一人の悪魔が犯した罪を、その者しか知らない秘密を問い詰める事によって
「…」
蒼は答えなかった。否、答える事が出来なかった。
その態度はマギーの言っている事に対して肯定を示しているのと同義と言えた。
「…懺悔…あるいは贖罪のつもりなのでしょうけど…黙っている事の方が――」
「分かってるさ」
遮るかの様に少しだけ声を強める蒼。
マギーが言っている事は決して間違っておらず、蒼もその事は理解している。言い訳する様な子供じみた行いを恥じながらも蒼は自分をじっと見つめてくるマギーの目を見つめ返す。それを見たマギーは、それ以上何も言わなかった。表情が変わらずとも蒼の目からは何かを感じられたからだ。
「…いつか話すさ。だが今はその時じゃない」
凭れていた壁から離れると蒼は第二格納庫の出入口へと歩き出す。
そのままここを出る直前に足を止め、そっと息を吐き、口を開く。
「…話せて嬉しかったぜ、じゃあな」
「…」
そう言い残して蒼は第二格納庫を出ていく。
出ていくその後ろ姿を見つめながら、マギーは静かに呟く。それが蒼に対してなのか、或いは自分に対してなのか。
「ホント馬鹿ですね…」
冷気が漂う空間でマギーは冷え切ったコーヒーが入ったマグカップを手にし一口だけ飲む。
砂糖を入れていたにも関わらず、口の中で苦味を感じた彼女だった。
「…」
第二格納庫を後にし、ギルヴァの元へと戻る蒼。
彼はマギーに言われた事を思い返しつつも、足早に戻っていた。
彼は分かっていた。マギーの様な魔力を見る事が出来る存在にギルヴァとブレイクが双子だと知られる事を。だが決してそれを知られる事を恐れてなどなかった。だがこのまま黙っているのかと問い詰められる事を蒼は恐れていた。今の自分に覚悟が無いのは分かっていた。だがいつか話さなければならない。
それでも恐れていた。二人の父親を殺したのが自分だと告げるのが。
「弱くなったな、俺も…」
歩みを止め、蒼はその場で静かに呟く。
「ここまで落ちぶれるとはな…笑えるぜ。でもよ…」
「あの戦いは裏がある。…まだ死なねぇよ…全部明らかにするまではな」
そして、と彼は言葉を続ける。
それは覚悟か、或いは決意か。もしくは双方が混じった様なものがそこにあった。
「全てが明らかになった時は潔く地獄に逝ってやるさ。俺が背負う罪は俺の死で償わなきゃならねぇからな…」
運命は動き出した。
音を立てる事もなくその歯車は動き出し始める。
少しずつ、着実に。
だが今はその時ではない。
しかしそれが訪れた時…
長き悪夢が始まりを告げるだろう。
翌日。
蒼とマギーとのやり取りがあった事を知る訳もなく、何時も様に代理人とマギーと共に調査を続けて、95式はその手伝いをしていた。三分の一まで解析は済ませたのだが、謎のハイエンドモデルは未だに目覚める様子はない。
そこに第二格納庫の出入口の扉が開き、ギルヴァと第一支店に移動した筈のブレイクが中へと入ってきた。
ギルヴァはともかく、何故ブレイクがここに居るのか疑問に感じた代理人が尋ねる。
「ブレイク?どうしてここに?」
「依頼が来ないもんでね。暇になったんでこっちに来た」
「そういう時こそ、何か出来る事をするべきなのでは…?」
「そう言われてもな。ま、早めに店は閉めてきたから客は来ないだろうぜ」
「貴方という人は…」
額に手を当て、やれやれとため息をつく代理人。
普段店でどういった過ごし方をしているのかは知る訳でないにしろ、ブレイクのだらしなさに彼女は容易に察する事が出来た。
そんな時だった。ふとブレイクのある部分が違う事に気付いた代理人はその事について尋ねた。
「そう言えば…以前の格好とはだいぶ違いますが…」
「ん?ああ、そう言えばこの格好を見せるのは初めてだな」
以前までのブレイクの服装はギルヴァから貰った赤いコートを羽織り、適当なズボンを穿いていた。だが今の姿は赤を基調としたコートは変わらずとも、ズボンも赤を基調としたものを穿いている。装飾も施され、中着に至っては赤色でありつつも暗めの赤色の中着を着ている。
「中々にイカしてるだろ?」
「…服一式を買う金が何処にあったのかとは聞きませんが…でもよく似合っていますよ」
「美人に言われると嬉しいね。デートでもするかい?」
「ナチュラルに人妻を口説かないで下さい」
「おっと、フラれちまったぜ。中々に厳しいねぇ」
こういうやり取りは最早恒例と化している。ブレイクは至ってはおふざけで、代理人はギルヴァの妻なので誰に口説かれようと妻としての立場が揺らぐ事はない。
そんな二人のやり取りを他所にギルヴァは鉄の棺桶で未だに眠っている謎のハイエンドモデルを見つめていた。
雪の様な真っ白な髪、整った顔立ち、人形ではあるが歳は自分よりは上であろうと思っていた。代理人から調査の一部を聞いているのだが、何故彼女が存在すらも許されなかったのかギルヴァは疑問に感じていた。
情報を聞かされた時もずっと考えていたのが、結局分からず仕舞いで終わっていた。
「難儀だな…お前も」
存在する事も許されず、名も与えられる事すら許されなかった。
にも関わらず、誰かによって体を得てしまったのは彼女とて望んだ事ではなかったかも知れない。
だが生み出されたからにはその命を無下に扱う様な事はしないでほしいとギルヴァは願った。
例えこの世が最悪な状況にあったとしても、与えられた命には意味があった筈だと。
「…目覚める気がないならそれでいい。だが…お前はそのままで良いのか?」
静かに眠るハイエンドモデルに疑問をぶつけるギルヴァ。
だがその問いに彼女は答えない。答える筈もないかと思い彼が背を向けた瞬間だった。
振り返った瞬間にずっと眠っていたハイエンドモデルの目が開いた様にも感じたギルヴァ。再度棺桶へと振り向いた時、ギルヴァは自身の目を疑った。
彼の目に映るのは、じっとギルヴァを見つめる青い瞳。
いつの間に目覚めたのか、謎のハイエンドモデルはじっとギルヴァを見つめていたのだった。
突然として彼女が目覚めた事によりS10地区前線基地は大騒ぎになる。
目覚めた彼女が一体何者なのか…それは次の機会に語られる事となるのだった。
某所。
ある作戦を遂行する為、とある廃墟にて二人のハイエンドモデルがいた。
一人は二丁拳銃を装備し、もう一人は獰猛な笑みを浮かべていた。だがその様子は余りにも不自然と言え、疑問に思った鉄血のハイエンドモデル ハンターは、同じく鉄血のハイエンドモデルのエクスキューショナーへと問いかけた。
「おい…大丈夫か?」
「ん…?あぁ、問題ねぇよ。最近調子が良くてなぁ……何処からか力が溢れてくるんだよ」
「…そうか」
これなら問題ないと判断するハンター。
しかし彼女は気付いていなかった。エクスキューショナーの義腕にひっそりと不気味な何かが取りついていた事を。それは強い宿主に探し、寄生する魔界の寄生虫だという事を。
まるで知らず内に蝕み始める悪魔達。それは人間でも、鉄血でも気付かぬ内に蝕み始める。
最早グリフィン対鉄血との争いは、人類対悪魔へと変質つつあった。
S10地区郊外。
月が空高く昇り、全てを照らす。
誰も居ないゴーストタウンにてローブを纏い、しっかりとした歩みでS10地区へ目指す者がいた。
深くかぶっているのかその者が男か、女かすら分からない。しかしちらりと見えたその顔には眼帯の様なものを付けていた。
「やれやれ漸くか」
先には映るはS10地区。
その者はある裏切り者の始末の為、S10地区へと向かっていた。
だがその者は知らない。これから相手するのは全てを捧げ、例えそれがかつての仲間であろうとぶちのめす系メイドへと変貌している事を。
そしてその者はこれから知る事となる。
悪夢を与えるのは自分ではない
逆に自分が悪夢を与えられる側だという事を。
そしてその身をもって知る事となる
心を有し、その身に悪魔の血を流しながらも悪魔を狩る
題名は翻訳を使ってるんで、何か違くね?と思っても流して…(土下座
今回で第三章は終わりかなぁと思っていたり。
次回は悪魔との戦いより鉄血との戦いが多くなるかなと考えています。
鉄血のハイエンドモデル(一部)を味方に引き込もうかなぁ…思ってたり思ってなかったり…
と言っても確定ではないのでご容赦を。
また第四章からはS10地区前線基地に隠された秘密や戦力の増強、第二章終盤で登場した赤髪の女性を登場させたり…色々イベントを考えたりしています。
場合によって大規模コラボ作戦も考えていたり…(確定ではない)
てかまた大規模コラボ作戦やったら参加してくれる人おるんかな…
因みにブレイクの衣装ですが、大規模作戦前はDMC3ダンテの衣装(中着は着ています)で大規模作戦以降、つまり「デビルメイクライ 第一支店」に移動後はDMC1ダンテの衣装だと思っていただけたら幸いです
下手な文章、まとまっていない内容…目も当てられない酷さですが、今後も「Devils front line」をよろしくお願いいたします。
うちで宜しければコラボ依頼など気軽にお声掛け下さいな~
では次回に~ノシノシ