朝起きたらハルタさんにホールドされていた。
…なにがどうしてこうなった。
確かマルコさんに縋り付いて泣いて…うん。なんでこうなってるんだ?
まぁ、いいや。
…あー、叫びすぎたかな?喉と目が痛い。
でもなんだかようやく地に足がついた様な感じがした。
「ん…。あ、ニア、おはよう」
「おはよ、ハルにぃ」
ハルタさんが起きた。
「怪我の具合は?」
「へいき、にぃちゃがいるから」
「そっか。でも、まだ無理はしちゃダメだよ?」
「うん。ほかのにぃちゃたちは?」
「甲板かな?おいで、連れてったげる」
ハルタさんはわたしを抱き上げ甲板へと向かった。
そこにはオヤジさんとイゾウさんとサッチさんが…
最初に声をかけてきたのはサッチさんだ。
「おー、ニア!よく寝れたか?」
「うん」
「グラララ!すげぇ泣きっぷりだったなぁ!甲板まで聞こえたぜ?」
「うっ…。ごめんなさい」
「謝ることはない。どこか吹っ切れた顔してるぜ?お前。いいことじゃねぇか、グラララ!」
オヤジさんは本当に鋭い。
少しを話してるとロキアスとイオンさんがきた。
珍しい組み合わせだ。
「ニアーッ!よかった、生きてたんだな!ごめんな!俺のせいで怪我させちまって!」
「だいじょうぶ!ロキにぃもぶじでよかった!」
「おはようニア。怪我の具合はどうだい?」
「うごかすとすこしいたむけどだいじょうぶだよ。」
「そっか。今回はボクも薬の処方を手伝ったんだ。効果があってよかったよ」
この人ほんとになんでも出来るな。
なんで隊員やってるの??
「ニアにも今度教えてあげるね?」
「うん!」
イオンさんとほんわか話してるとイゾウさんが「そういえば…」と話を持ち出す
「イオンはなんでニアのことそんなにも気にかけるんだ?大事な妹ってーのはわかるがお前が図書室から出てくる大半の理由はこいつに会うためだろ?」
「知りたいですか?」
「教えてくれるなら、でいいが。無理にはきかねぇよ」
「まぁ、隠す様な事じゃないですしね。…ボクには妹がいたんですよ。血の繋がった実の妹が。…けど、ボクの妹は村の人になにを吹き込まれたのか知らないけどいつからかボクのことを"死神"と呼ぶ様になったんです。紫色は"死の象徴"らしいですよ?」
突然重い話?!
えっ、それ聞いてもいいの!?
「悪魔の実を口にした時、ボクは誰の目にも映らなくなって孤独から逃げる様にして村を出ました。オヤジさん達との出会いは端折りますけど、この船のみんなに出会えてやっと自分の居場所を見つけた。と思った時にニアが来たんです」
……わたしきいてもいいのかな、その話。
どういうオチだろうか。なんか怖い
「新しい妹だって紹介された時ボクは内心恐怖しました。妹という存在はボクを傷つけてきたから…。」
「…だからお前初めの方にニアを避けてたのか。」
「えぇ。なるべく会わないようにずっと図書室に篭りっきりでしたね。会うのが怖かったんですよ。」
避けられてたんだ。わたし…
なんかごめんなさい
「ふふっ。そんな顔しないでニア?まだ続きがあるから。……ニアが図書室に来て初めてボクを見た時、なんて言ったか覚えてる?」
「なんかいったっけ?わたし……」
「ふふっ。『おにいちゃん、きれいだね!』って言ったんだよ?あれは衝撃だったなぁ…」
うん、覚えてない。初対面にそんなこと言ったんだわたし。
……初対面に!?
なにそれ恥ずかしいっ!!
「それでボクもニアの力になりたいって思うようになったんですよ。まさか妹といるのがこんなに楽しいとは思わなかったから」
「そういうことか。はははっ!みんなニアに助けられてんだな!」
それだけ?!
というか、初対面で「きれいだね」ってどこのナンパ野郎だよ!
なにしてんのわたし!!
「……さてっと。この言うことを聞かずに無茶ばかりする娘はどうしてくれようかな」
「しばらく閉じ込めるか」
みんな気が済むまで笑うとイゾウさんが気を取り直したかのように話を切り出す。
するとサッチさんが監禁発言をした。
閉じ込められるの!?わたし!!
「そうだな。それがいい。今回の怪我は大きいから開いたら困る。完治するまで閉じ込めておこう」
えぇー!
そんなに信用ないの?!
そんなことを思ってるとわたしを抱っこしてるハルタさんが耳元で小さく言った。
「最近ティーチがニアの情報を集めようとしてるんだ。ニアはティーチが苦手…っていうかティーチを警戒してるんでしょ?だから俺らしか知らない場所に怪我が治るまで隠しておこうって魂胆。さすがにずっとは一緒にいられないから…ちょっとの間、我慢してね」
…あ、そういうこと。
最近近づいてこないから安心してたけど裏で動いてたのかあいつ。
「じゃあハルタ、頼んだぞ。」
「はーい。いこっか、ニア」
「あ、あい…」
だとしても、監禁されに行くってどうなの…。
***********
はてさて、隠れ部屋みたいな所に閉じ込められました、ニアです。
結構快適です、ここ。監禁場所が快適ってすごい!
この船、なんでこんな部屋あるの?!謎!
それはさておき、イオンさんが隊長経由で渡してくれた本が何冊かあって案外暇しない。イオンさん、ほんとに感謝…!
中でも「悪魔の実図鑑」ってのが、面白い。
世界中の悪魔の実が載ってる。この図鑑、優秀…!
えーっと、
つまり泳げなくなるってことか。海の悪魔の化身って言われてるのに海に嫌われるんだ?この悪魔さん、海に何したんだろ…?喧嘩でも売ったのかな?
「ゼハハハハ!こんな所に閉じ込められてたのか、ニア!探したぜぇ?怪我は治ったか?毎回無茶ばっかりしやがって!」
本を読んでいるとティーチがやってきた。
・・・こいつ、どうやってここ嗅ぎつけた?何この執念、謎。怖すぎる。
助けて、お兄ちゃんズ!
…ってあれ?わたし結構冷静?
「可哀想になぁ!まぁ無茶が過ぎるってのはわかるが何も閉じ込めなくてもいいだろう」
「いいの。わたしがわるいんだから」
読んでいた本を閉じて冷静にいう。
「ゼハハ…!飼いならされてんなぁ、ニア」
飼いならされる?…わたしはペットじゃない。
それに、あの人たちはそんなことしない。
うん、大丈夫。わたしは、わたしの信じたいものを信じる
「ニアよぉ、いっつも思ってたんだがお前、自由になりたいと思わねぇのか?」
「わたしはいつでもじゆうだよ?」
「今は閉じ込められてるじゃねぇか」
「それはむちゃがすぎたからだよ。ちょっとしたばつだとおもってる」
「…罰、ねぇ。ゼハハハハ!いつでもどこでも隊長が付きっ切りで、窮屈じゃねぇか?俺が出してやろう、すぐには無理だが」
「いいの。わたしはこれでいいの。ここがすきだから」
そういうと、ティーチは怪訝な顔をした。
「だからね、ティーチにぃちゃ。」
目を瞑り、一呼吸置いてからティーチを睨むようにして見上げた
「うらぎったら、ゆるさないよ?」
「ーーーーっ!!ゼハッ!ゼハハッ!俺はここのクルーだぜ?」
それ以上は何も言わずにティーチは去っていった。
…はあっ!怖かった!!
なんなのあの人!!怖すぎかよ!しかも、しつこい!
「ニアッ!大丈夫?!」
「ハルにぃ、どうしたの?」
「…さっきティーチとすれ違ったから、見つかったんじゃないかって」
「うん、きたよ。けど、とくになにもなかったよ!」
「そっか。せっかく隠したのに…。ここにニアがいるってどうやって知ったんだろう…」
ほんとだよ。
できればもう話したくないなぁ
***********
-ティーチサイド-
『うらぎったら、ゆるさないよ?』
無機質な人形のように冷たい目で俺を見上げた
その時に覗いた殺気と覇気に恐怖を覚えた。
…少し焦りすぎたか。
なんせいつも隊長が付きっ切りで話す時間がない。
目的のものがいつ見つかるかもわからないし、ニアを手懐けるのにも時間がかかりそうだ。
随分と飼いならされてんなぁ…。あそこまでオヤジや隊長たちに懐いてるとなると攫ってくしかなさそうだな。
あいつの情報は全然入ってこねぇからこっちから集めないといけねぇ。
隊長なら知ってるとおもったが誰に聞いても知らないと返ってくる。
隠されてんのか本当にしらねぇのかわからないが……こりゃ警戒されたかもな。ニアは鋭いからよ
まぁ…なんにせよ、
悪魔の実の能力者だろうがそうで無かろうが、どんな怪我も治せるなんて夢のような力だ。
さぁて……どうやって懐柔してやろうかな…!
ゼハハ!ゼハハハハ!
-サイドエンド-
***********
「ティーチがここにきた?」
あの後マルコさんとサッチさんがわたしの様子を見に部屋に来た。
ハルタさんが彼らにティーチの話をするとマルコさん達の表情が変わった。
「なぜあいつがこの部屋の存在を知っている?いくら奴が古株だからとはいえここは隊長しか知らないはずだが…」
「それがわからないんだよ。」
「…なんにせよ、警戒しておくに越したことはないよい。最近様子がおかしいのは事実だからな」
「ニアの情報を嗅ぎまわってるんだっけ?」
「あぁ、この前も聞かれた。ニアは能力者なのか?ってな。なんでそんな事気にするんだ?って聞き返しても答えてくれねぇのに」
「なにを考えてるんだろうな。…仲間を疑いたくはないんだが…」
仕方ない。というようにため息をつく3人。
「はぁ、まぁ考えてても埒があかないな。とりあえず現状維持だよい。さて、と。ニア薬を塗るぞ」
マルコさんがそう言ったので、わたしは背中を向けて上の服を脱ぐ。
するとハルタさんとサッチさんが頬を染めて顔を背けた。
ん?どうしたんだ…?
「…お前なぁ。一応女の子なんだからもう少し警戒心を持て!」
「ええっ!?くすりぬるだけでしょ?!それにちゃんとしたぎきてるし!」
「……うーん、そうなんだが、そういう事じゃなくてな…。まぁいいよい。すこし染みるかもしれないが我慢しろ」
そう言ってマルコさんはわたしの背中に薬を塗って包帯を巻き変えた。
「相変わらずすごい回復力だ。あと、1、2週間もすりゃ傷は塞がるだろうよい」
「ほんと?ありがとう、マルコにぃちゃ!」
「あんまり危険な目に遭わせたくないけどそれがニアだもんね。危険でも逃げずに必死に頑張るとこ好きだよ。偉いなぁ」
褒められた。お兄ちゃんに褒められた!
最近怒られてばっかだったから嬉しい!…いや、怒られてんのは全部自分が悪いからなんだけど…。
さて、早く怪我治してわたしも復帰しないとな!
***********
それから数週間、怪我もみるみる治り船医さんからのOKが出た。
しばらく監禁されてたせいか、みんなの顔が見たくてしょうがなかった。うーん、わたしもブラコン極めてるなぁ
「よぉ、ニア!出てこれたのか!」
「サッチにぃちゃ!でてこれたよ!」
「また逆戻りしないように気をつけろ。」
「う、うん…」
はい
怪我しないように気を付けます!
「じゃあ、早速「ニア!怪我したって聞いてたけどもう大丈夫なのか?!」…何しにきた、赤髪」
ほんとに、何しにきた?!この人最近よくくるよね?!暇なの!?
「何しにって…可愛い弟子の様子を見にな!」
「だれがいつでしになった!」
「おー、元気そうだなぁ!よかったよかった!」
シャンクスさんを見上げて噛み付くように反論すると彼は上機嫌にわたしの頭を撫でる。
「グラララ…。お前、最近おれの船にきすぎじゃねぇか?立場ってもんを考えやがれ、小僧」
「はははっ!それこの前鷹の目にも言われたぜ。けどなぁ、俺が単身で来てるだけだからなんも無いと思うんだが…」
「たんしんでもふねあげてでもよんこうのせっしょくにかわりはないよね?!ばかなの!?」
「あいかわらず俺には冷たいのな。まぁいいけどよ!」
いいのかよ!なんなんだほんとに!用件を言え!そしてさっさと帰れ!
「大怪我したって聞いたから見舞いに来ただけだ。元気そうで何よりだぜ、ニア。」
「ふーん。しんぱいどうも」
「…デレた!?ニアがデレた!なぁ!俺の船にこないか?」
「「「断る!!」」」
お見舞いに来たっていうから一応お礼を言ったら抱きつかれた。
どさくさに紛れてシャンクスさんがわたしを勧誘するとお兄ちゃんズが一斉に引き剥がした。
「おいおい、いいじゃねぇか。少しくらい」
「ニアに触るんじゃねぇよい、ロリコンが!」
「あと、どさくさに紛れて勧誘するな。こいつはどこにもやる気はない」
シスコンお兄ちゃんズがかっこいい!
「はいはい…シスコンのお兄ちゃんは怖いな。まぁ、閉じ込めたくなる理由はわからんでもないがな。じゃあ、俺は帰るぜ?あんまり人に心配かけるもんじゃねぇぞ、ニア」
ほんとに帰った!え?!見舞いに来ただけってホントだったの?!
迷惑だなって思ってたけど、案外いいひと!!
「ったく。油断も隙もねぇな。」
「まったくだ。さてニア、まずは体力を戻そうか。」
そうか、そうだな。
何週間も動いてなかったから鈍ってるよな、そりゃ
「はーい!」
元気に返事をして体力作りから始める。
みんながいれば怖くない。そんな気がした
ーーひとりの青年と少女が出会うまでもう少しーー
***********
-シャンクスサイド-
先日白ひげの船にニアに会いに行ったら怪我してるから会わせられない。と追い返された。
…怪我だと?!俺は心配したが、心配いらないからさっさと帰れと言われてしまった。白ひげのやつら俺に冷たくないか?
「赤髪」
いきなり短く名前を呼ばれたと思ったら刀を振るわれた
俺は剣を抜きそれを受け止める。
「ご挨拶だな、鷹の目。久々に会ったのに冷たい奴だ。最近は勝負を挑んで来なかったがどうした?」
「…………なんだ?……それは」
鷹の目が俺の左腕を見ながら言った。
「何って……左腕だが?」
「そんなことを聞いてるんじゃない。お前、左腕は無くしたんじゃなかったのか?」
「えーっとなぁ、女神様が降りてきて治してくれた。」
「嘘をつくならもっとまともな嘘をつけ。そんな言い訳に騙される馬鹿はいないぞ」
くそ、こいつには通じないか。
俺のクルーは納得してくれたんだけどな。いや、察してくれただけか?
爆笑してる奴もいたが
「納得できるように説明しろ、じゃなければ斬る」
「おいおい。なんでそんなに物騒なんだ。」
剣をぶつけながら喋る。
「よくしたかまないね?!」っていう突っ込みが欲しい。
誰とは言わないが…
俺の腕は無くなっていたんだ。そりゃ気になるだろうが俺に話す気が無いことくらい長い付き合いのこいつならわかるだろう
「つい先日、七武海の緊急招集があった。議題はお前と白ひげの接触の多さについてだ。……お前、そんなに頻繁にアレに会いにいってるのか?」
「…まぁなぁ……。なーんか、構いたくなるんだよあいつ。暇な時は遊びに行ってるな」
「馬鹿か貴様は。友達の家に行くんじゃないんだぞ?遊びに行く感覚で四皇が四皇の船に行くな。アレを晒さなくてもいい危険に晒す必要はないだろう」
「なんだなんだ?お前がそこまで肩入れするとは珍しいじゃないか、鷹の目」
「とにかく立場はわきまえろ。と忠告しに来た。そしたらお前に左腕があるじゃないか。……まさかアレの仕業か?」
「だーかーらー。女神様が降臨したんだって!」
鷹の目の攻撃をあしらいながら喋る。
俺もこいつも本気じゃないから島が吹き飛ばずにすんでるが…あんまり茶化すとこいつ本気で斬ってきそうだな。
「真面目に答えろ赤髪。お前……アレがどういう存在なのか本当にわかっているのか?」
俺や鷹の目まで恐怖を覚えたあの冷たい目…
修行中の事を思いだし顔をしかめる。
その隙に鷹の目が重たい一撃を入れてきた。勿論受け止め押し返す。
剣が合わさり力が拮抗する。そしてお互いに弾くようにして間合いを取った。
「本人は気付いていないがアレは相当危険な力を秘めているぞ。もし、絶望を知った時…アレが暴走すればこの海は……いや、世界は滅ぶ。お前もわかっているだろう?」
…そうだろうな。あいつがその気になればそんなことを容易にできるだろう。
今は白ひげに守られて温もりの中で生きているから何事もないだけだ。
「守ればいいんだ、鷹の目。ニアがこの先もずっと笑っていられるように…守ればいい。」
そうだ、守りきればいい。
「…フッ。そんな綺麗事がいつまでもつやら。とにかく、忠告はした。」
鷹の目はそういうと剣をしまい去っていった。
…忠告されたばかりで悪いんだから来週あたりにでもまた行く予定だ。
あいつの怪我、治ってるといいな
「悪いな鷹の目。俺は今更ニアを見捨てることはできないんだ」
あの無邪気な笑顔を消させはしない。
-サイドエンド-