わたしが自分の力の危険度に気づいてから数週間、怪我も治り言葉もだいぶ矯正された。
されたというよりしたんだけどね!!えぇ!頑張りましたよ!?
もともと、舌がうまく回らないみたいでこれ以上を求めるのは不可能だった。
伝わればいいだろ!と、開き直ったのはそっと胸の奥に秘めておく
「なんて回復力だ。三ヶ月はかかるとおもっていたのに」
船医が舌を巻く程の回復力だったらしい。
何はともあれ、これからは怪我しないように気をつけないと。
「どうだ!すごいでしょ!」
ドヤ顔を決めるわたし。あぁ、話せるって素敵…
「お前の言葉の発達もすげぇよい。数週間であんな単語繋げたような話し方からよくそこまで直したな」
直せっていったのあなたでしょ!?
そりゃ猛特訓しましたよ!寝る時間を削って「あめんぼあかいなあいうえお」練習しましたよ!?
え?それは発声練習だって?結果オーライってことで!
「マルコにぃちゃ!きょうはなにするの?」
「ん?……あぁ、今日は城下町に行くよい」
「じょうかまち…。じゃあ、おるすばん?」
「お前も行くんだよい」
………な ん と い っ た?
「ほえ?」
「くくくっ。驚いてるニアも可愛いな!城下町に行くぞ。」
「イゾウにぃちゃ!おそとでていいの?!」
イゾウさんが布みたいなのを持って後ろから歩いてきた。
「あぁ、俺とマルコも一緒だから安心しろ!親父の許可もとってある。な?オヤジ!」
「グラララ!せっかく怪我も治ったんだ。たまには遊んでこい」
「やった!とーさん、にぃちゃ、だいすきー!」
はじめてのおつかいならぬはじめての外出にテンションがおかしくなっていた。これは後の、黒歴史にはいるやもしれぬ。。
イゾウさんに飛びつくと彼は器用にわたしを受け止めて片腕に乗せた。いつも思うけど腕の力すごいね
「ははは!そんな喜んでくれるとこっちも嬉しいな…って、まてマルコ。これ、俺は悪くないぞ。そんなに殺気を振りまくな」
まずイゾウさんに飛びついたのが気に入らなかったらしい。マルコさんが不機嫌になった。
ぴょんっ、とイゾウさんの腕から飛び降り、マルコさんにおねだりする
機嫌なおして!マルコさんの胃痛の原因を増やしたくない!
「マルコにぃちゃ!だっこ!」
「!!!し、仕方ねぇな。ほらこいよい」
仕方ないと言いつつも抱き上げてくれた。ほんとにツンデレだな〜この人
「はははは!!マルコっ!!どんなけニア好きなの!」
やりとりを見ていたハルタさんがお腹を抱えて笑いだした。
ほかの隊長も隊員もみんな爆笑していた。
うん、これは誰が見ても笑うだろうね。
この船の外の人でマルコさん知ってる人が見たらひっくり返るんじゃない?
だってこの人普段すごいクールだから
「ほら、ニア。お前のために用意しておいたパーカーだ。フードをしっかり被ってその髪と目は見られないように気をつけろ」
イゾウさんが持ってた布を被せてきた。あ、それパーカーだったの。
「あい!」
返事をしてパーカーを着る。
「よし、じゃあいくかよい。お前ら留守は頼んだよい」
みんなに見送られる中、わたしたちは城下町へと向かった。
***********
-白ひげサイド-
ニアの回復力は船医が舌を巻くほどだった。みるみるうちに元気になりその辺を走り回っている
グラララ…元気なのはいいが転ぶなよ?
言葉をすらすらと喋れるようになったのが嬉しいのか一段と明るくなった気がするぜ!無邪気でかわいいなぁ…
ティーチの話を聞いた時はまさかと思ったがあのニアが怯えるほどなら警戒しておいたほうがいいだろう…。息子を疑いたくねぇけど、仕方ねぇな…。
「イゾウにいちゃ!おそとでていいの?!」
マルコとイゾウと一緒に城下に行くって話をすると目が輝いた。
こいつ、結構表情豊かなんだな
今まで変に遠慮してたのかもなぁ…
そう考えると自分が不甲斐ない。おれもまだまだだなぁ…
イゾウがニアにパーカーをわたしニアが来たのを確認するとマルコが「いってくる」と甲板に出た。
さて、ニアが居ないうちに快気祝いの準備だ!グラララ!
-サイドエンド-
***********
「ニア、はぐれるなよい」
「風でフードが飛ばされない様にきをつけろ」
うちのお兄ちゃんズが過保護すぎてつらい。
心配してくれるのは嬉しいけどそこまで心配しなくても…
というか、貴方達こそ顔隠さなくていいの?手配書も回ってるし、有名人もいいところだよね
わたしを真ん中に挟んで歩く大人たち。
はたから見たら変な3人組だろう。なんたって、子どものわたしがフードで顔隠してるんだから
おまわりさんに通報されなきゃいいけどね
「あそこが城下だ。結構賑わってるな」
「いろんな奴らが集まってるから俺たちが行っても浮くことはないと思うよい」
前を見ると派手な門が構えてあって、門の向こうはわいわいと騒がしかった。
あ、わたしの心配は杞憂ですか?ならばいいんだけれど。
外出にトラブルはつきものだと思っておかないとあとで痛い目みそうだ。
「おーい、そこの3人組さん!揚げ団子食べてかないか?」
屋台の前を通るとおじさんに呼び止められた。
売り込んでるなー
「揚げ団子か。ニアは少食だからな〜。あんまり食べさすとサッチが怒りそうなんだよな…。『俺のご飯を食べてくれなくなる!』とか言って」
「想像できるのがなんか悔しいよい。まぁ、いいんじゃねぇのかよい?少しくらいなら。せっかくの外なんだからよ。小遣いも持ってきてるし、こういう時しか遊ばせてやれねぇから…。店主、一本くれよい」
「まいど!」
マルコさんが頼むと店主さんが作り始めた。
あ、できたてくれるんだ。いい人〜
「はいよ!揚げたてだ!」
マルコさんが店主さんにお金を渡し串に刺さったお団子を受け取る。
わたしに「ほらよ。熱いから気をつけろよい」と言って渡してきた。
うちのお兄ちゃん優しい……。この光景誰も海賊とは思わないだろうな…。世の中にはそっくりさんが3人いるって言うから他人の空似か?ってくらい賊とは程遠いやりとりをしてると思うのはわたしだけか?
そんなことを考えながらお団子を受け取ると冷ましてから頬張る。
一口かじると餡の味が口一杯に広がった。
中に餡がはいってるんだこれ!すごい!
「おいしい!」
「ははは!そうかそうか!嬉しいこと言ってくれるな、嬢ちゃん!………ほら!兄ちゃんたちもオマケだ、もってけ!」
そう言って店主さんがマルコさんとイゾウさんにもお団子を渡した。
気前がいいな〜。
3人で仲良く同じものを食べて店主さんにお礼を言う。
「次行くか」とイゾウさんが仕切るとわたしたちはその場を後にした。
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-?サイド-
ある城下町の一角。俺は仕事をサボって町を徘徊していた。
あんまりサボると怒られるけど仕事したくねぇんだよなぁ…。
……………ん?
こんなとこで会いたくないけどすげぇ見たことある顔がいるきがする。するだけか?
子どもに揚げ団子なんか買い与えて…。
団子を一口かじった子どもが「おいしい!」と嬉しそうな声をあげると2人の頬が緩む。
なんだあの光景……。ありゃただの家族か?
いや…だがあいつら絶対あいつらだろ。
…………うん、他人の空似だと思いてぇ…。
何度見ても白ひげんとこの隊長達にしか見えないんだよなぁ。隊長達だけなら無視してたが…あのフードの子どもは何者だ?なぜ隊長が2人もそばにいるんだ?
あぁっ!くそっ!気になって仕方がない
デスクワークをサボる口実も兼ねて、あいつらをつけるか。
-サイドエンド-
***********
…………?
「どうした?ニア。」
「なんかね、さっきからしせんをかんじるの」
団子屋を過ぎたあたりからすごい誰かに見られてるような気がする。
何度振り返っても誰もいないけど。なにこれすごいホラー
「視線……?安心しろよい、俺らがいるんだ。お前には指一本触れさせねぇよい」
やだ、うちの長男がイケメン
「その意見には同意だが、お前シスコン度合いが日に日に増してってないか?」
それビスタさんも言ってた。
思うことはみんな一緒なんだね(遠い目
「おっ、ニア!射的ゲームだってよ!やっていこうぜ!ゲームなら気楽にできるだろ?コツを教えてやるよ」
自分の得意分野だからかイゾウさんが射的の前で立ち止まった。
マルコさんにシスコン云々言ってたけどあなたも大概だと思います!
「店主!この子にやらせてあげたい。1ゲームお願いできるか?」
そこの店主は軽快に笑い「おう!やってけ!」といって、なんと踏み台まで用意してくれた。優しい!
渡されたおもちゃのピストルを構える。
なにを取ろうかな
えーっと、脇差……と、小型のピストル……と、手榴弾……トンファー……棍
・・・物騒!!なんだここは!!武器博物館か!!
殺意高すぎるだろ!この射的屋!!
「…まるで武器博物館だな。まぁ、無難に脇差でいいか。」
無難に?!無難って言葉知ってる!?イゾウさん!!
危険のない事だよ!!?
色々と危険すぎるだろぉおぉ!!!
こんな殺意高い物がよく売りに出されてるな!!おかしくない!?
その前に、
「ここはグリップと言ってグリップの1番高い位置を持つのが基本だ。………で、……………が、…………………。」
なんか説明始まった!!
マルコさんも呆れてるよ!!?
しかもその説明わたしがもっと小さい頃に聞いたよ!?
武器講座とか言って武器の使い方とか種類とか教えてくれたよね!!
何度でも教えたいのかな!!さすがお兄ちゃん!
「よしっ!やってみろ、ニア!」
「あ、あい」
説明聞いただけで疲れた気がする。
えっと、両目をちゃんと開いて利き目の前に…
集中、集中………
よしっ、ここだ!
パン!……ボシュッ!
「………当たったな」
「当たったよい」
まさか一回でうまくいくとは思ってなかったのか2人が冷静に驚いてる。
「ははっ!こりゃすげぇ!!ほらよ、商品だ!」
店主さんいい人。最後まで軽快に笑ってたな
景品をマルコさんが受け取って、店を出る
普通に城下を楽しんでる兄妹もしくは家族だよね、この図
自分が海賊だって忘れそう
……って、やっぱ視線を感じるなぁ。
気のせいかなぁ…
「…ニアの心配はまんざらでもないみたいだな。」
「あぁ、誰かにつけられてるよい」
え、急に真面目になった!?
スイッチの切り替え早過ぎません!!?さすがというかなんというか…
「まぁ、さすがにこんな街中で暴れはしないだろ」
「どうだろうな。俺らを知らないのか、知っててつけてきてるのかで変わってくるよい。前者なら確実に狙いはニアだ。後者なら海軍の可能性が高い。まぁニアに危険がなきゃほかっとけばいいんじゃねぇの?」
「それもそうか」と言って歩みを進める2人
わたしに危険がなければ……って!どれだけシスコンですか!俺様何様お兄様!!
すごい、この堂々っぷり!ある意味見習いたい!!
「さぁさ!寄ってらっしゃい見てらっしゃい!我ら愉快な旅芸人!」
なんかすごい賑やかだなぁ。
旅芸人か。自分で愉快とか言っちゃうんだね
吟遊詩人とか踊り子さんとかいる。ほんとに旅芸人なんだ。
「ヘェ…旅芸人かぁ。オレらは行くあてのない迷える仔羊たちをいい所に連れてってあげるお仕事してるんだ。」
すごい悪役っぽいセリフがきこえたから後ろを見ると、いかにもワルですって格好の人たちが刀持ってぞろぞろとあるいてきていた。
こういう人たちって、出落ち乙☆ってなりそうな
なんていうか、噛ませ犬?
「大人しくしてれば怪我はしねぇぜ?周りの奴らも騒ぐなよ?怖がることはねぇ。すぐ終わるさ」
全然怖くないんだけどなんでかな?
ティーチの得体の知らなさの方が怖いからかもう慣れてしまったからかイゾウさんとマルコさんが阿保を見るような目で
あぁ、全部かも。
「さて、一緒に来てもらおうか。旅芸n「
ピシビシピシ…
季節にそぐわない不自然な氷が攫い屋たちを氷漬けにし、そいつらの背後にはもじゃもじゃ頭のなんか「全てが怠いです」って言うような顔した長身の男がたっていた