部屋を後にしカルガンを探して廊下を歩く。
どこにいるのかな?
もしかしたら甲板かも…
一旦戻ってみんなにカルガンの居場所聞いた方が早いかな?
なんせ外に出してもらえない。箱入りか、わたしは
仕方のないことなんだけどね。
初めて鏡見た時、自分で「誰だこれ」って言いたくなるくらいの衝撃を受けたのはよく覚えてる
髪サラッサラだし、肌はツルツルしてるし。
鏡の前に「鳴花ミ○ト」ちゃん似の可愛い子がいた時は、えっ?!まさか自分?!ってなった。ツノは無いけど
銀髪に黄金と空色ってどんなチョイス。
まぁ、とりあえずよくわたしあんなに迷子になれたなってくらい目立つ容姿してたのにはびっくり
なんていうの?自分で言うのもなんだけど、生きてるだけで目立つって感じ
そんなことを考えながらカルガンを探していると笑い声が聞こえた。
「ゼハハハハ!ニア!怪我はもういいのか?」
こ、の、こ、え、は…
「………っ、ティーチ…にぃちゃ?」
「おう!長いこと寝てたなぁ。もう歩いて大丈夫なのか?」
一見すると妹を心配する良い兄だろう。
けど、わたしはなんとなくこの人が苦手だった。苦手だったから極力避けてきた。
「へいき」
一言だけ返すとその場をさろうとするが彼がわたしに近づき乱暴に頭を撫でてきたため離れることができなかった。
「そうか、そうか!ゼハハハハ!そりゃよかった。…なぁニア。この間、破壊王を殺しただろ?なんとも思わなかったのか?」
破壊王を殺した…………
【人を殺した】
それはわたしが
わたしが、この手で、撃ち殺した。
突然胸が苦しくなる。
まだ考えたくなった、認めたくなかった。
けど、紛れもない…現実。
自覚した途端に吐き気がこみ上げてくる。
ぐらりと視界が歪み膝をついた。呼吸が浅くなり苦しくなる
「おいおい、大丈夫か?ニア」
彼の言葉はとても乾いていて心配されてる気がしなかった。
「はっ…はっ…はっ」
苦しい…息ができない。
「ゼハハハ…。悪いな、まだ受け止めれる事実じゃなかったか。じゃあ、話を変えよう。ルーカスのあの満身創痍だった怪我と、カルガンの背中の大きな傷を治したのはお前らしいな。ニアは能力者なのか?」
カルガンの背中の大きな傷…。あぁ、よかった…治っていたのか。なんでこいつが知ってるのかしらないけど今はいいや。
………なら、早く部屋に戻ろう。
今は何も話したくない、早く消えて欲しい
胸を押さえて乱れる呼吸を必死に整える。
会話ができないことに焦れたのかティーチはわたしの背中をさすり、落ち着け。と促す
「落ち着け、ゆっくり息をしろ。」
一見優しいように感じる。けどわたしにはその行動がどうしても優しさには思えない。
例えるなら道具を手入れしているような…そんな感覚。
この人の目に、わたしは"人"として映っていない……そんな気がしてならなかった。
「ニア!!?」
ビスタさんの声が聞こえた。
わたしがうずくまってるのを見て「どうした?!」と心配そうに駆け寄ってきた時、ティーチが小さく舌打ちをしたのを聞き逃さなかった
「どうしたんだ、ニア…。ティーチ、何か知ってるか?」
「わからねぇが…多分過呼吸だろうよ。ちいせぇ体に色々背負い過ぎたんじゃねぇか?」
ビスタさんがティーチと代わってわたしの背中をゆっくりさする
「ゆっくり息をしろ。大丈夫だ、俺がいる。………そう、良い子だ」
わたしが落ち着くとビスタさんが頭を撫でる。
わたしはビスタさんを見てからティーチをみた
ーーーー怖いーーーー
純粋にそう思った。
嫌だ、嫌な目をしてる。何が嫌なのかわからないけど、何かがとても嫌だと思った。目の奥に潜む獰猛で野心に溢れるギラリとした光。その目をわたしに向けないで欲しい。切実にそう思った
確かな恐怖心と背筋が凍るような寒気がわたしを襲った。
思わずビスタさんに抱きつき顔を埋めた。
ティーチに早く消えて欲しかった
「ニア?どうしたんだ本当に。………震えてるのか?」
「ゼハハハハ!ビスタ隊長がいるんなら大丈夫だな。俺は用事を思い出したから失礼するぜ」
「………?あぁ」
そう言い残してティーチは去っていき、ホッとしたがわたしの震えはしばらく止まらなかった。
***********
-ティーチサイド-
ロビーを歩いてると前から俺らの可愛い妹が歩いてきた。
声をかけると少し怯えた表情をした。そういや、こいつ事あるごとに俺を避けてたなぁ。…なにか勘付かれたか?
こんなガキがまさかなぁ…。
そういや、こいつ破壊王を殺したんだっけか?
平気そうな顔してるがこの歳で人を殺すことに抵抗はねぇのか?
その事実を突きつけるとニアは膝から崩れ落ち呼吸を乱した
…考えねぇようにしてたのか。
まだこいつには重すぎる話題だったみてぇだな
まぁいい。ルーカスとカルガンを治したこいつの力は使える。
能力者なのかどうか、それが知りたかったがこいつは呼吸をするのに精一杯で俺の質問に答えられる余裕がなさそうだった
ゼハハハハ…これは人を殺した事実を受け止めきれないのか、はたまた別の理由か。どっちにしろこいつを手懐けるのは骨が折れそうだ。
落ち着くように促してるときビスタ隊長がきた。
チィ…。隊長様のお出ましか
こいつが1人でいることなんて滅多にねぇからいろいろ聞きたかったが時間切れだな。
ビスタ隊長にニアを任せて俺はその場を後にした
俺の野心はまだ知られるわけにはいかねぇんだ
…ニアは気づいてるかもしれねぇが………
さて、どうやって手懐けてやろうかな!ゼハハハハ!
-サイドエンド-
***********
ーーーーっはぁっ!!
怖かった!なにがともあれビスタさんのおかげで助かったぜ、グッジョブ、ビスタさん!
まだ、悪寒が止まらないけどなんとか動けるようになった
ふうっ。
わたしが平静を取り繕っているとビスタさんが怪訝な顔をした。
「………………ニア。何か隠してないか?」
ドキッ!
なんでわかるんだ!!エスパーか!
わたしそんな顔に出てないと思うけど(思うだけ)
「なにも!」
「………お前が隠し事したり嘘をつく時、オッドアイのその目が同じ色になる」
ええええええ?!そんな事ってある?!目の色が物理的に変わるって普通に考えておかしくない?!わたしそんな厨二じゃないよ!?
「え……。ほん、と?いま、いっしょ?」
「……な訳ないだろ、物理的ににありえんぞ。あんなに怯えてたのになにもないわけないだろう。で、なにを隠してる?」
…………騙された!!!
ひどい!!なんてお人だ!!
え?そんなわかりやすい手に引っかかるお前もどうかって?!
素直で悪かったな!!
「ここ、いや。だれ、いるか…わかる、しない」
「わかった。話してくれるんだな?じゃあ、移動しよう。よっと…」
ビスタさんに抱きあげられ、大人しく連行されました。
***********
-ビスタサイド-
マルコに今日のニアの見張りは任せておけと言ってニアを追いかけた俺。
ロビーに行くとニアが膝をついて呼吸を乱していた。
ティーチがニアの背中をさすっている。何があったんだ?
「ニア!!?」
俺が駆け寄るとティーチは場所を譲り、何があったのかと聞くと「わからないが、多分過呼吸だ」と、言った。
過呼吸か、ほんとに何があったんだ…
しばらく背中をさすってやるとニアは落ち着きを取り戻したようだ。
ニアがこんなに取り乱すことはあまりない。いや、昨夜も結構取り乱してたな。だが、あれは例外だろ。なんせこいつは盛大な勘違いをしてやがるからな
俺を見た後にティーチをみるとニアは怯えた顔をし、俺に抱きついてきた。
心なしか震えていて、顔を隠すように俺の胸に頭を押し付ける。
何回目かしらんがもう一度言うぞ、ほんとにどうした?!様子がおかしいぞ!?
「ビスタ隊長がいるんならもう大丈夫だな。俺は用事を思い出したから失礼するぜ」
そう言ってティーチは去って行った。
それを確認するとニアはホッとしたような表情をした
…まさか、ティーチが何か……?
「ニア、お前何か隠してないか?」
その質問に対し、ピクッと少しだけ反応したがいつもみたいに無邪気に笑って「なにも!」と答えた。
あれだけ怯えてて、なにもないわけない。
…………こいつが引っかかるかわからんがカマかけてみるか
「お前が隠し事や嘘をつく時、オッドアイのその目が同じ色になる」
「え……?ほんと?いま、いっしょ?」
…………………引っかかったぞ!
何故だ!?普通に考えてありえないだろ!!色彩がそんな簡単に変わってたまるか!!
こいつ、頭いいのか馬鹿なのかどっちだ?!いや、天然なのか!?
「な訳ないだろ。物理的にありえんぞ。あんなに怯えてたのになにもないわけないだろう。」
そういうとニアは「なんで引っかかった!?自分!!」といいたげな顔をした。
…こんな表情もするんだな
「ここ、いや。だれ、いるか…わかる、しない」
つまり、場所を変えれば話してくれる。と。
そう取った俺はニアを抱き上げ人のいないところまで移動する事にした
-サイドエンド-
***********
ああー、まずったなぁ…
なんでわたしあんなわかりやすい手に引っかかったんだろ?
マルコさんがいたら「お前は馬鹿なのかよい?!」とか言われそうなくらいだよね
目の色彩が同じになるって…ビスタさんもよく思いついたな
「ついたぞ」
誰かの部屋の前につくとビスタさんがわたしを片腕に抱え直し空いた方の手でドアを開け、中に入りわたしを降ろすとドアを閉めた。
中には誰もいなくて少しホッとした。
「ここは隊長たちの寝室だ。だから安心しろ、誰か入ってきたとしても隊長かオヤジくらいだ。隊員は滅多なことがない限りここには来ない」
それはありがたい。
隊員を信じてない訳じゃないけどやっぱり信用と信頼ができるのは隊長格だ。
だからこそ、わたしの存在は知られちゃいけない気がする。
それを1番わかってるのはまぎれもないわたし自身…
隊長たちもそれを考えてくれている。だから甲板にすら出してもらえないのだと思う。誰がどこで見ているかわからないから…
「とりあえず座れ。お前はまだ怪我が治ってないだろう?」
………なんでもお見通しで悔しい
部屋の真ん中あたりで素直に座る。
「それでさっきはどうしたんだ?なんであんなに怯えていた?」
ティーチの事は言うべきか否か悩むところだ。
彼の目の奥にある獰猛で野心に溢れるギラリとした
それはただ、わたしがそう思うのであって明確な理由がない
憶測だけでものをいうのは正直気がひける。
「ティーチにいちゃ、こわい」
「ティーチが怖い?」
でもここまで親身になってくれる彼に隠し事をしたくない。
わたしは全てを話すことにした