どうも、甘党ゴンザレスです!!
番外編2話目です!
時間が空いてしまいましたが見ていただけたら嬉しいです!!
それでは番外編どうぞ!!
私は今部屋で葛藤している。
梨子「どうしよう…。」
理由は簡単。怜くんを遊びに誘いたい。
梨子「これが千歌ちゃんや曜ちゃんなら気軽に誘えるんだけどな…。」
梨子「私、どうしちゃったんだろう…。」
曜ちゃんの誕生日プレゼントを買いに行った日以降なんだかおかしい。怜くんのことを考えると胸がドキドキしてしょうがない。
梨子「はぁ…。なんて言えばいいんだろう…。」
私がスマホとにらめっこしていると電話がかかってきた。
電話をかけてきた人の名前を見て私の心臓がドクンと跳ねた。
梨子「え…えっ…えっっ!?」
電話をかけてきたのは怜くんだった。
私は突然のことに驚きを隠せず、スマホを落としそうになる。それを何とかキャッチして通話ボタンを押す。
梨子「も、もしもし…?」
怜『あっ、梨子ちゃんおはよー!突然で悪いんだけどさ、今日って暇かな?』
梨子「お、おはよう!うん、予定はないから大丈夫だけど…。どうしたの?」
怜『実は、水族館のチケット貰えたから一緒にどうかなって?』
梨子「も、もちろん行くわ!!」
私は大きな声で食い気味に言ってしまった。
怜『おっと…。ビックリした。そんなに行きたかったんだね。それなら梨子ちゃんに声をかけた甲斐があるよ!』
私の声に怜くんもビックリしていた。
梨子「ご、ごめんなさい…。ついテンションが上がっちゃって…。」
怜『大丈夫だよ!じゃあ、13時に駅で待ち合わせでどうかな?』
梨子「うん、それで大丈夫だよ!」
怜『了解!!じゃあ、またね!』
梨子「うん、また後でね!」
通話終了ボタンを押して私は息をつく。
まさか、怜くんの方からお誘いが来るなんて思ってもみなかった。
梨子「やった…///」
私は嬉しさを隠せず呟いた。
水族館も楽しみだけど1番嬉しいのは怜くんと一緒に出かけられること。怜くんとお出かけできる、そのことを考えるだけで胸の高鳴りを抑えきれない。
梨子「そうと決まれば支度しなくちゃ♪」
私は胸の高鳴りを抑えつつ待ち合わせに遅れないように準備を始めた。
―――――――――――――――――
Side 怜
待ち合わせ時間まで後20分。俺は少し早めに待ち合わせ場所に着いて自分の身なりを入念に確認する。
怜「変なところは…無いよな…。」
独り言のように小さく呟き梨子ちゃんを待つ。
偶然水族館のチケットをもらったわけだけど、正直困っていた。別に水族館に特別興味があるわけではないんだが、せっかくもらったんだから使わなきゃと思い誰と行くかを模索していた。
当初の予定では祐一と行く予定だったんだが、用事が出来たらしく行けなくなってしまった。そこから誰と行くか改めて考えた結果、俺の頭に浮かんだのが梨子ちゃんだった。思い立ったが吉日、ダメ元で早速電話をかけて俺は要件を伝えたのだが、断られたら誰かにあげようと考えていると意外にもオッケーだったのでよかった。
そして今に至るわけだが…
怜「これってデート…だよな…。」
この前の曜ちゃんのプレゼントを買いに言った時は冗談のつもりでデートだ!!って言ってたけど今回は少し違う気がする。
なんだか緊張してきた…
ぶっちゃけ水族館の後の予定は全然考えていない。まさかオッケーを貰えると思っていなかったので完全に準備不足だ。
本当だったら、俺がしっかりしなければならないところだけどダメだ。全く何も考えられない。梨子ちゃんを誘ったことで一喜一憂してしまった。
怜「ハァ…情けないな…。」
俺がため息をこぼしていると誰かに肩を叩かれた。
俺は後ろを振り返り確認すると、そこには誰もが目を奪われそうになるほど綺麗な梨子ちゃんが立っていた。梨子ちゃんの服装は淡い桜色のワンピースに白のカーディガン、上手く表現できないけどとても梨子ちゃんに似合っていた。
梨子「ごめんね、おまたせ!」
俺はあまりの美しさに言葉を完全に失ってしまい梨子ちゃんに返答できずにいた。
梨子「あ、あれ?も、もしかして私待ち合わせ時間、間違えちゃったかな…。」
梨子ちゃんが目に見えるように落ち込んでいるのがわかる。それに気がついた俺は我に返り慌てて梨子ちゃんに言った。
怜「ち、違う、違う。待ち合わせ時間あってるよ!!ごめんね…。」
梨子「なんで、謝るの?」
梨子ちゃんが不思議そうにこちらを見ている。
怜「いや、梨子ちゃんのこと無視しちゃったみたいだから…。」
梨子「なんだ、そんなことか。」
梨子ちゃんは俺を見て笑っている。
梨子「私は全然気にしてないよ?でも、無視されるのは悲しいからこれからはしないでね?」
おちゃめに舌を出しながら笑う梨子ちゃんに俺は見惚れてしまった。
怜「う、うん。気をつけるよ///」
俺は精一杯の笑顔で照れ隠しをして笑いかけた。
梨子「それじゃ、行きましょうか♪」
怜「そうだね。行こっか!」
俺たちは目的地まで行くため駅の中へ歩き始めた。
電車に乗り込むとかなりの混雑具合で俺と梨子ちゃんの体はピッタリと密着していた。
怜「ご、ごめんね。梨子ちゃん、こんなに電車が混んでるとは思わなかった…。」
梨子「べ、別に大丈夫よ?気にしないで!土日だからしょうがないよ!」
梨子ちゃんの言葉に救われた気がする。
目的地の最寄り駅までまだ30分以上かかる。
流石に人が多すぎて身動きが取れないでいる。
その数分後とんでもないことが起きるのを俺はまだ知らない。
―――――――――――――――――――
Side 梨子
電車はかなり混雑してて怜くんと体が密着する。
それだけで私はドキドキして落ち着かない。それに怜くんに体を預ける形で密着しているのでなんだか彼の温もりに包まれているようでとても安心する。
満員電車は辛いけど、こうして怜くんにくっついていられると思うとそれも悪くない。
そんなことを考えていると
体に違和感を感じた。
梨子「っ!!」
私はその正体にすぐに気がついた。
今誰かに痴漢されてる。
そう気づいた瞬間、一気に恐怖が私を支配した。
いやらしい手つきで私の太ももやお尻を触ってきていて
怖い…。
今ここで怜くんに助けを求めればきっと助けてくれる。
でも、
私は助けを求められなかった。
初めてあう痴漢に恐怖心の方が勝ってしまい、声を発することができない。
いやっ…。
やめて…。
今も私は太ももやお尻を触られていて気持ち悪い。
体も小刻みに震え始めてもう自分ではどうしようもできない。私にはただ堪えることしかできなかった。
でも、もう限界…。
私は涙を堪えながら心の中で呟く。
怜くん…
たすけて…
怜「大丈夫だよ。後は任せて。」
そう怜くんが言った瞬間男の人の叫び声が聞こえると共に、私の体をギュッと抱きよせてくれている怜くんの姿が私の目に鮮明に映った。
―――――――――――――――――
Side 怜
何だか梨子ちゃんの様子がおかしい。
なんだか小刻みに震えていて、何かに怖がっている気がする。満員電車の中なので寒いという選択肢はまずありえない。むしろ暑いくらいだ。
それ以外の選択肢で考えると。
『痴漢』
それ以外はありえない。
こんなにも怯え、震えている梨子ちゃんを見たことが無い。
それになんだか何かを必死に堪えているようにも見える。
そして電車が大きく揺れた瞬間、俺には見えてしまった。
誰かの手が梨子ちゃんの下半身を触っているのが…。
それに気がついた瞬間、俺の中で何かが切れた。
俺はすぐに行動に起こし、梨子ちゃんを抱き寄せる。
怜「大丈夫だよ。俺に任せて。」
梨子「えっ…。」
俺は梨子ちゃんに伝え、梨子ちゃんを触っている手を掴み、握り潰す勢いで力を込めた。
痴漢男「ぎゃああああああああ!!!」
俺の本気の力に身悶える男がいた。
俺は大声で叫ぶ。
怜「おい、何やってんだ…。この痴漢やろう!!!」
俺の言葉に電車内がどよめく。
怜「てめー、ふざけたことしやがって。次の駅で降りるぞ。いいな。」
痴漢男「なんだね、いきなり!私も忙しいんだ、言いがかりはやめてく…」
怜「なんだよ?やってないんだったら堂々と降りられるよな?」
俺は痴漢男が言い終える前に威圧した。
怜「もし、アンタじゃなかったら俺が幾らでも責任を取ってやるよ。だがな、もし、テメーだった時は覚悟しろよ…。」
怜「すみません。誰かこの子がこの人に痴漢されているのを見ていた方いらっしゃいますか?」
俺は梨子ちゃんを抱きしめながら、周りの人に確認を取る。
すると俺たちの近くにいた高校生二人組が名乗り出てくれた。
高校生A「あの…。僕たち見てました。」
高校生B「ぼ、僕も見てました!」
二人も証人がいた。俺は心の底から感謝した。
怜「ありがとう。申し訳ないんだけど、次の駅で一緒に降りてもらってもいいかな?証人になって欲しいんだ。」
高校生A・B「「わかりました!!」」
俺は二人に感謝を伝え笑いかけた。
怜「さて、証人はいるから、もう言い逃れできないからな?間違っても逃げようなんて思うんじゃねぇぞ?」
俺は再び痴漢男の方を向き強く睨みつける。
もうすぐ次の駅に着く。
駅に着き、先に高校生が降りて次に痴漢男が降りようとした。
その瞬間
男は全力で高校生を突き飛ばして逃げ出そうとした。
痴漢男「バカが!!逃げるに決まってるだろう!!それにこんな女、価値なんてねーよ!!」
俺たちの方を見ながらそう捨て台詞を吐いた男。
走り去ろうとする男だったが、その願いは叶わず歩いている人にぶつかり転倒する。
俺は男が走り出した少し後に降りた為少し出遅れたが、転倒したおかげですぐに追いついた。
俺はしっかりと男を捕まえて、今度は逃げないように体ごと押さえつける。
怜「お前、いま…なんて言った…。」
俺はさっきの言葉で完全にキレた。
怜「女の子にあんなことをしておいて価値がないだと…。ふざけんじゃねえ!!この…クソ外道が!!どれだけあの子が恐かったかわかってんのか!知らない人から体を触られる。誰にも助けを求められない。それがどれだけ恐くて、どれだけ悔しいか。お前にわかんのか!!わかるわけないよなぁ!!こんなことをして、更にあんなことまで言えるお前には一生かかってもあの子の気持ちなんて分かるわけないよなぁ!!」
俺の両手の握力が徐々に上がっていく。
痴漢男は大声で悶えている。
俺の声と男の大声に周りからの視線も集まるがそんなことはどうでもいい。
コイツは俺の逆鱗に触れた。
俺の一番大切に想ってる人に痴漢という最も最低な行為をした。あまつさえ侮辱までした。
殴りたくなる衝動に塗り潰されないようにしているが、
もう限界だ…。
俺は男の胸ぐらを掴み、右手をおもいっきり握りしめる。
握りしめた手からは血が滴り落ちてきた。
それほどまでに俺は怒り狂っていた。
男も涙ながらに助けをこうが、そんなことは関係ない。
俺は握りしめた拳をおもいっきり男に向かって振り…
下ろせなかった。
気がつくと俺は背中に柔らかい感触が伝わり、誰かが俺の腕を押さえている感覚がした。
梨子「もういい…。もういいよ…怜くん。」
梨子ちゃんの声が聞こえた。
怜「りこ…ちゃん…。」
俺は拳を下ろして彼女の名前を呼ぶ。
梨子「ごめんね…。私のせいでこんな思いをさせて…。でも、もういいの…私は平気…。」
怜「なん…で…梨子ちゃん…。コイツは…梨子ちゃんを…。」
梨子「確かにすごい恐かった…。でも…。」
梨子「君が助けてくれた…。」
梨子ちゃんは涙を流しながら、笑顔で俺に伝えてくれた。
梨子「本当に恐くて…何も言えない自分が悔しかった…。でも怜くんは助けてくれた。私はそれがすごい…嬉しかった…。」
梨子「だから…もう…自分を傷つけないで…。」
その言葉を聞いて俺は頭に上っていた血が一気に降りてきた。
そうか…俺は自分自身も傷つけていたのか…。
俺は右手を見ると血だらけで痛々しいものだった。
怜「ごめんね…。梨子ちゃんの言葉で落ち着いたよ…。ありがとう。」
梨子「私の方こそ…私のために…ありがとう…。」
『ありがとう』
この言葉を聞いた時、完全に俺は落ち着きを取り戻した。
落ち着きを取り戻した俺の元に駅員さんが来て、俺は事情を説明して先ほどの高校生にも証言してもらい痴漢男を駅員さんに引き渡した。高校生たちにはその場でお礼を伝えて学校へと向かっていった。
そのあとはすんなりとことが進み、俺たちは話し合いを進めた。
話によると男は欲求を満たしたいが故に今回痴漢をしたらしい。
俺はまたふつふつと怒りが込み上げてくるが、それを感じ取った梨子ちゃんが俺の手を優しく握ってくれた。
梨子ちゃんの手も震えている。
そうだ。ここで俺が感情的になるわけにはいかない。一番の被害者は梨子ちゃんだ。
俺も梨子ちゃんの手を優しく握り返す。
話し合いの結果今後のことはまた改めて話すことに決まり、俺たちは解放された。
※※※※
俺たちは今家に向かって歩いている。
今回のことで、もう水族館どころではない。あんなことがあったから人通りが少ない道を歩いている。そして心身ともに疲弊している梨子ちゃんに俺は言葉をかけられずにいた。
俺たちは終始無言のまま帰宅している時、おもむろに梨子ちゃんの方を見た。その時の表情に思わず声をかけた。
怜「梨子ちゃん…。」
梨子「えっ。どうかしたの、怜くん?」
そこには気丈に振る舞っているが、今にも涙が溢れ出しそうな梨子ちゃんの姿があった。
その表情を見ると胸が引き裂かれそうになる。
俺はたまらず梨子ちゃんを抱きしめた。
梨子「きゃっ!!ど、どうしたの、いきなり??」
怜「ごめんね…。梨子ちゃん。」
梨子「なんで、怜くんが謝るの?悪いのはすぐに声をかけられなかった私なんだから!」
笑顔でそう言ってくれる梨子ちゃん。
でも
今はその無理に笑った笑顔を見るのが辛い。
怜「梨子ちゃん、無理に笑わなくていいんだよ…。」
梨子「無理になんて…そんなこと。」
怜「いや、俺には分かる…。いつもの笑顔じゃない。無理に作った笑顔。いいんだ、梨子ちゃん。今は俺たちしかいない…。」
怜「おもいっきり泣いていいんだよ…?」
俺の言葉についに梨子ちゃんの瞳から大粒の涙が溢れ出した。
梨子「うっ…うう…こわ…かった…。怖かったよーーー!!!!」
俺の胸で泣きだした梨子ちゃんの頭を優しく撫でた。
怜「うん…。うん…。」
梨子「本当に怖…かった…。あのまま…怜…くんが助けて…くれなかったら…わたし…わたし…。」
梨子「でも…怜くんが…助けてくれて…わたし…嬉しかった…。」
梨子「わたしのために…あんなに…してくれて…。」
梨子「でも…わたしのせいで…怜くんまで…傷ついて…ごめん…なさい。ごめんなさい…ごめんなさい…。」
この子は俺のことまで考えてくれてたのか…。
怜「梨子ちゃん…謝らないで…。俺は当然のことをしただけ…。俺の大切な…大切な人を傷つけられたんだ…。俺だって怒る。でも…梨子ちゃんが無事で本当に良かった…。よかったよ…。」
俺の目にも涙が溜まってきた。
怜「だから…今は梨子ちゃんの辛い気持ち…。全部俺に聞かせて…。少しでもいい。梨子ちゃんの力に…なりたいんだ…。」
俺の瞳から一筋の涙が零れおちる。
梨子「怜くん…怜くん!!!!」
そこから梨子ちゃんは涙が枯れ果てるくらい泣いた。俺は梨子ちゃんが少しでも不安な気持ちが和らぐように優しくそして力強く抱きしめた。
数分後には梨子ちゃんも落ち着きを取り戻し、俺から離れた。
梨子「ご、ごめんね。ありがとう…。泣いたらだいぶ落ち着いたよ…。」
怜「そっか…。よかったよ、力になれて…。」
梨子「怜くんがいてくれて本当に良かった。」
梨子「だから、改めて言わせて。」
怜「なにを??」
梨子ちゃんは大きく深呼吸して俺の目を見ながら
梨子「助けてくれて…ありがとう。」
笑顔で伝えてくれた。
俺はその表情に心を打たれた。
俺が大好きな君の笑顔。今度は本物の笑顔。
怜「…。どういたしまして!」
俺も自分にできる最高の笑顔で梨子ちゃんに答えた。
その後は俺たちの間に会話が生まれ、改めて水族館に行くことに決まった。
そして俺は心に誓った。
これからは何があってもこの笑顔を守ってみせる。
だから、
だから、これからもよろしくね。 梨子ちゃん。
ご愛読ありがとうございました!!
最近は体調があまり良くないので更新が遅れるかもしれませんが、申し訳ありませんm(_ _)m
本編も早く更新できるように頑張ります。