Devils front line   作:白黒モンブラン

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始まったH&R社本部制圧作戦。
その先行きを見つめるノーネイム。そしてギルヴァはかつてS11地区後方支援基地を舞台に展開された作戦にて協力してくれたある人物を見つける。


Act63-Extra Calamity Ⅱ ☆

「動き出したか」

 

H&R社本部制圧作戦開始と同時に坑道へと突撃し始める姿を見つ、静かに呟くノーネイム。

隣に座っているギルヴァは作戦の様子を見つめながら、かつてS11地区後方支援基地での作戦に参加してくれた者を偶然にも見つけた彼は、そっと口を開いた。

 

「…随分と早い再開となったものだ」

 

「む?向こうに誰か知り合いがいたのか?」

 

「ああ、一人だけな。S11地区後方支援基地での作戦に参加してくれた者がな。名はM16A4。世にも珍しい男性型戦術人形だ」

 

「男性型戦術人形というのも居るのだな」

 

「俺が知る限りではあいつしか知らん。もしかすれば彼以外にも探せばいるのかも知れんが、その気にはなれん」

 

早々そんな機会も訪れんと話を締めくくり、ギルヴァは作戦の様子を見つめる。

作戦開始前にM16A4の姿を見つけた時に彼から発せられていた雰囲気に、ギルヴァはある事を思い出していた。

 

(あの時もリホ・ワイルダーに対し不信感を抱いていたな。…理由は恐らく鉄血だからか)

 

彼の過去を全て知っている訳ではないギルヴァ。知っていると言ってもほんの少し程度。

だからと言って根掘り葉掘り聞きに行こう等思っていなかった。

だが分かっているとするのであれば、M16A4は鉄血に対し並みならぬ憎悪を抱いているという事だけ。

 

(例え鉄血を縁を切っていたとしても敵を見なす。それにあの雰囲気から察するに味方としてあの中に混じっていた鉄血の人形を疑っている様だったな)

 

下手すれば後ろから撃ちかねんぞ、あの様子だと…と思いつつもギルヴァはふと思った。

 

(…鉄血は敵。例え縁を切っていたとしてもその考えか。…だとするのであればお前はうちにいる代理人やノーネイムも敵と見なすのだろうか)

 

聞こえる筈もないにも関わらず、彼へと内心言葉を投げかけるギルヴァだったがすぐに頭を切り替え、始まった作戦の様子見を続ける事にした。

 

「…さてこの作戦は結末を迎えるのか、あるいは何者かによって中断となるか」

 

「私の予想では中断になると思うが」

 

「どちらにせよ、俺達が動く程の事態はないと見て良いかも知れん」

 

悪魔か、或いはそれに関連するものが出てこない限りな、と静かに呟くギルヴァ。

作戦は始まったばかり。この作戦がどのような結末を迎えるか。それを知るのは神のみぞ知る。

 

 

一方その頃、S10地区前線基地、執務室にて。

S11地区後方支援基地での作戦にて、囚われていた戦術人形三人がここに属する事となり、シーナはその三人を執務室で出迎えていた。互いに挨拶を交わし、今は談笑をしていた。そして自分達が元S11地区後方支援基地所属の戦術人形達より先に属される事となった理由をM590から聞いたシーナは、成程と頷いた。

 

「三人がまだ傷が浅い方だったんだね」

 

「ええ。ですのでまたこの様な機会を設けて頂けると嬉しく思います。指揮官も知っている通り、前に居た所では良い扱いされませんでしたから…」

 

「うん、分かってるよ。皆の仲間達がこっちに来た時も今と同じ様に交流会は設けるから。それで良いかな、M590」

 

「はい、ありがとうございます」

 

どうも致しまして、と微笑み返すシーナ。そんな時、彼女は隣に座っていたSPAS12の方をちらりと見た。

彼女の視線はある一点へと向けられている。その先にあるのは皿に盛られたシーナお手製クッキーの山。

焼きたてだからか香ばしい香りとほんのり香る甘い匂いがSPASを襲う。今にも食べたい顔をしているのだが、シーナが隣にいるのか我慢している様子だった。

そんな姿の表情を見てシーナは小さく微笑むと、SPASに声をかける。

 

「我慢せずとも食べて良いよ」

 

「えっ!?で、でも…」

 

「気にしない、気にしない。冷めてしまう前に食べちゃって」

 

シーナから許可が下りるとSPASはクッキーを一つ手に取り、口へ運んだ。

焼きたてという事もあってほんのり温かく、何よりもこのサクサクとした食感がSPASを幸福へと導く。

 

「ん~~!美味しいッ!!」

 

「良かった。自作だからお口に合わなかったらどうしようと思ってたけど、その様子だと問題ないみたいだね」

 

「えっ!?じ、自作なの!?」

 

「うん、そうだよ。と言っても趣味程度だけどね」

 

(本当に趣味の範囲なの…?)

 

実はシーナ、お菓子なら大半作れたりする。その出来栄えも味も職人級と言え、最早趣味の領域を飛びぬけている。その事もあってか、たまにであるがシーナの元にお菓子作りを頼みに来る者達やお菓子を作って欲しい頼んでくる者が居たりする。

 

「一つ良いかしら、指揮官」

 

SPASがシーナのお菓子作りの腕が本当に趣味の範囲よるものなのかと疑っている所で紅茶を飲んでいたグローザがシーナへと声をかける。

 

「ん?何かな、グローザ」

 

「この基地に、いいえ…この地区内に―――」

 

この地区に”彼”が居るという情報をグローザは掴んでいた。

ただそれがこの基地なのか、或いはこの地区内なのかまでははっきりしておらず、それを確かめる為に彼女は探している人物の名前を出しつつシーナへと問う。

 

 

 

 

 

「ブレイクという名前の男性居るかしら?」

 

 

 

 

 

「へっくし!」

 

デビルメイクライ第一支店に戻っていたブレイク。椅子に腰掛け足を机の上へと置きながら雑誌(大人向け)を読んでいた時に風邪を引いた訳ではないに関わらず、くしゃみを一つした。

 

「…何だ?」

 

何故突然としてくしゃみが出たのか分からないという顔をするブレイク。

 

 

 

 

彼は知らない。

 

 

 

この数時間後には再開(災難)が訪れる事を。




M16A4、許せ…(土下座

ギルヴァがそう感じただけだからね!許してね!

そしてうちら二人組はこのまま作戦の様子見。動くとなれば悪魔か、或いはそれに関連するものが出てきた際に動く事にしました。
と言っても悪魔が出てくる事はなさそうですので、このまま様子見ですね。
もしうちらを使いたかったらご連絡くださーい。

では次回ノシ

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