Devils front line   作:白黒モンブラン

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SOPMODⅡと合流したギルヴァ。
彼女から何故この状況になったかを聞かされる。
彼女の話の中には"黒い壁"という単語が現れた。


Act74 hell gate

「黒い壁だと?」

 

「うん。作戦開始時刻直前に地響きが聞こえて遠くから黒い壁の様なのが現れて…。その数分後にはこの辺り一帯が氷で覆われたの」

 

捜索対象の一人であるSOPⅡと合流したギルヴァ。一度その場から離れ、近くにあった廃屋に身を潜めていた。

敵が居ない事を確認した後に彼女からここが何故この様な事になってしまったのかを聞いていた。

黒い壁という言葉を聞き、魔界出身である蒼がギルヴァに伝える。

 

―黒い壁…まさか地獄門か

 

(地獄門?)

 

―魔界から人間界へと向かう為もの。そして確実に人間界へとたどり着く事が出来る門だ

 

(待て。魔界と人間界を繋ぐトンネルは崩壊しているのだろう?人間界に訪れた悪魔は不定期にここと魔界が繋がる事象を利用し、奇跡的に辿り着く事が出来た。しかしそのデメリットもある事を知らん訳ではないだろう)

 

人間界と魔界を繋ぐトンネルはかつて存在していた。人の目に見える事はなく、魔界の住民でしか知らぬ事。

それはある理由によって崩壊しているのだが、魔界から人間界へと訪れる術はもう一つあった。

不定期に発生する二つの世界が繋がってしまう事がある。しかしそれは不安定で、確実に人間界へとたどり着く事が出来るとは言えないのだ。入ったとしても出口が閉ざされていた事があり、最悪入り口と出口が閉ざされてしまい、トンネル内に閉じ込められたりする場合もあるのだ。蒼もそれを知らない訳ではない。

 

―ああ、知っている。地獄門は確実な出口として建てられたものさ。魔界に戻れなくなっても、出口は確実にあるんだ。閉じ込められる位なら、人間界に来る方が賢いだろ?

 

(それはそうだが。…まさか今まで見てきた悪魔達は地獄門を使って?)

 

―どうかな?もし見てきた悪魔達が地獄門を使って人間界に現れたのなら、今頃色んな悪魔がそこらで群がっている筈だ。恐らく今まで地獄門は存在はしていたが、起動される事はなかったのだろう。

 

(つまり誰かが地獄門を起動させた。それにより悪魔が人間界に現れた、と?)

 

―付け加えるなら、現れた悪魔は恐らく閉じ込められていた奴らだろうな

 

(成程な…)

 

思ったより事態は厄介ものになっていた。

元凶を倒したとしても、その門から別の悪魔が出てきてしまえば事態の解決は遠ざかっていく。

優先すべきは門の破壊だと彼はそう判断した。

 

(元凶の討伐は奴に任せるしかないか)

 

別行動を取っているブレイクに元凶の討伐を任せるしかない。

そしてギルヴァは門へ破壊を目指す事にした。当然ながらSOPⅡを置いていくことはしない。

ここに置いていく等という判断すれば再度悪魔に襲われる可能性もある。何よりそんな事すれば自ら依頼を放棄した事になるのだ。

背を預けていた壁から離れるとギルヴァはSOPⅡへと伝える。

 

「動くぞ」

 

「え!?ちょ、ちょっと待ってよ!?そっちで勝手に納得されても困るんだけど!?」

 

それもそうだ。

SOPⅡはあの黒い壁や悪魔の事を知らない。何も知らされないままでは納得行く筈がない。

そうなる事も予想済みであったのか、ギルヴァは外へと向かって行きながら口を開く。

 

「聞きたい事は動きながら話す。ついてこい」

 

「ああ、もう!待ってってば!」

 

ギルヴァの性格もあってか上から目線でもあるし、肝心な事は後で話すと言う始末。

振り回されっぱなしのSOPⅡは軽くイラつきながもギルヴァの後を追いかけるのだった。

 

 

 

その頃ブレイクは現れた悪魔、フロストとの戦闘を繰り広げていた。

今まで見てきた悪魔とはフロストは他の一線を画すが、相手が悪すぎた。

地を蹴り勢いよくふみ込むブレイク。リベリオンを突き立て、フロストとの間合いを詰める。

そのままリベリオンを用いて腕を高速に動かし無数の突きを繰り出す技「ミリオンスタップ」を放つ。

それによりフロストの動きを封じ、反撃の隙を与えない。

耐久力はあるのだろう。しかしブレイクの攻撃により、反撃が出来ないフロスト。

 

「砕けろ!」

 

最後に強烈な一撃を叩きこみフロストを吹き飛ばす。

止めの一撃により吹き飛ばされたフロストは地面を転がっていき、漸く飛ばされた慣性を失い止まった。

そのまま立ち上がる事はなく、フロストは消失。ブレイクはリベリオンを背へと収め、町の奥の方へ視線を向けた。

 

「さてと音の方に行くのが良いんだが……あん?」

 

遠方からではあるが、大通りを走りながら横切る少女をブレイクは見つけた。

黒い髪に緑色のメッシュが特徴の少女は何度も後方を確認しては手に持った銃を構え、追ってくるフロストへと銃撃していた。しかし悪魔には大したダメージにはならない。良くて足止め程度が関の山である。

少女はブレイクの姿を見つける事はなく、そのまま裏通りへ消えていく。

これで何もしないブレイクではない。だがある問題が生じていた。

ギルヴァなら先程の少女が誰なのか分かるのだが、ブレイクは誰なのか分かっていなかった。

元々は現地で顔を合わせる予定だったのだ。

しかし彼は勢いよく駆け出すと少女の後を追う。助けた後に名前を聞けば分かるだろうという根端だ。

彼は近場の建物へ向かって跳躍し、壁を蹴ってさらに飛び上がる。

そのまま屋上へと着地し、走り出す。あのまま少女が通っていた道を辿っていくよりかは、こうして屋上を伝って追った方が速い。向こうもそれなりに速いが追いつけない速さでない。

建物から別の建物へと飛び移りながら少女を追うブレイク。漸く追いつくと彼女は二人のフロストに行く手を阻まれ、前にも後ろにも引く事が出来ない状況に陥っていた。

 

「んじゃ…」

 

勢いよく跳躍。そしてリベリオンではなく、双剣状態のヴァーン・ズィニヒを展開。

そのまま少女の前方からゆっくりと迫るフロストへと向かって降下し…

 

「派手なライブと行こうか!」

 

回転する二振りの鋸をフロストの頭上から叩きつけた。

 

 

突如として鳴り響いたバイクのエンジン音。

何事か思い上を見上げた時、私は目を見開いた。その瞬間前方から迫ってきていた敵に男性が降ってきて何かを叩きつけた。ガリガリと何か削る様な音が響き、氷の破片が四散していく。

チェーンソーの様な物を叩きつけたのだろうかと冷静に判断していると男性がこちらに気付き、振り向いた。

 

「貴方は…」

 

赤いコートを羽織り、背には大剣らしきものを背負っている。

ギルヴァさんではない。しかし何故か目の前にいる男性が敵とは思えなかった。

声をかけられて男性は一度こちらを見るとニヒルに笑い、コートの内側から黒い大型拳銃二丁取り出し、私の後ろから迫ってくる敵へと発砲し始めた。

 

「悪いな、自己紹介は後だ」

 

こっちがあれだけ撃っても怯む様子すらなかったというのに、男性が大型拳銃で攻撃する度にアレは怯んでいく。

怯んだ所に男性は大型拳銃を収め、背負っていた大剣の柄に手を伸ばし振り抜いた。

勢いよく地面を蹴り私の横を通り過ぎて行くと、男性は敵に急接近。下から上へと向かって大剣を振り上げながら彼も敵と共に上空へと浮かび上がっていく。その瞬間、男性は驚くべき行動へと出た。

 

「蜂の巣だ!」

 

体を上下反転させ、勢いよく回転しながら二丁拳銃を用いた銃弾の雨を敵へと降らし始めたのだ。

人間離れした動きに私は啞然とした。どうすればあんな芸当が出来るのか。理解が追い付かない。

ギルヴァさんを初めて見た時も驚きはしたが、彼の方がもっと驚く。

そうこうしている内に戦いに決着がつこうとしていた。宙で成す術もなく蜂の巣にされた敵が地面へと墜落し、追撃として男性が手に持った大剣を振り下ろし、地上の敵に対し強烈な一撃を浴びせた。

流石に耐えらなかったのだろう。敵はそのまま動かなくなり…

 

「消えた…?」

 

普通なら死体が残るだろう。しかし私を追ってきていた敵は氷が融けていくかの様に消えていった。

まさかと思い、もう一体の方が居た方へと振り向くがまるで何もなかったかの様にそこには敵の姿はなかった。

あれは一体何なのか。ここら一帯が氷だらけとなった元凶なのだろうか。

そんな事を思っていると先程の男性がこちらへと歩み寄り話しかけてきた。

 

「お嬢ちゃんがAR小隊の一人か?」

 

「えっと貴方は…」

 

「おっと悪いな。ギルヴァに呼ばれてな。デビルメイクライ第一支店で行動している。名前はブレイクだ、宜しくお嬢ちゃん」

 

デビルメイクライ第一支店…。

私がギルヴァさんと会ったあの日以降に出来たと見て良さそうだ。

そして彼…ブレイクさんの口から出たギルヴァさんの名…信用はしていいだろう。

 

「AR小隊、小隊長のM4A1です。救援感謝します」

 

「おっと隊長さんか。ならあっちがもう一人を見つければ追加依頼の一つはこなせそうだな」

 

「追加依頼?」

 

グリフィンとの連絡が取れない今、正直現状が掴めずにいる。

依頼人は私であるが、彼が追加依頼と言った時疑問を覚えた。

もしかしてグリフィン側が彼らに追加依頼したのだろうか…それなら納得が行くが。

 

「ブレイクさん」

 

「ん?」

 

「色々事情をお聞かせくださいませんか?こっちも状況を上手く掴めてなくて」

 

「色々ぶっとんだ話になるが、それでも良いかい?」

 

「はい」

 

この後に彼から語れた事は本当に色々ぶっ飛んでいた。

グリフィンから追加依頼され、私達を探しに来た事は驚きはしなかったが…。

作戦領域が氷雪地帯と化してしまったのは悪魔という存在による仕業だと告げられた。

悪魔と言えば、あの御伽噺に出てくるあの悪魔だろう。それがこの世に人知れず存在すると告げられても今一しっくり来なかった。しかし今まで私を追ってきた未知の敵がブレイクさんの言う「悪魔」だとするのであれば認めざる他ないだろう。

この世の中には悪魔という人知れず存在するものがいるのだと…。

 

 

 

 

S10地区前線基地隣接店「Devil May Cry」にて。

任務にて404小隊が帰投し指揮官に報告したの後にUMP45は愛する夫の元へ急いで戻っていた。

結婚してからというものの任務によるストレスも愛する夫の傍にいるだけでそんなストレスも解消される。

今日も任務のストレスも解消する為にデビルメイクライの裏口から店内へと戻ってきたのだが…。

 

「ただいまー。ってあれ…?」

 

彼女が戻ってきた時にギルヴァや代理人が居ない事に気付く。

居たのはソファーに休んでいるフードゥルとジュースボックスの上でのんびりしていたグリフォンの二人だけであった。45が任務から戻ってきた事を受け、グリフォンが迎える。

 

「おう、嬢ちゃん。おかえり」

 

「ただいま。ギルヴァは?」

 

「嬢ちゃん達が任務に向かっている頃に依頼があってな。ギルヴァ達はそっちに出向いたぜ」

 

「へぇー、誰からの依頼か、聞いてるかしらグリフォン?」

 

「確か…」

 

ここでグリフォンは口にするべきではなかっただろう。

知らないや聞いていないと言うべきだったかも知れない。そうすれば最近鳴りを潜めていた45の闇に知らずに済んだのだから。

 

「M4って言ってたな」

 

しかしそんな事を知る訳がなく、依頼人の名前を明かしてしまったグリフォン。

その名を聞き、明らかに雰囲気が変わった45を見て彼は戦慄した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヘェ……?」

 

そこには光が灯ってない目を見せ、不気味な笑みを浮かべる何か(UMP45)が立っていたのだから。




SOPMODⅡと合流したギルヴァ。
M4と合流したブレイク。

果たしてこの事態はどう傾いてくのだろうか…。

次回はいつ更新になるか未定です。
気長にお待ち下さい。
では次回ノシ
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