家族の為ならどこまでも   作:実茶

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ほぼ思いつきです
温かい目で見てやってください


第1話 始めたくなかった第2の人生

キキイィィィィッッ!!!

 

ある雨の日。

傘をさして学校から帰っている時だった。

目の前の信号が青に変わり歩道を渡っていると信号無視をしたトラックに轢かれ、体が宙に浮いた

全身を駆け巡る激痛とジェットコースターにでも乗ったような浮遊感に吐き気がする。

人の叫び声が聞こえるがやけに遠く、意識が薄れていくのを感じた。

 

「(あ、これ死んだな。)」

 

そんな呑気な事をぼんやりと考えてるうちにわたしの意識は途絶えた。

 

***********

 

次に意識が覚醒した時、わたしは真っ白な空間に立っていた。

 

「ここどこだ…?」

『ようやく目覚めましたか。おはようございます』

 

ふと人の声がし、そっちを見ると金髪青眼の可愛い幼女がわたしの方を見てニコニコしていた。

 

「おはようございます」

 

挨拶をされたからとりあえず返すと彼女は「あら…」と、何やら目を丸くした

 

『騒がないんですか?』

「騒ぐ云々の前に現状を理解できずに思考を放棄したところです。」

『何この人!清々しい!!』

 

現状をまず説明して欲しいのだが。

落ち着いて記憶を振り返ってみよう。

………あれ?ぼんやりとしか思い出せない?

自分の名前すら思い出せない。断片的にしか思い出せず、はっきり分かるのは自分が轢かれたことだけ。

え、なにこれ。どういうこと?

 

『あ、ごめんなさい!まずここの説明からですね。』

 

わたしが密かに困惑していると幼女が苦笑いでそう言った。

 

『ここは生と死の狭間の間です。人は死んだら輪廻の輪の中に入り揺蕩う水に流れるように次の生を受け持つんですけど、たまーに貴方のように輪から外れて墜ちてくる魂があるんです。そんな迷子の魂を拾って行き先を与えるのがこの場所です。分かりましたか?』

「つまりわたしは死んだけどその輪廻の輪って言うのから外れてここにきたってこと?」

『そうです!飲み込みが早くて助かります。普通は記憶も全てリセットされて次の生を与えられるんですけどここにきた人は同じ世界に送り出すことはできないんです…。そういう決まりなので』

「同じ世界に送り出せない……ってことは違う世界に行くってこと?」

『そうなります』

「ふーん。」

『興味なさげですね。自分の事なのに』

「あんまりないね。というかこのまま魂を浄化するとかできないの?」

 

テンプレとかでお馴染みの転生とか言うやつか。

死ぬほど興味がない。あ、もう死んでるか。

 

『えーっとぉ…、出来なくもないんですけど転生しませんか?』

「なんで?」

『わたくしが転生させたいからです!』

「どう言う理由だ、それ…」

 

親指を立てドヤ顔で言う幼女に若干引いた。

 

『だってだって、人が1日に死ぬ人数は何十万人といるんですよ??そんなにたくさんの人が死んでるんですから輪廻の輪から溢れる人だって沢山います。そんな中、貴方は選ばれてここに来たんですよ?』

「選ばれて……?というか、聞き捨てならないことを聞いたんだけど。輪廻の輪がそんなに魂こぼしていいの?」

『いやー、もう何億年と毎日動いてるからだいぶガタが来てますね〜。溢れる人増えてるんですよ。そろそろ新しくしないと』

「おいおいおいおい…。毎日動いてるからガタが来てるって何!?輪廻の輪って機械なの?!神秘的なイメージぶっ壊れたんだけど!!?」

 

しかも選ばれてって何!?

人選されてるの!?

 

『うーんと、細かい説明はめんどくさいので端折ります!』

「いやそれ、結構大事な部分。まぁいいや、わたしも説明聞くのめんどくさいし。」

『えええええっ!!!聞いてくださいよ、そこは!』

「かまちょか!もういいからさっさと話進めて!?」

 

夢かこれ。

そうだきっと夢だ。

思わず現実逃避に入ってしまったが、わたしは悪くないと思う

 

『じゃあ、ちょっと空いてる世界確認してきますね』

 

わたしはもうなにも突っ込まない。

"空いてる世界"ってなんだ。

会社の人員配置みたいなやり方で次の人生が決まるとかあの世もこの世とそう変わらないな

 

『ここは……千年前に入れたなー。…ここは、5千年前か。えっとじゃあここは……あ、5百年前に送ったばかりですね。』

 

単位おかしくない!?

500年前が「ばかり」って何!?

その世界の平均寿命がすごい気になる!!

 

『あ!ありました!!ここなら貴方の前に転生した人が10万3千年前なので大丈夫です!ここにしましょう!』

「ここにしましょうって何!?突っ込むものかって思ってたけど無理だ!!単位がおかしくない!?」

『おかしくないですよ!転生者同士のいざこざが起こらないように前回送った転生者が確実に居なくなってから次の転生者を送るのが決まりなんです!』

「だからって万単位もあける!?」

『最低でも7万年は開けるようにしてますね。万が一を考えて』

「万が一も億が一もある!?平均寿命何年だよ!!」

 

思わず彼女の説明に食い下がると彼女は堪えきれないというように笑った。

 

『ふふふふっ!は、はははは!!億が一ってなんですか!面白いですねあなた。やっぱりあなた選んで正解です!』

「どういう理由!?」

 

面白さで選んでるの!?この人!いや、人なのか!?

 

『あ、そう言えば自己紹介がまだでしたね。わたくしは人々が"天使"と呼ぶ存在です。よろしくお願いしますね』

「何をよろしくするの?!」

『んーー?自己紹介とよろしくお願いしますってセットじゃないんですか?』

「なんで天使が人の型に嵌ったような挨拶してんの!?」

『まぁまぁ、細かいことは気にしない!それで一つだけ異能をつけようと思うんですがどんな力がいいですか?』

「異能…?」

『はい。転生者には特典として一つだけ特別な力をつけるんです。どんな世界に行ってもすぐに死なないように』

「あぁ、なるほど。……急にそんなこと言われてもなぁ」

『まぁそうなりますよね。ちょっと貴方の頭を覗かせてもらいますね』

「え?」

 

天使さんがわたしに近づくと掌をわたしに向け、目を瞑り何やら唱える

彼女の手から淡い光が放たれ、それがわたしを包む

しばらくすると光は収まり彼女は目をあけた

 

『…友達少な!あと結構壮絶な人生送りすぎでしょ、あなた!!前世のこと覚えてないでしょうけど!』

「覚えてないね。なんかモヤがかかってるような…」

『死んだ瞬間にその魂の全てがリセットされるけどここに来た人は中途半端にリセットされるので曖昧に残ってるんですよね。ぼんやりと分かるんだけど思い出せない… みたいな』

「そうそう。そんな感じ」

『簡単に言うと、あなたが生まれる前に父親は他界。母親は厳しくて勉強でも運動でも求められてたのは1番のみ。テストで認められているのは100点のみ。……よく自殺しなかったですね』

 

天使に同情されるってどんな人生送ってたんだわたし

まぁいいや。もう死んでるし

 

『ううっ。可哀想。』

「なんであなたが泣くの!?」

 

ふざけてるの!?真面目なの!?どっち?!!

 

『次の世界ではとことん自分を出してくださいね!さて、話は戻って異能についてです。貴方の希望通りの力をあげます!なんでも言ってください。言うのはタダですよ!』

 

と、言われましても。

パッと思いつかないし……

 

「というか、転生以外の道はないの?」

『残念ながら無いんですよ。ここに来た魂は【転生】か【浄化】以外にできないんです。あと、わたくしがどうしても転生させてあげたいんです!だからおねがいします!ね?ねっ!?』

 

彼女がわたしの両手を握り懇願してくる

天使さん本当に天使なの?

自称じゃないの?わたし騙されてない?大丈夫かな…

 

「うーん、じゃあ一つ聞いてもいい?」

『はい!なんなりと!』

 

いや、威厳もクソもないな。この自称天使

 

「わたしを選んだっていってたよね?なんで?何十万人と輪廻の輪とか言うのから溢れてる魂があるなら他の人でも良かったんじゃない?」

『………それは。』

「それは?」

『面白そうだったからです!!』

 

キラキラとした目でわたしを見つめて勢いよく言う彼女に多少の殺意を覚えたわたしは悪くない。

なんか誤魔化された感が否めないけど話してくれなさそうだな。

まぁいいか。知ったところで死んでることには変わらないし

 

「はぁ。異能はそっちで適当につけといてもらっていいよ」

『ええっ!?な、なんでもいいんですよ!?神スペック(劣化版)とか、チート能力とか!!』

「別にいいかな〜。人を傷つける力なんて要らないし。」

『そういえばあなた、自分はどれだけ怪我しても平気な顔してますけど人が怪我をすると凄く焦りますよね。自分に関心なさすぎません?』

「と、言われても覚えてないからなんとも言えない」

『なにその「覚えてないからどうでもいい」みたいな…。うーん、なら…回復とかそっち系がいいですかね。』

「つける前提なの?」

『当然です!』

 

…なんかもうめんどくさくなってきた。

全部適当に決めてもらおうかな。どうせわたしやりたいこともなにもないし

 

「とくにやりたいことも使いたい力とかないから適当に決めちゃってください、自称天使さん」

『自称!?わたくし本物ですよ!!?ほら翼あるよ!!?天使の翼!!』

 

そう言って彼女は純白の翼を背に広げた。

……コスプレかな?

 

『コスプレ!?急に現実逃避しないでください!!』

「おっと。心の声が漏れてしまったか。」

 

転生という道以外選べないのならいかに目立たずにひっそりと生き延びるか。

この世もあの世も地獄だな。うん

 

『よし!わかりました!!なら貴方には【万物を拒絶する】力を与えましょう!』

「なにそれ」

『全ての物事を"否定"して"拒絶"する力です!全部説明してしまっては面白くないので自分で頑張って力を見出しちゃってください。一つヒントを与えるなら貴方の"否定"したことは全て()()()()()()になります!』

「それだいぶやばくない?」

『今のでわかったんですか!?あなた頭良すぎでしょ!!』

「いや、わかるくない?まぁいいや。考えるの面倒だから向こう行ってからゆっくり考えるわ」

『そうしてください。そして!今なら出血大サービス!!特別にもう一つおまけで異能を差し上げます!』

「いらない」

『あっはい。ごめんなさい』

 

真顔で少し声を低くして言うと華麗に土下座を決め込んだ

……本当に天使なの?

 

『さっきの話ですけど貴方の性格を考えて力を調整したので自分に対する拒絶はあんまりできないから気をつけてくださいね!』

「…ちょっと待て。そこは詳しく説明して」

『えっと。自分以外の人に起こったことは"全否定"できるんですけど、自分に起こった事は"全否定"できないんです。どうしても、バランスを考えると…』

「つまり、自分以外の人に起こった出来事は全てなかったことにできるけどその代償として自分に起こった出来事は全てをなかったことにできないって事?」

『はい。自身に対する否定はせいぜい感覚に携わる機能くらいです』

 

感覚に携わる機能って……どういう……

 

『あ!もうこんな時間だ!そろそろお時間が来ましたので転生の儀に入ります!』

「え?急すぎない!?」

『はい!ごめんなさい!では、2度目の人生に幸あらんことを』

 

半ば強引に話を切り上げられるとわたしの真下に穴が開く。

 

『ではお元気で!』

 

ばいばーい!という軽快な声を最後にわたしは闇の中へと落ちていった。

 

**********

 

「おぎゃー!」

 

赤ん坊の泣き声で目が覚める。そこは病院だった。

…えっ!!?病院?!なんで!?

 

「あうーー。うぅ!?!」

 

声を上げようとすると喃語しか出ない

 

「……何、この子…。」

 

綺麗な女の人が憎々しげにわたしを見る。

え゛っ…。もしかしてわたし赤子になってる!?じゃあこの人はお母さん??

めちゃくちゃ怖いんですけど!なんでそんなに睨むの?!

母親と思われる人物は病院にいる間わたしを1度も見なかった。

退院するとその人はわたしを箱に入れ森の奥に連れて行き、そこに置いてどこかにいってしまった。

……えっ!?わたしもしかして捨てられた?!

始まったばかりなのに終わった気がする。

波乱万丈の幕開けですか。

早速すぎるだろ!!!あのくそ天使!ふざけんなっ!




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