家族の為ならどこまでも   作:実茶

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第32話 麦わらのルフィ

逃げ出して隠れて、どれくらいが経っただろうか。

何日、何週間と経ってるかもしれない。

なんせ街に行けないから情報も集められない。この前諸島を見回ってる海軍の兵士にあったとき、その人はわたしを見るなり「化け物」と言って逃げていった。

……もういいよ、どうせ異端児だ。

みんな、みんな消えてしまえばいい。

わたしはいつものように茂みの中で膝を抱えて縮こまる。

どうすればいいんだろう。連絡する手段もないし、何もできない。

人と会うのが怖い

こんなにも自分が無力だとは思わなかった。

どれだけの温もりを与えられてきたか、愛情を貰ってきたか…

今になって痛いほどわかる。

 

「とーさん…、うぅっ。」

 

毎日のように泣き続ける。そのうち涙が枯れるんじゃないか?

涙が出なくなったとき、わたしはどうなるのかな?

 

ーいっそ狂ってしまおうか…ー

 

膝を抱え嫌な感情がわたしを支配すると一瞬だけ涙が止まる

これはきっと抱いてはいけない感情だろう。彼らがわたしから遠ざけていたもの

ふと目の前に影がさし、顔を上げると目の前に鹿のようなトナカイのような動物がいた。

じっとこちらを見つめてる。

 

「…わあっ!」

「うわあっ!!」

 

わたしが驚くと向こうも驚いた。

なぜ?!あなたが見てたんじゃないの!?

 

「お、おいルフィ!!こんなとこに子どもがいるぞ?!」

 

ルフィ…?どっかで聞いたことあるような…。

そう思ってると人が集まってきた。

 

「どうした、チョッパー……おい、お前!泣いてるのか?!どうしたんだ?!」

「…なんだ?…おっと、こりゃあ…」

 

今度は麦わら帽子を被った人と緑の髪をした剣士がきた

 

「な、な、な、なんだぁ!?」

「銀髪に黄金と空色の目?!なんて綺麗なんだ!」

「スーパー可愛いじゃねえか!」

 

今度は長い鼻の人に金髪にぐるぐるの眉毛をした人とロボットみたいな人?がきた。

何この人たち…。というか、あの麦わら帽子…もしかして

 

「…ちょっと!!そんなに囲んだら可哀想でしょ?!…大丈夫?」

「…この子、迷子かしら?」

 

オレンジの髪をしたお姉さんと黒髪の綺麗なお姉さん。

 

「お嬢さん、パンツ見せてもらっても「だまらっしゃい!!」…あいたーっ!」

 

喋るガイコツ?!何この集団!!

 

「おれ、ルフィ!お前は?」

「……ニア」

「ニアは何でこんなとこで泣いてんだ?」

 

何で泣いてる…か。

言ったところでどうにもなるわけじゃない

………ん?ルフィ…?麦わら帽子……

あっ!思い出した。ルフィって確かエースの弟だ。あの麦わら帽子もシャンクスさんのかもしれない

 

「かぞくと、はぐれたの…」

 

また、「帰りたい。」とうずくまる。

 

「ニアちゃんの家はどこにあるんだ?」

「うみのうえ」

「っ!?まさか、海賊なのか?!」

 

眉毛のお兄さんの質問に答えると長い鼻の人が驚いた

 

「かいぞく…。そう、かいぞく。とーさんもにぃちゃもすごいひとなの。すごくて、つよくて、やさしいの。」

「…そのとーさんってひとたちはこの海の前か?後か?」

「だいぶあと、かな。ずっとふねのなかにいたからあまりよくはしらない」

「まぁ、こんな目立つやつそんなに出さねえよな」

 

ルフィさんの質問に答えるとロボットっぽい人が返す。

この人たちは怖くない。

一般市民より、海軍より海賊の方がやさしいってなんなの?!

 

「にしししっ!決めた!お前をとーさんと兄ちゃんって人たちのところに連れてってやる!」

「「「はぁっ!?!?!」」」

 

ルフィさんが言うと反応したのはグル眉の人と緑髪さんと長鼻さん

 

「おいおい、本気かよルフィ!」

「ヒントが少なすぎるだろ!!とーさんと兄ちゃんってだけでこいつの家族を探すのか?!」

「どどどど、どうすんだよ!そのとーさんってのがおっかねえ奴らだったら!!」

 

仲間がいろいろ言うがルフィさんは気にも止めず腕を組み仁王立ちでいった。

 

「こいつがこんなに帰りたいって言ってんだ!帰してやろう!!それに、こいつの家族だってきっとこいつを探してる!にしししっ!」

 

え、、、いや、ほんとに何言ってんのこの人。

そんなに簡単に素性も知らないやつ受け入れていいの?!

 

「仕方ないわね。泣いてる子ども見つけたら背を負けるわけにはいかないわ」

「ただ、もう少しヒントが欲しいわね。海賊団の名前はいえるかしら?」

 

わたしは首を横に振る。

さすがにそれは言えない。

 

「大丈夫だ!おれが絶対に連れてってやるから泥舟に乗ったつもりでいろ!」

「…それ、しずむから」

 

わざとなのか真面目なのか……。ものすごいボケかますな、この人。

ルフィさんがわたしの腕を掴むと引っ張るようにして連れて行こうとする

 

「いたいっ!うでぬける!」

「ちょっとルフィ!!乱暴よ!えっと、ニアちゃん…だっけ?あたしはナミ。よろしくね」

 

ナミさんがわたしをルフィさんから救出する。

すると、8本の腕がある魚人の人が入ってきた。

 

「ニュー、話はまとまったか?」

「あ、悪い、はっちゃん!行こうぜ!」

 

ルフィさんが言うと一行は再び歩き出した。

 

「俺はサンジ。よろしくな、ニアちゃん」

「…ゾロだ。」

「俺はウソップ!よーく聞け!俺には八千万の部下がいるんだ!」

「俺はフランキーだ!」

「私はブルックといいます。ヨホホホ!」

「ロビンよ、よろしくね。」

「おれはチョッパーだ!もう大丈夫か?」

 

すごい賑やかな一行だな。

 

「うん。ねぇ、ルフィさん。そのむぎわらぼうしってシャンクスさんの?」

「お前、シャンクスしってんのか?!そうだ、これ預かってんだ!」

 

やっぱりそうだ。

じゃあ、この人は信用できる。シャンクスさんが認めた人ならきっと大丈夫だ。

 

「ニアちゃん、四皇をしっているの?あと、いくつなのかしら?」

 

ロビンさんが聞いてくる。

そりゃそうか。普通は気になるよな

 

「せいかくにはしらないけど、15か16くらいだとおもう。シャンクスさんはすこしめんしきがあるの」

 

「「「「「15か16?!?!」」」」」

 

そんなに驚かなくても!!

どーせ、チビですよ!!

 

「どう見ても10代前半だろ!」

「合法ロリってやつか…ニアちゃん、可愛い!」

「黙れ、変態!!」

「呼んだか?」

「「「お前じゃない!!」」

 

…漫才してるのかな?この人たち。

 

「………盛り上がってるところ悪いんだが、ついたぞ。ここだ」

 

そこは「ぼったくりバー」と、堂々と書かれた看板の店だった。

中に入るとお姉さんがチンピラを締め上げていた。

こわっ!

 

「いらっしゃい…あら。」

「ニュー!シャッキー!久しぶりだな!レイリーはいるか?」

「レイさんなら今はいないわ。」

「そ、そうか。」

 

そうこうしてるうちに話が進む。女の人はシャクヤクさんと言うらしい。わたしはロビンさんの後ろに隠れるようにして縮こまる。

ダメだ、やっぱりまだ立ち直れない。いくら彼らが連れて行ってくれるとは言っても怖いものは怖いんだ。

 

「さて、モンキーちゃん。あなたの一味にそんな子いたかしら?」

 

シャクヤクさんはわたしを見て言う。

 

「いないわよね、あなたみたいに活躍してる人の船にそんな目立つ子がいたら噂の的よ」

「ん?あぁ!ニアか!さっき、ここに来る前に会ってな!迷子で家族に会いたいって泣いてたから連れてきたんだ!おれが連れてってやろうってな!」

「へぇ〜。」

「じゃあ、おれたちレイさんって人探してくる!ニアはここで待ってろ!」

 

そう言うとロビンさんがわたしの頭を軽く撫でみんな行ってしまった。

…どうしよう、今ここで取り残されるのは不安しかない。

 

「…あなた、ちょっと前に噂になった子?天竜人に目をつけられて逃げ出したっていう。銀髪にオッドアイの娘って聞いてたけど、あなたかしら?」

 

この人、情報通かな?

どうしよう。海軍に知らされでもしたらまた追いかけっこが始まる。。。

…ならそうなる前に………

……ダメだ。今はきっと正常な判断が出来てない。

一時の感情に飲まれて思うままに暴れたらそれこそ本当の化け物だ

手を出しそうになるのをグッと堪えて質問する

 

「だったら…つうほうする?」

「…あっはははは!!しないわよ!ふぅん。随分と傷ついてるのね。こっちにおいで、あったかいご飯と落ち着く飲み物用意してあげるわ」

 

初対面の人の作るご飯なんて食べられない

なにが入ってるか分からないし。。。

 

「いらない。おかねももってないし」

「お金はいらないわ。さっきのやつから結構ぼったくったし、大丈夫よ。そんなに警戒しないで、何もしないわ。だから信じて。ね?」

 

『信じろ』という奴ほど信じられないものだがわたしはこの人を疑いきれなかった。

 

「あなたはどこから来たの?」

「それは…いえない」

「うーん。じゃあ、ヒントを頂戴。わたし情報通だから少しのヒントでわかるかもしれないわ」

 

この人がいい人だっていうのはわかる。

何故そう思うんだろう?

…そんなのは決まっている。船のみんなやルフィさんたちと似たような暖かさ感じるからだ。

疑いきることはできない……けれど、信用することもできない。

あぁ、わたしは心を閉ざしてしまったんだ。

なんて臆病なんだろう。

 

「……とーさんとにぃちゃたちがいるところからきた。みんなつよくて、すごくて、やさしいの」

「うん。家族が大好きなのね」

 

これでわかるわけがないのに優しく答えてくれた。

言ってみる価値はあるかな?

……でも……

いや、勇気をだしてみよう

 

「いちばんうえのにぃちゃはね、とりさんになるの。あおいほのおのとりさん。かっこいいんだよ」

「青い炎の…鳥…?………っ!!まさかっ!!はぁ、それは、言えるわけないわね。わたしですらそこにあなたがいるなんて知らなかった。たぶん彼らはあなたを隠してたのね。」

 

シャクヤクさんが出来上がったご飯とスープをだして「どうぞ」と言ってくれた。美味しそうな匂いがし、わたしのお腹が小さく鳴る

スプーンで掬い一口食べる。

…温かい。知らず知らずのうちにまた涙が零れる

 

「ど、どうしたの?!不味かった?!」

 

泣き出したわたしを見てシャクヤクさんは焦りだした。

…いい人だ。この人も。

わたしは首を横に振る

 

「あったかくて。かぞくをおもいだしたの。…かえりたい。みんなに、あいたいよぉ…」

 

シャクヤクさんは無言でわたしが落ち着くまでずっと頭を撫でてくれた。

 

***********

 

ーシャクヤクサイドー

 

ハチとやってきたモンキーちゃん一味。

そこには見たことのない子が混ざっていた。

…銀髪に黄金と空色の目…。ちょっと前に噂になった子かしら?

大将の青雉と黄猿から逃げたっていう。

聞くと、その子は迷子で家族を探しているらしい。

モンキーちゃん一味がその子を置いて、レイさんを探しにBARをでるとわたしはその子に話しかけた。

優しく声をかけるけど返事はそっけない。

その表現はどこか影を落としていて全てを諦めたかのような昏い目をしていた

…こんな子が顔を隠さずに街を歩いていたら差別の対象になるわね。人の悪意に触れてしまったのかしら?

よくみるととてもラフな格好に裸足だった。…どこかから逃げ出してきた…?

わたしがどこからきたのかというと「とーさんとにぃちゃたちがいるところからきた」と言った。

その後、覚悟したかのように口を開いた。

 

「いちばんうえのにぃちゃはね、とりさんになるの。あおいほのおのとりさん。かっこいいんだよ」

 

そう話す彼女はすこし嬉しそうだった。本当に家族が大好きなのね…

………って、青い炎の鳥?!ちょっとまって。

それって白ひげのとこの1番隊隊長のこと?!まさかそこから?!

こんな子がいるなんて知らなかった。ましてや白ひげ海賊団に…

どうしてそんなところからここまできたのか。とか、色々と疑問はあるけどとりあえずご飯とスープを作ってあげた。

彼女は一口食べると泣き出してしまった。不味かったかしら?!

 

「……かえりたい。みんなに、あいたいよぉ…」

 

温かいご飯に家族を思い出したみたいね。

そう泣く子どもに対してわたしは頭を撫でてあげることしかできなかった。

 

ーサイドエンドー

 

**********

 

ー海軍にてー

 

これは少し前の話。

銀髪にオッドアイの娘を逃し、仕方なく帰還した青雉と黄猿。

黄猿が扉を叩き元帥のいる部屋へと入る

 

「戻ったか……って……クザン、ボルサリーノ。その傷どうしたんだ?」

「センゴクさん。例の娘、とんでもねえやつですよォ?」

「っ!?まさか、その子に?!」

「やられました。しかもかなり強いです。」

 

バンッ!とセンゴクが机を叩く。

 

「次から次へと問題が起こる…!一体何が起きてるんだ!!」

 

赤髪と白ひげの接触。

火拳のエースが白ひげに入ってから無くなったが火拳が捕まってまた接触が起きたそう。

シャボンディ諸島に現れた謎の少女

インペルダウンへと送られた火拳のエース

問題ばかり起こす傍迷惑なルーキー

 

元帥の胃に穴が空くのも時間の問題かもしれない

 

「傷心中の迷子の子どもってあんなに怖えんだな」

「ニアちゃん、だっけ?迷子なのかいぃ〜?」

「あぁ、あんなのが1人で顔も隠さずにシャボンディをうろつくわけねえだろ。攫われて逃げてきたらあそこについたらしい」

「それは、可哀想な話だな…」

 

だが、油断していたとはいえ青雉と黄猿に傷をつけるほどの力を持つものを海軍は放っては置けなかった。

 

「何としてでも捕らえなければ…世界貴族の方には適当に理由をつけて諦めてもらう他ない…な。はぁ、まためんどくさい…」

「触らぬ神に祟りなし。ですよ、センゴクさん。ありゃ、触れちゃいけねえパンドラだ。いっそ死んだことにしたらどうです?」

「いや、放置するには危険すぎるよぉ〜?あんなのがいたとはねぇ〜。今までどこに隠れてたんだか…」

 

青雉と黄猿は絶望したような少女の目を思い出し、嫌な予感を感じるのだった。

 

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