家族の為ならどこまでも   作:実茶

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第20話 大仏さんは苦労人

それから月日が流れ鬼畜な修行にも慣れてきたころ、オヤジさんから外出の許可が出た。

 

「あいつの成長の早さには驚きを隠せないんだが…」

「ニアってまだ一桁だよな?俺もうかうかしてらんないぜ」

「ほんとだぜ…。というかなんで1回見て、聞いただけでありとあらゆるもの使いこなすんだ?こいつは!!」

「「「結論、天才だから」」」

 

腕を組み「うん」とうなづく三人衆。

 

「コントやってないでじゅんびしてよ!カルにぃ、ルカにぃ、ロキにぃ!!」

 

隊長ではなく隊員達とお出かけ!

あまりにも隊長がわたしにつきっきりだったので、カルガンとルーカスとロキアスがマルコさんに直談判しに行ったそう。

…勇気ある〜。

頭を悩ませながらもマルコさんはオヤジさんに相談して、イオンをつけるならいいんじゃねぇか?という話になり現在に至る。

イオンさんが図書室を空けるのかなと心配したが、ただ「そこが静かだから落ち着く」という理由でいつも居るだけだそうで図書室自体に特別な思い入れがあるわけではないらしい。

やはりミステリアスなお方だ。

 

「ふふっ、張り切ってるね、ニア。けど、フードはしっかりかぶってね?いくらボクの能力があるとはいえ、何が起こるかわからないから。さすがに中将や大将クラスの人がいたら隠しきれる自信はないよ?」

 

もしもし、知ってます?それ、フラグって言うんですよ?

成立しないといいなぁ…

 

「あい!」

 

返事をし準備を終え、甲板に出るとマルコさんとサッチさんが真っ先に反応した。

 

「いいか!?イオン!絶対にニアに怪我させるんじゃねぇよい!!」

「イオン!頼むぞ!」

「「「俺らもいるんだけど…」」」

 

なんだか可哀想な三人衆だ…。

 

***********

 

-マルコサイド-

 

ニアが自分の異能について教えてくれてから月日は流れあいつは著しい成長をみせた。

あいつのことについて知ってるのはオヤジと俺とハルタとイゾウ。ニアの許可を貰い隊長は全員把握している。聞いた時は驚いてたな、そりゃそうだ。俺だって驚いたよい。

ニアの成長の早さもそうだ。天性の才能だな、ありゃ

神童ってやつかよい。まだまだ発展途上だが覇気を少し使えるようになった。俺らもうかうかしてたら抜かれるな。

この船にはいろんな武器を使う奴らがいる。それぞれが自分の得意分野の知識を教えるとあいつは難なく全てを使いこなした。

1番驚いたのは甲板で飯を食ってた時だ。

ニアが少し戦えるようになったからちょこちょこ甲板に出すようにした頃。

天気も良かったからそこで飯を食ってたら海王類が襲ってきた。

そこまで大きくなかったが突然のことで反応が遅れた時、ニアが「てつのかたまりならぜんぶいっしょでしょ?」とか言い出してスプーンで海王類を切り刻んだ時はそこにいた全員が別の意味で叫んだよい…

そのあとサッチに「スプーンは斬る為の道具じゃない!掬う為の道具だ!」とかいって怒られてたが…。叱るとこそこじゃなくないかよい?

きっとサッチもその時の光景に正常な判断ができなかったんだな…。

そんなこんなで平和(?)な毎日を過ごしてると隊員から「隊長ばかり狡い!」だの「俺らもニアと遊びたい!」だのと言われ、オヤジに相談したら意外にも「イオンをつけるなら外に出してもいいんじゃねぇか?」と言う答えが返ってきた。

外に出すなら隊長が1人くらいついていったほうがいいんじゃないかと聞くと、「そしたら隊員が気を使っちまうだろ」と言われた。

まぁイオンは隊長クラスくらいの強さがあるからいいか……と、仕方なしに許可したがすっげぇ心配だよい…。

 

「マルコってほんっと過保護だよね」

「船1番のシスコンだからな」

「面白いもんだ」

「うるせいやい!」

 

無事に帰ってくるといいが…気苦労が絶えねぇよい

 

-サイドエンド-

 

***********

 

「なぁ、イオン。なんで植物園なんだ?」

「そうだぜ、遊園地とかもっと別なとこあるだろ」

「せめて動物園とかよー」

 

彼らがそう言うとイオンさんが優雅に笑う

 

「ふふっ、花の香りに包まれると癒されるでしょう?それに最近ずっと図書室に来ないから教えたいことが山ほどあるんだよ。だいたい、遊園地なんていったら人が多すぎてボクの能力なんて使えないよ?ニアがはぐれたらどうするんだい?」

「「「こいつ、隠れシスコンか…」」」

 

なにその隠れミッ○ーみたいな言い方…。

あー、確かぶつかったら解けちゃうんだっけ、イオンさんの能力…

 

「さて、ついたよ。ふふっ。楽しい発見があるといいね」

 

柔らかい物腰で優雅に笑うイオンさん。

ほんとに癒される。

植物園に入るとまず目の前にいい香りのする葉があった

 

「これはローズマリーと言ってね、集中力や記憶力を高めてくれるんだ。いい香りでしょ?ボク、この香り結構好きなんだよね。ちょっと強いけど」

「あっちのしろいおはなは?」

「あれはプルメリアっていう花だよ。あれもいい香りがするんだよね。その近くにある赤やピンク、黄色の花も同じ種類さ。いろんな色があるから目でも楽しめるんだ。花言葉は恵まれた人、とか、日だまり。調べてみると面白いものだよ」

 

ふわりと笑むイオンさん。

ほんと、物知りだなー。

 

「ひだまりかぁ。イオンにぃちゃみたいだね!」

「ふふっ、ありがとう」

 

花の前で座って話し込むわたしとイオンさん。

 

「なんだろう、あそこの空間だけ純粋というか」

「花が飛んでる……」

「あの空気壊していいか?」

「「「ニアが楽しいならいいけどよ…」」」

 

こっちもこっちでシスコンだった。

そのあと移動しようとしたらルーカスが自分の足に引っかかってよろけ、誰かにぶつかってしまい、イオンさんの能力が解けた。

 

「おっと…あ、すいませ…っ!?」

 

ぶつかった人を認識するとルーカスの顔から血の気が引いていった

その人は、海軍の元帥だった。

 

***********

 

-?サイド-

 

過激な赤に、やる気のない青。中立の黄色に、自由な拳骨。

はぁ、ほんとに困った部下達ばかりだ…。

息抜きに植物園に来たのはいいものの花とかよくわからん。

いや、それ以前にクザンとガープときたのが間違いだったか。まったく、あいつら自由人か!勝手にどっかいきおって!!

…うーん、花やらなんやら見てれば癒されるかと思ったがそうでもないみたいだな………

 

ドンッ!

 

…ん?何かにぶつかったか?

 

「おっと、すまない」

 

咄嗟に謝ったがそこにはさっきまで確実にいなかった5人組がいた。

そのうちの3人が驚いていて、2人は座ったまま体制を入れ替えてこちらを見た。

な、なんだ、この異様な5人組は!!

全員黒のフードをかぶっている。

こんなのがいたら普通すぐ分かるぞ!?

さっきまで誰もいなかったよな?!

すまない、理解が追いついてない、疲れているのか。

うん、きっとそうだ

なんか目を瞬かせているが驚きたいのはこっちのほうだ…

 

-サイドエンド-

 

***********

 

「おいおい、どうするよ。」

「やっべぇ…マルコ隊長に殺される」

「なんで元帥がこんなとこにいるんだ」

 

カルガンとルーカスとロキアスがヒソヒソと話す。

向こうは向こうでなにか葛藤してるようだ

 

「えっと…君らは?ずっとここにいたか?突然現れたように見えたが」

 

話しかけてきた!!

 

「ふふっ、ボク達は兄妹ですよ。可愛い妹に色々と教えてたんです。……ね?」

 

動じないイオンさんすごい!

 

「うん!にぃちゃにおしえてもらってた!ずっとここにいたよ?きづかなかった?」

 

そういうと、目の前の人は顎に手を当てて「そうだったかもな」と、ブツブツ言いながらどこかへ行った。

 

「…お前らのアドリブには感心するぜ」

「息を吸うくらい自然に対応できるとか…」

 

カルガンとルーカスが冷や汗をかきながら言った。

 

「あのくらいで動じてたらダメだよ。今日はバカンスなんだからね、楽しまないと」

「「「お前のマイペースについていくのに精一杯だよ!!」」」

 

ふふっ…。と笑うと彼の目が綺麗な紅に染まる。

能力を発動させてる時はどうやら瞳が紅くなるようだ

 

「元帥がいるとなると早めに帰った方が良さそうだね。まぁけど、もうちょっとくらいなら大丈夫でしょ」

「「「その自信はどこからくるんだ!!」」」

 

息ぴったりだなぁ、この3人…。

わたしたちは植物園の奥へと歩みを進める。

………ん?なんかすこし焦げ臭いような…。

っ!違う!これは煙の匂い!

 

「…っ!!にぃちゃ…、かやくのにおいする」

「……おっと…この酔いそうなくらいの花の香りの中でよく気づいたね。ふふっ、さすがニア。植物の勉強をさせようかと思ったけど社会勉強に変更しようか。」

 

酔いそうなくらいの花の香りって…言い回しが穏やか!

すると、イオンさんの優しい瞳から柔らかさが消え、完璧な笑顔になる。

完璧な笑顔だけど、目が笑ってない!!怖いっ!どうしちゃったの!?

 

「あー…。イオンが怒った」

「こりゃ相手は死んだな。ご愁傷様」

「ニア、多分イオンの能力解けるからフードしっかりかぶっとけよ?」

 

えっ!?どう言うこと!!?

イオンさんが怒ると相手は死んじゃうの!?

その前にイオンさん戦えるの?!非戦闘員って聞いてたけど!!

わたしが困惑してるのを見据えてか3人トリオが説明を付け足す

 

「あ、そっか。そういや、ニアはイオンが怒ったところに遭遇したことねぇな。アイツな、自分の大切な物とか好きなものにケチつけられたり手ェ出されたりするのが死ぬほど嫌いなんだよ」

「それで、怒るとああやってすげぇ恐ろしい笑顔をするんだ。怒ってても笑顔って怖えよな。」

「イオンの能力は誰かにぶつかると解けるだろ?それは武器でも一緒。アイツが武器を何処かにぶつけた瞬間に能力が解けるから顔見られねぇようにしっかりフードかぶっとけってことだ」

 

な、な、な、なんですとおぉおぉぉぉ!?!?

ミステリアスプチチートお兄様と呼ばせてもらおう、イオンさん!!

あなた謎すぎるでしょ!!

 

「ふふっ。ボクの大事な妹と……この優雅な温室を危険に晒すなんて…よっぽど死にたいおバカさんみたいだね。さぁて……そんなおバカさんはどこにいるかな?」

 

そう言って彼は物陰に千本を投げる。

と、どこかに当たっていたみたいで向こう側からちょうど歩いてきた元帥さんがわたし達を認識しているようだった。

 

「あっ!おーい、そこの兄妹!!ちょうどよかった。人を探してるんだが…って、何を殺気立っているんだ?」

「あ、おじさん!あのねあのね、かやくのにおいがするの。あぶないきがするんだけど、たすけてもらえないかな?」

 

この人元帥なら手伝ってくれるはず!

わたしたちをただの兄妹だと思ってくれてるはずだから使っちゃえ!

 

「・・・・・はっ!……か、火薬…?……たしかに言われてみれば…。よし、私がなんとかしよう。君たちは早く避難を!」

 

なんで今ワンテンポ遅れた?!

大丈夫この人!疲れてない?!

 

「ふふっ、心配しないでいいですよ?ボクがいるんです。ネズミには1匹残らず消えてもらいますよ」

 

そういうと、イオンさんは懐から中心に穴の空いた円盤状の投擲(とうてき)武器を取り出した。

 

「チャクラム!?イオンにぃ、チャクラムつかうの!?」

「ふふっ!チャクラムの名前を知ってるなんてさすがニアだね。使い方は見て覚えるといいよ」

 

そう言って彼はある一角にチャクラムを投げた。それはブーメランのように戻ってきてまた投げるを繰り返す。

チャクラムって一種の飛び道具だね、カッコいい…

なんで非戦闘員なんだこの人…

 

「「「ぐあっ!」」」

 

そこにどうやら犯人がいたみたいで叫び声が聞こえる

 

「ほらほら、早く出てこないと体が細切れになりますよ?あ、それとももう手遅れですか?」

 

チャクラムが手元に戻ってきてはすぐに次を投げる。その表情はどこか楽しそうだ

イオンさん実は戦闘狂!?こわっ!!

 

「くっ…なぜわかった!!」

 

物陰から血まみれの男たちが出てきた。出て来いって言われて出てくるあたり素直なのね。

 

「ふふっ、この酔いしれる花園の中でそんな硝煙の香りを纏わせてればすぐにわかりますよ」

「「「「わからんわ!!!」」」」

 

あ、元帥さんまで一緒になってツッコミ入れてる。

そうこうしているうちに大きな影が2つ上から降ってきて戦闘に加わりイオンさんを下がらせた。

 

「あらら…。随分と珍しい武器使うじゃないの、兄ちゃん。あとは俺らに任せな」

「わーっはっはっは!!面白い若僧じゃ!のう?センゴク!」

「クザン!ガープ!貴様ら一体どこに行っておったんだ!!」

 

青雉と…拳骨のガープだっけ?

何これカオス。

…青雉さん一瞬こっち向いたな。絶対気づいてる…。ま、いっか

元帥さんは意外と苦労人なのね。なんか、可愛そう。

…ドンパチやってる彼らをよそにわたしはチャクラムに着いた血糊を拭いてるイオンさんに話しかける

あ、イオンさんの目が元の優しい目つきに戻ってる。何この変り身、すごすぎる

 

「イオンにぃ、たたかえるの?ひせんとういんってきいてたけど…」

「ふふっ、驚いた?実はね、少しだけなら戦えるんだよ。ただ、ボクは体力がないから長いことは無理なんだけどね」

 

あぁ、そういうこと。だから裏方に回ってるのか…

 

「そうだ、イオンにぃ。ストレスのかいしょうにこうかのあるものってある?」

「ん?そうだねぇ…。ハーブ系の香りのものとか…あとは…あぁ、花ならカスミソウとかいいんじゃないかな?」

 

カスミソウ…か。

 

「にぃちゃ、ちょっといいかな?」

「「「「??」」」」

 

敵に同情する訳じゃないけど、なんだかマルコさんと同じような苦労をしていそうで少し可愛そうだなと思ったわたしはみんなに協力してもらって元帥さんにプレゼントをあげることにした。

 

***********

 

-センゴクサイド-

 

植物園に入って早々いなくなったクザンとガープを探し回るが見つからない。こんな所でまで私に苦労をかけるとは…!!

ん?あのフードの五人組は…

 

「おーい、そこの兄妹!!ちょうどよかった。人を探してるんだが…って、何を殺気立っているんだ?」

 

入り口付近で見かけた謎の兄妹がいたので声をかけるとその中の1人が殺気立っていて1番幼い子が喋る

 

「あ、おじさん!あのねあのね、かやくのにおいがするの。あぶないきがするんだけど、たすけてくれる?」

 

…なんだこの子。すごい可愛い……舌足らずな喋り方がまたなんとも言えん。癒し要員として欲しいな…

はっ!いかんいかん、それどころじゃなかった。火薬の匂い…か、

……たしかに、言われてみれば少し硝煙臭いか…

こんな花の匂いが強い温室内でよく気づいたな、こいつら。

ここは任せて避難をしろといったら殺気立ってる若者が「心配いりませんよ」といい、懐から2つの輪っかを取り出し、物陰に向かって投げた。

チャ、チャクラムだと!?珍しい武器を使うじゃないか…!

子どもも驚いてる。

いや、君みたいな年の子がチャクラムを知ってることに驚きだ!!

 

「なぜわかった!!」

「そんな硝煙の香りを纏わせてればわかりますよ」

「「「わからんわ!!」」」

 

普通はわからんわ!!むしろよく気づいたな!!花の匂いが強すぎて意識しても分かるかわからないからくらいなのに!!

彼らの兄弟とツッコミがかぶる。こいつらもなかなかの苦労人なのか…。同情するよ…。

その後、クザンとガープがきてその騒動を収めると夕方になっていた。騒動を収めた後彼らに説教したのは言うまでもない。

あの幼い少女がこちらをじっとみてからチャクラムの青年に話しかけてたが……なんだったのだろう

とりあえずなんとなくで我々は兄妹たちと一緒に植物園をでる

クザンが何やら1番幼い子と話しているが……ロリコンで訴えられるのだけはよしてくれよ?

いや、その前にわたしもその子と話したい…

 

「おじさん!たすけてくれてありがとう!にぃちゃにきいてね、カスミソウをかったの」

 

そう言って幼い子はわたしに小さな白い花の花束を渡してきた。

カスミソウ…?さっきチャクラムの青年と話してたのはそれのことか?

 

「カスミソウはね、きぶんをリラックスさせてくれるんだって!」

 

…………!!!なんて可愛い、そしていい子なんだ!!

感動した!わたしの部下たちもこのくらい気が回る奴がいてくれれば…

 

「じゃ、ばいばーい!」

 

元気に手を振り去っていく兄妹を姿が見えなくなるまで見送った。

もう少し癒されたかった…。またいつか会えるといいな

 

-サイドエンド-

 

***********

 

その後船に戻るとマルコさんにもカスミソウを渡した。

これでこの人のストレスが少しは解消されるといいなぁ…




ー青雉とニアの会話ー

「久しぶりニアちゃん、元気してた?」
「なんでわたしにかまうの、あおきじさん」
「クザンって呼んで頂戴よ」
「そうまでしてなまえよばせたいの?!」
「だめ?」
「はぁ……。まぁ、きょうはたすかったよ、クザンさん?」
「ーーーっ!ごめっ…やっぱナシ」

青雉が片手で顔を隠し背けるとニアが怒る
彼は上目遣いにやられたらしいがニアはそれに気づいていない

「ひどくない?!よべっていったくせに!クザンなんてしらないっ」
「ちょっ!呼び捨ては反則!」

ニアは青雉にそっぽをむき青雉が必死にニアの機嫌を取ろうとしてた所をイオン達が面白そうに眺めていた。

**********

元帥さんは出会った子どもが後に自分の胃を痛める原因になることを知りませんでしたとさ(笑)
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