あちらもあちらで色々起きていますが…。
こちらもこちらでやり残した仕事に取り掛かります。
てかうちって色々面倒事起こしてない?気のせいかな…
S09 P地区、早朝。
日が昇り、新たな一日を迎えるその町でギルヴァは一時的な拠点として利用している宿の屋上にて先を見つめていた。その先にあるのは数か月前に世話になった基地。一週間も世話になった上に、後のS11地区の作戦では手を貸してくれたところだ。
「…フェーンベルツの一件以来か、あの基地を見るのは」
―ザ・ディスペア・エンボディードをブレイクと共に追って、この地区の部隊が戦闘している所に飛び入り参加。とんでもない登場の仕方だったな?
「仕方あるまい。あの状況で自分がどこの地区の上空に居たかなど考える暇すらなかったのだからな」
―それもそうか。…挨拶にでも行くか?
「いや、そのつもりはない。それにこちらが突然訪問するなど迷惑だろうからな」
―今度会う時はのんびりとした平穏な日にしようって言ったのお前だぞ?
「それはまたの機会に取っておくとしよう」
処刑人との戦いの後、ギルヴァが一人でこの地区に来たのは世話になった基地を見に来た訳ではない。あまり気にする事でないとも言えるのだが、それでも懸念が払拭できずにこうして彼はここにいた。
そして何故ここに来たのか、その目的を知らされていない蒼は本題へと切り出した。
―それで?何でここに来たのか、そろそろ教えてもらおうか?
「…そうだな」
基地を見つめながら彼はその場で腕を組みつつ、蒼の質問に答える事にした。
「地獄門…あれがいつ、どのタイミングで起動したか覚えているか?」
―いつ、どのタイミングって…そりゃ俺達があの場に来る前だろう?
「では破壊に至るまでどれ程の時間を要した?」
―到着して…移動含めてざっと一時間くらいか
「…その空白の時間、本当にあの門からブレイクが討った悪魔と処刑人に憑りついていた悪魔以外一体も出てこなかったとは思えん」
そう言われて、蒼は理解した。
ギルヴァがここに来た理由。結論から言えば討ち漏らしがあるという事だ。
前日の戦いにて、地獄門から現れた悪魔がダゴンと霊体であったフリージング・アンジェロだけとは限らない。地獄門から現れた別の悪魔が作戦領域から離れどこかの地区で潜んでいる可能性がある。それをギルヴァは気に掛けていた。
しかし何故ここなのか。それには蒼も気付いていた。
―成程なぁ…薄っすらと、本当に薄っすらとだが感じられる魔の気配。そしてそれはこの町に隠れている…だからここに来たのか。
「そうだ」
―それに基地へと向かってこの町に悪魔が潜んでますなんて言えば、向こうだって行動するだろうな。そうなってしまえば、隠れている悪魔だって察知して逃げ出す可能性もある。それを含めて挨拶はまた今度って訳か
「ああ。俺が動いた、つまりそれは悪魔が関わっている案件だと示している様なものだ。それにあそこには何度か世話になった。これ以上迷惑はかけられまい」
元はと言えば自分達が討ち漏らした事が原因なのだ。ならば自分の問題は自分で片付けるのが正しい。
一度目は一週間も世話になり、二度目はS11地区での作戦に協力してくれたにも関わらず、こちらは大した礼を出来ていない。だからこそ今回の一件は自分達で内々に収めようと考えていたのだ。
―成程。たまには誰かに頼るのではなく自分で解決するのもアリだな。さて…向こうがお前がこの地区に来ているって聞けばどんな反応するんだろうな?
「さあな。こちらはこちらの仕事をするまでだ」
―はいはいっと
(勘でしかないが、今あの基地では何かが起きている。悪魔の血を流す俺に言われても嬉しくないと思うが、無理だけはするなよ、ユノ指揮官)
かつて自分を信じてくれた指揮官へ心の内で投げかけるギルヴァ。
その後に踵を返し、屋上を後にする。
朝食を取ったの後、彼がまず初めに始めたのは情報収集だった。とは言え悪魔という存在がそこまで知られていない以上、オカルトじみた話があがってくる筈がない。ギルヴァも二日、三日はかかるであろうと判断しており、さして今日一日で得られる情報はないと期待すらしていなかった。
そしてそれは見事に的中し、夜を迎えていた。
「…」
町にある小さな酒場でギルヴァはいた。カウンターの端で腰掛け度数の低い酒が入ったグラスを手に、それを飲んでいた。ウイスキーでも良かったのだが、後の事もあり敢えてそれは控えていた。
酒を飲んだ後は、彼は闇夜に包まれた町へ出向くつもりでいた。情報はつかめずには居たが、悪魔の気配なら情報が無くとも察知できる。それで片がつくのであれば尚の事良し。つかないのであれば、地道に動くまでの事。
「辛気臭そうに飲んでるな、あんた」
「…む」
静かに飲んでいたギルヴァの所に声をかけたのは店主だった。名も知らない相手であるが、無視をすれば面倒になると判断しギルヴァは受け答える。
「普段からこうなのでな」
「そうかい。…あんた、この辺りじゃ見ない顔だな。別の地区から来たのかい?」
「ああ。S10地区から所用で訪れた」
「S10地区か。あそこは行った事ねぇなぁ…。なぁ、S10地区ってどんな所よ?」
「自分の目で確かめるが良い。人に聞くよりかは幾分かマシだ」
最後の一口を飲み干しつつ、懐から飲み代を置いて椅子から立ち上がる。
気分としては静かに飲んでいたかったのだが、このままでは喋りに付き合わされる。その気にはなれなかったギルヴァは半ば強引に会話を切り上げた。
店主も店主で少しつっかかり過ぎたかと内心反省しつつ、また来なよと彼へと伝える。
一端宿へと戻って、武器を取りに行こうとしたギルヴァだが、酒場の店主なら他の客から何か聞いているかも知れないと思い、その事を尋ねる事にした。
「ここ最近でいい。何か変わった出来事を…オカルトじみた話でもいい。聞いたりしていないか?」
「変わった出来事?いいや、聞いた事ねぇな。あんた、オカルトマニアかい?」
「…似た様なものだ」
邪魔したな、と伝えるとギルヴァはそのまま酒場を後にする。
この後に彼は町を徘徊したのだが、結局悪魔が姿を見せる事はなかった。
しかし彼は気付かなった。この町に潜む悪魔が既に動き出していた事に。
誰もが寝静まった静かなる町にて大通りで酷く酔ってまま帰路へ赴いている一人の男がいた。
明日は休みという事もあって、かなりの量の酒を飲んだのだろう。いつどこで眠ってしまっても可笑しくない程に酷く酔っていた。
フラフラと千鳥足で自身の家へと歩いていく男。家まであと半分と言った時に、ふと男は足を止めた。
「んあ…?」
男の耳に微かに聞こえたのは、歌声の様なもの。酔っている事もあり男は歌声の元へと歩き出した。
大通りから路地裏へ。このまま行けば裏通りへと出るのだが、何故その先にあったのは古びた劇場がそびえ立っていた。
「?」
こんなところあっただろうか、と男は疑問に思いつつもそのまま戻る事はせず敷地内へと歩み寄りる。すると古びたドアが軋む音を上げながらゆっくりと勝手に開く。まるでいらっしゃいと言わんばかりに。
誘われる様に男はそのまま足を踏み入れ、内部へと消えてしまう。背後でドアが外から差し込む月の光を遮断するかの様に、静かに閉じていた事に気付かなかった。
そして男がその古びた謎の劇場から戻ってくる事はなかった。
申し訳ない一話で収まる気がしないので、あえてここで切って次回に引っ張ります!許してぇ…
そろそろあれですねぇ…コラボでも考えようかな。
別世界に渡ってしまうような…そういうのを