Devils front line   作:白黒モンブラン

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12月、冬。
S10地区前線基地内部のカフェにてクリスマスツリーの飾りつけが行われていた。


謎のハイエンドモデル関連ではない。
そして今回は飛ばし飛ばしだ。許せ…(焼き土下座


Act59 Christmas tree of memories

季節は12月。この時期はとても寒く、寒いのに弱い者からすれば温かいベットや部屋から一歩も出たくない季節。

とはいえ冬は悪い事ばかりではなく、クリスマスという12月ならではのイベントがある。

その事もあってか、町へと出ればクリスマスツリーを置いたりクリスマス用の飾りを施す店を見かける様になっていた。そして店に隣接されているS10地区前線基地内部のカフェではクリスマスツリーが置かれており、非番の戦術人形やカフェに訪れていた戦術人形がナギサ指揮官と共にツリーの飾りつけを行っていた。その中には404小隊も混ざっており、45と9が寝ているG11に装飾を施すといういたずらをやっているのは見間違いではないだろう。

賑やかな空間にて偶々カフェに訪れた自分は、和気あいあいとツリーの飾りつけをしている彼女達の姿を遠くから見ていた。そんな中で蒼が話しかけてくる。

 

―戦いばっかでギスギスしてるからなぁ…たまにはこういうのも必要なんだろう。

 

聞いた話ではこの時期に限って鉄血の動きも鈍くなる事があるらしい。…奴らもクリスマスを楽しむつもりなのだろうか?

 

―どうだろうな?クリスマスを楽しむというよりかは寒いから動きたくないというもあるんじゃないのか?

 

それでいいのか、鉄血…。

 

とはいえ寒いものは寒い。寒くて動けないなんという事はないが自分も多少寒さを感じる身だ。悪魔が寒さを多少感じるのだから、人形も寒さを感じていても不思議ではない。

 

「ギルヴァさんは参加しないのですか?」

 

「ん?」

 

そう尋ねるのはカフェの店主であるスプリングフィールド。

カウンターで作業しながらこちらへと顔を向けていた。

 

「折角ですし、皆の所に混ざってみては?」

 

「いや、俺はここで見ているに徹する。飾りつけは彼女達が上手くやってくれるだろうからな」

 

「もう…。こういう時こそ楽しまないと駄目ですよ?」

 

そう言われても、こうすると決めた以上はそれを貫くつもりだ。

それにあんな風にはしゃげる歳でもない。幼少期の自分なら喜んで参加していたかも知れないが。

そこで少しだけ昔を思い出す。

貧しかったが、そこには確実な幸せがあった。こういうイベントも御大層なものは出せなかったが、少し奮発して美味しい料理を母さんとカエデと一緒に食べた。

今思えばその頃の俺は笑えていたであろうか。今の様に仏頂面になっていなかっただろうか。

 

「…」

 

その疑問に答える者はいない。…それを知るのは神だけであろう。

そっと右手を見つめる。かつて握ってくれた二人の手の温かさは気付けばすでに冷え切っていた。

今でも慣れないものだ。あの冷たさは本当に慣れない…。

 

「どうされましたの?」

 

「む…?」

 

気付かぬ内に考え込んでいたのか。顔を上げると心配そうにこちらの顔を覗き込むKar98kの姿があった。

ツリーの飾りつけはまだ終わっていないみたいだが、どうしたのだろうか。

 

「いや、何でもない。…休憩か?」

 

「ええ、少し休憩を。それに飾りつけもそろそろ終えそうですし」

 

彼女ともツリーの方へ向く。

確かに煌びやか装飾が施されたクリスマスツリーが出来上がっていた。だが少し物足りない気がしてならない。

よく見るとクリスマスツリーの一番上の部分に飾りが無い。飾り忘れか、或いはそこだけを紛失していたのか。

どちらにせよ一番目に映る部分がないのは少し寂しいものだ。

 

「一番上がないのは少し寂しいですわね…。何か代用できるものを探しませんと」

 

「ならこれを使え」

 

手に魔力を集中させ、魔力で錬成した群青色の星を作り、それを手渡す。不思議そうにそれを見つめるカラビーナだが、多少は慣れたのかこちらへと優しく微笑み口を開いた。

 

「まぁ、とても綺麗な星飾り。ギルヴァさん、ありがとうございます」

 

(まぁ、とても綺麗な星飾りね。ギルヴァ、ありがとう)

 

「っ…」

 

全く…喋り方も違うというのに。

それでも俺は貴方を思い浮かべてしまう。何故貴方が本来の喋り方をしなかったのかは分からないが、そこには何か理由があるのだろう。それにかつて貴方が教えてくれたおまじないを彼女に教えた時は不思議な気分だった…。

俺は生きてしまった。死にたくないと、生きていたいと願い。そしてその結果が今だ。

だが安心して欲しい。この身が悪魔であろうと心は人間のままだから。

今の俺を見て貴方がどう思うかは分からない。だがそれでもこんな自分を愛してくれるのなら…カエデと一緒にどうか見守っていてくれ。…母さん(カラビーナ)

 

―見守ってくれているさ…

 

そうだな…。店に戻ったら、小さいクリスマスツリーでも作っておくか。

 

―良いんじゃねぇの。たまには時期に合わせてみるのもアリだ。

 

 

 

この後に彼が使う書斎に群青色の小さなクリスマスツリーが置かれる事になる。

少し物足りない所はあるが、彼にとってはこれで充分らしい。その理由は、少し物足りないクリスマスツリーこそが、思い出のクリスマスツリーなのだとか。

 

 

深夜。

第二格納庫にて一人で作業している後方幕僚兼魔工職人であるマギー・ハリスン。

キーボードを操作しながら、少し冷めてしまったコーヒーを飲んでいると何かに気付いたのか、そっと微笑み彼女以外誰も居ないというのにまるでそこに誰かいる様に語りかける。

 

「意外ですね。てっきり彼の中でとどまっているつもりかと」

 

「お前が居るとなれば流石にとどまっている訳には行かねぇだろ?」

 

第二格納庫の出入口近くの壁にもたれるある悪魔の姿。

その姿はギルヴァが魔人化した時と同じなのだが、本人ではない。そこにいるのはギルヴァに元カノに会うと伝えてから彼から魔力を借りて、分身として彼から出てきた蒼である。

魔力量によってはその姿を目にする事はできないのだが、今は誰にもでもその姿を視認できる程の魔力量を有している。その事からか、誰かに見つからない様に移動するのは苦労したと後の蒼は語る。

 

「それで?どうされましたか?復縁でも望みに来たのですか?」

 

「それを言ってお前が首を縦に振るとは思えねぇがな」

 

「分かっているじゃありませんか」

 

「そりゃあ…全部とは言えないがそれなりにお前の事は知っているからな」

 

姿は違えど、肩を竦める蒼。

作業しながらも昔と変わらない蒼にマギーは静かに微笑むのだが、それも束の間、彼女の顔付きが変わる。

顔付きが変わったと同時に雰囲気が変わった事を感じたのか蒼も軽く気を引き締める。

 

「このまま黙っているつもりですか?」

 

「何を?」

 

「とぼけないでください。私の目を誤魔化せると?」

 

「…」

 

マギーの目には常時発動ではないにしろ、任意で魔力を視認できる目を持っている。

それは元から備わっていた物であり、戦闘向きではない魔工職人にはそういう目を備わっている者が殆ど。

特にマギーの目は相手の中にある魔力の色を見る事が出来る。

 

「ギルヴァさんが持つ魔力の色は青。ブレイクさんが持つ魔力の色は赤。これでは二人に共通点はないと思われますが…共通点はあった」

 

「…」

 

「原色というのでしょうか。…二人の魔力の原色は紫。それが派生してギルヴァが青、ブレイクが赤」

 

それはギルヴァが最初から人間ではなく、悪魔の血を有していると言いたげだった。

蒼は何も答えない。マギーの言っている事が本当なのか、或いは最後まで聞いてから答えるつもりなのか。

 

「性格は違えど、妙な事もありますよね」

 

冷えたコーヒーが入ったマグカップを手に一口だけ飲むとそのまま言葉を続けるマギー。

 

「これではまるで二人が()()だと言わんばかりです」

 

「…」

 

「特にギルヴァさんはあの人に似ていますよね?」

 

そして彼女は告げる。

 

 

 

 

「二人の父親であり―――」

 

 

 

 

「貴方が殺した―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「実の兄に」




前触れもなくギルヴァの母を明かす作者。つまり彼の母親代わりだった人形はカラビーナで、つまりママビーナだった訳さ。
そんでもってギルヴァとブレイクの関係もぶちこむ作者。
今回飛ばしだけど…許してね…
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