ーエースサイドー
朝起きるとニアがいなかった。
部屋にもいないし食堂にもいない。
……どこ行ったんだ?
俺は甲板に出てニアの姿を探すがどこにも居ない。
見渡すとマルコが目に入る。
「マルコーー。ニアはどこだ……って…どうした?」
声をかけてからようやく気づいた。
なんだか空気がピリピリとしている
「…エース。落ち着いて聞けよい。ニアは……攫われた」
「攫われた!?いつ、誰に!?」
「落ち着いて聞けって言っただろい。昨日の夜、ティーチにだ。今捜索中だよい」
ティーチだと……!!?
くそっ、注意しとけって言われてたのに…!
あの野郎…やりやがったな!!
おれがニアを取り戻す!そして、ティーチに制裁を加える…!!
すぐに旅に出る準備をした。
昼下がりくらいに準備を終え甲板へと向かうと、みんな集まっていた。
「なんだ、その格好は?どこへ行くつもりだ、エース」
「おれがニアを連れ戻す。」
そう言って船から出ようとするとマルコに止められた。
「まてよい!今、ティーチの行方を捜してる!1人で行動するな!」
…言いたいことは分かる。分かるが…
おれはニアとの思い出を振り返る。
『あなたのほうがくるしいってかおしてるよ』
それはおれを暗闇から救ってくれた。
『ひとりでなくのはさむいから』
心を救ってくれた
『だってエースおにいちゃんはかぞくだもん!』
存在を認めてくれた。生きる意味を与えてくれた…。
おれはあいつに何を返せた?なにをしてあげられた?
「あいつは!おれに光をくれた!裏切り者にくれてやるわけにはいかねぇ!」
「エース。いいんだ、今回は。おれも嫌な予感がしてた。ニアがティーチを警戒していたことを知りながら、なんの対策もしなかった俺の失態だ。おれがなんとかする…ニアは殺させねぇよ。わざわざ攫うくらいだから殺しはしてねぇだろう。」
「そうだとしても…!そんなの仮定の範囲だろ!!?ニアが大人しくティーチに従うと思うか!?逆らって…もし、殺されでもしてたら…おれはっ…」
「エース、言いたいことは分かるが闇雲に動いても何にもならないぞ」
ジョズがおれを諭すが頭に血が上っていて素直にその言葉を受け取ることが出来なかった。
「ティーチはおれの隊の隊員だ!何十年もあんたの世話になっときながらその顔に泥を塗ったんだ!!おれがケジメをつける!おれが……ニアを取り戻す!」
「っ!!まてよい、戻れ!エース!!」
おれは仲間の制止を聞かずに船を飛び出した。
…待ってろニア、今助けに行くからな。
ーサイドエンドー
***********
ゆっくりと意識が浮上するとお腹に痛みを感じた。
体を起こすとジャラ…と、鎖の音がする。見下ろすと両手足に手錠をつけられていた。
なにがあったんだっけ?
…あ、そうだ。サッチを庇って、ティーチに刺されて首を絞められて…気を失ったんだ。
てことはここはティーチの船の上か。見覚えないもんな…
そのまま連れてこられたのか。
すごい執念だな、あんなのに好かれても嬉しくない。
…考え事をしていると部屋のドアの鍵が開いて何人かが入ってきた。
その中の1人は二度と見たくもない顔だ。
「…ん?ゼハハハハ!ようやく起きたか、ニア。怪我の具合はどうだ?3日くらい眠ってたなぁ!攫ってきて死んでもらったら困る。手当はしたから大丈夫だろうが…。あぁ、その手錠と足枷は海楼石だ!お前が能力者なのかはわからねぇけど、念のためな!」
いや、痛いよ。
容赦なく貫通させやがってこのやろう。なんでわたしこんなにお腹刺されるんだ…。
しかも、海楼石まで用意して。ご苦労なことで
「ホホホホ、なんとも可愛らし娘さんですね、船長。」
「ウィッハハハ!珍しい容姿してんじゃねぇか。」
…うるさいな、こいつら。
人を見世物小屋の動物みたいに見やがって…不愉快極まりない
「これもまた巡り合わせ。…お嬢さん、名前は?」
「…るさい」
「ん?ゼハハハハ!どうした?」
わたしは覇気で威嚇し、彼らを睨み上げる
「うるさいんだよ、おまえら…。ぼくはみせものじゃない。きずにひびくだろ?でてけクズども」
「「「ーーーーーっ!!!」」」
覇王色を覗かせ威嚇するとティーチ以外は悲鳴をあげて出て行った。
意外と弱そう…。けど油断は禁物だ。こいつら、得体が知れない
…それは自分もか。
「…俺ですら恐怖するその殺気…!!ゼハハハハ!お前を手懐けるは至難の技だなぁ!ニア!!大人しく俺に下るってんならその鎖外してもいいぜ?」
「だまれ、うらぎりもの。あのひとたちをうらぎるくらいならしんだほうがましだ。」
「…ゼハハ!ゼハハハハ!見上げた根性だ。お前がいつ折れるか、楽しみだなァ!!」
そう言ってティーチも部屋を後にし鍵をかけた。
…簡単には逃してくれない、か
まずはここから逃げることを考えよう。どうする?
この手錠も足枷も拒絶で消せるだろうけどそんなことしたら能力者じゃないことが1発でバレる。あいつはわたしが能力者じゃないことを知らない、だから海楼石をわざわざ用意した。
部屋の鍵はなんとか誤魔化せるかもしれないが、うーん。
…わたし寝巻きで素足のまま飛び出してきたから武器も何にも持ってないんだよね。クナイの一本くらい忍ばせてこれば良かった。
海楼石はダイヤモンド並の強度なんだよね?なら引きちぎれないな。
足は枷で歩きにくいけど歩けないことはない。
鎖で繋がなかったあいつらの失態だ。
…とりあえず怪我が治るまでは大人しくしておくべきかな?
…いや、ここに居たくない。あの目は嫌いだ。これからあの目に毎日見られると思うと吐き気がする。
すぐにでも逃げよう。
ドアを蹴り壊したら音でバレる。やっぱり拒絶しかないか。
わたしは鍵がかかっている事実を拒絶した。
…凶とでるか吉と出るか…。一か八かだ。
部屋を出て音を立てないように船の壁を登り、平らなところに立つ
と、奴の仲間に気付かれた。
「あっ!船長!あの子ども!!」
「ん?ゼハハ!どうやって出たんだァ?!ニア!そこは危ねえぞ?」
「ホホホ。まさか飛び降りる気ですか?この激流の中に落ちれば助かりませんよ?」
そんなこと知らない。ただ、わたしは彼らを裏切りたくないだけ。
彼らを睨みながら静かに口角を上げる。
「さっきもいったよね?あのひとたちをうらぎるくらいならしんだほうがましだよ。じゃあね、ティーチ」
そう言ってわたしは海へ飛び込もうとし、ティーチが止めようとこっちに走りわたしの髪を掴む。
「いたいっ!」
「ゼハハ!本当に飛び込む気だったのか?!逃がしゃしねえよ、ニア!」
女の子の髪引っ張るとか最低かよ、こいつ!!
どうしようかと暴れると彼の腰に刺さってる剣が見えた
あれ、私を刺した鉤爪か?そうだ!刃物なら……
わたしは彼の武器を奪い髪を切り落とすと彼の手から逃れる。
ティーチはは驚いた顔をして呆然としていた。まさか髪を斬るとは思わなかったんだろうね
一杯食わせれたかな?…ざまぁみろ
彼を一瞬睨むとわたしは海へと飛び込んだ
***********
ーティーチサイドー
オヤジの船からニアを掻っ攫って3日。ニアがやっと起きた。
ゼハハハハ!こいついつでも無茶しやがるな!!
まぁ、そのおかげでこうして攫ってこれたんだがな!
ラフイットとバージェス、オーガーが言いたいことを言うとニアが怒った。
「うるさいんだよ、おまえら…。ぼくはみせものじゃない。きずにひびくだろ?でてけクズども」
ーーーーーっ!!!
でた。あの殺気のこもった目!!
俺の仲間は一目散に外へ出た。
ゼハハハハ!だれもが恐怖するあの目…!物にしてえなぁ!ゼハハハハ!
部屋を出て鍵をかけ、そこを離れるととラフイットが話しかけてきた。
「あの子どもは何者ですか?恐ろしく冷たい表情をしていましたが…」
「あいつはニアってんだ。なかなかすげえやつだぜ?なんせ3つの時に3億の賞金首を殺したんだ」
「3億…!?あんなチビが?!ウィッハハハ!とんだ化け物がいたもんだなぁ!!」
しばらく仲間と話してるとバージェスが何かに気づいた。
「あっ!船長!あの子ども!!」
見るとニアが船の上に立っていた。
手錠も足枷もしたままどうやって?!いや、まずどうやって部屋を出た!?
鍵はたしかに掛けたはず!
「ホホホ。まさか飛び降りる気ですか?この激流の中に落ちれば助かりませんよ?」
ラフィットが言うとニアはあの殺気のこもった目で俺らを睨みつけどこか呆れたように笑う。
……こいつ…あんな綿に包まれるような優しい世界で育っておいてこんな嘲るような顔するのか…。
「さっきもいったよね。あのひとたちをうらぎるくらいならしんだほうがましだよ。」
そう言ってニアは船から飛ぼうとする。
急いでニアの元へ駆けつけ髪の毛を掴む。腕や足よりも髪の方が早く手に届いたからだ。
「ゼハハ!本当に飛び込む気だったのか!?逃ししゃしねぇよ、ニア!」
俺がニアの髪を掴み引っ張るとニアは手錠の付いた手で俺の腰から器用に武器を奪い自分の髪を切り落とした。
驚いている俺を一瞬睨むと「ざまぁみろ」と小さく呟く
そして海へと飛び込んだ。
「見上げた覚悟だなあ!!健気なやつだ!あいつの力は欲しかったが仕方ねえか。ゼハッ!ゼハハハ!ゼーッハハハ!!」
俺は気にも留めてないように笑い声をあげるが、まさか本当に海に飛び込むなんて思わなかった。……ここの海域は波が荒い。
…もう生きちゃいねぇな、こりゃ。
俺は仲間に気づかれないようにそっとニアの髪を握りしめた。
ーサイドエンドー
***********
…初めてやったけど成功してよかった。
水につかる前に体の周りに膜をはり、水の中に沈んだところで円状に自分の周囲を囲う。
シャボン玉の中に入ってるような感じだ。
ほんと、なんでもありだね。わたし
まぁそのお陰で助かったけど……。
ただ、海水の流れが強すぎてコントロールはできないから流されていくしかない。いや、できるんだろうけどなんせ今はそんな力がない。
精神的にも肉体的にも疲れている。
あぁ…帰りたい。みんなのところに…
でも髪切り落としちゃったから怒られるかな?それでもいいや。
とにかく
みんな心配してるかなぁ…。
あ、とりあえず手錠と足枷は外しておこう。
2つを拒絶し、存在を消す。
…これからどうしよう。行くあてもオヤジさん達の情報もない。
そっと首にしてるチョーカーを触る。
これは貰った時からずっとつけてる、大切な宝物だ。
…うん、わたし頑張る。絶対に帰る!!
まずは人のいるところに行かないと…。
行っても、大丈夫かなぁ
顔も髪も隠せない。そんな状態であの人たち以外の人と会うのは怖い。
けど、そんなこと言ってられない。
とりあえずは流れるところまで流されよう
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ーエースサイドー
ニア、待ってろ。今助けるからな
ドラム王国、アラバスタ…色々なところをめぐり、おれはやっとティーチを見つけた。
「よぉ、ティーチ。てめえよくもやってくれたな。ニアは無事なんだろうな?」
「エースじゃねえか!俺に何の用だ?」
「人の倍生きてるお前がおれがここにきた理由がわからねえわけないだろ?…ニアはどこだ?妹を返せ」
そういうと、ティーチはゼハハハ!と笑った。
「わざわざ追っかけてきたところ悪いんだが、ニアは…死んだぜ?」
…………こいつ、今。なんて言った?
「信じられねえって顔してんなぁ!エース隊長よぉ!!もう一回言ってやろう!ニアは死んだ!お前らを裏切るくらいなら死んだ方がマシだって激流の海に飛び込んでったぜ?あんなちっこいのが荒波に飲まれて生きてるわけがねぇ!見事な最後だったなぁ!ほら、これが証拠だ!」
ティーチは懐から銀色の髪の毛を取り出して見せた
それはたしかにニアのものだ。
「ーーーーっ!!ティーチィイ!てめえだけは許さねえ!!!」
おれは怒り、ティーチと戦うがやつの能力の前におれの力は無力だった。
全力を尽くしたがやつに負け、インペルダウンへと送られた。
すまねえ……ニア。
ごめん、ごめんなっ!!守ってやれなくて…!!
お前にたくさん助けてもらったのに、お前になにも返してやれなくて…ごめんな、ニア
ーサイドエンドー
次回はニアちゃん少し病みます