
部屋に端に置かれていたそれには埃から保護する様のシートが被せられている。何処かで見た様な形だが…。
「なぁ、シート外して良いか?」
「ええ。構いませんよ」
マギーの許可を得たブレイクは被せられているシートを取る。
あったのは、一台のバイク。それも魔物の素材を利用しているのか見た目からして普通のバイクとは言いづらい。
「魔界に存在する素材を使えなくなったバイクに強引に組み込んでみたものです。只組み込んだだけでは何も起きないと思っていたんですが…これが予想を反してじゃじゃ馬以上のバイクへと昇華してしまったんですよね」
「へぇ…」
「良かったら要ります?私では乗りこなす事は出来なくて…」
「良いのか?作品なんだろ?」
「作品ですが、このまま置いておくのも可哀想でしょ?」
「そう言うなら有難く貰うぜ」
まるで新しいおもちゃを得たと言わんばかりの笑みを浮かべ、ブレイクはそのバイクに持ち手を握った。
流石にここで動かすのは不味い位は分からない訳もなく、手で押していく。
ちょいと飛ばしてくるぜとこちらに伝えてくると、そのまま彼はバイクと共に部屋を出ていく。
それを見届けると、マギーから自分と代理人にある事を言ってきた。
「宜しければ何か作りましょうか?改造でも構いませんよ。ああ、今回だけは無料で引き受けますよ」
「ふむ…そうだな」
そう言えば…あれの改造を頼むが良いかも知れん。
代理人もある様で、指揮官とマギーに直ぐに戻ると伝え一度店へと戻った。
その後、あの時持ってきた処刑人の大剣を、そして代理人はまさかのニーゼル・レーゲンをマギーに渡していた。
彼女曰く改造程度なら一日あれば、完成するとの事だが…まさか不眠不休でやる訳ではないよな…?
―寧ろ三日間も寝ずに物を作っていた方が多かったぞ。だと言うのにぶっ倒れる事もなかったからな。
それはそれでどうなんだ…。
そして次の日。
本当に一日でやり遂げたらしく、マギーに呼び出された自分と代理人は彼女の工房に来ていた。
「お待たせしました。まずはギルヴァさんのから」
机の上に置かれたのはかつての姿を残しつつも、何かの機関やレバーなどが取り付けられている大剣。
謎の機関と連動しているのか噴射口が六つ取り付けられている。彼女は一体なにを施したと言うのだろうか。
「ギルヴァさんが持ってきた大剣に、かつて私が開発した推進剤噴射機構を内蔵しました。持ち手がアクセル上になっていまして捻れば推進剤が作動。そして持ち手近くのレバーを引けば推進剤が噴射。攻撃を加速させたり強化する事が出来ます」
「機械剣という訳か」
「ええ。ギルヴァさんが扱う事を想定し、推進剤の噴射量を極限までに上げています。また噴射機構は段階が存在し、計三段階まで展開する事が可能。…正直結構無茶に噴射量を上げた事により噴射剤が青い炎になって噴き出すので自分を焼かない様に注意してくださいね」
「そんな下手をすると思うか?」
「いいえ、全く」
改造が施された機械剣を手に取る。
元々重量があった代物が改造により更に重量が増している事もあってか、普通の人間では持つ事も叶わない。その分攻撃力は期待してもいいだろう。
だが今後自分が扱うかどうか…。自分には無銘があって、ブレイクにはリベリオンがある。
まぁ…たまには遊んで見ても悪くないかもしれない。
「そしてこれが代理人さんからの」
ゴトッと音を立てて置かれたのは代理人が愛用しているニーゼル・レーゲン。しかし何処か違う。
以前までこんな青く輝くラインなど流れていただろうか?自分の記憶が正しければ流れていなかった気が…。
「レールガンだけでは使用する場面が限られると考え、レールガンだけではなく他の武装にも変形できるように装甲を高い強度性を持ちながら柔軟性のある魔界にしか存在しない金属を使用。青い光が走る様になったのはニーゼル・レーゲンと同化した影響だと思ってください。そして大型ガトリングガン、連装型ロケットランチャーにも変形できるようにしました」
「まるで災厄の箱ですね…」
「かも知れませんね。ニーゼル・レーゲンの別名としてパンドラと名付けては?」
「そうですね…。それ以外の変更点は?」
「もう一つあります。レールガンの最大出力モード時にターゲットサイトが展開されるように施してあり、展開から数秒後にターゲットサイトの色が変化。その際にレールガンを使用すると着弾時に大爆発が発生する弾丸を放つ仕様になっています。ですので使用には周りの仲間が居ない事を確認してから撃つ事をお勧めします」
「かしこまりました」
本当に災厄の箱を化してしまっているぞ…。
―この程度ならまだぬるい方だぞ。あいつが作った作品の中には使用者の精神を乗っ取る魔銃とかあるからな?
何故そんなものを作ったんだ…?
―さぁな
だが…流石は魔工職人というだけはある。
代理人が愛用するニーゼル・レーゲンにレールガン以外の変形機構を持たせるとは。
もはや天才としか言いようがない。あれだけ複雑な変形機構を持っている武器を一日で改造を施したのだからな。
「今後何かあれば何時でも私を訪ねて下さい。代金は頂きますが、その分の仕事は致しますよ」
そう言いながら微笑むマギー。
下手すれば改造依頼で出張しかねない気もしなくはないのは…気のせいだろうか。
マギーから改造された武器を受け取り、代理人と共に店へ戻ろうとした時の事だった。
偶然にもナギサ指揮官と出会い、404小隊とフードゥルとグリフォンが戻ってきた事を伝えられた。
そして探りを入れた基地にてフードゥルとグリフォンによると悪魔が関わっているという事が報告であがった。
という訳で、処刑人の大剣はレッドクイーンの様な機械剣に進化。
そしてニーゼル・レーゲンはパンドラへと進化しました。
後はブレイクが持っていったバイク…まぁ分かる人は分かるかな
さてとお次はブラック基地案件だ。
コラボ依頼として出そうかなとは思いますが…やっぱ悪魔が関わっているとなると難しいかなぁ…