彼は高校2年生となった4月10日を境に数奇な運命をたどることになる
めでたく初陣を飾った五河士道改め仮面ライダージオウ
彼がこれからフラクシナスと共にどのような道を進むのか…
おっと少し先まで読みすぎましたね
ーもう絶対に離さない。もう、絶対間違わない。だから、
「大丈夫、俺も君を離さない……アレ?」
ベット起き上がった士道はキョロキョロと周囲を見る。先程誰かに話しかけられた気がしたのだが見たことのない部屋の中には誰もいなかった。
士道は頭を少し掻くと、そこに20歳ぐらいの男女2人が入って来た。その内男の方は士道が知っている人物だった。
「おや、お目覚めのようだね士道君。無事そうで何よりだ」
「ウォズ!」
王間ウォズ。士道の家の隣にあるアパートで喫茶店を営む男。そんな彼がなぜここにいるのか。
気になった士道は質問しようとしたが、ウォズと一緒に入室した女性が無言で士道の脈をとったり、士道の瞼にペンライトを当ててたりしたのでそれはできなかった。
女性は「よし…」と言うと士道から離れた。
「驚かせてすまない。私はここで解析官をしている
「ど、どうも…」
令音の勢いに流されるままの士道だが、彼女に対して既視感のような物を感じた。士道はウォズの前に彼女に質問することにした。
「あの、村雨さん…「令音でいいよシン」…はぁ、ってシン?それって俺のことですか?」
「五河しんたろう。それが君の名前だろう?だからシン」
「苗字と『し』の一音しか合っていませんよ!」
「士道君、こちらにも予定があるんだ。質問があれば歩きながらでいいかな?別室で君を待っている人がいるから君を連れて行かないといけないから、質問は道中で答えられる範囲で話すから」
キョトンと小首を傾げる令音にツッコミを入れざるおえない士道。だがウォズに急かされたので移動しながら質問することにした。
「あの令音さん、変なことを聞きますけど前に会ったことありませんか?なんだか初対面な気がしなくて」
その質問に対し令音は口元に手を当てて考え込んだ。
「いや、私の覚えてる範囲では君とは初対面だ。もしかしら、たまに天宮市市街に出たりするからそこで君が見かけたのかもな?」
「そうですか。変なことを聞いてすみません」
「いや、気にしないでくれシン。それよりそろそろ着くごろだ」
3人の前にはスライドドアとそのロックを管理してると思われる電子パネルがあり、令音が操作を始める。その間ウォズが士道に話しかけてきた。
「士道君、この部屋には君の顔見知りがいる。けどその人物は基本的にここでは君の知ってる人物像とは大きくかけ離れている。だからあまり驚かないようにして欲しい。無論、私もできる限り君のフォローをしよう」
「分かったよ。けど俺の顔見知りって、いったい誰だろう?」
そう言いながら士道はドアの中に入る。
そこにはまるでSF映画やロボットアニメに出てくる戦艦やら宇宙船のようなブリッジとなっており、そこにはモデルのような美形で金髪の男性を始め数名の男女がいた。
「よく来たわね士道。歓迎するわ、ようこそ『フラクシナス』へ」
「こ、琴里?」
ブリッジの艦長席と思われる座席に座る人物。それは紛れもなく士道の義妹である琴里であった。
場所は変わって、陸上自衛隊・天宮駐屯地。
ここでは先程の出撃による負傷者の治療や各種装備の補給と整備といった事後処理が行われていた。
その一角で折紙は1人休んでいた。今彼女の頭の中では様々なことが入り乱れていた。
(五河士道。なぜ貴方はあんなところにいたの?それにあの時怪物を撃退したあの力、そしてあの精霊擬きはいったい?)
「折紙」
名前を呼ばれて折紙は考えるのをやめた。呼ばれた方を向くとそこには彼女の直属の上司である
「さっきはよく1人で精霊とあの精霊擬きを撃退できたわね」
「撃退なんか、していない。精霊はいつも通り
折紙の反論に遼子は肩をすくめる。
「上への報告ってのは嘘も方便なのよ。書類上だけでも結果は出てるってことにしなきゃ予算も降りないしね。
それに精霊擬きを撃退したのはアンタのクラスメイトなんでしょ?彼を守るためにもこうしないといけないのよ」
「ッ!……」
遼子の言葉に折紙は唇にギュッと力が入る。
もしも上層部に士道と彼の持つ力の存在が知られれば十中八九彼の身に危険が及ぶ。折紙はもちろん、遼子も部下の知人が自分達の都合で何かしらの迷惑をかけるのは避けたい。
「寛大な判断、感謝します。私はこれで失礼します」
「お疲れ様…折紙、私は個人の考えに口を突っ込む気は無いけど、アンタ無茶し過ぎよ。私は隊長としてアンタ達の命を預かってる以上、引く時には引くように指示をしなきゃいけない。それが聞けないようなら部隊から外すわよ」
「…了解」
遼子の忠告に折紙は黙って返事をしつつ席を外した。
再び場所は変わってフラクシナスのブリッジ。ここでは現在、琴里による士道への様々な説明が行われていた。
空間震の跡地にいた少女改め精霊について
折紙が所属する組織
自分達の所属する組織ラタトスクについて
そして精霊達を助ける手段について
「っと言う訳で、士道かウォズがデートして精霊達をデレさせることで精霊達の力は封印。それで精霊達は普通の人間と変わらない生活が出来るのよ。頑張ってね!」
「待て琴里!まるで意味が分からんぞ!」
一通りの説明を聞いた後に琴里から言われた一言にリアクション芸人のようにツッコミを入れる士道。そんな彼に琴里は有無を言わせない口調で迫った。
「何?ASTが精霊を殺すのは嫌だ。でもラタトスクのやり方も嫌だ。…ってふざけてるの?甘えるのもいい加減に…「甘えているのはお前じゃ無いのか琴里」…誰よ、私の話の邪魔をするのは!」
琴里がブリッジの出入り口を見ると、そこには士道の同級生である明光院ゲイツが立っていた。
士道は友人の登場に驚いた。
「ゲイツ、お前もラタトスクの一員だったのか!?」
「そうだ五河。それにしても、義理の兄相手とは言え随分杜撰な説明をするな琴里。これでは五河が『精霊はプリンセスのみ』だと勘違いしたままになるだろ」
「ゲイツ君の意見に私も同意だ。黙って聞いてはいたが、琴里君は指揮官としての能力なら及第点だが、伝えるべきことを伝えない等と交渉人としてはまだまだのようだね」
「言ってくれるじゃない…
腕を組みながら琴里を睨むゲイツと、それを擁護するウォズ。そして2人に対し怒りのオーラをぶつける琴里。
部屋の空気が一気に重くなり、琴里の副官である
「ちょっとまってよ。今ゲイツが『精霊はプリンセスのみだと勘違いしたままになる』って言ってたけど、精霊ってあの子以外にもいるのかよ?」
士道の質問にウォズは手にしていた薄い機械のようなノートを開いた。
「その通りだよ士道君。このノートによれば今現在、我々やASTが存在を確認してる精霊はプリンセスを含めて8人だ。
と言ってもその内の1人は我々の保護下にある。だから我々が相手をすべき精霊は実質7人だ」
「そうか。って8人もいるのかよ!琴里、説明不足にも程があるだろう!」
「いいじゃない別に!後で説明しようと思っただけだし。そもそも精霊がプリンセスだけって一言も言ってないじゃない!勘違いした士道が悪いのよ」
「いや誰だって勘違いするだろう今回のは!」
ウォズの補足を聞いて琴里に抗議するも逆ギレされる士道。
ゲイツは琴里に釘を刺しにいった。
「琴里。確かに俺とウォズは円卓会議から一定の権限を貰っているが基本的にはお前に従おう。だがな、先程のように実行役である五河に不当な言動をとった場合はその限りではないぞ」
「琴里君、先程から君の言動は協力を頼んでいる態度ではない。義理の兄妹関係を利用した甘えだ。
『お兄ちゃんなら私の言うことを聞いてくれる』、『お兄ちゃんならこう動いてくれるはずだ』とね。
君にとって士道君は都合のいい便利な道具なのか?」
「そんな訳ないじゃない!士道は大好きで私の大切なお兄ちゃんよ!」
ウォズの指摘に大声を出して肩で息をしてる琴里。その一言にブリッジにいた全員が琴里に注目する中、琴里は頬を赤くしつつ咳をした。
「確かにウォズやゲイツの言う通りちょっと説明不足だったわね。そこは反省するわ。
でもね、士道が拒否すれば精霊の相手はウォズ1人がしなきゃいけないのよ。アナザーライダーが出現してる以上1人当たりの負担はできる限り小さくしたいのよ。
無論私たちも最大限のサポートはするわ」
「琴里…」
真っ直ぐな目で見る琴里にたじろく士道。少しの間沈黙が流れ、士道が口を開いた。
「さっきから頭がパンクしそうな事ばっかりだけど、俺やるよ。もうこんな事を知った以上黙っている訳にはいかないしさ」
「いいのか五河。これはゲームのようにリセットはできない。命がけのミッションだぞ。それにお前も俺たちラタトスクには思う部分はいくつかあるだろう?」
ゲイツの鋭い目線に萎縮するが士道はゲイツに目を合わせる。
「確かに色々と思うところがあるけど、それでもあの子の…プリンセスの悲しそうな顔を見たらほっとけないんだ。だから俺はやるんだ」
「…そうか。なら俺も全力でサポートしよう。最も俺にできる事は戦う事だけだがな」
「ゲイツ……ありがとう」
士道とゲイツを中心に穏やかな雰囲気が流れる中、ウォズが話し出した。
「では士道君。精霊についての話はこの辺にして次にアナザーライダーについて話をするとしようか」
「アナザーライダー?それって俺やゲイツが倒した怪物のことだよな。ひょっとしてあいつらも精霊みたいにたくさんいるのか?」
「その通りだ士道君。ところで君は『仮面ライダー』と呼ばれる存在は知っているかね?」
「仮面ライダー?いや聞いたことないな」
ウォズの質問に士道は首をかしげる。だがウォズはその反応を想定していたのか再びノートに目を通す。
「君が知らなくとも無理はない。彼らの活躍は今では都市伝説のような物だからね」
ウォズは自身のノートをタッチペンでタッチするとブリッジのモニターに18人の戦士達が映し出される。その中にはゲイツが使っていたアーマーにそっくりな戦士もいた。
「仮面ライダー。それは空間震が起こるずっと前から人の自由と平和を守るために異能の力を持つ者たちと戦う戦士。それが彼ら『仮面ライダー』さ。今では彼らは姿を消し、その
「だが、その『仮面ライダー』と良く似た外見と力を持ち、対応するライドウォッチの力でなければ迎撃はできない怪物が現れた。
俺たちは仮面ライダーとは異なる存在として『アナザーライダー』と呼んでいる」
「『アナザーライダー』…でもゲイツがその一体を倒したから残りは17体だけなんだよな?」
士道の指摘にブリッジのメンバーは全員顔を曇らせる。
「確かにあの時、俺はアナザービルドを倒した。だが、奴らとの交戦は今回が初めてではない。今までも何度か戦ったが、全てのアナザーライダーが復活している…」
「復活!?で、でもさっき対応するライドウォッチの力で迎撃できるって」
「最後まで人の話は聞きなさい士道。小学生の方がまだ落ち着きがあるわよ」
ゲイツの発言に困惑すると琴里に毒を吐かれた士道。未だに妹の豹変ぶりに慣れない士道は大人しく話の続きを聞くことにした。
「どうやらアナザーライダーには司令塔と言うべき存在がいるみたいでな、そいつがいる限りアナザーライダーは倒しても何度でも復活できる」
「何だよそれ。それって要は俺たちが倒しても復活してそしてまた倒してって、只のイタチごっこじゃないか!」
実質不死身と言えるアナザーライダーの存在に絶句する士道。ゲイツも何とも言えない表情になるが話を続けた。
「確かにな。だが復活すると言っても一度撃破されれば多少のインターバルが必要らしくてな、暫くの間同じアナザーライダーは出現しない」
「それに先程ゲイツ君が言ったように、司令塔がいるから連中は復活できる。逆に言えばその司令塔を倒すあるいは拘束すれば…」
「アナザーライダーの出現を止めれる…」
「その通りだ士道君」
ウォズは笑みを浮かべながらまたノートをタッチしてモニターの画面を切り替え、フードを被った人物の写真が何枚か写し出された。
同時刻、天宮市はずれにある廃墟。そこにはアナザービルドの顔がモノクロで描かれたアナザーウォッチを手にした
「ようやくアナザーセフィラが出現できた。待っててくれ◼︎…俺は必ず君にまた会いに行くからね…」