Devils front line   作:白黒モンブラン

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赤き狩人は戦術人形と共に悪魔へと立ち向かう。


Act76 frozen frog

「氷漬けにしてくれるわッ!!!」

 

鼻から空気を吸う様な動き。ダゴンの体が膨らむ。

次の瞬間、吐き出された空気が冷気によって凝固し氷柱が群れをなして二人に襲い掛かる。

ブレイクはその場から跳躍して攻撃を回避し、M4は横へと飛び込み攻撃を回避。軽々とした身のこなしで地面を一回転すると態勢を立て直し、ダゴンへと向けて己の名と同じ銃を構える。

これだけ大きな的なら態々狙う必要は無い。

引き金を絞る。引いている間、銃口から吐き出される鉛弾。地面へと落ちていく薬莢。吹雪に混じって硝煙が漂う。

M4がダゴンへと攻撃を開始し、ブレイクはダゴンの狙う先が彼女へと向かせない為に動き出す。宙で回転を一回だげ挟みつつフォルテ&アレグロを引き抜き、地表のダゴンへと構え連射。

この程度の攻撃ではあの悪魔がやれないことぐらいはブレイクも分かっている。だからといって銃撃を止める事はない。

ダゴンが触手をブレイクへと飛ばす。

飛んでくるそれを彼は体を捻り宙で攻撃を回避。そのまま触手の上に降り立つと勢いよくダゴンへと駆け出す。

リベリオンの柄に手を伸ばし、抜刀の態勢へと入ると触手を勢いよく蹴り一気に間合いを詰める。

ロケットの様にダゴンへと急接近するブレイク。そこからリベリオンを抜き、振り下ろそうとする。しかしダゴンとて易々と攻撃を貰う様な悪魔ではない。体を揺らしその場から後方へと飛び退き、攻撃を回避。

ブレイクが地上に降りてきた所を狙って、大口を開け彼を喰らおうと襲い掛かるダゴン。しかしそれを妨害する様にM4が銃撃で目の部分を攻撃、ダゴンの攻撃を中断させる。幾ら銃弾による攻撃が効きづらい相手だろうと目を攻撃をされれば悪魔であろうと痛いものは痛い。それどころか宙に浮かんでいた所が攻撃された為、態勢が崩れその巨体が地面を転がり、ブレイクの横を通り過ぎて行く。

回避できる余裕はあったとは言え、M4の的確な援護射撃。ブレイクは彼女の援護に感謝を伝える。

 

「助かったぜ、嬢ちゃん」

 

「いえ、これ位なら…。それにまだ終わってはいませんよ」

 

「ああ。分かってる」

 

そう答えながらブレイクは態勢を立て直しながらこちらへと向いているダゴンを見る。

M4に攻撃を邪魔された事にダゴンは怒り心頭で、狙いをブレイクではなくM4へと定める。

頭に生えた氷からまるで砲弾の如く無数に射出され、彼女とブレイクへと降り注ぐが影によりどこに落ちてくるかは判別できる為、二人は氷の雨を回避。しかしそれにより分断されるがM4は銃を離れた位置にいるダゴンへと向ける。そして彼女は自身の目を疑った。

 

「居ない…!?」

 

先程まで居たダゴンがいない。何処へ行ったのか足を止めて周りを見渡し警戒するM4。

その時ブレイクが叫んだ。

 

「上だ!」

 

「ッ!!」

 

その言葉を耳にした瞬間ばっと顔を上へ上げるM4。

そして上を見上げた時、M4を押しつぶそうと迫るダゴンの腹が迫っていた。

銃を構えている暇はない。彼女は即座にそこから飛び退いた直後、ダゴンを落ちてきた。

その衝撃によりM4は態勢を崩し、地面を転がるが直ぐに起き上がり相手との距離を取りつつ銃を放つ。

しかし大したダメージにはならない。その瞬間何処からかエンジン音が鳴り響く。

迫る何かへと振り向こうとした瞬間、ダゴンに強烈な一撃が叩き込まれる。

めり込み、歪むダゴンの顔。そこに居たのはフルスロットル状態のヴァーン・ズィニヒに跨り、車体による体当たり攻撃を放つブレイクの姿。

 

「信号無視の横断は駄目だぜ?事故の元になるからな。それともお嬢ちゃんに見惚れて赤信号が見えなかったのかい?どちらにしても交通ルールは守った方が良いぜ」

 

「人間がッ!!」

 

「おっと!」

 

この状況だと言うのに決して挑発を止めないブレイク。

短気な性格上、見事なまでに挑発を乗り更に怒気が増すダゴン。ブレイクを振り払おうと自身の腹を軸にして勢い良く回転。が、その行動は読まれており彼はバイクから降り、回転する直前のダゴンの体を足場にして跳躍しリベリオンに手を伸ばす。

重力に引かれる様にリベリオンを振り抜くブレイク。急降下から一撃がダゴンの触角部分を斬り落とす。そのまま地上へと着地しリベリオンを突き立てつつ、地面を蹴り突進。刀身に赤い魔力が注がれ、急接近。そしてダゴンの胴体へとスティンガーが叩き込み、突き飛ばす。

 

「トリック!」

 

ブレイクの攻撃は止まらない。

瞬間移動技 エアトリックで突き飛ばしたダゴンに追いつき、そこから再度跳躍し空高く舞い上がりフォルテ&アレグロを構える。二丁が奏でようとする曲にさらに音を足すかの様にブレイクの魔力が注がれ、魔力を帯びた弾丸が次々と撃ち出されていく。そこから彼は体を上下反転させ、勢い良く回転しながら弾丸の雨を降らせながら降下。そしてフォルテ&アレグロをしまうとヴァーン・ズィニヒを双剣状態で展開し手に取り、反動を付けて機械剣を振り下ろした。

ブレイクが持つ武装の中で最も重量のあるヴァーン・ズィニヒ。重量に加え反動を付けた事による凄まじい速さで降下し、ダゴンの顔に叩きつける。その一撃は軽い衝撃波が奔り、回転する鋸がダゴンの体を斬り刻み、そのまま体を回転させヴァーン・ズィニヒをバイク形態へ移行させると回転の反動を生かしつつヴァーン・ズィニヒを投げ飛ばす。投げ飛ばされたヴァーン・ズィニヒはダゴンの顔面に直撃するがしぶとさはあの魔界の覇王の次に来るのか氷の蛙はまだ立ち上がる。

 

「まだじゃ!わしがやられても…ッ!!?」

 

最後に何かを言おうとするダゴンであったが、自身の目に映った光景に目を見開く。

 

「地獄に帰んな!」

 

映ったのは片手でリベリオンを振り上げ、止めを刺そうと迫るブレイクの姿。

驚いた事が隙となり、リベリオンの刃がダゴンの体を縦に一閃する。それが止めとなり、瞬く間に体が凍っていくそのまま砕け散っていくダゴン。

 

(凄い…)

 

途中から見ている事しか出来なかったM4であったが、ブレイクの動きや戦い方を見て純粋にそう思った。

あれ程大きな体を持つ悪魔を相手に臆する事もなく、それどころか挑発を仕掛けるブレイク。

M4は到底真似出来ない動きだと感じていた。故に彼女のブレイクやギルヴァに対する疑問が大きくなる。

 

(本当何者なの…?)

 

悪魔という存在を知ったばかりの少女。

だからこそ彼女は知らなくてはならなかった。

悪魔の血を流しながら、悪魔を討つ者達…悪魔狩人(デビルハンター)の存在を。

 

 

 

「吹雪が収まった…?」

 

新たな弾倉を装填しながらSOPⅡは呟く。

異形と化した鉄血人形兵達との戦いが始まってからというもの、彼女はギルヴァの援護に徹していた。

クイーンを振るい、無銘を抜刀し、レーゾンデートルとフェイクを撃ち、幻影刀を射出し群がる奴らの攻撃を一切貰う事無く一人、また一人と屍を重ねていくギルヴァに自身の援護が役に立っているかは疑問に感じずにはいられなかったが。

そんな事をよそにギルヴァは残った一人に対して、無銘を構え居合の態勢を取る。

 

「終わりだ」

 

放たれる神速の抜刀。

空間を切り裂き離れた位置にいた敵に斬撃が襲い掛かる。瞬く間にバラバラに切り裂かれ、そのまま人形兵は地へ伏せる。中にいた、魔力と化した寄生虫も黒い靄の様なものをあげながら霧散し消滅していく。

居合の態勢を解き、周囲を見回すギルヴァ。先程斬り刻んだ敵で最後と判断するのだが、彼は警戒を解かずにいた。戦闘に終わり、ギルヴァの元へ駆け寄ったSOPⅡも不思議そうに見つめる。

 

「居るのは分かっている。出てこい」

 

この場にもう一人いるかの様に、そう口にするギルヴァ。

そしてその言葉に答えるかの様に彼の後ろからゆっくりと何者かが姿を見せる。この場に現れた第三者を見て、即座に銃を構えるSOPⅡ。対するギルヴァは行動を動かさなかった。

 

「気付くとはな。…人間に対し恐ろしいと思ったのはお前が初めてだ」

 

そこに居たのは満身創痍姿のハンターであった。

今なら倒せると思ったのだろう。SOPⅡは銃の引き金を引こうとする。しかしそれを阻止するかのようにギルヴァが彼女の前に出て止める。どうして!?といった表情を浮かべ、ギルヴァの背を見つめるSOPⅡ。

しかしギルヴァは答えようとせず、ハンターへと話しかける。

 

「…その傷、グリフィンによるものではないな」

 

「そこにも気付くか。やれやれ…恐ろしい奴だ」

 

満身創痍だと言うのに笑みを浮かべるハンター。

 

「ああ…。グリフィンによるものではない。…こうなったのはもう一人によるものだ」

 

「もう一人…処刑人か」

 

「そうだ」

 

ギルヴァの後ろで話を聞いていたSOPⅡは疑問に思った。

何故仲間である筈の処刑人が狩人を攻撃する様な暴挙へと出たのか。そしてそれはすぐに明かされる事となる。

 

「…あいつはどうやら私達ですら知らなかった何かによって暴走してしまってな。…あの訳の分からない建造物が出てきたのも奴の仕業だ」

 

「…悪魔か」

 

「悪魔か…成程、確かにそうかも知れん。この状況といい、変わり果てた同胞といい…悪魔による仕業かも知れないな」

 

ハンターは一歩、一歩ずつとギルヴァへと歩み寄る。

歩くどころか立っている事ですら辛い筈なのに彼女は足を止めない。

 

「だがお前なら出来るかも知れん。…あいつを…変わり果てた処刑人を止める事を…」

 

片腕を伸ばし、自身の手をギルヴァの肩へと置くハンター。

置かれた手は非常に弱々しく、ハンターの最期がもうすぐそこまで迫っていた。それでも彼女は彼に頼むしかなかった。それが裏切りと言われようとも、承知の上だ。

 

「最早グリフィンなど、鉄血など言ってられん…。だから頼む…あいつを…」

 

人類に対し敵対する事となっても付き合いは長く、戦友とも思える存在だった。自身と似た様に姑息な手段を嫌ったり、正々堂々とした戦いを好む辺りはどうか思いつつも否定する気にはなれなかった。

そんな戦友が…友が変わり果て、暴走する様など見たくない。

 

(時間か…)

 

体の力が入らなくなる。

残りわずかの力を振り絞り、地面に膝を尽きそうになりながらも掠れそうになる声でハンターはギルヴァに"依頼"する。

 

「処刑人を……救って、く……れ……」

 

瞼が降ろされ、静かに地面へと倒れ行くハンター。そんな彼女を片腕で受け止めるギルヴァ。そっと、優しく地面へと寝かせようとした瞬間、元凶が討たれたにも関わらず、ハンターの頬に付着していた氷が包み込む様に一気に広がり…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

跡形も残さず砕け散っていった。




黒き狩人は友を助けてほしいと願う鉄血狩人の最期の願い(依頼)を聞く。






暴走する友を止めて欲しく、ギルヴァに"依頼"するハンター。
友を案ずる彼女の魂はもしかしたらこことは異なる世界に辿り着いているかも知れません。
つまり何が言いたいのかと言うと…。

別世界に転生したハンター、書いちゃってもいいんだよ?(チラッチラッ


では次回ノシ
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