けものフレンズR ~Rebirth~   作:悠希とふ

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けものフレンズ二次創作である『けものフレンズR』を元とした三次創作です。
この0話は前日譚で、1話以降のストーリーを補完する位置付けになります。

最終話まで放映が終わった後に公開された5~10分程度のオマケ映像というイメージ
(もしくはDVD最終巻の特典映像)


0話 ぷろろーぐ 

人工知能の開発が進み、機能に制限を設けながらも、

AIを搭載したロボットが世の中を賑わし始めた時代。

試験的に、ジャパリパークでも、パークガイドとしてヒト型アンドロイド、

通称ヒューマノイドの開発が行われる運びとなった。

 

パークガイドの象徴である、帽子の左右に取り付けられた赤と青の羽根。

これを模して、右目と左目にはそれぞれ赤と青の異なる色が採用された。

 

記念すべきヒューマノイド型パークガイド第一号の名前は、

パークの来場客から一般公募によって募られた。

そこから絞られた候補の中から最終的には職員内での投票により「ともえ」と決まる。

 

パークでの稼働が始まり、一躍時の人(?)となったともえに、

皆が様々な知識を連日のように与え続ける。

好奇心旺盛なともえはそのどれもに目を輝かせたが、

なかでも強い関心を持ったのが「絵」であった。

自分でも描いてみたい。

そう思うまでには、たいして時間はかからなかった。

 

あの子といえばスケッチブック。

皆が口を揃える程に、いつでも持ち歩いていたのがお気に入りのスケッチブックであった。

パークの行く先々で楽しそうにスケッチする姿は、パークの職員、来場客だけでなく、

フレンズ達の心も和ませた。

 

 

だが、幸せな日々にも終わりがやって来る。

急速に拡大を始めたセルリアンによる被害は、

もはやパークの運営を断念せざるを得ないレベルに達していた。

職員は避難、パークからの脱出を余儀なくされた。

ともえをパーク外に連れ出すのは早計という判断の下、パーク内研究施設において、

スリープモードで保管される事が決まる。

 

「必ず帰って来るからね」

 

研究員のその言葉と共に、

ともえの眠る、ポッドの扉は閉じられた・・・。

 

 

 

時は流れ

 

 

 

ここ数年でも一際大きい地震が、ジャパリパークに起こった日。

とある地方の老朽化した研究所、

その天上の一部が大きな音を立てて落下した。

天上や壁、相次ぐ崩落の衝撃で、一つのポッドの扉が開かれる。

 

ポッドの中には少女が一人。永い眠りから目覚めた所だった。

衝撃の影響でどこか頭をぶつけたのだろうか、

はたまた想定外の長きに渡る眠りが起こした予期せぬエラーかもしれない、

ともえの記憶回路には異常が発生していた。

パークで過ごした記憶は、その多くが失われてしまったようだった。

 

目覚めたともえには、ここがどこで、自分が誰かが分からない。

傍らには肩掛けかばん、緑と黄色から成る表紙のスケッチブック。

気のせいだろうか、何故だかそれらに親しみを覚えてしまう自分に気付く。

 

 

ともえはかばんに腕を通し、スケッチブックをしっかり両手で抱き締める。

再び目覚めた機械の少女は、

薄暗く埃っぽい瓦礫の中をおっかなびっくり歩み始める。

光の刺す方へと。

 

 

 

 


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