Devils front line   作:白黒モンブラン

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S10地区前線基地にてクリスマスパーティーが開かれる。
さぁ、楽しい一時を過ごそう。





本当なら昨日投稿したかったけど、流石に無理でした!


Act66 holly night

普段から鉄血との戦いや後方支援、模擬作戦などで忙しいS10地区前線基地。しかし今日のS10地区前線基地は別の意味で忙しくしていた。

 

「そっちの飾り付け終わったー?」

 

「もう少し待てい。…うむ、こんなもんかの」

 

「いいね。よっしゃ!次、行くよー!」

 

「これこれ。走るでない」

 

S10地区前線基地の講堂にて戦術人形達がいそいそと煌びやか飾り付けを行っていた。

そう。今日は12月24日、つまりクリスマスイヴ。

普段から戦い等でギスギスしている彼女達を労う為にも、前々からシーナがこの時の為にパーティーを企画しており、今夜行われるクリスマスパーティーに向けて非番の者達や手が空いている者達総員で準備を行っていた。

当然その中にはデビルメイクライの面々の姿もあり、ギルヴァ達もその飾り付けを手伝っていた。フードゥルとグリフォンに至っては用具などの運搬係を担っていた。フードゥルの頭の上には落ちない様に捕まりながら小さなサンタ帽をかぶったニャン丸が乗っかっており、そしてフードゥル達の横では95式が付き添い、同じ様に運搬を手伝っていた。因みに代理人や料理を得意とする面々は食堂にてクリスマスパーティー用の料理を仕込んでいる。その際にブレイクからはピザ(オリーブ抜きサラミ風)とストロベリーサンデーを要望している。クリスマスパーティーという事もあってその要望は通っており、その要望を出した本人は内心ウキウキしていたりする。

 

「ふぅ…こんな感じか?」

 

「そうね。貴方のセンスにしては良いんじゃないかしら」

 

ブレイクの隣で、飾り付けへの感想を述べたのはグローザだった。

再開を果たしてからの日数は極端に短いが、過去の事もあってか二人の距離は意外と近かったりする。

事実二人共互いに異性として意識はしているのだが、今の状態でも良かったりすると思っていたりする。

だがこれを機にとグローザはちょっとした狙いがあった。

 

「まぁ…店にこれをやるつもりはねぇけどな」

 

「あら。雰囲気作りは大事よ?」

 

「雰囲気に似合わねぇ大人な雰囲気をか?その雰囲気までに至るにはサンタさんを楽しみにしているキッズたちが眠るのを待たねぇとな」

 

「…貴方が望むなら私はOKよ?」

 

「…パーティー終わったら二次会のお誘いしていいかい?」

 

「喜んで♪」

 

二人の近くにいた戦術人形達はどことなく溢れる甘ったるい雰囲気を感じ取ると、早々に飾り付けを終わらせて、休憩がてらブラックコーヒーを飲みに行き、その傍らで見ていた代理人はブレイクをパーティー後に誘うグローザを見て、自分も試そうと考えていた。

しかしそれを阻む様に45が飾り付けをしていたギルヴァへと話しかけようとするが、やらせないと言わんばかりに代理人が飾り付けをしているギルヴァの手伝いに入ろうとする。

 

(こいつッ!)

 

(ふっ…)

 

逆に行動を阻まれた事により、代理人を睨む45。対する代理人は45に対し、勝ち誇った表情を見せつける。

二人の間で見えない何かがバチバチとぶつかっている所をチャンスを見たのか、HK416が動き出した。

しかしそれを見過ごさない二人ではない。互いに頷き、一時休戦協定を結ぶと取り押さえようと走り出す。

 

(させない!)

 

(させません!)

 

が、それも遅く、416は45と代理人よりも先に飾り付けをしていたギルヴァの手伝いを始めた。

勝ち誇った顔を見せつけつつ、ギルヴァとの距離を詰める。まるで無意識を装いつつ胸を当てながら。

 

「む?」

 

「手伝うわ」

 

「助かる」

 

(あいつ~!!!)

 

(ちぃっ!)

 

代理人は兎も角、45には勝算があった。

彼がシーナの依頼からの帰りに、指揮官に彼への伝言として伝えていた事がまだ生きているのだから。

だがそれを見越していたのか、416はある事を聞いてきた。

 

「45からクリスマスパーティーの後は一緒に過ごす様に言われたのでしょ?それも拒否権は無しで」

 

「…何の事か分からんな」

 

「誤魔化さない事ね。…私、知っているから」

 

「…」

 

こっそり聞いていた45は驚愕の表情を浮かべた。

いつ、どのタイミングで416がそれを聞いたのか分からなかった。だが416はその事を知っている訳ではなかった。

彼女ならその様な手段に出るであろうと予想し、敢えて知っているフリをしたのだ。そしてギルヴァの反応を見て、416は確信した。

ここで畳み掛けようとする416だが、ギルヴァが何処か優しそうな笑みを浮かべている事に気付く。

 

「…クリスマスはここの者達と過ごせれば良い。…子供の時からそれが当たり前だったからな」

 

特定の誰かと過ごすのではなく。

ここにいる者達をクリスマスを過ごせる事を願うギルヴァ。

ただ幸せ時間を過ごせる事を願っていた。それはギルヴァにとって一番願う事だった。

だからと言って特定の誰かと過ごさないわけでもない。しかし45の約束が416に知られている時点で、最早約束は意味を成さなくなっていた。

 

「だが、ふむ…そうだな。起きていたら酒の相手ぐらいはしてやろう」

 

「!」

 

それを聞いた45も代理人も、彼の隣で聞いていた416も心の内で決心し、闘争を滾らせる。

今、この時点で譲れない戦いが幕を開けた。

しかし三人は気付かなかった。この他にもそれを聞いていた者達がいた事に。

 

飾り付けを終え、後はパーティーの幕開けを待つ事となった。

しかしその時まで時間がある事から、殆どの面々は食堂に休憩を取っていた。

その中にはギルヴァの姿もあった。彼の隣にはブレイクが並び立っており、二人は席に座る事はせず、近くの壁に凭れていた。

 

「しかし豪勢なクリスマスパーティーだな。美人、美女ばっかりが揃う豪勢なパーティーは始めてだぜ」

 

「…」

 

「こういう時は楽しまねぇとな。…人生は刺激があるからこそ面白い。これもまた刺激の一つだ」

 

「…そうだな」

 

腕を組み、そっと目を伏せるギルヴァ。

クリスマスを祝う事には何ら抵抗はない。だが思う事が無い訳ではなかった。

 

(悪魔がクリスマスを祝うとはな…。少しばかり皮肉に思えるな)

 

―まぁ確かにな。でもブレイクが言った様に、こういうのは楽しまないと駄目だぜ?

 

(…分かっている)

 

 

 

並ぶ豪勢な料理。

サンタの姿に仮装する者やこの時に合わせて煌びやか衣装を着てやってくる者。

そしてこの基地を統べる指揮官、シーナが皆の前に立つとマイクを手に告げる。

 

「今日はクリスマスパーティー…皆、楽しんでいこう。それじゃ、乾杯!」

 

「「「「乾杯!!」」」

 

パーティーの開幕が知らせれ、各々自由な時間を過ごし始める。

美人、美女が揃う中、数少ない男性たちはというと…。

 

「…」

 

静かに酒を飲むギルヴァ。

 

「お、これ美味いな」

 

大好きなピザにありつくブレイク。

 

「…」

 

ギルヴァのそばで待機するフードゥル。

会場の端で静かに過ごす男達。

余りにも静かすぎるこの空間に耐えかねたのか、グリフォンが叫んだ。

 

「お前ら、ちっとは楽しくしたらどうなのよ!?クリスマスを過ごす相手がいないという名のクリぼっちの集いかよ、ここはぁ!?」

 

「それなりに楽しんでいるが?」

 

「ブレイクはまだマシだ。お前が一番説得力無いんだよ、ギルヴァ!!」

 

因みにニャン丸は95式とノーネイムと一緒に行動していた。

人懐っこい性格であり、ニャン丸は95式の肩とノーネイムの肩を行き来しながら戦術人形とも仲良くなっていた。

 

「ふふっ、本当に人懐っこい猫だな」

 

「ギルヴァさんが見つけた子猫なんですよ。一時期私が預かっていたんですよ」

 

「ほう?そうなのか。…父に見つけてもらったんだな、お前は」

 

優しくニャン丸の頭を指で撫でるノーネイム。

それが嬉しかったのか、ニャッと返答しながらニャン丸も彼女の指に頭をこすりつける。

和やかな雰囲気な一方で、テーブルを囲い45、代理人、416、そして急遽参戦したWA2000が火花を散らしていた。

その手には酒が入ったグラスが握られており、牽制し合っていた。全てはギルヴァと過ごす為。

譲れない思いがそこに介在していた。

誰が先に酔い潰れるか、誰が生き残るか。この戦いを制しなくてはならない。

 

「あら、416、飲まないの~?折角のパーティーよ?」

 

「そっちこそ飲まないかしら?それとも酔い潰れるのが怖いかしら?」

 

この中で酒に対する耐性が極端に弱い416に狙いを絞り、挑発を仕掛ける45。

そしてまけじ挑発し返す416。

 

「おや、お酒全然減っていませんよ?」

 

「そういうあんたも減ってないけど?」

 

その一方で減っていない酒の量をお互いに指摘しつつも火花を散らす代理人とWA2000。

パーティーを楽しなければならないというに、彼女達だけは生き残る為の戦いを繰り広げていた。

 

「…」

 

ブレイクがグローザと共に行動する為、その場を離れ、フードゥルとグリフォンはシーナの元へ遊びに行ったにも関わらず、ギルヴァは一人で静かに飲んでいた。性格もあってか、彼はそこまではしゃぐ方ではない。

グラスに注いだ酒を飲んでいるとそこにある戦術人形が彼の元へ歩み寄り話しかけた。

 

「楽しんでいますか?」

 

「…む?」

 

伏せていた目をあげ、彼は声の主の方へ向く。

そこにいたのはかつてS11地区後方支援基地に属し、つい最近になってOts14、SPAS-12と共にS10地区前線基地に配属となったSG戦術人形、M590だった。

 

「それなりにはな。…何か用だろうか」

 

「ええ。お礼をと思いまして」

 

M590が彼にお礼を伝えたい事は一つしかない。

ギルヴァはそれについて言及した。

 

「…S11地区後方支援基地での事か」

 

「はい」

 

「それを言うならナギサ指揮官や他の者達、そしてその事を俺達に伝えたWA2000に伝えるべきだろう。俺はやるべき事をやったまでに過ぎん」

 

グラスをテーブルの上に置くと、腕を組み目を伏せるギルヴァ。

 

「それでもですよ。助けてもらった事には変わりありませんので」

 

「そうか。…礼は受け取っておこう」

 

「そうしてくれるとありがたいです。…それにしてもこの基地は…その、随分と変わってますね」

 

ここに来て浅いM590。彼女の反応は決して間違ってはいなかった。

鉄血のハイエンドモデルが二人いて、喋る狼と猛禽類がいる。そこに加えて、悪魔の血を流す者、戦う力が無くとも現実を無視した武器を作る魔工職人もいる。

これが変わっているとだけでは物足りないものである。それどころか異常という言葉が合っている。しかしここに属する事になった上で、失礼な物言いは彼女とて気が引けた部分があった。故に彼女は「変わっている」と濁した。苦笑いを浮かべるM590を見ながら、ギルヴァは無理もないと判断していた。

最も自分が異常を作る様になった元凶なのだ。それなりに彼も自覚はしていた。

 

「じきに慣れる。…少なくとも昔居た基地よりかはマシと言えるが?」

 

「ええ…そうですね。こっちの方が前の所とは比較にならない位、マシですよ」

 

ふと遠くからSPAS-12がM590~!と手を振り彼女の名を呼んでいた。

 

「こっちに美味しいのあるよ~!」

 

「ええ、すぐに行きますよ」

 

彼女はギルヴァに一礼してからSPASの方へ向かって行った。

その背を見届けながらギルヴァは再度酒を飲み始める。賑やかな一時はまだ終わりを告げる事を知らない。

 

パーティーが開幕して、ある程度時間が経過していた。

酔い潰れる者や疲れて眠ってしまう者が続出する中、ギルヴァは起きていた。

フードゥルとグリフォンは近くのソファーで固まって眠っており、フードゥルの頭にはニャン丸が乗っており、ニャン丸も静かな寝息を立て眠っていた。その隣では95式がフードゥルの腹部分を枕代わりにして眠っていた。そして生き残る為に火花を散らしていた45達は争いの結果、全員酔い潰れて眠ってしまうという結果になっていた。

一方ブレイクはグローザと共にパーティーを早めに抜け出し、店へと戻っていっている。今頃二人っきりで二次会でも始めている頃であろう。

静かに酒を嗜んでいるギルヴァの所に、まだ起きていた戦術人形が彼の元へと歩み寄る。

 

「相席いいかしら?」

 

「起きていたのか、FAL」

 

「まぁね」

 

とは言いつつも彼女の顔はほんのり紅かった。幾らかは飲んでいるのだが、決して何かをやらかす様子はなかった。大丈夫だろうと判断したギルヴァは頷き、相席に了承する。

了承を得られたFALは彼の対面側の椅子へと腰掛けた。

 

「ずっと一人で飲んでいたけど、パーティーは楽しめたのかしら?」

 

「それなりにはな」

 

グラスの中に入っている氷が音を立てて踊る。

彼の対面に座るFALもグラスに注いだ酒を一口飲む。

先程の喧騒はどこに行ったのか、パーティー会場には静けさが訪れていた。起きている者はギルヴァとFAL以外にも居るのだが、各々自由な時間を過ごしていた。

 

「にしても色々あったわよね。貴方が来た時から色々」

 

「ここに来る以前から色々あったがな」

 

「そうだったわね。…まさかあのマンティコアを素手で殴り上げる人がいるのは初めて見たわよ」

 

FALとの出会いは、ギルヴァも覚えていた。

95式と共に旅をした際に、マンティコアを苦戦していたFALとSVDに出会った。

マンティコアを撃破し、二人を助けたギルヴァ。最もギルヴァはその後にS10地区前線基地にて再開する事になるとは思ってなかったらしい。

 

「まぁその後に代理人やフードゥル、ブレイクやグリフォンが此処に来た…色んな意味で濃すぎる日が多すぎるわよ」

 

「それは本人らに言ってくれ」

 

「発端になった人がそれを言うかしら?」

 

「何の事か分からんな」

 

素知らぬ振りを決め込むギルヴァ。

頬杖を付き、上半身をテーブルの上へと預けるFAL。着ている服装があれなので、相手からすれば福眼なのだがギルヴァは大して何も思わず、酒を一口飲む。

 

「少しは反応してくれてもいいんじゃない?」

 

「ならばそんな事をしない事だな」

 

「無理でしょうね。…何故ならそれは…」

 

「それは?」

 

「えっと…何だった…か、しら……」

 

そのままFALはテーブルに突っ伏す形で眠りについてしまった。

パーティーはそろそろお開きとなるだろうと考えたギルヴァはグラスに注がれた最後の一杯を飲み干すと、椅子に腰掛けたまま眠りに付く事にした。

 

 

その頃…。

 

ブレイクはグローザと二人っきりの時間を過ごしていた。

とは言っても誰もが考えている事へと発展する様子はなく、二人はかつて果たせなかった約束を果たしていた。

 

「結局奢りじゃなくなったわね」

 

「いいんじゃねぇのか?こう言うのも悪くない」

 

ピザを頬張るブレイク。対するグローザはワインを嗜んでいた。

そしてここでグローザはブレイクにある事を聞き出す。

 

「ブレイク、この後の時間はあるかしら?…6時間ぐらい」

 

「…美人からのお誘いなら幾らでもOKだぜ?」

 

「そう…後で楽しみにしてるわ」

 

この後、二人がどうなったか。

それを知るのは二人だけ知らない事である。




ブレイク達、あの後どうなったんだろう(すっとぼけ)

今年も残りわずかですが、これからもよろしくお願い申し上げます。

では次回ノシ
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