家族の為ならどこまでも   作:実茶

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第31話 心の闇

海流の流れに乗って何日がたっただろうか。

わたしはシャボン玉が浮いている島に着いた。

…あっちのほうが賑やかだな。行ってみよう

街の方に行ってみるとかなり賑わっていた。

ここどこだろう?辺りを見回しながら街を歩く。

…痛っ!石ころ踏んだ…。

くそぅ、やっぱり裸足だとこうなるよなぁ……。でも仕方ないか。お金ないし

そういえばサッチは無事かな?蹴られてたのは見たけどそれ以降どうなったかがわからない。無事でありますように

街を歩いているとヒソヒソと声が聞こえてきた。

 

「何?あの子。あの髪と目!気持ち悪いわ」

 

小声でチラチラとわたしをみながら陰口をいう大人たち

 

「ママー、あの子なんで目の色が違うの?」

「変な子ー。」

 

指を指して変な子だという子どもたち

 

「おい、あいつ。捕まえて売ればいくらつくと思う?」

「高く売れそうだよな」

 

金儲けのためにわたしを捕まえようと算段する攫い屋

…………わかってた。

あそこから出たらこうなることくらいわかってた。

分かってたけど………痛い。

ズキズキと胸が痛む。言葉にしない心が突き刺さるような感覚だ

わたしは駆け出す。

隠すように顔を伏せて誰もいないところへ、木が並ぶ森の方へと走った。

前を見てなかったからか誰かにぶつかり尻餅をつく。

 

「あ、ごめんなさ…い…」

 

見上げて謝ると宇宙服のような変な人たちがわたしを見下ろしていた。

 

「なんだえ?お前。…ん?ほぉ…珍しい容姿をしてるえ。これ程までに目を楽しませてくれるのはいない。おい、こいつをわちしの養子にするえ。連れてけ」

「はっ」

 

黒スーツの人達がわたしの方に手を伸ばす。

いやだ、やだやだやだ!そんな目でわたしを見ないで!

わたしは見世物じゃない!

こっちこないで!触らないで…!

 

「さ、さわるな!」

 

思わず覇王色を使いそこら一体の人を気絶させた。

…怖い。ここ、怖い!

腕を体の前で交差させ自分を抱きしめるようにする。

確かな恐怖がわたしを襲い鼓動が早くなる

とーさん、にぃちゃ!助けて…!

わたしは走った。涙目になりながも走り続けた。

どこでもいい、人のいない所に…

どれくらい走っただろう。数字の書かれた木がたくさん生い茂っていて、人気はなかった。

茂みの中に隠れるようにしてうずくまる。

わたしは守られてたんだ、ずっと。

愛情っていう温もりに包まれて危険から遠ざけられてきた。

そりゃ何度も怪我したけど、危険の種類が違う気がした。

そういう感情に触れたことが無かったせいか心のより深いところまで刺さり抜けない棘のようにわたしの心を抉る

もう街に行きたくない。怖くてここから動けない…。

膝を抱えて顔を伏せて縮こまる。

 

「とーさん…。にぃちゃ…。わたし、ここにいるよ…」

 

そう呟く。

……わたしは弱い。

彼らの前で気丈でいられたのは強くありたいと願っていたから。

こんなにも1人が怖いだなんて思わなかった。

街で感じたのは確かな、"嫌悪"

嫌悪、悪意、嫉妬

…わたしが何をしたの?なぜそんな感情を向けられなければならないの?

 

「うぅ…マルコぉ…」

 

1番最初に出てきたのは長男の顔だった。

 

「かえりたいよぉ…。みんなどこにいるの…?」

 

ポロポロと涙が零れる。

拭いても拭いても溢れてきて止めることができなかった。

籠の中でもいい、外に出れなくても出してもらえなくても、彼らが近くにいるだけで安心するんだ。

…エースが言ってたな。わたしといると安心するって。わたしも同じだ。

心細いよ、だれか…そばにいて…。

 

「あらら。まさかとは思ったがなーんでこんなとこにいるんだ?」

 

聞き覚えのある声に思わず顔を上げた。

 

「…泣いてんのかい?もしかして、迷子か?って、お前、その髪どうした?」

「あお、きじ…さん?なんでここに」

 

それはこっちの台詞だ。と、頭を掻きながらいう。

 

「世界貴族から連絡があったんだよ。銀髪でオッドアイの娘を探して捕まえろって。そんな目立つやつお前くらいしかいないだろ?だからセンゴクさんに掛け合って俺に行かせてもらったんだ。感謝しろよ?じゃなかったらボルサリーノ…えっと、黄猿が来る所だったんだぞ?」

「せかいきぞく…?あなただったら、なにかかわるの?」

 

そう聞くと、しらねぇか。と言った。

 

「世界貴族、まぁ、天竜人っていってな。世界政府を作り上げた創造主の末裔って言われてる存在だ。そいつらに手ェだしたり、逆らったりすると俺たち大将が動くってわけよ。身に覚えねえか?」

 

…あ、あの変な喋り方した宇宙服っぽい服着てた人たち

まさかあの人達が天竜人?

 

「…心当たりはあるみてえだな。はぁ…しっかしなぁ…なんったってよりにもよってシャボンディ諸島にお前が1人でいるんだよ。センゴクさんには少し報告したがお前はまだ海軍では広まってない。そのまま静かに隠れてりゃよかったのに…いや、あいつらがお前を野放しにするわけねえか。何があったんだ?」

「さらわれて、にげてきたらここについた」

 

帰りたい…。と、また膝を抱える。

 

「お前が攫われた?おいおい、どういうことだ…?あの船からお前をさらうなんて命知らずなことできる奴がいるのか?」

「どっかいって。だれのかおもみたくない」

「あらら、随分と病んでるな、こりゃ…。そりゃそうか。お前はずっと守られてきたんだもんな。だが悪いな、ニアちゃん。傷つけずに連れてこいってことらしいんだ。大人しく付いてきてくれねぇか?」

 

この人…わざわざ元帥に掛け合ってここにきたって言ってたよね

なんでだろう?

でも、あれが天竜人って言うならあんな所行きたくない。

あんな人をオモチャのように見るやつらのことなんて殺されたって願い下げだ。

 

「ここであなたにころされても…わたしはどこにもいかない。」

「…頑なだな。ニアちゃん、俺だってお前を傷つけたくねえんだ。言うこと聞いてくれ」

 

…話が平行線だ。これ以上は無駄だな。

けど、わたしはどこにも行く気はない

わたしの帰るところはあの船以外に無いのだから。

 

「……白ひげもお前を探してるかわかんねえだろ?攫われたんだろ?ニアちゃん。もしかしたら諦めてるんじゃないの」

 

…やめて……。それ以上言わないで。

 

「何がどうなって白ひげたちからはぐれたかしらねェけどよ、この広い海で一旦迷子になっちまったら…生きてないって思うのが普通だぜ?」

 

彼らがわたしのこと探してないかもなんて一瞬でもそんなこと思いたくない。

お願い、わたしを絶望させないで…。

 

「隊長達だって…「だまれ、あおきじ」ーーっ!?」

 

わたしは立ち上がり茂みから出て青雉を睨んだ。

彼はわたしの怒気に気圧されたのか数歩後ろに下がった。

 

「なにもしゃべるな。それいじょういったら……ころすよ?」

「おいおい、こりゃとんだ伏兵がいたもんだな…」

 

青雉は冷や汗をかきながらわたしを見下ろした

 

***********

 

ークザンサイドー

 

プルプル、ガチャ

 

「海軍本部……はぁ、銀髪にオッドアイの娘…ですか。…はい、了解しました。」

 

センゴクさんが電伝虫を取り、心当たりのあるワードをいくつか言ったかと思うと電伝虫を切り、溜息をついた。

 

「仕事だ。世界貴族からで、銀髪にオッドアイの娘を捕まえて欲しいらしい。あぁ、無傷で、だそうだ」

「銀髪にオッドアイですか〜?オー、そりゃ目立ちますねェ…」

「頼めるか、ボルサリー…「俺にいかせてください」…珍しいじゃないか、クザン」

 

仕事を自分から受けようとする俺に対しセンゴクさんが訝しげな表情を浮かべた

 

「あー、まぁなんつーか…」

「なんだ?はっきり言え。」

 

言っていいものかねぇ…。多分センゴクさん胃を痛めるぞ

 

「はぁ、ずっと言うか迷ってたんですけど、結構前に植物園でフードの5人組に会ったの覚えてます?」

「ん?あぁ。カスミソウの子の話か?」

「その、カスミソウをくれた1番小さい子。多分その子です。銀髪、オッドアイなんてそんな目立つ奴、2人も3人もいてたまるか」

「はぁっ?!まさかあの子が!?……だからフードをかぶってたのか。残りの4人はその子が浮かないようにカモフラージュで…」

 

ほら、やっぱりうな垂れた。

そりゃそうだ。世界貴族に目ェつけられたら助からない。

強制的に連れて行くしかないんだ。

 

「……お前、あの子を知ってたのか?」

「植物園のちょっと前に山で会いましてね、風邪をひいた家族のために薬を取りに来たって。けど、雨が降っててその子も熱を出してたからほっとけなくて介抱した時にフードの下をみたんですよ。」

 

あながち間違ってはないから大丈夫なはずだ。

なんでこんなに庇っちまうんだろうなぁ、敵のはずなのに。

…あいつは堕ちたらいけない。そんな気がするんだ

あいつが心を闇に沈めたら何かとてつもないことが起こりそうな気がして少し怖い

 

「なるほどな。顔見知りだから行かせて欲しいって事か?だが、私情は挟めんぞ。尚更ボルサリーノの方がいいんじゃないのか?」

「無傷で捕らえろ。なんでしょ?俺のが適任じゃないですか」

「うっ…。たしかに。…はぁ、仕方ないな。じゃあ、頼んだぞ。しかしどうしてあんなに可愛い子を…。できれば捕まって欲しくない。…あぁ、これは独り言だからな!」

 

なんだかんだでセンゴクさんも私情挟んでるな。

 

「オー…、クザン。行けたらわっしも行ってみるよォ?」

 

…ボルサリーノが来る前に逃さねえとな、こりゃ

しっかし、なんでニアちゃんがシャボンディにいるんだ!!

内心で文句を言いながらシャボンディ諸島に向かう。

諸島に着くと、ニアちゃんを探すが…見つかるか?これ。

いや、あんな目立つやつが見つからないわけないんだが…

そういや銀髪にオッドアイで捜索されてるって、ニアちゃんフード付けてねえのか?あんなのが堂々と歩いてたら良い的だぞ?!

ん?目立つ………?あぁ、もしかしたら森の中に隠れたのかもしれねえな。

そう思い森の方へいくがなんせ広いから簡単には見つからない。

…もういないか?連絡を受けてそう時間は経ってないはずだが。

いや、あいつが見つかってから俺らのところに連絡が来るまでに時間がかかった可能性がある。じゃなけりゃこんな遠くまで来れねえだろ。あいつが見つかったのは街中だ。数十分でこんな森の奥までこれるわけねえか。一旦もどってみるか…?

 

「うぅ。かえりたいよぉ…。みんなどこにいるの……?」

 

唐突に聞き覚えのある声が聞こえ、声のした方を見ると茂みの中に隠れるようにして銀色が縮こまっていた。

おいおい、本当にニアちゃんか?だとしたら白ひげの奴らは何やってんだ!

 

「あらら。まさかとは思ったがなーんでこんなとこにいるんだ?」

 

俺が声をかけるとニアちゃんが顔を上げる。

目は赤く腫れてて、頬は濡れていた。…泣いてんのか。

まさかと思うが、迷子か?…って、髪が短くなってる?!

 

「さらわれてにげてきたらここについた」

 

そう言ってまた俯き、膝に顔を埋めると「帰りたい…。」と呟いた。

攫われた…だと?!

こいつをあそこから攫ってくるってどんな命知らずだ!

…まさか内部犯か?その可能性の方が高いな。

外部の奴らがそんなことするのは不可能に近いだろう。

白ひげの船で籠の中の鳥のように閉じ込められて来たんだろうな。きっと外の世界を知らない。

こんな奴が無防備に歩いてたら攫ってくれと言ってるものだ

よく見ると寝巻きのようなラフな格好に裸足だ。本当に攫われたのか。

そういや、少し前にマーシャル・D・ティーチって奴が七武海に入りたいって申し立てしてきてたな。…関係がありそうだがまぁ、その話はやめとくか。

ニアちゃんはかなり病んでいた。俺と話してる間でもずっと泣き続け、俺に返す返事もそっけない

世界貴族のとこに連れてく前にセンゴクさんのとこに連れてって話をしてみよう。できれば俺も捕まえたくない。

まずは白ひげへの執着を諦めさせねえと。そう思って色々と言ってみるがそれがまずかった。

 

「だまれ、あおきじ。なにもしゃべるな。それいじょういったら…ころすよ?」

 

今までに聞いたことないくらいの怒気を含んだ声で、見たことのないくらい恐ろしく冷たい人形のような光のない目で俺を睨みつけた。

…なん、だ?こいつは…。ニアちゃん…なのか?

 

「こりゃとんだ伏兵がいたもんだな…」

 

俺は冷や汗をかきながらそう呟いた。

 

ーサイドエンドー

 

***********

 

「悪かった。俺が悪かったよ、ニアちゃん。意地悪を言った、ごめんな」

 

意地悪にすり替えたか。

…戦う気はなかったってことでいいのかな?

 

「そう。ほんきじゃないなら、いい。」

 

それでも涙は止まらなかった。

次から次へと溢れ出て頬を濡らす

 

「おいおい、そんな泣くなよ。俺が泣かせたみたいじゃねえか」

「きえて。ひとりになりたい」

「あのな、天竜人に目をつけられちまったら逃げられねえんだ。…なんとか逃してやりたいが俺にも立場がある。だから逃げてくれ。おまえならできるだろう」

「……しょくむほうきとおりすぎてしょくむたいまんだね、あなた」

「いきなり辛辣だね!?」

 

彼のあまりの仕事のしなさに思わずそう言うと光が青雉の隣に立ち人の姿を生成する

 

「オー…こんな子がァ…本当にいるなんてねェー…」

 

ゆっくりとした喋り方と共に現れたのは黄色のスーツをきた青雉と同じくらいの身長の男の人だった

 

「ボルサリーノ…。」

「クザン〜?この子がセンゴクさんの言ってた子どもかい〜?」

「あぁ。そうだ」

「わっしはボルサリーノ。黄猿だよォ。クザンと同じ大将だよォ?お嬢さんはなんていうのかなァ?」

「ピカピカのみののうりょくしゃ…。ひかりにんげんのたいしょうきざる」

 

彼の質問を無視して呟く。

 

「わっしをしってるのかい〜?」

「まぁね、でもきえてほしい」

「オー…、君、世界貴族に目をつけられた以上逃げれないんだよー…。諦めて捕まってくれないかなぁ…?傷つけちゃダメなんだよねェー」

「ボルサリーノ…。ちょっと待ってくれ。あんまりこいつを刺激しないでくれるか?」

「んー?クザン、もしかしてこの子逃がそうとしてるのォ〜?私情を挟んだらだめだよねェ…?まぁ、どうせ行くあてもないんだろォ?」

 

『行くあてもない。』

…確かに行くあてはない。

けど、帰る場所はある。

あぁもう…。イライラしてきた。

我慢してたけどもう怒っていいかな?いいよね?

 

「…ぅるさいんだよさっきから!きえろっていってるだろ!?」

 

左手の掌を前に出し細い水のレーザーを発射させるとそれは黄猿の脇腹を貫いた。

 

「ーーーっ!?」

「ボルサリーノ!?ッチィ!アイス(ブロック)暴雉嘴(フェザントベック)!」

 

黄猿を撃つと直ぐに青雉が反撃してくるがそれを躱し両手に雷を纏わせる。

電撃の弾を彼らに連射するとすぐに炎へと切り替える。

 

「なっ!!」

「どいてなよォ?クザン。八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)

 

雷と炎の弾を黄猿が光の球体で相殺し、煙が辺りをつつむ。

 

「アイス(ブロック)両棘矛(パルチザン)!」

 

煙の向こうから大量の氷の矛が飛んできてわたしに当たる。

覇気を使って気配を読んだがかわしきれなかった。

咄嗟に痛覚を拒絶し気絶だけは防ぐ。

すると煙を掻い潜って青雉が懐に潜り込みわたしの鳩尾に一撃を入れる

その衝撃で壁まで飛ばされ体を打ち付ける。そのまま床に倒れるフリをした。

 

「おいおいクザン。傷つけちゃダメだろォ?」

「あ、悪い。思ってた以上にやるもんだからつい」

「まぁ、その気持ちはわかるけどねぇ…」

 

2人が倒れてるわたしに近づいてくる。

青雉がわたしに触れようと手を伸ばした時…

 

「ーーーーっ!!!?」

「クザン?!」

 

左手で手刀を作り青雉の脇腹を貫いた。

すぐにその手を抜き黄猿に空気弾を撃つ。

風を操り砂埃を上げ視界を奪うとわたしはその場から逃げ出した。

 

***********

 

ークザンサイドー

 

ニアちゃんの豹変っぷりをみて落ち着かせようとした時、ボルサリーノがきた。

ニアちゃんはボルサリーノの言葉に怒り水のレーザーっぽい何かで彼の脇腹を貫いた。

俺が反射的に反撃するとニアちゃんはそれをかわし、さらに反撃してきた

おいおい…反射神経良すぎるだろ!

ボルサリーノがニアちゃんの攻撃を相殺すると爆発が起こり土煙が昇る。

その土煙に乗じて両棘矛(パルチザン)を放ち見聞色を使い彼女との間合いを詰めその鳩尾に肘鉄を喰らわせる。

 

「おいおいクザン。傷つけちゃダメだろォ?」

「あ、悪い。思ってた以上にやるもんだからつい」

「まぁ、その気持ちはわかるけどねぇ…」

 

やべぇ……。驚いてやりすぎちまった。

俺たちは倒れたニアちゃんに近づき彼女を連れて行こうと手を伸ばすと倒れていたはずのニアちゃんが起き上がり手で俺の腹部を貫いた。

 

「ーーーっ!!!?」

「クザン?!」

 

彼女は俺を心配するボルサリーノに()()をするとボルサリーノが吹き飛ばされる

一瞬そっちに気を取られるかすぐにニアちゃんに目を向けると砂埃が舞い俺たちの視界を奪う。

砂埃が収まると彼女の姿はなかった。

……逃げられたか。

 

「………クザン。……ありゃ一体()だァ?」

 

体制を立て直し、服を整えながら俺の方に歩み寄ってくるボルサリーノ。

 

「俺も分からねえ…」

 

そう言った後にいつか鷹の目が言っていたことを思い出す

 

『アレには得体の知れない()()が潜んでいる。関わらない方が身のためだ』

 

得体の知れない…「()()」…か。

 

「能ある鷹は爪を隠すと言うが……とんでもねぇもんみつけちまったねェー…。皮肉だが逃げてくれてよかったかもなァー…」

 

そうだな。

逃げてくれて逆に助かったかも知れない。

 

「…ボルサリーノ、大丈夫か?」

「大丈夫に見えるかいィ…?痛いねェー…。あの子、最後わっしに何かしただろォ?肋骨を2、3本持ってかれたよォ。クザンこそ結構な怪我じゃねぇか」

「あぁ。だが、あいつが受けた傷に比べりゃ…なんてことないな」

「そうだねェー…。あんな絶望に満ちた目ェするなんて相当酷い目にあったんだろうなァ」

 

あのままあの子を放って置いて大丈夫だろうか?

だがアレを無傷で捕らえるなんてまず無理だろうな。

とりあえず帰って報告するか。

……ニアちゃん、壊れねぇといいけどな

 

ーサイドエンドー

 

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