自己満で執筆しております!長い期間開けて申し訳ないです!
もう忘れたよって方は前話をご覧ください!
それでは本編どうぞ!
俺たちはベンチへ入り準備を整える。その際も一言も言葉を発することなく空気が重苦しかった。俺自身も何一つ言葉を発する事なく準備を進めていた。
自分が大好きな野球が今回は賭け事として使われている。その賭けの内容が千歌ちゃんたち。腹が立たないわけがない。そんな中俺の側に千歌ちゃんが近づいてくる。
千歌「あ、あの…祐一…くん。」
祐一「どうしたの?」
恐る恐る俺に話しかけてきた千歌ちゃん。
千歌「さっきは…ごめん…ね、祐一くんたち集中してるのに邪魔しちゃって…。」
祐一「そんな事ないよ。俺の方こそいきなり怒鳴ってごめん…。俺たちのこと心配して言ってくれたのに…酷いことしちゃって…。」
俺は千歌ちゃんを抱きしめて伝える。
祐一「絶対…守るからね…。」
俺に抱きつかれた千歌ちゃんはハテナマークを浮かべているが今はそれでいい。この試合が終わって、アイツらに勝って正直に謝ろう。きっと怒られるけど千歌ちゃんたちを守れるならなんだって受け入れる。
祐一「じゃあ…行ってくるね。」
千歌「うん!頑張ってね!!」
俺はベンチ前に並び構える。スタメンも一昨日と変わらず。
一番センター秋山さん
二番セカンド山田さん
三番ファースト俺
四番ライト鈴木さん
五番サード松田さん
六番レフト吉田さん
七番ショート坂本さん
八番ピッチャー忍さん
九番キャッチャー怜
今回もこのオーダーで戦い抜く。
審判の合図で集合し俺たちは対面する。憎いほど爽やかな笑みを浮かべている宮本と藍原を俺たちは睨みつける。
キャプテンが握手を交わし俺たちは守備につく。今回も後攻でマウンドには忍さんが向かう。
祐一「忍さんまずは一人目。きっちり抑えましょう!!」
俺の掛け声にみんな反応して声を出す。忍さんは俺の方を向いて頷き構える。主審の合図で試合が始まった。
忍さんはおおきく振りかぶって第1球目、渾身のストレートをど真ん中に投げ込んだ。ドンという音と共に怜のミットに収まる。電光掲示板に球速が映し出される。
145キロ
かなり速い。今日の忍さんは調子がいい。これならそうそうは打たれないだろう。俺は忍さんに声をかけ鼓舞する。
この回は忍さんは三人でピシャリと締めた。
忍「しゃああああ!!!」
祐一「ナイスピッチ、忍さん!!」
怜「ナイスボール!!」
ベンチに帰り俺たちは円陣を組む。
忍「初回三人で締めた。先制点入れて、これ以降もしっかり抑えて絶対勝つぞ、お前ら!!」
全員「「「「「「「「おぉ!!!」」」」」」」」
円陣を終えて俺はピッチャーを見る。相手のピッチャーは藍原。キャッチャーが宮本だったので俺は嫌な予感がした。だから秋山さんと山田さんに呼びかけをした。二人とも俺の助言を聞いてくれて打席へ向かった。
そして俺は藍原の一球目を見てより一層気を引き締めた。忍さんよりも球速が出ていたのだ。かなり速い。
忍「なっ!?」
怜「はえーな…。」
祐一「あぁ…。だけど打てない球じゃない。絶対打ち崩すぞ。」
怜「おう。」
しかし秋山さんは差し込まれてファーストゴロ、続く山田さんも食らいつくが三振に終わった。
「祐一すまない…。ノビがあるから気をつけろ。」
祐一「わかりました。任せてください。」
俺は打席へ向かって歩きだす。打席に入ると宮本が話しかけてきた。
宮本「どうですか藍原の球は、速いでしょう?」
祐一「あぁ確かに速いな。だが、打たせてもらう。」
宮本「ふふっ…。それはそれは。」
そう言って言葉を濁す宮本を無視して集中する。藍原が振りかぶり投げ込まれた球は俺の顔面付近に投げ込まれ思わず仰け反った。
祐一「くっ…。」
宮本「おやおや。すみません、コントロールが悪いもので許して頂きたい。」
コイツら…わざとやりやがったな。藍原の方を向くとニヤニヤした顔をして謝る雰囲気もない。
俺は宮本の言葉を無視して構え直す。
次に変化球を投げ込まれ俺は見逃す。
主審「ストライク!!」
一息つき再び構える。今度はど真ん中にストレートを投げ込まれ見逃しストライク。
宮本「ほらほら追い込まれましたよ?どうするんですか?」
祐一「うるさい。」
そのあと投げ込まれた変化球に泳がされ俺はサードゴロに打ち取られこの回は終わった。
祐一「クソッ!!」
俺は空を仰ぎ大きな声を出す。ベンチに戻ろうとすると千歌ちゃんが俺のグローブを持ってきてくれた。
千歌「祐一くんグローブと帽子持ってきたよ!」
祐一「ありがとう。」
俺はヘルメットを脱いで千歌ちゃんから帽子とグローブを貰う。
千歌「ヘルメット貰うね!切り替えて頑張ろう!!」
祐一「ああ!!次は打つ!!」
俺は千歌ちゃんにヘルメット渡して守備位置につく。その回以降両チーム共投手戦になるかと思ったが6回の相手の攻撃で忍さんが捕まり始めた。失点こそしなかったもののそろそろなのかもしれない。
忍「すまない…。そろそろかもしれん。祐一いつでも行けるようにしておいてくれ。」
祐一「俺はいつでも行けます!忍さんも無理しないで下さい!」
忍「ああ。せめて打席では貢献しなきゃな…。」
そう言って忍さんは打席へ向かった。
その時、
悲劇は起こった。
忍「ぐっ…。」
忍さんの右肘にボールが当たった。忍さんはその場にうずくまり立ち上がることが出来ないでいる。
怜「忍さん!?」
ネクストサークルにいた怜が駆け寄る。怜が忍さんを抱えベンチへ戻ってくる。審判は臨時代走を認め忍さんの前のバッターである坂本さんが一塁ランナーとして出る。
怜は忍さんをベンチへ連れ帰ってきた時、怒りの表情でいっぱいだった。
祐一「忍さん大丈夫ですか!?」
忍「あぁ…大丈夫だ。ちょっと休めば痛みも引くはずだ。」
冷や汗を垂らしながら語る忍さんの肘にゆめさんが氷を入れた袋を当てる。
ゆめ「あとちょっとなんだから気張りなさい!!」
ゆめさんが激励を飛ばし忍さんを鼓舞する。
忍「だな。代表として情けない面はできないってもんだ。」
忍「祐一、本当に厳しくなったら言うから頼むぞ。」
忍さんは俺に強く見つめてきた。俺は無言で頷く。
残念ながらこの回も点を取れずに終わってしまった。三振をして帰ってきた怜はヘルメットを地面に投げつけ悔しがっていた。
そして迎えた七回の守り。とうとう失点を許してしまった。マウンドでうなだれる忍さんそして俯く怜を尻目に相手ベンチは盛り上がっている。
忍さんは顔を上げて俺の方を見つめてきた。俺はその合図を受け取り一塁審判にタイムを要求する。
祐一「すいませんタイムお願いします。」
審判「ターイム!!」
その瞬間内野手全員がマウンドに駆け寄る。
忍「すまない…。俺はここまでみたいだ。」
祐一「何言ってるんですか!!忍さんのピッチングがあったからここまで来たんです!そんなこと言わないで下さい!」
怜「そうですよ!!あのデッドボールが無ければまだまだ球は走ってたんですから!」
「後は任せろ。」
「お前は外野で休んでろ。」
「俺たちが点とってお前を勝利投手にしてやるよ!」
忍「お前ら…。わかった!後は頼む!」
忍さんは俺のグローブにボールを力強く押し込んでくれた。
祐一「任せてください!俺が全力で抑えます!!」
主審にポジション変更を伝え俺はマウンドで佇む。
この空気、グラウンドの中で一つだけ浮き上がった場所。
帰ってこれた…。
俺は息を思いっきり吸い込み正面の怜を見据える。
投球練習で肩の調子を測り投球練習を終える。そして怜がマウンドへ来て状況を確認する。
怜「今はアウト一つと一塁と二塁にランナー。少し厳しい状況だ。もう追加点は与えられない。試合が決まっちまうからな。」
心配そうに言ってくる怜に俺は笑いながら伝えた。
祐一「心配すんな!久し振りの沖相コンビだろ?条件は最悪だけどまたお前とバッテリー組めて俺は嬉しい。お前のミットめがけて全力で投げ込む。頼むぜ、相棒?」
怜は目を丸くした後笑みをこぼし
怜「そうだな…。俺たちの力見せつけてやろうぜ、相棒?」
怜はグローブで俺の胸を叩き戻っていった。俺は空を仰ぎ心を落ち着かせる。
そして、怜のミット見据えた。
サインはストレートをど真中。俺はニヤリと笑う。
祐一「うおおぉぉぉおおお!!!!」
振りかぶり渾身のストレートを投げ込んだ。
ドゴンッ!!!
豪快な音が球場に響き渡った。
ざわつく相手ベンチ、俺は振り返り電光掲示板に表示された球速を確認する。
155キロ
かなりの速さだった。球の回転もよく音が聞こえるほどだった。幸い肩の調子も悪くない、痛みも感じない。これなら最後まで投げきれる。
俺は次々と怜のミットに投げ込み相手バッターを打ち取っていく。そしてピンチをしのぎ俺はガッツポーズをした。
祐一「っし!!」
怜「祐一ナイスボール!!」
ベンチに帰りながら俺の肩を叩き怜が言ってくる。先輩たちも俺の背中をグローブで叩いて俺を激励してくれた。
忍「ナイスピッチ!!このピンチをしのげたのは祐一のおかげだ!ありがとう。絶対点取るからな!」
祐一「はい!お願いします!ここからはもう点はやりません!」
この回俺に打席が回ってくるため俺はグローブを置き準備する。すると千歌ちゃんが心配そうな声で尋ねてきた。
千歌「祐一くん肩は大丈夫…?」
祐一「うん!大丈夫だよ。心配しないで。」
俺は千歌ちゃんの頭を撫でる。微かだが俺の撫でる手は震えていた。負けるのが怖くて震えているのではない。
これが今の俺の限界。
強がって見せているが、一度は壊れている肩。俺の方は現役と比べ物にならないほど脆くなっている。故に限界も近い。
俺はすぐに千歌ちゃんの頭から手を離し準備を進める。すると今度は怜が俺に話しかけてきた。
怜「祐一打席ではバット振らなくていいからな?俺に任せろ。」
怜は真剣な眼差しで俺に伝えてきた。
祐一「わかった…。頼むぜ?」
怜「あぁ…。お前の表情見てたらわかるさ。肩痛いんだろ?」
祐一「ハハ、お前に隠し事はできないな…。立った数球しか投げてないのにもう震えてやがる。ザマァねぇよ。」
俺は呆れ笑いをこぼす。
怜「伊達にお前とバッテリー組んでねぇよ。雰囲気でわかるさ。無理はすんなよ?」
祐一「あぁ…点取るのはみんなに任せる。俺は粘ってフォアボール狙ってみるわ。」
そう言いながら俺は打席へ向かう。秋山さんが出塁してくれ、山田さんが送りバントを決めてくれたおかげでチャンス。ただ突っ立っているわけにはいかない。
バットを構える。
だが、肩が…重い。
息が詰まるくらい辛い。呼吸が荒くなりバットを構えているが、バットを振るのは難しいかもしれない。
俺がそんなことを思いながら打席に立っているとベンチから声が聞こえた。
曜「祐一くん打てー!!」
梨子「頑張ってー!!」
ゆめ「男みせろー!!」
千歌「楽しんでいこう!!」
澄み切った声が聞こえて俺は不思議と肩が少しだけ軽くなるのを感じた。
最後の千歌ちゃんの言葉に俺は思い出した。今日の試合、俺は絶対負けない負けられないと考えるばかりで野球を楽しむという感覚を忘れていた。
俺はその感覚を思い出し構えを楽な形に構える。
次々と投げ込まれてくる球を落ち着いて見極め際どいところだけカットしてなんとかフォアボールを選ぶことができた。
祐一「よし!!」
俺はバットをベンチの方に投げ一塁に向かって歩きだす。
怜「いいぞ、祐一!!」
怜の言葉を始めとしてベンチから俺へ向けた言葉が投げかけられる。
俺はそれをガッツポーズで返しランナーとして集中する。
祐一「鈴木さん一発お願いします!!」
そして四番の鈴木さんに声をかける。鈴木さんは強く頷き俺に返事してくれた。
その初球鈴木さんは大きなフライをライトに打った。タッチアップには十分な飛距離。セカンドランナーの秋山さんはタッチアップの用意を整え、ライトが取った瞬間セカンドベースを蹴りサードへ向かって走る。
秋山さんは自慢の快速を飛ばし見事サードに進塁した。俺は変わらずファーストベースにいるが、秋山さんがサードに進塁した時にはすでにセカンドベースにボールがあったため進塁することはできなかった。
鈴木さんのおかげでツーアウト、一塁、三塁のチャンスを迎えた。
今日1番のチャンスにベンチは盛り上がりを見せる。
忍「松田頼むぞー!!」
怜「一本お願いします!!」
ゆめ「せーの!!」
ゆめさんの掛け声に全員大きく息を吸い込み。
全員「「「「「「「「「「「ねっけーつ!!!」」」」」」」」」」」
「バーニング!!!!!」
大きい声が球場に響き渡った。松田さんは熱血漢、チャンスでは期待以上のバッティングで答える。その為俺たちはチャンスで松田さんに回ってくると必ずこの掛け声をする。
そして藍原が振りかぶって投げた球を松田さんはフルスイングで打ち返した。鋭い打球がレフト線へ打たれベンチが盛り上がる。
秋山さんは悠々と生還。俺はセカンドベースで止まり落ち着いた走塁をする。
祐一「松田さんナイバッチ!!」
松田さんは豪快に笑いながら俺にガッツポーズをしてきた。これで同点。あわよくば逆転もあり得る。
しかしここでピッチャー交代。ピッチャーは宮本。
藍原「クソがっ!!」
藍原が地面を蹴り悔しそうな表情を浮かべる。
そんな藍原の肩を叩き宮本がピッチャー、藍原がキャッチャーに入れ替わる。
ピッチャーが宮本に変わり次のバッターである吉田さんは三振に終わった。だが、この回同点にできたのは大きい。
残り二回この間におそらく勝負は決まる。もう一度気合を入れて俺たちは八回の守備につくのであった。
ご愛読ありがとうございます!!
誤字めっちゃしてるかもしれませんが、楽しんでいただければ幸いです!