「ただいまー」
「帰ったぜ」
「戻ったぞ」
ニア、エース、サッチが日帰りの散歩から帰ってきた。
「ニア!船内を案内してくれ!」
「いたたた!だから、うでひっぱらないで、エース!」
帰るや直ぐにエースがニアを連れて船内へと行った。
ふと、サッチが真剣な表情になる
「オヤジ。あぁ、マルコとビスタとイゾウとハルタも。ちょっといいか?」
彼の真剣な表情に彼らはただ事ではないと悟り、聞く姿勢に入った。
「ニアの事なんだがな、なんか拒絶とは違った別の力が使えるようになったらしい。」
「別の力?」
「あぁ。魔法、って言ってたかな。あいつが両手で銃の形を作って指先から水のビーム砲みたいなの出したの見ちまって聞いたらそう言ってた」
「はぁ?なんだそりゃ。マジかよい」
「なんでもありか!あいつは!」
「水のビーム砲って、なにそれ。見たかった」
「頼んだらやってくれるんじゃないか?」
確かに彼女なら頼めばやってくれるだろう
…が、そんなことよりも。と白ひげはニアの心配をする
「サッチ…。ニアは怯えていなかったか?」
「さすがオヤジ、鋭いな。ちゃんとフォローはしといたぜ?お前がどんな力を持ってようが俺たちがニアを恐れることはないから安心しろってな!」
サッチがそういうと白ひげはどこか安心したように笑った。
「グラララ…。そうかァ。ならいい」
「だが、それも能力じゃないんだろ?」
「あぁ。だからこそこのメンバーには知っておいてもらおうと思ってな」
「じゃあ、ちゃんと見ておかねぇとな。あいつすぐ隠すから」
「結構素直になったろい。あの件以来」
「そうだね、けど、万が一ってのがあるから」
自分の妹がまた1人で悩まないか心配するシスコンたちであった。
***********
「ニア〜!こっそり抜け出して星見にいかねぇか?」
「エース、なんでそんなにげんきなの…!」
船内の案内をした後エースに振り回されて疲れて果てていたわたし
なのにエースはまだまだ元気だ。
何故!?体力馬鹿なの?!
「だってよ、楽しいんだ!ニアに会ってから楽しくてしょうがないんだ!」
そんな笑顔で言われると断れない。
どうしよう、と悩んでるとイゾウさんが来た。
「ははは!すごい懐かれたなニア。だがな、エース…。悪いんだがそいつはあまり外に出してやれない。わかってくれ」
「可哀想じゃねぇか?それ。そりゃたしかに目立つ容姿してるから目立たせたくないってのは分かるけど」
「…容姿だけじゃないんだ、こいつは。俺らが常にニアの側にいるのも深い訳がある。お前がもう少しここに馴染んだら話してやるからそれまで我慢してくれ」
「…言ったな!絶対だぞ!!」
イゾウさん、上手い!
「じゃあニア、一緒に寝よう!」
「「「「それはダメだ!!!」」」」
隊長だけてなく隊員からも猛反対を喰らった。
…うーん、この人も良い感じのシスコンになりそうだな。
***********
エースが仲間になってから数ヶ月。
わたしは来る日も来る日もエースに連れ回されていた。
外に出せない分、船内で強制鬼ごっこやらかくれんぼやらをしていた。
「あいつ、最近よくエースに連れ回されてるよな」
「なんでもニアがエースの心開いたみたいだぜ?」
「さすがうちの天使!」
傍観してないで助けて?!
この人、食事中とか会話中に寝るし…なんていうか、天然なの?!
わたしじゃツッコミきれない!!
「…ニア、ちょっと来てくれないか?」
エースがなにやら真剣な顔をしてわたしの手を掴むと先を歩いた。
え?何?!急にどうした!?
彼はオヤジさんの部屋の前まで行くと一呼吸置いてからノックをした
「オヤジ、話があんだ。ちょっといいか?」
エースがそういうと中から「いいぜェ」と聞こえエースは中に入った。
「どうしたんだァ?こんな時間に…。ニアまで連れてきて」
「あぁ、ニアを連れてきたのは…こいつから勇気を貰おうと思ってな」
んんん?どういう事!?わたしそんなパワー与えれるような人じゃないよ!?
「あのよ、オヤジ。おれ、実はロジャーの…海賊王の息子なんだ。」
…あ、それを言うためにオヤジさんを尋ねたのね。で、わたしはそれを知ってるから一緒に連れてきたと。
もしもし、エースさん。握ってる手に力入ってるの気づいてる?地味に痛いよ?
「そうだったのか…。似てねぇなぁ」
「!!おれを追い出さねぇのか?敵だったんだろ?」
「話があるって言うから何事かと思えば小せぇ事言いやがって!誰から生まれようが人間みんな海の子よ」
「!!!」
かっこいいな〜
オヤジさん。
エースは「そうか…」と一言言うとわたしを連れたまま部屋を出た。
どこか安心したようだ。
「ありがとな、ニア。…お前って、すげえな」
うん?いきなりどうした?
「わたしはなにもしてないよ?」
「いや、お前がいたからおれは変われた。ありがとな」
そのままエースに手を引かれ、ロビーへと戻っていった。
…手は離してくれないのね。うん
ロビーに戻ると隊長たちがいた。
「あ、ニア!ちょうどよかった!」
丁度良かった?なにか用だったのかな?
「ねぇねぇ!俺のこと呼び捨てにしてみて!」
・・・わっつ?
なんて言った、
「エースだけ呼び捨てってずるいなぁって思ってさ!だけど今更"隊長"って呼ばれたら距離感じちゃうでしょ?だから呼び捨てにしてみて!」
いやいやいや!!それは無理でしょ!!
「俺もだ、ニア。」
「あ、俺も!」
「俺も頼もうか」
「俺もだよい」
なんなの?!このシスコンお兄ちゃんズ!!
ちょっとかなり無理がある頼みだよ、それ?!
「む、むちゃぶりでしょそれ!」
私が反抗すると「ふむ」とビスタさんが言った。
あ、このパターンまた逆らえなさそうな案件が来そうな予感。
「無茶か?…3つくらいの時、3億を超えた賞金首と戦って、5つくらいの時には40度近い高熱で雨の中険しい山を1人で登り、8つくらいの時に仲間を庇って斬られても尚、背を向けずに立ち向かう。…俺たちの名前を呼び捨てにするのとどっちが無茶だと思う?」
…………ずるい!この人めちゃくちゃずるい!!
「うぅ…。ビスタにぃちゃにかてない…」
「誰だって?」
「ビスタにぃ…「誰って?」…」
いま呼べと!?すぐ呼べと?!
「ハルにぃ〜!ビスタにぃちゃがいじめるー!」
わたしはエースから手を離しハルタさんのとこへと向かった。
ハルタさんは嬉しそうにわたしを抱き上げると素敵な笑顔を浮かべた。
あ、これヤバイやつ。不可避案件だ
「ニーア!ちょっと呼び捨てにしてくれればいいんだよ?」
ダメだこりゃ。誰に言っても回避不可だ。お兄ちゃんズのシスコン具合がカンストしてる
「ハ、ルタ…………にぃちゃ」
覚悟を決めて言った。が、やっぱ無理!今更呼び捨てとか無理!
「ははは!いいじゃねぇか、ニア!名前くらい呼び捨てにしてやれば!本人たちもそうしてくれって頼んでるんだからよ!」
呑気すぎか!エース!!
「うぅ…。いまさらはずかしいよぉ…」
両手で顔を隠して言うとお兄ちゃんズが頭をわしゃわしゃしてくる
「ニアの可愛さが日に日に増してる」
「もっと困らせたくなるな!」
「あまりいじめると拗ねるぞ?」
「拗ねたニアも可愛いから意味ないよい」
「ハハハ!間違いねぇ!」
そのやりとりを見ていたロキアスたちがヒソヒソと話し出す
「ニアが可愛いのはわかるけどうちの船これでいいのか?」
「隊長たちニアのこと好きすぎだろ!俺たちもニアと遊びたいのに…!」
「いや、これはある意味チャンスだ。隊長たちに便乗して俺たちも呼び捨てにさせよう」
「「「それだ!!」」」
いやいやいやいや!!言ってないで助けて?!ロキアスたち!!
だいたいなんで呼び捨てにこだわるの?!エースをそうしてるから!?エースは早い段階でそうしてくれって言われたから抵抗なくできたけどあなたたちはちょっとかなり違うよね?!
ましてや隊長だよ!?ああっもう!考えるのがめんどくさくなってきた!!
「もうっ!ハルタ!イゾウ!ビスタ!マルコ!サッチ!わたしもおこるよ?!」
ふふん!どうなっても知らないんだからね!
青雉さんみたいにやっぱなしとか言い出したらもう呼ばないんだから!
「いいな!よしっ。それでいこう!」
「なんか新鮮!もっと早く呼ばせればよかったかな?」
「よいよい。妹の成長は嬉しいもんだよい」
成長?!なんの成長!!?呼び捨てにするのが成長なの?!
もう好きにしろ!
シスコンお兄ちゃんズ!
「ははは!…今更だがお前チビの時そんな無茶してたのか?」
「してたよい。目離した隙に血塗れになってるから焦るのなんの」
あれは不可抗力だと思うけどなぁ…
「あ、そうだエース。お前を2番隊隊長にするって話があるんだが…どうだ?」
「おれが?……いいのか?」
その話、ついでのように出していいの?!
結構重要だよね!!?
「あぁ、ずっと欠番だったんだ。お前最近活躍してるし、みんなも文句ないってよ。前にオヤジと話してたんだが、受けてくれるかよい?」
「…ニアと居られるならなんでもするぞ」
「ははは!お前もシスコンの仲間入りだな!」
ダメだこの人たち!手に負えない…!
「わたしどこからつっこめばいい…?」
ツッコミ要員を切実に求む。
***********
ーエースサイドー
覚悟を決めてオヤジにおれのことを話しに言った。ニアを連れてったのはこいつがいれば何でもできる。…そんな気がしたから。
オヤジはおれを受け入れてくれた。
ここに来て…この船に乗ってよかった。
ニアに、オヤジに、みんなに出会えて本当によかった
感謝しても仕切れねぇ
もっと早くこんな奴らに会いたかったなぁ…。
ロビーに戻ると隊長たちに「呼び捨てにしてくれ」とニアが絡まれた。
ここの奴ら、こいつが大好きなんだな。だがその気持ちはわかる。
構いたくなる性格してやがるし、反応が小動物っぽくて可愛い
そういや、おれこいつのことあんまりしらねぇな。
捨てられてたのを拾われたって事くらいか。
「成る程な。3つくらいの時、3億を超えた賞金首と戦って、5つくらいの時には40度近い高熱で雨の中険しい山を1人で登り、8つくらいの時に仲間を庇って斬られても尚、背を向けずに立ち向かう。…俺たちの名前を呼び捨てにするのとどっちが無茶だと思う?」
ビスタが名前を呼ばせるためにニアが過去にした無茶な出来事を並べたらしい。
…無茶以前によく生きてたな、こいつ!!
そりゃ目も離せなくなるぞ!そのうち死ぬんじゃねぇの?!
ニアを見ると頬を膨らませていた。
…やべえ、どうしよう。つつきたい…。
いや、そんなことしたら色んなものが飛んでくるってサッチが言ってたな。
隊長たちの勢いに押されてニアが怒って名前を呼び捨てにした。
…嬉しそうだな、こいつら。
その後、ついでかのようにおれに2番隊隊長になるか?との話をした。
隊長…か。おれでいいならやろう。
オヤジに、みんなに恩返しがしたい。ここで頑張ろう。
ーサイドエンドー
***********
なんなの?本当に。みんなシスコン拗らせすぎじゃない?!
わたしもブラコンかなって思ってたけど、比じゃないよ!?
「ニア〜。なんだ?まだあの時のこと怒ってんのか?いい加減許してやれよ!」
「おこってないよ!ただ、いまさらよびすてにしろっていわれても…にぃちゃたちはにぃちゃなわけで…」
「んー、よくわかんねぇけど、呼び捨てにしたって兄貴なことに変わりはねぇだろ?」
…この人、たまに確信つくよね。
それもそうか。
「むぅ、しかたないな………っ、ティーチ…にぃちゃ。ごめんエース、わたしもどる」
エースと一緒に食堂へ向かうとそこにティーチがいた。
できれば関わりたくない。そう思ってわたしはそこから去ろうとしたがエースに腕を掴まれてそれは叶わなかった。
「どうしたんだよ?急に。…って、お前顔が青いぞ?熱でもあるのか?」
「ねつは、ない。ただ、ここに、いたくない」
「……?」
入り口付近でエースと話しているとティーチがこっちに気づいた。
あのギラリとした獰猛な目がわたしを捉える
「ゼハハハハ!エース隊長にニアじゃねぇか!どうしたんだ?そんなところで!こっち来いよ!」
行きたくありません。
わたしあの人1回睨みあげたよね?!なんでそんな親しげに話しかけてくるの!?
エースがわたしの手を引きティーチのところに向かう。
わたしはティーチから離れるべく、エースを挟んで座った。…やっぱり怖い。知らず知らずのうちにエースの腕を掴んでた。
………今更かもしれないけど1ついい?
服を着ろ!エース!!
「そういやティーチ、お前結構な古株なんだろ?俺みたいな若いのが隊長でいいのか?」
「ゼハハハハ!いいのさ、俺はそういう野心がないからな!やってやってくれ、エース隊長!」
嘘つけ。野心の塊のくせして。
「ニア!そんな縮こまってたら顔見れねぇだろ?こっち来いよ、ゼハハハハ!」
俯いているとエースが席を立ち、わたしを抱き上げる
「なんかこいつ調子悪そうだから船医に見てもらってくるな!悪いな、ティーチ!」
…察してくれたのかエースはわたしを連れてその場を後にした。
ロビーまで行くとわたしを下ろし、心配そうに聞いてきた。
「どうしたんだ?ニア。あんなに怯えてよ」
「うん、ごめん」
謝ると怪訝な顔をされたがそれどころじゃない。
やっぱりあの目は嫌いだ。この前はなんであんなに冷静に返せたんだろう?
「エース!ニア!…どうした?暗い顔して」
サッチさんとマルコさんがロビーにきて、わたしたちを見るなりそう聞いた。
…察しがいいな
「こいつがいきなり怯えちまってよ、青い顔してるからどうしたんだろうと思って。」
「ニアが怯えた?………ティーチか。」
「だな。この船でニアが怯える要因はそこしかないよい」
「え、たしかにティーチには会ったが…なんだ?ティーチ嫌いなのか?」
エースがそう言うとマルコが返した。
わたしがそれどころじゃないことを察してくれたんだろう
さすがお兄ちゃん。
「あぁ、お前も隊長になったんならニアの事少し知っといてほしいな。結構連れ回してるみてえだし。場所を変えるよい、ついてこい。サッチ、ニアを頼むぞ」
「任せろ!」
マルコがエースを連れて人気のないところへ行くのを見送るとサッチが口を開いた
「お前もちょっとこい」
彼がわたしの手を引き、部屋に入る。
「ここなら誰もこない。…前からティーチが怖いって聞いてたが、その理由を聞いてもいいか?」
「……あのひとはきっと、わたしをひととしてみてない。かれのめにうつってるわたしはかれにとって、やくにたちそうなどうぐ。あのめのおくにあるやしんにあふれたどうもうなひかり。それがわたしをとらえてはなさないの。だから、こわい」
「…野心に溢れた獰猛な光…か。なるほどな」
「ねぇ、わたしもひとつきいていい?」
ずっと思ってたこと、ちょうどいい機会だ。聞いてみよう
「どうしてにぃちゃたちもとーさんもわたしをしんじてくれるの?ティーチのこともそう。なんのかくしょうもしょうこもないんだよ?わたしがただ、そうおもうだけ。なのに、なんねんもいっしょにいるティーチよりどうしてわたしをゆうせんしてくれるの?」
それは素朴な疑問。普通に考えてそうだ。
ずっと鳥籠のなかの小鳥のように船の中からあまり出してもらえず外を知らない子どもの言葉をどうして信じられるのか
「あー、きちゃったかその質問。まぁ、そろそろ聞かれるとは思ってたんだけどなぁ…。うーん、どうしてって言われると困んだよな」
困る?なんで?
「俺たちがお前を信じたいだけだ、ほかに理由なんてねえよ」
…意外と単純。そっか。
いつもみんなが難しく考えすぎって言うのはそういうことなんだ。結構単純なんだな、何にしても
「それに、お前嘘下手だし!」
「それはよけいだよ!」
ははは!と笑いながらわたしの頭を撫でる。どこまでも優しい人たちだなぁ、ほんとに
この辺から話がトントンと進むと思います。